広島市の島田栄子さん(92)は6日、78年前のこの日に命を落とした父の墓参りに向かった。「長生きさせてもらっています」。花を手向け、そっと手を合わせ目を閉じた。 墓前に報告することがあった。被爆者や遺族が高齢化するなか、父の死、そして自身の被爆体験の証言活動を、90歳を過ぎて始めようとしている。 あの日、14歳だった島田さんは市内の高等女学校の3年生で、爆心地から約4キロの軍需工場に動員されていた。午前8時15分。白い閃光(せんこう)が走った。大きな音がし、地震のような揺れが起きた。外に出ると、巨大な雲が立ち上るのが見えた。地上には赤い炎がなめるように広がっていった。自宅に戻ろうとしたが、火の手で近づけず、途中でネギ畑に座りこんだ。 炎から40人ほどが逃げてき… この記事は有料記事です。残り1040文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛知から広島の式典に初参列 若者に伝えたい「戦争はみじめなだけ」
「世界中からこんなに多くの人が平和を願って集まったことに感動した」。愛知県の遺族代表として、初めて平和記念式典に出席した同県大口町の木下博之さん(83)は涙ぐんだ。木下さんは自身も被爆者。これまで被爆体験をほとんど語ることはなかったが、9月に中学生を前に証言する。 原爆投下時、34歳だった父覚郎(かくろう)さんは広島県庁内で即死。木下さんは当時5歳。広島市の大手町の自宅で、母や兄、妹とともに被爆した。木下さんらは母の実家がある三次市に避難した。 しばらくすると4人とも髪が… この記事は有料記事です。残り352文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
核なき世界へ、岸田氏「理想だけではなく…」 現実世界は軍縮に逆行
広島は78回目となる「原爆の日」を迎えた。岸田文雄首相は広島での主要7カ国首脳会議(G7サミット)の「成果」を強調し、「核兵器のない世界」の実現に向けた決意を改めて表明したが、国際社会では核軍縮に逆行する動きが強まる。「核抑止論によることなく、核廃絶に取り組むべきだ」という被爆地の声にどう向きあうのかが問われている。 広島市で6日午前8時に始まった平和記念式典。岸田首相は「唯一の戦争被爆国として、『核兵器のない世界』の実現に向けた努力をたゆまず続ける」と力を込めた。続けて、ウクライナ侵攻を続けるロシアによる「核の威嚇」などに触れ、「道のりは一層厳しいものになっている」と指摘した。 そのうえで、自身が議長を務めた5月のG7広島サミットの成果を強調した。「核軍縮の進展に向けた国際社会の機運をいま一度高めることができた」 サミットでは「核兵器のない世界」が主要議題の一つで、G7首脳はそろって広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪問。原爆でゆがんだ三輪車やちぎれた学生服などの展示物を見て、被爆者とも対話した。 被爆の実相に触れた首脳らは、それぞれのメッセージを芳名録に寄せた。米国のバイデン大統領は「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう」と記し、平和の象徴である折り鶴2羽を「置き土産」とした。 G7首脳は議論の成果として、G7初の核軍縮に焦点を当てた文書「広島ビジョン」を発表。外務省幹部は「広島でサミットを開催した意義があった」と振り返る。 しかし、核軍縮に向けた具体… この記事は有料記事です。残り1514文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「プーチン信じる」と友に言われて ウクライナ女性が撮ったヒロシマ
「核攻撃が良いアイデアだと思うときは、広島のことを考えて」――。福岡県田川市で避難生活を送るウクライナ人女性が、広島平和記念資料館の展示をロシア語で紹介する動画を公開している。ロシアが核による脅しを加えるなか、女性は「戦争を支持する人にこそ被害の実態を伝えたい」と語る。 動画をつくったのはカテリーナ・チャプリンシカさん(31)。ウクライナ中西部ジトーミルで娘(4)を育てながら美容学校の講師をしていた。ロシアがウクライナに侵攻した直後の2022年3月、田川市で暮らす姉を頼り、夫を残して来日。現在は市内のイチゴ農園で働く。 昨秋、姉一家と広島に足を運んだ。原子爆弾を落とされた街と知っていて「一度は訪れたい」と思っていたという。 ウクライナでは日本の原爆被害を歴史の教科書で学ぶ。被害の大きさは理解しているつもりだった。だが、3歳の男の子を亡くした父親が庭先から掘り起こした「伸ちゃんの三輪車」など、資料館で直接目にした遺品の展示に「感情を揺さぶられ、見るのもつらくなった」。そして、こうした核兵器の実態を伝えたいと思ったという。 チャプリンシカさんは母国が侵攻された後、ロシアで暮らす幼なじみに「戦争に反対してほしい」と連絡したことがある。だが、返ってきた答えは「プーチンを信じている」。がくぜんとした。 広島の被害を知ってもらうこ… この記事は有料記事です。残り720文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10代男性、太ももを刺される 男らが逃走 東京都中野区の路上
三井新2023年8月7日 2時01分 6日午後10時20分ごろ、東京都中野区南台1丁目の路上で「通行人が足を刺されたようだ」と目撃者から110番通報があった。警視庁によると、10代の男性が刃物のようなもので刺されたが、命に別条はない。現場から男らが逃走したといい、同庁は傷害事件として調べている。 中野署によると、男性は左の太ももを刺された。全治は不明。現場から逃げた男らは4人ほどいたとみられるという。 現場は京王新線幡ケ谷駅から約800メートルの住宅街。近くに学校や公園がある。(三井新) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
運転士「目の前に柱見え大きな衝撃」 東海道線事故、時速約80キロ
伊藤良渓2023年8月6日 19時48分 JR東海道線の藤沢―大船間で5日午後9時25分ごろ、車両が電柱と接触し、乗客と乗員の計4人が軽傷を負った。JR東日本によると、東海道線は6日午前8時まで東京―熱海駅間の上下線で運転を見合わせ、約15万人に影響した。 同社によると、事故現場は神奈川県鎌倉市内で、小田原発横浜行きの臨時列車(15両編成)の先頭車両が、架線を支える電柱に衝突した。衝突時の電車の速度は時速約80キロとみられるという。 電柱は1980年に設置されたもので、今月2日に実施した点検では特に異常はなかった。運転士は「目の前に柱が見え、その後大きな衝撃を受けた」と話しているといい、同社は電柱が傾いていたとみている。 県警大船署は、線路上に垂れ下がっていた架線が先頭車両に引っかかり、架線に引っ張られた電柱が折れて先頭車両にぶつかった可能性もあるとみて調べる。 同社は管内の路線にある同様の電柱について、10日にかけて緊急点検を行うとしている。 同社によると、約1500人の乗客は午後10時25分ごろから車外に降り、最寄りの踏切に歩いて向かった。前後で運転を停止していた電車の乗客を含め、6日午前2時45分ごろに避難が終わったという。 この事故で、乗員1人と乗客3人が軽いけがを負ったとしている。後続の電車を含めて東海道線の5本の電車で停電が発生したほか、この事故で止まった電車計13本に乗っていた乗客9人が体調不良を訴えて病院に搬送されるなどしたが、いずれも軽症という。 同社の鈴木均常務は6日に記者会見し、「お客様に多大なご迷惑をおかけしたことに、深くおわびを申し上げる」と陳謝した。(伊藤良渓) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岸田首相、長崎の平和式典は不参加へ 台風接近で市側が式典縮小
岡田真実2023年8月6日 21時06分 長崎原爆の日の9日に予定されている平和祈念式典について、主催する長崎市の鈴木史朗市長は6日、台風6号の接近を見据え、屋内で縮小開催すると発表した。岸田文雄首相や各国大使ら来賓、一般参加者の招待を見送り、市関係者のみで実施する。今後の気象状況によっては式自体の中止も検討する。 鈴木市長が市役所で臨時の記者会見を開き、明らかにした。台風6号の接近で、長崎市に暴風警報が発令される可能性が高いことを考慮した。代替場所は長崎駅近くの「出島メッセ長崎」で、屋内での開催は1963年以来60年ぶり。市関係者のみで実施するのは、式典開催が市主催になった56年以来初めてで、首相が参列しないのは99年以来という。 鈴木市長は「参列者の命を守るため苦渋の決断をした。参列予定だった方には誠に申し訳ない」。首相訪問に合わせて例年、被爆者団体が首相に要望を行う場が設けられているが、「後日、何らかの形でできないか調整したい」と話した。 長崎市の方針を受け、岸田首相は当初予定していた式典への出席を見送る方向だ。この四半世紀ほど、歴代首相は広島、長崎の双方の平和式典に出席しあいさつするのが慣例だった。首相周辺は「欠席は異例」としたうえで、「長崎市の決定。行くべきだと思うが仕方がない」と話した。(岡田真実) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【詳報】核抑止論に異議が相次ぐ 広島、被爆78年の原爆の日
広島は6日、被爆78年の「原爆の日」を迎えました。原爆投下時刻の午前8時15分に合わせて開かれた平和記念式典には、原爆で亡くなった人たちの遺族や、地元選出の岸田文雄首相らが参列しました。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まっている上、5月の主要7カ国(G7)広島サミットで「核抑止」の維持が正当化される中、被爆者らは「核兵器なき世界」の実現をこれまで以上に強く求めています。5日から6日にかけての出来事を速報しています。 ■■■8月6日(日本時間)■■■ 20:00 夜も慰霊碑に長い列 あたりが闇に包まれても広島市の平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑前には、参拝を待つ人の長い列ができていた。 広島県廿日市市の女性(48)は、曽祖母が空襲に備えて建物を壊す「建物疎開」の作業に動員され、行方不明になった。もともとは祖母が作業に行くはずだったが曽祖母が交代したという。 祖母が行っていたら、自分はいなかった。だから、自分も原爆の「当事者」という感覚がある。数年前には、曽祖母の被爆状況を資料などから調べたことも。普段は気にしていなくても8月6日は「想像もつかない大変なことがあったことを思い出したり、考えたりする」という大切な一日だ。 19:30 写真家や音楽家らがトーク&ライブ 平和記念公園の近くにあるカフェ「ハチドリ舎」で、写真家や音楽家らによるトーク&ライブがあり、今年の「原爆の日」をどう過ごしたか振り返った。 那覇市に住む写真家の高橋健太郎さん(33)は6日午前0~6時半ごろ、公園周辺を撮影して回った。「人がいない風景や事物から、広島に堆積(たいせき)されてきたものを想像したい」と、平和記念式典で空に放たれるのを待つハトや夜中に脱皮するセミなどにレンズを向けた。原爆ドーム近くの川沿いにたたずむアオサギを撮った時、「自分がどう生きていくか問われている気がした」という。 毎年、被爆地で演奏しているバンド「FUNKIST(ファンキスト)」ボーカルの染谷西郷(さいごう)さん(44)は式典の会場外で、それぞれの立場からデモで声を上げる人たちの姿を見た。人々が「衝突」する中、小学生が「平和への誓い」で「平和」について、「悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること」と話すのを聞き、「子どもから大人に突きつけられている」と感じたという。 19:15 子どもら60人が平和祈り合唱 「はだしのゲン」作者が残した歌 夕暮れの空の下、原爆ドームや平和記念公園を一望できる「おりづるタワー」(広島市中区)の展望台で、子どもら60人が平和を祈って合唱した。 歌ったのは、漫画「はだしのゲン」の作者・故中沢啓治さんが晩年に書き残した「広島愛の川」。漫画では、被爆し焼けただれた人が飛び込んで地獄のように描かれた川だったが、詩では「愛の川」と表現され、次世代に優しさを残そうと歌っている。 今年で歌って3年目になると… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
タモリさんから激励メッセージ 母校の吹奏楽部が10年ぶり県大会
松本江里加2023年8月6日 20時12分 第39回福岡県吹奏楽コンクール(県吹奏楽連盟、朝日新聞社など主催)の高校の部が6日、福岡市博多区の福岡サンパレスであった。26団体が息の合った演奏を披露。9団体が27日に熊本市で開かれる九州吹奏楽コンクールに推薦された。 10年ぶりの県大会出場となった筑紫丘高校。大会前、吹奏楽部OBでタレントのタモリさんから「期待しています」との激励メッセージが届き、よりいっそう力を入れて練習してきたという。 自由曲は「シネマ・シメリック」。最初は音の響きがそろわず、合奏練習では顧問の大石純子教諭が「むかついたことを思い出して」「おいしい物を思い浮かべて」と指示し、イメージに合う音色をそろえていった。村上彩花部長(17)は「みんなで探りながらの練習が楽しかった」と話す。 結果は銀賞だった。村上さんは「緊張がまさって思い通りの演奏ができたとは言えないけど、このステージに立てたことに感謝したい」と話した。(松本江里加) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【速報中】「核なき世界の実現を」灯籠に願い込め 広島被爆78年
広島は6日、被爆78年の「原爆の日」を迎えました。原爆投下時刻の午前8時15分に合わせて開かれた平和記念式典には、原爆で亡くなった人たちの遺族や、地元選出の岸田文雄首相らが参列しました。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まっている上、5月の主要7カ国(G7)広島サミットで「核抑止」の維持が正当化される中、被爆者らは「核兵器なき世界」の実現をこれまで以上に強く求めています。5日から6日にかけての出来事を速報しています。 ■■■8月6日(日本時間)■■■ 19:30 写真家や音楽家らがトーク&ライブ 「原爆の日」に感じたことを振り返る 平和記念公園の近くにあるカフェ「ハチドリ舎」で、写真家や音楽家らによるトーク&ライブがあり、今年の「原爆の日」をどう過ごしたか振り返った。 那覇市に住む写真家の高橋健太郎さん(33)は6日午前0~6時半ごろ、公園周辺を撮影して回った。「人がいない風景や事物から、広島に堆積(たいせき)されてきたものを想像したい」と、平和記念式典で空に放たれるのを待つハトや夜中に脱皮するセミなどにレンズを向けた。原爆ドーム近くの川沿いにたたずむアオサギを撮った時、「自分がどう生きていくか問われている気がした」という。 毎年、被爆地で演奏しているバンド「FUNKIST(ファンキスト)」ボーカルの染谷西郷(さいごう)さん(44)は式典の会場外で、それぞれの立場からデモで声を上げる人たちの姿を見た。人々が「衝突」する中、小学生が「平和への誓い」で「平和」について、「悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること」と話すのを聞き、「子どもから大人に突きつけられている」と感じたという。 19:15 子どもら60人が平和祈り合唱 「はだしのゲン」作者が残した歌 夕暮れの空の下、原爆ドームや平和記念公園を一望できる「おりづるタワー」(広島市中区)の展望台で、子どもら60人が平和を祈って合唱した。 歌ったのは、漫画「はだしのゲン」の作者・故中沢啓治さんが晩年に書き残した「広島愛の川」。漫画のでは、被爆し焼けただれた人が飛び込んで地獄のように描かれた川だったが、詩では「愛の川」と表現され、次世代に優しさを残そうと歌っている。 今年で歌って3年目になるという小学5年の惣田直(すなお)さん(10)は「今も戦争しているロシアにも届くように、世界が平和になるように歌いました」。 19:00 広島へ避難のウクライナ人女性が歌声 「あなたに逢いたくて」 原爆犠牲者を追悼する「とうろう流し」が行われている広島市の元安川のそばで「平和の祈りコンサート」が開かれた。ロシアによる軍事侵攻から逃れ、広島へ避難しているウクライナ人女性のヤナ・ヤノブスカさん(41)が故郷を思って歌声を響かせた。 会場は元安川沿いのレストラン「かき船かなわ」。毎年8月6日夜にコンサートを企画しており、今年はヤノブスカさんを招いた。 首都キーウ出身のヤノブスカさんは学生時代に音楽を学び、現地のレストランなどで歌声を披露してきた。昨年4月に娘のゾリアナ・ヒブリチさん(20)と避難してきたが、家族が現地に残っている。コンサートでは、故郷の平和を願ってウクライナ民謡のほか、松田聖子さんの「あなたに逢(あ)いたくて」を日本語で歌った。離れた人を恋しく思う歌詞がヤノブスカさんの思いと重なり、会場から盛んな拍手が送られた。 18:00 世界平和を願う灯ろう流し 原爆ドーム前の元安川で 広島市中区の原爆ドーム前の元安川で、原爆犠牲者を慰霊し、世界平和を願う灯籠(とうろう)流しがあった。 78年前、被爆した人々が水を求めて飛び込んだという川面に色鮮やかな灯籠が浮かんだ。「核兵器のない世界の実現を」「争いの無い世界に」などのメッセージが記された灯籠が流れるのを川沿いを埋めた人々が見守り、平和への思いを共有した。 広島市の吉本照子さん(80)は帰省中の孫の天野恵太さん(9)=兵庫県姫路市=を初めて連れてきた。吉本さんは疎開中だったが、親類が犠牲になった。「やっぱりあの日は忘れてはいけません」と照子さん。「世界のみんなが平和に暮らせますように」と書いた恵太さんは「ウクライナの人たちを思いました」と話した。 18:00 広島市南区のマツダスタジアムで、核兵器のない平和な世界を祈る試合「ピースナイター」が始まった。 スコアボード上には半旗が掲げられ、試合前には広島東洋カープと読売ジャイアンツの選手たちや観客らが脱帽し、黙禱(もくとう)をささげた。始球式では、広島県生まれのシンガー・ソングライターで、カクワカ広島(核政策を知りたい広島若者有権者の会)のメンバー、瀬戸麻由さん(32)がマウンドに立った。 16:00 絵本「さいごのあさごはん」 高校生による英語朗読会 広島市立舟入高校国際コミュニケーションコースの2年生が、絵本「さいごのあさごはん」の英語朗読会を広島国際会議場(中区)で開いた。故・小野英子さんの著書「炎のメモワール」を、長野県池田町の絵本作家・三枝三七子さんが絵本化し、生徒が英語に翻訳した。 同コースの7人が順番に朗読。約70人が聴き入った。舞台に立った2年、岡田蓮さんは「朗読は初めてなので緊張しましたが、心を込めて読みました。自分が担当した部分は、精神的に不安定になる部分だったので、戦争で普通でなくなる怖さを感じました」と話していた。 作者の三枝さんも舞台に立ち、原作や小野さんとの思い出を語った。終了後に「皆さんが、よく考えて訳されたことがわかりました。とても迫力のある朗読でした。生き残った者が、それを後悔するのが戦争だということが、伝わっていてほしいと思います」と語った。 15:50 広島市まんが図書館、戦争を題材にした作品を展示 広島市まんが図書館(同市南区)では、戦争などを題材にした漫画を特集する展示会が開かれている。中沢啓治さんが自身の被爆体験をもとにして描いた「はだしのゲン」、呉などが舞台の「この世界の片隅に」など、広島ゆかりの作品もそろえる。 館長の高森正治(しょうじ)さん(62)は広島県江田島市出身。12歳の時に「はだしのゲン」を読み、「これが本当に広島の話なのか」と原爆の悲惨さに衝撃を受けた。原爆投下から78年が経っても、「はだしのゲン」はよく貸し出されており、来館する外国人の観光客が翻訳版を読む姿も目立つという。 高森さんは「漫画は歴史を伝えるツール。この展示を、戦争に巻きこまれた市民について考えるきっかけにして欲しい」と話す。展示は8月31日まで。 15:30 「原爆小頭症を知って」 きのこ会事務局長が講演 核と原発の廃絶を考えるシンポジウム「8・6ヒロシマ平和の夕べ」が広島市中区であった。母の胎内で被爆し、脳に障害を負って生まれた原爆小頭症被爆者と家族らでつくる「きのこ会」の事務局長、平尾直政さん(59)が講演し、被爆者と家族が受けてきた苦難を振り返った。 頭が小さいことが特徴の原爆小頭症は長く公表されることはなく、原爆症認定を受けたのは1967年だった。「胎内被爆者だが、被爆2世と誤解されることもあり、本人や家族は偏見や差別にさらされ続けた」。平尾さんは、知的障害を理由にきょうだいの婚約が破談したり、家族が離別したりした亡き被爆者たちの事例を紹介した。 原爆小頭症の存在が原爆の罪を伝える力があると感じるが、現在存命なのは12人。「このままでは原爆小頭症の被爆者はいないことになってしまう」。体験を語り続けていくことが重要だと語った。 15:30 各国首脳が植えた被爆桜に思いをはせるデンマーク人 「78年前の戦争の記憶が、こんな風に残っているなんて」。デンマークから旅行で訪れていたアダム・セナンさん(20)は、5月に開かれたG7広島サミットで、各国首脳が平和記念公園に植樹した被爆桜の前で足を止めた。サミット後に設置された説明板を見て「惨禍を忘れないためにも植樹は意義あるプログラムだったのでは」と話す。 広島市役所の敷地内で花を咲かせる被爆桜(ソメイヨシノ)から「接ぎ木」をして植樹された。被爆桜は、原爆投下時に多くの被爆者が木の下に体を横たえたと伝わる。 姉のアイラさん(26)は「戦争の関係国のリーダーたちが集まって、広島で植樹をしたことに価値がある。平和を象徴しているようですね」と話した。「きょう広島に来られて、特別な1日になりました」 15:00 「長崎の証言の会」編集長が講演 「『被爆地に来て』と言うだけでよいのか」 世界の核被害を学ぶ講演会が… Source : […]