有料記事 仙道洸 佐藤道隆2023年8月20日 14時00分 きっかけは、1分ほどのSNS動画だった。 「何でもするから助けて。私を召使(めしつかい)にしてもいいから」 中東シリアの少女が懇願していた。5、6歳だろうか。妹と2人、崩れた建物のがれきに挟まったままだった。 西大和学園中学校(奈良県河合町)3年の森孟子(もね)さんは、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の映像から目が離せなくなった。 2月7日朝。テレビのニュースは、シリアとトルコの国境付近で前日に大地震が起きたと伝えていた。犠牲者は約5万7千人と後に判明する。 でも、この時は遠い国のできごととしか思えなかった。登校する頃には、頭の中から消えてしまった。 帰宅後、何げなくTikTokを開いた。 5人にも夢があるから 手の中のスマホに流れてきた… この記事は有料記事です。残り1581文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
祖父が出した国語辞典から消えた言葉 辞書マニアの孫が読み解いた
6畳とキッチンの1Kに、仲間と持ち寄った新旧のコレクションを詰め込んだ「辞書部屋」をつくった。辞書の海を自在に泳ぐのは、「辞書マニア」の校閲者、見坊行徳(けんぼうゆきのり)さん(38)。辞書と言葉のいまを聞きました。 ――今春、三省堂編修所との共編著で「三省堂国語辞典から消えたことば辞典」を出版しました。祖父で辞書編纂(へんさん)者の見坊豪紀(ひでとし)(1914~92)が世に出した「三省堂国語辞典(三国(さんこく))」。その各版から、時代とともに削除されていった言葉を紹介した本です 祖父が世に出した「三国」から消えた言葉 三国の前身の「明解国語辞典(明国)」が生まれたのが43年。その明国の改訂版(52年)から、三国8版(2022年)までに「消えた」言葉から厳選しました。面白いものを書き出していったら大量で、「こんな言葉もあったの?」と。どれもほんの数十年前、我々の親世代が生きて使っていた言葉です。 ――「ア式蹴球(しゅうきゅう)」「BG」「赤電話」「翔(と)んでる」「MD」……今では耳慣れない言葉や懐かしい言葉が並びますが、時代とともに削除されていったのですね。版ごとの収録語彙(ごい)の変化から、どんな時代の変化が見えましたか 戦後になって、戦争関係の言葉がかなり削られています。明国改訂版が出たのが52年で、さらに三国初版の出版が60年。この2版で徹底的に削られている感じがします。 わかりやすいのは明国改訂版… この記事は有料記事です。残り2477文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
サンマ漁大型船が出漁 北海道花咲港 2年ぶりロシア海域も操業へ
秋の味覚・サンマの「棒受け網漁」の主力となる大型船(100トン以上)の出漁が20日、解禁された。サンマの水揚げ量が13年連続で日本一を誇る北海道根室市の花咲港では、色鮮やかな集魚灯を輝かせた大型船が、沖合の漁場へ向けて出港した。 午前0時の解禁に前後して船は次々と花咲港の岸壁を離れ、乗組員の家族らが手を振って見送った。今年は計48隻の大型船が操業を予定している。 近年、サンマ漁を取り巻く状況は厳しく、記録的な不漁が続く。全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)によると、昨年の全国のサンマ水揚げ量は1万7910トンで、4年連続で過去最低を更新した。 また、水産庁が7月下旬に発表したサンマ長期漁海況予報(北海道東部~常磐海域)では、今年8月から12月にかけての漁期のサンマ来遊量を「低水準(昨年と同水準)」と予測している。 今年のサンマ棒受け網漁は9月15日から、2年ぶりにロシアの主張する排他的経済水域(EEZ)内でも行われる。昨年はロシアによるウクライナ侵攻の影響で操業を見送ったが、今年はロシア側と調整がついた。 今年の漁について、第81北… この記事は有料記事です。残り346文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プロポーズにバラの花束は古い? 10cmの差が変える業界の慣わし
花の生産地に変化が起きている。きっかけは4年前、長さに新しい規格が追加されたことだ。大きな花束から小さな花束へ。需要の変化に対応するためだったが、思わぬ好循環も生まれた。 70センチにばっさり 「今までは絶対なかった光景」 7月下旬、福島市のJAふくしま未来花卉(かき)共選場。お盆に向けた小菊の出荷作業が最盛期を迎えていた。 農家から納入されたばらばらの長さの小菊を、アルバイト従業員が10束ほど手に取り、機械を使って下半分の葉を落とす。さらに茎をばっさり。長さはどれも70センチだ。箱詰めされ、「未来小菊」として東京の卸市場へと出荷される。 「今までは、絶対になかった光景」と園芸係長の斎藤孝太郎さん。 切り花の値段は、市場の競りで決められる。その基準は長さと質。特に大輪菊やスプレー菊、小菊の場合は長さが重要だ。 自宅に飾りたい スーパーで花を買う人増加 以前は長さ80~90センチがランク上位「秀」の条件で、そこから段階式に値段が下がっていった。1970年後半~80年代前半から、業界の慣行として続いてきたという。 その結果、「質が良くても、長さが足りないと低価格になっていた」と卸最大手の大田花き(東京都)営業本部の大西克典副本部長は話す。 ただ、自宅用の花束なら50~60センチもあれば十分。長くても結局、花屋やスーパーでばっさりと切られることに。消費者の購入代金には、不要な枝や葉を捨てる費用も含まれていた。 大西さんによると、最近は、スーパーから短く切ってほしいと依頼を受けることも増えていたという。 この矛盾を解消するため、2019年、大田花きが事務局を担う「フラワー需給マッチング協議会」が、従来より短い「スマートフラワー」といわれる規格を追加した。菊の場合は70センチだ。スマートという言葉には、無駄を無くすという意味を込めた。 大西さんによると、リンドウやキキョウなど、長さよりも品質が重視される花もある。ただ、生産者は「長くて立派なものをつくって評価されたい」とい意識で花を育てるため、「1本単価」が重視されてきたという。 ただ、それではスーパーなど、同じ品質で、決められた量を定期的にほしいと考える顧客には対応しにくい。大田花きのまとめでは、94年には切り花を花屋で購入する人が7割で、スーパーマーケットで買う人は1割ほどだった。19年には、花屋とスーパーが3割強で拮抗(きっこう)している。従来の規格を保ちつつ、スマート規格を追加することで、販売先の需要に応え、新しい消費者を開拓することが目的だという。 生産地にも変化が起きている。 福島の小菊の場合、需要がピークになる7月に合わせて、4月下旬に植える。日照時間や気候を考えると、この時期が最適だ。 だが、雨が少なかったり、猛… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
約80年を経て戻ってきた遺品の日章旗 米国から埼玉の遺族の元へ
太平洋戦争末期に沖縄で戦死した男性の日章旗が、約80年を経て埼玉県秩父市の遺族の元にかえってきた。米国兵が持ち帰って保存していたとみられ、遺族は「額に入れて飾っておきたい」と話している。 日章旗のもとの持ち主は、関根彰さん。1941年8月に招集された。 関根さんは、同市内にあった当時の勤務先の同僚66人の署名が入った日章旗を携え満州へ。その後、フィリピンを経て沖縄で本島警備にあたり、45年6月に戦死した。33歳だった。 日章旗は、沖縄で従軍していた米国兵が持ち帰ったとみられる。 この旗について、戦時中の遺… この記事は有料記事です。残り412文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
不発花火が走行中の車に落下 西武ライオンズのイベントで打ち上げ
2023年8月20日 22時09分 19日夜、埼玉県所沢市内を走行中の車に、打ち上げ花火の不発玉が落下したと消防に通報があった。付近では埼玉西武ライオンズのイベントがあり、同球団によると19日午後7時半から同8時に約1200発の花火を打ち上げていた。不発の花火玉は、記された数字などからイベントで打ち上げた1発と確認したという。 通報を受けた東京消防庁によると、通報者が東京都東久留米市内で車を点検したところ、フロントガラスとボンネットの隙間にソフトボール大の不発の花火玉がはさまっていたという。東久留米消防署員が到着した際には花火は水を張ったバケツに沈められており、危険はないと判断した。けが人はいないという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
厚木市のパチンコ店で火災、車100台以上が燃える 客は店外に避難
手代木慶2023年8月20日 17時51分 【動画】厚木市のパチンコ店立体駐車場で火災=吉山健一郎撮影 20日午後2時45分ごろ、神奈川県厚木市下荻野のパチンコ店「マルハン厚木北店」の立体駐車場で、「2階の車が燃えている」と110番通報があった。厚木市消防本部によると、現在も延焼中で消火活動が続けられている。けが人は確認されていないという。 県警厚木署によると、午後4時50分現在、火は2階から屋上の駐車スペースに延焼し、100台以上の車が燃えている。火は車から車に次々と燃え移り、ガソリンに引火して爆発しているとみられる。マルハン厚木北店では、店内にいた客を誘導し、店外に避難させたという。 現場近くで酒店を営む男性は「ボンボンと連続して音がした。結構大きな音だった」と話した。駐車場からは黒煙が噴き出し、周辺に広がった。現場の北側にあるスーパー「いなげや厚木三田店」は黒煙の影響で営業を一時停止した。 パチンコ店に隣接した立体駐車場は2階建てで、1階から屋上までが駐車スペースになっている。同店のホームページによると、平面スペースを含めて約760台の車がとめられる。(手代木慶) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アジアゾウ出産、準間接飼育では国内初 札幌の円山動物園
古畑航希2023年8月20日 19時00分 札幌市の円山動物園は20日、アジアゾウ「パール」(19)が19日に出産したと発表した。飼育員が柵越しに健康状態を管理してゾウと同じエリアに立ち入らない「準間接飼育」での出産は全国で初めて。 同日午後9時50分ごろ、パールの陣痛が始まり、約50分後に出産をした。子ゾウはパールの促しをうけながら自力で立ち上がり、授乳も確認された。子ゾウはパールの周りを歩いて動き回り、母子ともに健康だという。子ゾウの正確な体重や性別は確認できていないが、推定全長90センチ、体重90キロ。 パールは2021年3月、オスのシーシュ(15)と同居を開始。22年9月、黄体ホルモンが高い値を示していることから妊娠の可能性が高いと判断され、翌10月にエコーで胎仔(たいし)が確認されていた。 日本では飼育員がゾウと同じエリアに入り健康状態を管理する「直接飼育」が一般的。出産では飼育員が分娩(ぶんべん)や子ゾウの起立、授乳の補助をする。一方、準間接飼育では子ゾウの意識がないなど、トラブルが起きない限り手助けしない。準間接飼育は飼育員の安全確保やゾウへのストレス軽減を図れる利点がある。 円山動物園は18年にミャンマーから4頭のアジアゾウを導入した際、準間接飼育を採用した。担当者は「妊娠から出産までは無事にこぎつけた。人にも動物にも安全な管理方法でも繁殖できるということを全国の動物園に発信し、ゾウの保全に寄与していきたい」と話した。 準間接飼育では、ゾウが自らの意思で柵から脚などを出すことによって、健康状態を管理する。今後、子ゾウは専用施設で体重測定や採血のためのトレーニングを行う。同園は子ゾウの成長を確認しながら、9月中の一般公開をめざし、愛称を募集する。(古畑航希) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ゼロゼロ融資」返済本格化、苦しむ中小企業 戻らぬ注文、物価高…
有料記事 三井新、栗林史子2023年8月20日 19時00分 コロナ5類移行から3カ月。中小企業の倒産が、コロナ下を上回る勢いだ。中小企業向けの実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」の返済も本格化しており、今後さらに倒産が増える可能性もある。 ゼロゼロ融資を巡っては、倒産を大幅に抑える効果の一方、もともと稼ぐ力のない企業の「延命」につながった可能性も指摘されていた。一方、物価高や生活スタイルの変化など、営業努力だけでは乗り切れない現実も。今後、どんな形の支援が必要なのか。 営業努力続けても苦しい 「できればもう少し……」 アパレル衣料品の製造などを手がける「小倉メリヤス製造所」(東京都墨田区)は、20年3月と6月の2回、日本政策金融公庫から「ゼロゼロ融資」を使い、5千万円ずつ計1億円を借り入れた。 中国でコロナウイルスの感染が広がり始めた2月ごろから、中国の製造拠点の工場が操業を停止。最初の緊急事態宣言が出た4月には、得意先のアパレル大手の営業が事実上止まり、全くといっていいほど発注が来なくなった。「先行きに不安しかない時期、無利子無担保で借りられて、とてもありがたかった。現金が手元にあることは心の支えになった」と小倉大典社長(46)。 営業努力も続けた。取引のあった大手だけでなく、個人の注文も受けるように。「洋服以外でも『縫える物』ならご相談を」。声かけをするうち、注文は少しずつ増えた。 それでも、21、22年の10月期決算では、売り上げがコロナ前の約25%減。仕入れ資金確保のため、ゼロゼロ融資以外に、民間の複数の金融機関からもコロナ関連の融資を受けた。 もともと後継者不足に悩んで… この記事は有料記事です。残り1126文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
息子が横領罪に、100万円必要 3回の電話で81歳母は我を失った
立て続けにかかってきた3回目の電話で、完全に我を失った。早くお金を用意しないと、定年間近の長男が破滅する――。新潟市で一人暮らしをする女性(81)は、東京の会社に勤める長男を救いたい一心で、銀行へと自転車を走らせた。 サトシから1回目の電話、のどが腫れている? 最初に自宅の電話が鳴ったのは、7月14日午前11時半すぎのことだった。長男の上司らしい男性からで、長男と代わると言うので、続いて電話口に出た男性に「サトシ(仮名)かい?」と声をかけた。 相手は「そうだ」と答え、せき込みながら話し始めた。出張で新潟市内の病院を訪れたついでに、のどが腫れているので診てもらったら、明日すぐに精密検査が必要だと告げられたという。 ドキッとした。自分ものどの手術を受けたことがある。2カ月に1回は電話で聞いている普段の声と違うのも、のどの異常のせいだと思った。 電話の相手は再び、上司らしい男性に代わった。どうやらサトシは、公衆電話に携帯電話と財布を置き忘れ、なくしたようだった。 サトシから2回目の電話「金を用意できないと横領罪に」 携帯電話がないなら自分から連絡の取りようがない。不安の中、しばらくしてサトシが2回目の電話をかけてきた。 「財布はトイレで見つかったが、中身を抜き取られていた。会社の情報も盗み取られていて、情報を取り戻すのに1200万円が必要。用意できないと横領罪になる」 話はよくわからなかったが、何とかしてあげたいと思った。とはいえ、69歳までパートで働き、その蓄えと年金でつつましく暮らす自分がすぐ用立てできる金額ではなかった。 オロオロしていると、サトシから3回目の電話が来た。 いらだつサトシから3回目の電話「あと100万円足りない」 上司が1100万円をかき集… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル