山口県上関町は18日、使用済み核燃料の中間貯蔵施設設置に向けた調査を受け入れる意向を中国電力に伝えた。この日の町議会臨時会で西哲夫町長が「行政報告」をおこない、議員10人が意見を表明したうえで、町長が結論を出した。どんな議論が交わされたのか。議会周辺でのできごとや関係者の動きとともに詳報する。 町長「住民説明尽くすよう要請する」 8月2日に中国電力から新たな地域振興策の要請について回答があった。使用済み燃料中間貯蔵施設の検討にあたって、調査を進めたいとのことだった。 国は原発活用を表明したが、新増設が不透明な状況に変わりはなく、福島第一原発事故後の12年間、町は急速に疲弊が進んでいる。 人口は年間約100人の減少が続き、高齢化率も約59%と中国5県で一番高い。毎年、財政調整基金などを取り崩しながらの予算編成で、住民支援策も近い将来できなくなり、住民へ負担をお願いすることが懸念される。 調査申し入れは、施設の設置を認めてほしいと言っているわけではない。調査に半年程度を要し、具体的な計画は改めて提示するということなので、住民説明会などで説明を尽くすよう要請する考えだ。 疲弊していく町の将来を思う… この記事は有料記事です。残り1521文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「泣いて笑って育てた宝物なのに」 自死した医師の遺族、病院を批判
神戸市東灘区の甲南医療センターの医師、高島晨伍(しんご)さん(当時26)が昨年5月に自殺したのは長時間労働による精神疾患が原因として労災認定された問題で、遺族が18日、大阪市内で記者会見を開いた。亡くなるまでの約3カ月間休みがなく、直前1カ月の時間外労働が200時間を超えていたといい、「労災認定を受けても、あの心優しい大事な息子は私たち家族のもとには帰ってきません。センターにとっては医師の代わりはいくらでもいるのでしょうが、家族にとっては泣いて笑って大切に育てた、かけがえのない宝物なのです」と訴えた。遺族はセンターに慰謝料を求める提訴を検討しているという。 母の淳子さん(60)と兄(31)によると、高島さんは2020年4月に研修医としてセンターで働き始め、22年4月から消化器内科の専門医をめざす「専攻医」として勤務していた。昨年5月17日夕、退勤後に神戸市内の自宅で自殺しているのを、連絡が取れなくなったのを心配した淳子さんが発見した。 高島さんは、医師である父や兄の背中を追って医師の道へと進んだという。幼い頃から動物や年下の子どもを可愛がる優しい人柄で、最近は音楽を聴いたり、野球を見たりするのが趣味だったという。 しかし、昨年4月下旬ごろから、多忙で表情が暗くなり、趣味を楽しむ余裕もなくなった。5月に入ると、淳子さんに「楽しいことが一つもない」「しんどい。誰も助けてくれない」ともらすようになったという。 高島さんは両親あてに、自筆のメモを残していた。メモには感謝の言葉とともに、今後の生活を案じる文言がつづられていたという。 遺族は昨年9月、西宮労働基準監督署に労災を申請。今年6月に認められた。認定によると、高島さんの死亡直前1カ月の時間外労働は207時間50分で、3カ月平均でも月185時間超に上った。国が定める精神障害の労災認定基準である「発病直前の1カ月におおむね月160時間以上の時間外労働」を大きく上回っていた。 高島さんの死後、センターは第三者委員会を設置して対応を検証。しかし、センター側は第三者委の報告書を外部へ公表しないことを遺族に要求。遺族が断ったため、現在まで開示していない。淳子さんは「息子の死を軽視している。息子の人生を傷つけたことに向き合い、誠実に対応してほしい」と訴えた。 センターは17日の記者会見で、第三者委の報告書が認定した高島さんの昨年4月の時間外労働時間(197時間)について、「知識や技能を習得する自己研鑽(けんさん)の時間も含まれており、全てが労働時間ではない」と主張。具英成(ぐえいせい)院長は「過重な労働を課した認識はない」と説明している。 センター側の説明について、高島さんの兄は18日の会見で、高島さんが死の直前まで学会発表の準備に追われていたことをあげ、「学会発表は自らの意思によるものではない」と反論。「担当患者のカルテ作成だけが業務なはずはなく、3年目の医師にとってほとんど全てが業務だったはずだ」と訴えた。「センターでは同様の働き方が常態化していたのではないか」と疑問を呈した。 遺族はセンターが違法な残業や休日労働をさせたとして、西宮労基署にセンターの運営法人などを労働基準法違反の疑いで告訴したことも明らかにした。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学生がはねられて大けがでも「物損事故」?警官が不適切発言、謝罪
長野県警上田署の警察官が、子どもが車にはねられてけがをした交通事故の捜査を担当した際、被害者の家族に対して「物損事故」として処理を済ませようとしていると思わせるような、不適切な発言があったことがわかった。署は、県警本部に報告の上で家族に謝罪したという。 この事故について署は人身事故として捜査し、車の運転手を書類送検している。 署によると、長野県上田市内の路上で4月、小学生の男児が乗用車にはねられ、目の辺りを骨折するけがを負った。 この時、現場で捜査にあたった上田署員は、男児が骨折した事実を知った上で、男児の家族に対して「人身にするか物損にするかは、検討した方がよいのでは」などと発言したという。 その後、男児の家族からの抗議を受けて、署は「物損事故として処理すると受け取れる発言があったのは事実」として謝罪。この警察官に指導を行ったという。 「不適切発言」の理由 署幹部の説明は 事故については後日、加害者… この記事は有料記事です。残り304文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
七夕の起源に思いはせ 奈良の都照らすLED 「天平たなばた祭り」
筋野健太2023年8月18日 21時00分 夜の平城宮跡(奈良市)を光と明かりで彩る「天平たなばた祭り」が始まった。18日は七夕をテーマに、LEDライトで光り輝く古代衣装を身にまとった約40人が朱雀大路を練り歩く「天平七夕行列」が行われた。 七夕は奈良時代、旧暦の7月7日(現在の8月ごろ)に平城宮で行われた祭りが起源といわれている。 イベントは20日までで入場無料。天の川に見立てた約6千個のろうそくが朱雀門前を彩るなど光のアート作品が見られるほか、20日夜には再び七夕行列が行われる。問い合わせは実行委(0742・25・0707)。(筋野健太) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「異様なスピード感」中間貯蔵、提案16日で回答 急ぐ上関町に反発
山口県上関(かみのせき)町が、原発の使用済み核燃料を保管する「中間貯蔵施設」建設に向けた調査の受け入れを表明した。中国電力の提案から16日後の決定に、住民から反発の声があがった。中国電は来春までに調査を終える日程を描くが、地元住民への説明や県知事の同意など、多くの課題を抱えている。 「中間貯蔵施設の調査を私としては受け入れる考えだ」。町議会で調査の是非を協議するために開かれた臨時会の冒頭、西哲夫町長は議員の意見を聞く前に自身の方針を打ち出した。 その後の臨時会では、10人中7人から「実現すれば、町の経済効果が見こまれる」「恒久的な財源の確保につながる」などと、町長の方針を後押しする声があがった。 最後、町長は淡々と受け入れを正式に宣言。議会の議決は無かった。 今月2日に申し入れを受けてから、町から住民への説明会などは開かれていない。こうした経緯について、西町長は臨時会後、記者団に「この案件は議決を要しないもの。乱暴に言えば、中国電力からの申し入れが来て翌日に町長が『良いですよ』と認めれば、それで済む」と語った。 大方の住民が建設反対なら「民意尊重する」 西町長はまた「調査と建設は別もの」と繰り返し、「大方の住民が建設に反対するなら民意を尊重する」とも述べた。 東京電力福島第一原発事故の… この記事は有料記事です。残り2784文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャニーズ性加害問題、揺れるファンの視線 考えたくない…でも
有料記事 堀越理菜 照井琢見 滝沢文那2023年8月18日 17時00分 ジャニーズ事務所の性加害問題に対する批判の声がやまない。8月には国連機関も「深く憂慮すべき疑惑」と声明を出すなど、国際問題にまで発展。そんな中、ファンの思いは――。 「どれだけ多くの人が救われたか」 「(性加害問題は)事実なら世界レベルの悪いこと。でも、ジャニーズからもらってきた幸せは大きすぎる」。埼玉県の会社員女性(27)は問題を認識しつつ、これからも変わらずにタレントを応援したいと話す。 小学5年の頃に、ジャニーズJr.にのめり込み、中学時代にコンサートに足を運ぶようになった。高校1年の時、Jr.が出演するNHKの番組「ザ少年倶楽部」で、しゃかりきに踊る子に目を奪われ、応援してきた。昨年デビューした7人組のTravis Japanのメンバーだ。 「楽しい思い出は数え切れない」。念願のデビューツアーで彼らのパフォーマンスを見て、幸せな気持ちになれた。でも「私は彼らにお返しできていない」気持ちになり、グループが野菜ジュースのCMに出演すれば、「恩返しのつもり」で箱買いをするようになった。 ジャニー喜多川氏の性加害の… この記事は有料記事です。残り2227文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中間貯蔵「町を壊す」「金ないんじゃけ…」 山口・上関町が揺れた日
山口県上関町の西哲夫町長は18日、中国電力から申し入れのあった使用済み核燃料の「中間貯蔵施設」設置に向けた調査について、受け入れを表明した。上関町議会は臨時会を開き、受け入れの是非を協議した。一方、役場前には早朝から反対する人たちが集結し、周囲が騒然となる場面もあった。この日の動きを追った。 7:35 役場前に原発反対派の人たちがすでに数十人集まっていた。前回町長選で西町長に敗れた木村保さん(75)は「まずは調査といっても中間貯蔵施設を受け入れることが原発推進の動きにつながっていく。賛成多数だから受け入れを進めようという町長の姿勢にも疑問がある。自分は反対の立場を示すためにやってきた」 8:00 役場前で臨時会の傍聴席20席をめぐる抽選がおこなわれた。傍聴席を求めたのは90人。並んでいる人のなかには「次世代に責任ある決定を」と書かれたスケッチブックを掲げる人も。町は、議場に入れなかった人向けにも、議場の様子がモニターで見られる会場を役場1階に設けた。 8:30 西町長が自家用車で役場前駐車場に到着。「今回の騒動を引き起こした張本人は西町長である。そもそも最初のやり方が間違っていた」の横断幕を持った人々など約50人に車を囲まれて動きが取れなくなった。反対派の人たちが「中電(中国電力)の悪徳商法にだまされてはだめ」「一部の人間だけで決めるな」「これのどこが町づくりだ? 町を壊している」などと口々に叫んだ。町職員は「庁舎の管理権限に基づき警察を呼ぶことになります」と警告した。 8:40 反対派が西町長の車を取り囲む現場に、警察官が到着。数分後、反対派の人たちを車周辺から引き離した。西町長は車を出て、午前9時前に役場内に入った。 様子を見ていた町内の女性(… この記事は有料記事です。残り2513文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「変態紳士クラブ」のメンバーに有罪判決 大麻取締法違反の罪
2023年8月18日 17時13分 自宅で大麻を所持したとして大麻取締法違反(所持)の罪に問われた音楽グループ「変態紳士クラブ」のメンバー北浦翔暉(しょうき)被告(25)に対し、名古屋地裁(遠藤圭一郎裁判官)は18日、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。 判決は、被告が大麻について「海外などで繰り返し使っていた」という趣旨の供述をしたことなどを踏まえ、「大麻に対する親和性、依存性も明らかだ」と指摘。一方、所属事務所が更生に助力する意向を示していることなどを考慮し、猶予付き判決が相当だと結論づけた。 判決によると、被告は4月13日、自宅で大麻を含む植物片約100・715グラムを所持していた。判決後に取材に応じ、「胸の内は楽曲で伝えたい」と話した。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「まずは自分が面接」 売春仲介とうそ、17歳少女と淫行した疑い
大山稜2023年8月18日 12時20分 売春の仲介を装って誘い出した少女とみだらな行為をしたとして、警視庁は、東京都青梅市の職業不詳の男(29)を児童福祉法違反(淫行)の疑いで逮捕し、18日発表した。調べに「少女が高校生と知っていた」などと供述し、容疑を認めているという。 少年育成課によると、男は「パパ活」の相手を募集していた関東地方の高校3年生の少女(当時17)に、性行為の見返りに20万~30万円の高額報酬を支払う「社長」を紹介するとチャットアプリで持ちかけた。その後の4月23日、「どんな感じの子か伝えるためにまずは自分が面接する」などと言い、東京都立川市のホテルで少女とみだらな行為をしたという。この4月23日の行為が逮捕容疑になった。 男はこの日、少女に東京駅で「社長」を待つように指示。少女は数時間待った後にだまされたと気づき、同庁に相談していた。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
終戦間際に完成した飛行場 動員された住民らの苦労の跡、今は道路に
炎天のもと、しらこばと水上公園(埼玉県越谷市)に向かった。プールの入り口に向かう人たちが、急ぎ足で、公園東側を南北に貫く直線道路を渡っていくのが見えた。 この道が、終戦間際に造られた陸軍飛行場の滑走路の跡であることを知る人は、どれだけいるだろう。 同市と旧岩槻市(さいたま市岩槻区)の市史や郷土史家らの調査によると、公園付近から国道463号バイパス手前までの南北1・5キロが滑走路で、幅員は60メートルあったという。 今は、沿道に板金や自動車整備の工場や住宅が立ち並び、道幅は6~10メートルほどになっている。 このあたりは、戦時中は荻島村(現越谷市)と新和(にいわ)村(現さいたま市岩槻区)にまたがり、シラコバトが飛び交うのどかな田園地帯だった。それが、終戦前年の1944年に一変した。 「本土決戦」に備え突貫工事 本土への空襲が本格的に始まった時期。飛行場や軍需工場が地方に分散され、「本土決戦」に向けた防空力増強のため、飛行場の建設が急きょ決まった。 住民は、工事を手伝うよう求められた。国策に協力する「翼賛壮年団」の人たちから、こう檄(げき)を飛ばされたという。 「事態ハ極メテ重大デアル、サイパンノ全将兵戦死、又(また)大宮島(グアム)ニ敵上陸、誠ニ重大事中ノ重大事態ナリ、一旦緩急アラバ義勇公ニ奉ズベシノ詔命(しょくめい)ヲ畏(かしこ)ミテ、今ゾ我等(われら)神州男子ノ本面目ヲ発揮シ、敢闘ニ死スベキ秋(とき)ダ」 付近の農家13軒が強制的に立ち退かされ、44年7月に工事が始まった。完成予定は同年9月20日。2カ月余で終える予定だった。 しかし、ぬかるみの多い湿地… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル