太地町の人たちにとって特別なクジラがある。 コビレゴンドウだ。 漁師たちは、とれると漁期のはじめにお神酒などをくれた地元の人におすそわけに向かう。 「とれたら町の人が喜んでくれるし、とれんかったら『ないの』と言われるし」とある漁師は言う。 太地の追い込み漁で対象になっているクジラやイルカの半分は、「ゴンドウクジラ」と呼ばれる種だ。くちばしのような「吻(ふん)」がなく、ずんぐりした頭をしている。 太地で古式捕鯨が栄えた江戸時代、漁師たちは数百人で船団を組んで大型のセミクジラやザトウクジラをとっていた。大型クジラの回遊が減った江戸末期ごろには、「副業」として小型のゴンドウクジラを突きとるようになったという。 ハナゴンドウにカズハゴンドウ。この町との縁が深いゴンドウクジラだが、町の人たちが「ゴンド」と言うとそれは1種類、コビレゴンドウを指す。 ゴンドが特別なのは、脂がの… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
戦争なんて想像できなかった私 遺族代表の13歳が受け継いだ誓い
終戦の日の15日、戦争体験者やその思いを受け継ごうとする小さな遺族らが、慰霊とともに平和への誓いをあらたにした。 父は言った「戦争がもう少し長引いたら」 共立女子中2年の松原早織さん(13)=北区=は、大伯父をマリアナ群島で亡くしている。祖父は特攻隊に志願したが、出撃命令が出る前に終戦を迎えた。父からはこう伝えられてきた。 「戦争がもう少し長引いておじいさんが特攻隊で出撃していたら、お父さんも君もこの世に生まれてきていないのだよ」 15日に文京区内で開かれた東京都戦没者追悼式。10~100歳の遺族ら441人が参列するなか、松原さんは遺族を代表して「追悼のことば」を述べた。 13歳の松原さんはこの後、「『戦争』をこれまでよりも『現実』に捉えるようになった」と述べます。その理由とは。後半では幼少期に戦争を体験した82歳の女性が、自身の戦争の記憶と思いを語ります。 「父が祖父の思いを引き継い… この記事は有料記事です。残り969文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「300体を生体解剖」細菌戦部隊の証言 市の施設で展示見送り
有料記事 三井新 後藤遼太2023年8月16日 9時00分 加害の歴史を伝えるパネルの展示が、1年以上宙に浮いている。 戦争や平和について学ぶ施設として、長野県飯田市が昨年5月に開設した平和祈念館。日章旗や特攻隊員の手紙など、市民から寄せられた太平洋戦争にまつわる約120点が展示されている。 旧日本軍の「731部隊」の元隊員らの証言を含むパネル8枚も掲げられるはずだった。 731部隊は正式名称「関東軍防疫給水部」。旧満州のハルビンに広大な施設を設け、細菌兵器の開発を目的に、「マルタ(丸太)」と呼ぶ捕虜に様々な人体実験を行った。細菌兵器を実戦で使う「細菌戦」にも関わった。 こうした事実は、2002年に中国人遺族らが日本政府に賠償を求めた訴訟で、東京地裁が、元隊員や研究者らの証言をもとに判決で認定した。一方、政府は03年に「外務省、防衛庁等の文書において、細菌戦を行ったことを示す資料は現時点まで確認されていない」との答弁書を出した。 終戦直前、施設は軍によって破壊され、文書も焼かれた。隊員は口外を禁じられたとされる。 「過激にならないように」との意見も 「クロロホルムを注射し、生きている人間をパタッとやった」「300体もの生体解剖をした」「逃げ出したマルタを車でつぶした」。部隊での行為を本に書いたり、講演で話したりしていた元隊員らの証言を、名前や顔写真とともに展示する準備が進んでいた。 見送った理由について、祈念… この記事は有料記事です。残り1502文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海道新幹線、三島―静岡間で運転見合わせ 雨量計が規制値を超える
2023年8月16日 9時19分 東海道新幹線が、三島―静岡間の上下線で運転を見合わせている。JR東海が16日午前8時45分に発表した。運転再開までしばらく時間がかかる見込みとしている。 同社によると、8時半ごろに、新富士―静岡駅間に設置している雨量計が規制値を超えたためだという。同社ホームページでは、8時55分現在の参考雨量として、過去1時間の雨量75ミリとしている。東海道新幹線は遅れが発生しているという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
台風7号が近畿地方を縦断、日本海へ抜ける 40人以上が負傷
宮野拓也 細沢礼輝 小早川遥平2023年8月16日 5時00分 台風7号は15日午前5時前に和歌山県・潮岬付近に上陸して近畿地方を縦断し、日本海に抜けた。岡山、鳥取両県で線状降水帯が発生したほか、気象庁は同日夕から夜にかけ、経験したことのない大雨になっているとして鳥取市に大雨特別警報を出した。 各府県などによると、和歌山市の男性(60)が壊れた外壁のそばで意識不明の状態で見つかるなど、東海、近畿で少なくとも44人が負傷。各地で停電や河川の氾濫(はんらん)が相次ぎ、交通機関も大きく乱れた。 同日午後6時40分時点の24時間降水量は、鳥取市で491・5ミリ、岡山県鏡野町で476・5ミリを記録し、いずれも観測史上1位を更新。このほか三重県大台町で605・0ミリ、和歌山県那智勝浦町で521・0ミリを観測した。 台風7号は午後8時時点で兵庫県豊岡市の北北西約40キロにあって時速約15キロで北に進んでいる。中心気圧は990ヘクトパスカル。最大風速は25メートル、最大瞬間風速は35メートル。 16~17日に日本海を北上する見通しで、東海では16日午前中にかけて線状降水帯が発生する可能性がある。同日午後6時までに予想される24時間降水量は多い所で、東海200ミリ▽北陸、中国150ミリ▽関東甲信120ミリ▽近畿100ミリ。 JR東海と西日本によると、16日の東海道・山陽新幹線は始発から通常通りに運転予定だが、設備の被害が確認されれば一部で運転見合わせの可能性もある。空の便では大阪(伊丹)、徳島、神戸、小松の各空港で一部の便が欠航する。(宮野拓也、細沢礼輝、小早川遥平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「問題児なんていない」 遊び場に立ち続ける「第3の大人」の気づき
日差しが降り注ぐ8月初旬、東京・新宿の戸山公園の一角で開催されている「新宿・戸山プレイパーク」では、子どもたちのはしゃぐ声が響いていた。水で全身びしょぬれの子、泥を気持ちよさそうに触る子、身長の倍以上ある木の上のデッキによじ登る子――。思い思いに遊びを楽しんでいた。 「自分の責任で自由に遊ぶ!」がモットー。木漏れ日が気持ちいい広場に既製の遊具は存在せず、あるのは木製の手作りやぐらや木に結ばれたロープなど。誰でも無料で自由に遊べ、公園にありがちな禁止事項もほぼない。ルールはみんなで考え、大人は見守りに徹するのがお約束だ。 「ナオ、俺こっから登ったんだよ!」 「ナオ、見てて!」 「ナオ」と呼ばれ、子どもたちから親しまれていたのがプレイリーダー橋川尚尭(なおたか)さん(31)だ。多くは語らず、つかず離れずの距離感で子どもと接する。特別なことをしなくても、橋川さんのもとには自然と子どもたちが集まってくる。 運営する「新宿・戸山プレイパークの会」は1998年、地元の母親有志によって作られた。今は新宿区の助成金を受けてプレイリーダーを雇い、週4、5日、パークを開催。泥遊び、木登り、火遊びなどが日常的にでき、乳幼児の親子連れから小中高校生まで、幅広い年齢層の子どもが遊びに来る。1人で来ても、そこにいるみんなが友達となり、交ざり合って遊ぶ。 プレイリーダーは遊びの環境を整え、時には一緒に遊び、子どもを見守るのが仕事だ。毎日、やぐらやロープなど敷地内の安全を点検。けが対応や大事故を想定したシミュレーションも行い、多少のリスクは恐れずに、安心して遊べる場を提供する。 全国には様々なプレイパークが存在し、多くの場所で複数のプレイリーダーが常駐する。日本では特に資格は必要ないが、「子どもをコントロールしない心、子どもをありのまま受け入れるマインドが必要」と橋川さんは言う。 学校や街角、自然の中……様々な場所で、多様な大人たちが日々、子どもの育ちをみつめています。子どもや若者と関わる人たちを訪ね、「学びの今」「子どもの今」を紹介します。 「問題児」は大人が作り上げた 橋川さんは大学卒業直後から… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「じいちゃんが困ってる」 一人で守るハマナスの丘に中学生は集った
じいちゃんがハマナスの咲く海岸で草刈りをしていた。一人きりで。かわいそうだと思った。だから、友だちや先生に思い切って持ちかけてみた。 海岸に咲く花を守ってきた地元住民 日本海に浮かぶ佐渡島や粟島を望む海岸に、約2キロにわたりハマナスの群生地が点在する。以前から地元の住民には知られていて、そばに国道345号が通ったのをきっかけに観光客も訪れるようになった。 ここ、新潟県胎内市の桃崎浜地区に、展望台や車約20台分の駐車場を備えた「はまなすの丘」が整備されたのは35年前の1988年5月。住民たちは7月に「はまなすの会」を立ち上げ、ハマナスと周辺環境を保護する活動を始めた。 1日おきのゴミ拾いに加え、年に4回ほど20人前後で雑草を刈り込んだ。いつしかハマヒルガオやセナミスミレ、ハマダイコンもかれんな花を咲かせるようになった。 高齢化で解散した「はまなすの会」 そんな地区に人口減少の波が… この記事は有料記事です。残り989文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東海道新幹線、16日は始発から通常運行の予定 JR東海が発表
2023年8月15日 17時58分 JR東海は、15日は名古屋―新大阪間で運転を取りやめるなどした東海道新幹線について、16日は始発列車から全区間で通常通り運行する予定だと発表した。台風の被害状況によっては、運転を見合わせる可能性もあるという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
はじまりは1台との出会い 被爆ピアノと全国めぐる広島の調律師
四半世紀前の1台のピアノとの出会いが、調律師の人生を変えた。広島に投下された原爆で傷ついた古びたピアノを託され、音が出るよう修理したのが転機になった。「被爆ピアノを通して平和の種まきを」と全国各地で巡演している。 広島平和記念公園(広島市中区)の一角。一家全滅や身元不明など約7万柱の犠牲者の遺骨が納められている「原爆供養塔」前の広場で8月4日、厳かなピアノの音が響いた。原爆犠牲者を追悼し、平和を祈願するある集会で、矢川光則さん(71)=同市安佐南区=が設営や音響の調整などを一手に担った。 「原爆で命を奪われ、生きたくても生きられなかった方々にも音色を届けたいと願っています」 酒に酔った父が語る「原爆」を避け 矢川さんは被爆2世。消防士だった父親は1945年8月6日、爆心地から約800メートルの消防署で被爆。大勢の同僚を失い、戦後は消防の仕事を離れた。幼少期、父はよく酒に酔うと「なぜ自分は生き残ったのか」と口にした。酒臭い父を想起させる原爆の話にずっと興味が持てず、平和運動にも関心がなかった。 ピアノの調律師として長年働き、40代半ばから修理した中古ピアノを障害者施設などに寄贈する活動を始めた。 そんな取り組みを知った広島の被爆者団体から98年、1台のピアノを託された。 爆心地から約3キロの民家で被爆し、爆風で砕けたガラスの破片で傷ついた古びたピアノで、しばらくそのままにしていた。 ■被爆アオギリの前で決心… この記事は有料記事です。残り887文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
プールの大型スライダーで事故、小学生が脚を骨折 千葉市が設置
田中久稔2023年8月15日 19時08分 千葉市が設置する稲毛海浜公園プール(美浜区)で、空気で膨らませる遊具の大型スライダーを滑り降りた男子小学生が終端部にぶつかり、脚を骨折するけがをした。市が15日に発表した。遊具は8日から利用を休止している。 市によると、5日午後0時50分ごろ、プールを運営する事業者が設置した大型スライダー(高さ9・6メートル、長さ28メートル、幅10メートル)を滑った男子小学生(8)が、空気を詰めた終端部の緩衝材にぶつかり、左ももの骨を折る大けがをした。 大型スライダーは今シーズンに向け新たに購入したもので、プールでの導入例は稲毛が全国唯一という。市ではスライダーに流す水量が多かったのが事故原因と判断し、運用方法を見直して再開する方針。(田中久稔) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル