編集委員・須藤龍也2023年8月5日 13時30分 政府の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は4日、電子メールシステムがサイバー攻撃を受け、約5千人分の個人情報を含むメールのデータが外部に流出した可能性があると発表した。NISCと取引のある民間企業や協力組織が被害を受けた可能性があるという。 発表によると、流出した可能性があるのは、昨年10月から今年6月までの間に、インターネットを経由してNISCとメールのやりとりをした個人や組織のメール。該当者約5千人には4日までにメールで通知した。政府の個人情報保護委員会には報告済みという。 電子メールシステムを構成する機器に対する不正な通信の痕跡が6月13日に見つかり、調査していた。直近で発覚した機器の未知の欠陥(脆弱〈ぜいじゃく〉性)を悪用されたことが原因と考えられ、同じ被害が海外でも確認されているという。 NISCは政府のサイバーセキュリティー戦略の推進を担い、省庁など政府機関のセキュリティー監視も行う。 気象庁も4日、同庁と気象研究所の電子メール関連機器に不正な通信の痕跡が見つかったと発表した。昨年6月から今年5月にかけて外部から送られてきたメールデータの一部が流出した可能性がある。対象者には今後、通知をするという。 NISCは「具体的な機器名はいえないが、同種の被害であると考えている」という。この機器の欠陥が発覚後、政府機関の使用状況を調査していた。(編集委員・須藤龍也) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
シジュウカラの言葉を発見 鈴木俊貴さんが語る動物言語学の可能性
有料記事 聞き手・江畠俊彦2023年8月5日 14時00分 シジュウカラは言葉を話す。動物言語学者の鈴木俊貴さん(39)は、それを初めて科学的に証明した。言葉を持つのは人間だけ――古代以来の「常識」を覆そうと挑んできた成果だ。研究の原点は、長い時間をかけて鳥を観察し続けた森の中にある。シジュウカラと向き合った日々と、これからの計画を語ってもらった。 米学術誌の表紙を飾った オリンパスの望遠レンズは広角でも撮れ、研究に役立ちます。私が観察するシジュウカラはすばしこく、一瞬の動きを双眼鏡で追うのは難しい。拡大した写真やスローで再生した動画を見返せば、意外なポーズや動作も発見できます。 このレンズでとらえた写真が、2018年1月29日発行の学術誌「米国科学アカデミー紀要」の表紙を飾りました。シジュウカラが警戒した表情で、体をすこし伸ばして地面を見つめる様子です。「ジャージャー」というシジュウカラの鳴き声を聞かせたから。天敵のヘビを意味します。おそらく頭の中でヘビの姿を思い浮かべ、潜んでいそうな場所を探しているのでしょう。実験を積み重ねた結果、シジュウカラは「ジャージャーという鳴き声」と「ヘビという概念」を結びつけている、つまり言葉を持つとしか考えられない。それを初めて明らかにした私の論文が載った号です。 その2年前には鳴き声を組み合わせる文法も見つけていました。「ピーツピ・ヂヂヂ」。ピーツピは「警戒」、ヂヂヂは「集まれ」。警戒して集まれ。小さな鳥をも襲うモズが近づくと、そう鳴いて仲間を呼び、追い払います。語順を逆にすると反応しません。 古代以来、言葉を持つのは人… この記事は有料記事です。残り966文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
台風で足止めの高校生に奄美特産マンゴー 延泊の37校にプレゼント
奄美通信員・神田和明2023年8月5日 10時30分 鹿児島県の奄美大島で開かれた第47回全国高校総合文化祭の郷土芸能部門に出場した高校生が、台風6号の接近による交通機関の乱れで島に足止めされた。同県奄美市は市内に宿泊した37校に、「気晴らしになれば」と特産のマンゴーを贈った。 同部門には全国から52団体が参加し、関係者を含め約千人が来島した。市は2~3日、延泊が続いた高校に、農協から買ったマンゴー1~3キロを寄贈。ほとんどの高校が3日夕までに航空便で帰路につき、奄美の夏の味覚が思い出の一つになった。 5日まで延泊する予定の沖永良部高のエイサー部は、お礼に市役所の市民ひろばで演舞を披露。多くの市民が迫力あるエイサーを楽しんだ。部長の松下夢さん(17)は「奄美大島の人や自然と触れ合えるいい機会」と延泊を楽しみながらも、「10日には神奈川県で進路先のオープンキャンパスがあるので早く帰らなければ」と話した。(奄美通信員・神田和明) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大アメフト部員を逮捕 大麻と覚醒剤を所持した容疑 大麻を認める
日本大学アメリカンフットボール部の学生寮(東京都中野区)で乾燥大麻と覚醒剤成分を含む錠剤を所持していたとして、警視庁は5日、同部の部員の男子学生(21)を大麻取締法違反と覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕した。警視庁は3日、寮を両容疑で家宅捜索し、捜査していた。 捜査関係者によると、男子学生は7月上旬、寮の部屋にある鍵付き収納ボックスに、乾燥大麻と覚醒剤成分が入った錠剤を所持した疑いがある。収納ボックスは施錠でき、本人しか開けられないものだった。男子学生は周囲に対し、大麻の所持を認め、錠剤については「使っていない」と話しているという。 捜査関係者などによると、日大側に「アメフト部の寮内で大麻を使っている部員がいる」との情報が寄せられ、大学側は部員らの聞き取りなどをしていた。7月6日ごろに寮内で大麻のような植物片などが見つかった。 その約2週間後、日大側から警視庁に「大麻のようなものが見つかった」との報告があり、警視庁が押収。植物片と錠剤の鑑定を進め、大麻と覚醒剤成分が含まれていることが確認された。警視庁は、報告まで約2週間かかった経緯についても調べるとみられる。 関係者によると、日大は7月22日、部員の保護者向けの説明会を開催。その後に薬物の問題が表面化すると、日大は8月2日、「違法な薬物が発見されたとの事実は確認できておりません」とするコメントを公表。翌3日に警視庁の家宅捜索を受け、4日には、林真理子理事長らがアメフト部に関する記者会見を8日に開くと発表した。(御船紗子) 日本大学アメリカンフットボール部での薬物をめぐる経緯 7月上旬以前 警視庁や日大側に薬物に関する匿名の情報提供 7月6日 日大側が学生寮内で植物片などを確認 7月19日 日大から警視庁に植物片などが見つかったと連絡 7月22日 日大が保護者説明会 8月2日 日大が「違法薬物は確認できていない」と表明 8月3日 警視庁が学生寮を家宅捜索 8月4日 日大が「8日に記者会見を開く」と表明 8月5日 警視庁が部員を逮捕 (捜査関係者らへの取材による) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ボタンをプッシュして」全国初、石川県内すべての信号に英語表記
信号機のボタンを押すことになじみが薄い外国人観光客などに向けて、石川県警は、県内すべての押しボタン式信号機に英語表記ステッカーを取り付けた。県警によると、都道府県単位で英語対応が完了するのは全国で初めてだという。 対象は、県内すべての押しボタン式信号機と半感応式信号機に設置されている押しボタンの計739カ所。ステッカーには「Push button to cross street」という表記に加え、一目で分かるようにと、イラストもあしらった。 きっかけは2015年3月の… この記事は有料記事です。残り466文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「命削りながらようやくここまで」 ジャニーズ問題、当事者の会
ジャニーズ事務所創設者、故ジャニー喜多川氏から性被害を受けたと訴える元ジャニーズJr.らでつくる「ジャニーズ性加害問題当事者の会」が4日、日本記者クラブ(東京都)で記者会見を開いた。7人のメンバーは、性加害問題に言及した国連人権理事会の「ビジネスと人権」に関する作業部会の声明への感想や、今後の展望を語った。主な一問一答は以下の通り。 【冒頭】 平本淳也さん「(作業部会の)会見を別室で拝見した。僕たちのメッセージがすごくストレートに伝わり、受け止めてもらった。ちょっと感極まってしまった。あそこまで語ってくれると思わなかった。真摯(しんし)に受け止めてくれ、僕たちに勇気をくれたという印象」 石丸志門さん「いち芸能事務所と我々の問題ではなく、日本のエンターテインメント業界、芸能業界、そこに関わる全ての企業が救済措置を構築する必要があると、国連は言ってくれた。ここに登壇している我々もそうだが、心に病を抱え、生活に苦しんでいる人間がいる。みんな命を削りながら、ようやくここまでたどり着いた」 中村一也さん「私が喜多川氏から被害をうけたのは21年前。(かつて喜多川氏の問題が注目された時に)今日のようにメディアが集まって話を聞いてくれていたら、被害者は増えていなかったかもしれない。この問題が二度と黙殺されぬよう、会のメンバーとともに行動していく」 二本樹顕理(にほんぎあきまさ)さん「この活動を始めた時は、いち個人の声がいったい届くのだろうかと、非常に不安だった。国連の作業部会ははっきりと強い口調でジャニーズ事務所に対して提言をしてくれた。個人の声でも集まれば大きなものになるということを目の当たりにした」 志賀泰伸さん「弱者がSNSで声を上げたら、たたきのめされ、つるし上げられる。そういった社会は決してあってはならない。私たちが経験したことをしっかり伝えていくことで、間違っていることは間違っていると、はっきり言える環境作りになればと思っている」 イズミさん(仮名)「40年くらい前に被害を訴えたけど、話がなかったことにされたのを思い出す。今日はこんなにいっぱい(メディアが)集まってくれている、夢かなと思うけど、現実ですよね」 ハヤシさん(仮名)「去年(イギリス公共放送の)BBCの取材が来て、出演した。当初は後悔もあったけど、今日の国連の会見を聞いていると、少しは社会に貢献できるのかなと思って、今は誇りを持っていこうと思っている」 【質疑応答】 ――国連の作業部会は、ジャニーズ事務所側の調査について、透明性と正当性に疑念が残ると指摘した。調査はどういう段階にあるのか、そして調査はどうあるべきだと思うか。 平本さん「現状で3人が再発防止特別チームから連絡を受けている。すでに二本樹がオンラインで聞き取りを受けた。石丸と僕は今月14日に予定されている」 二本樹さん「特別チームは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
結果「尊重」破ることに抵抗感は? 東京・武蔵野で住民投票制度議論
市自治基本条例に基づく住民投票制度の創設に向けて、東京都武蔵野市で4日夜、市の有識者懇談会の第2回会合があった。住民投票制度の目的や、投票結果の「尊重」が指す意味などについて意見が交わされた。 2021年に市が提出した条例案は、外国籍住民も投票資格者とする内容を巡って激しい議論となり、市議会で否決された。市は懇談会で論点を整理し、新たな提案につなげる方針。 この日の懇談会では、まず住民投票制度の目的が何かがテーマとなった。 非常時の手段か、大いに活用か 座長の小早川光郎・東京大名… この記事は有料記事です。残り567文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「社会課題を世界デビューさせる」 万博イベントを9月から公募
諏訪和仁2023年8月5日 8時00分 2025年の大阪・関西万博の準備を進める日本国際博覧会協会は万博会場でのイベントを公募する。9月15日に募集要項を発表し、同日から受け付ける。応募は企業や団体、個人を問わない。締め切りは12月末の予定だ。 協会は8月4日、イベントのあり方を話し合う催事検討会議を開いた。共同座長を務める吉本興業ホールディングス前会長の大崎洋さんが会議での議論を「社会課題先進国である日本が、いろんな課題を万博からデビューさせ、世界の人たちの英知をいただき、催事の力で楽しく解決していこうや、という方向で進んだ」と説明した。 共同座長の華道家元池坊の次期家元、池坊専好さんは「多様な方々の社会課題の解決や、未来創造への挑戦を応援する場を提供したい」と話した。大崎さんも「企業、団体、個人にかかわらず、メッセージを世界に向けて発信できる場にしたい」と語った。 協会の武田家明・催事局長は「何か高いハードルがあるということではないので、広く応募いただきたい」と呼びかけた。(諏訪和仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東へ急旋回の台風6号、5日にも沖縄本島が暴風に 西日本直撃の恐れ
本山秀樹2023年8月4日 21時00分 沖縄地方の西でほぼ停滞していた大型で強い台風6号は4日、東へ進み始めた。5日にも再び沖縄や奄美地方にかなり接近し、来週には西日本を直撃する可能性がある。走行中のトラックが横転する猛烈な風が吹く恐れがある。 台風6号は4日午後7時現在、沖縄県久米島の北西約170キロをゆっくり東へ進んでいる。中心気圧は965ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートル。 気象庁によると、5日までに沖縄本島や奄美地方を暴風域に巻き込み、その後、進路を北寄りに変える見込みだ。 5日に予想される最大風速は沖縄と奄美30メートル▽九州南部20メートルで、同日午後6時までの24時間に予想される雨量は多いところで、沖縄200ミリ▽奄美180ミリ▽九州南部100ミリ。 夏休みで人出が増える時期でもあり、気象庁は「スケジュールは余裕を持って組み、必要に応じて柔軟に計画変更を検討してほしい」と呼びかけている。(本山秀樹) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国連作業部会「法律の改善が求められる」 ジャニーズ問題、一問一答
有料記事 島崎周 加藤あず佐 狩野浩平 堀越理菜2023年8月4日 21時02分 国連人権理事会の「ビジネスと人権」に関する作業部会のメンバーが4日、日本記者クラブ(東京都)で記者会見を開いた。作業部会のメンバーは、日本の政府と企業の人権をめぐる責務について幅広く調べ、ジャニーズ事務所創設者の故ジャニー喜多川氏の性加害問題についても聞き取りを行い、声明をまとめた。 喜多川氏の性加害問題に関する記者会見とその後の取材での主な一問一答と、声明は以下の通り。 ――ジャニーズ事務所のどのような立場の人と面会したのか。 「代表の方にお会いした。また(性加害問題の)被害者と言われている人たちにも面会した」 ――どのようなことを話したのか。 「我々が知りたかったのは、告発されている内容について、どのような措置がとられていくのか。また、その内容が正当なものなのかということだった。(ビジネスと人権に関する)指導原則を守るために、メディアおよびエンターテインメント業界全ての企業が、救済へのアクセス、苦情処理のメカニズムをつくらなければならない」 謝罪、金銭的補償… 被害者と協議し、さまざまな救済を ――ジャニーズ事務所の性加害問題に対する、率直な評価は。 「大事なのは、人権侵害があ… この記事は有料記事です。残り1457文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル