100年前に都心を中心に大きな被害をもたらした関東大震災の爪痕が、今もなお失われつつある。住民たちがバケツリレーで火災から身を守ったとされる給水ポンプ所に、揺れに耐えた名建築ホテル――。その記憶も薄らいでいる。(矢島大輔) ガンガン、ガンガン。 取り壊しが始まった東京都千代田区にある旧和泉町ポンプ所。7月に訪れると、ピンク色のれんが壁の建物半分がなくなり、屋根の骨組みがあらわになっていた。 「もう経験した人もいないし、記憶が薄れていって、地元でも知っている人が全然いないんだよねえ」 代々自営業を続けている町会長の後藤市郎さん(76)は言う。 木造家屋が立ち並んでいた当時、すさまじい勢いの火の手に迫られながらも、住民たちは、震災前年に完成したポンプ所から下水をくんで、身を守ったという。 記事の後半では、大きな揺れで多くの建物が倒壊する中、耐え抜いた名建築ホテルの理由に迫ります。80歳の現役客室係の女性が語ります。 焦土の中で残った「奇跡の地区」 近くの和泉公園にある石碑「… この記事は有料記事です。残り1226文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
障害児の保育時間、23区中3区で制限 収入に影響も、憤る保護者
障害がある子どもの保育時間について、東京23区のうち、新宿、台東、中野の3区は「原則8時間まで」と制限し、区の要綱に明記していることが、各区への取材で判明した。保護者の働き方や収入に影響が出ており、保育に詳しい専門家は「より支援されるべき立場なのに制限があるというのは矛盾した状況だ」と指摘する。 午後5時までにお迎え、基本給も減額 東京都台東区に住む40代女性の5歳の長男には、身体障害と知的障害がある。0歳から区内の認可保育園に通っており、入園前の保育審査会で「加配の職員など支援が必要」と判定された。ただ区は障害を理由に、保育時間を午前9時~午後5時の8時間と制限。女性は長男の入園以降、時短勤務に切り替えざるを得なくなっている。 主に問題となるのは、夕方の「お迎え」だ。午後5時以降の延長保育は認められていないため、迎えのためには遅くとも午後4時15分に退勤しなければならない。ベビーシッターを週5日確保することも、現実的には難しいという。 午後5時以降も預かってもらえた場合、女性の生活や収入は大きく変わるようです。記事の後半では「原則8時間」としている3区に、なぜ制限を設けているのか尋ねたほか、こども家庭庁の見解も聞きました。 女性は正社員で、出産前はフルタイムで働いていた。フルタイム勤務なら支給される手当が時短勤務だと出ない。就労時間は8時間未満となり、基本給は1割以上、減額されている。 2015年に始まった国の「子… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
多すぎる授業数削減、学校行事見直しも 教員の多忙さ是正へ緊急提言
教員の多忙さが十分に是正されず危機的な状況だとして、文部科学省の有識者会議が28日、改善策を盛り込んだ緊急提言をまとめ、永岡桂子文科相に提出した。国の基準を大きく上回る授業時数(コマ数)の削減や学校行事の簡素化、仕事を補助する支援員の増員といった教員の負担削減策を列挙。文科省は来年度予算案に一部反映させたい考えだ。 緊急提言をまとめたのは、文科相の諮問機関・中央教育審議会の「質の高い教師の確保特別部会」。給与増や働き方改革など、優秀な教育人材を確保するための幅広い施策について6月から議論している。今回、法改正がいらず、すぐ取り組める項目に絞って提言に盛り込んだ。 提言は、長時間労働や教員不足が深刻だとして改善策を示した。具体的には、プリントの用意や来客対応などの仕事をサポートする「教員業務支援員」の全公立小中学校への配置を求めた。教員になった人の奨学金返済の支援、主任や管理職の手当増額も盛り込んだ。 また、教員に代わってボラン… この記事は有料記事です。残り610文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岩手県警「被害者は認知症」当初捜査怠る 強盗殺人未遂容疑で男逮捕
強盗殺人未遂事件の被害に遭った80代の男性が「暴行され、車を奪われた」と訴えたにもかかわらず、岩手県警の警察官が認知症と決めつけ、事件性はないと判断して捜査を怠っていたことが28日、分かった。男性は認知症ではなく、実際に被害に遭っていた。 県警は28日、面識がない80代の男性を襲って軽乗用車を奪ったとして、住所不定、無職佐藤広明容疑者(76)を強盗殺人未遂容疑で逮捕し、発表した。容疑を否認しているという。 捜査1課などによると、佐藤容疑者は15日午後5時半ごろ雫石町内の神社の敷地内で、男性の首を絞めて顔を殴り殺害しようとしたうえで、男性の軽乗用車を奪った疑いがある。男性は打撲のけがを負ったという。 事件をめぐっては、被害者の男性が盛岡西署員に被害を訴えたが、男性を認知症と決めつけ、捜査を怠っていたことが分かった。 捜査1課によると、事件から半日が経過した16日朝、雫石町内の道路を1人で歩いていた男性を一般の人が見かけ、不審に思い110番通報した。駆けつけた署員が男性に話を聞くと、男性は「暴行され、車を奪われた」と訴えた。 だが、署員は男性のけがの状態と話の内容が合致せず、襲われた場所を明確に答えられなかったことなどから認知症と考え、事件性はないと判断して家族に引き渡した。同課によると男性は認知症ではないという。 その後、青森県内で男性の軽自動車がナンバープレートが付け替えられた状態で見つかり、岩手県警が改めて男性から事情を聴くなどして事件と断定。事件から3日経った18日に男性からの被害届を受理し、19日に容疑者を強盗殺人未遂容疑で全国に指名手配した。 容疑者は21日夕、青森市内の県道で別の車を運転中に、検問のため駐車していたパトカーなどに衝突したとして、公務執行妨害の疑いで青森県警に現行犯逮捕されていた。 岩手県警は「誤った判断で被害者や家族に精神的苦痛を負わせたことは事実。重要凶悪事件の捜査の開始が遅れたことを真摯(しんし)に受け止め、二度とこのようなことがないように指導を徹底する」としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
処理水で中国から大量の迷惑電話続く 福島県知事「政府が沈静化を」
24日の処理水の海洋放出をきっかけに、中国から日本国内へ嫌がらせの電話が相次いでいる。 福島県の内堀雅雄知事は28日、県内の旅館や飲食店、道の駅などに中国からとみられる迷惑電話が相次いでいるとして、「非常に状況を憂慮している。県内のみならず、他の県においても、関係のない事業主さんがご苦労されていると聞く。政府が一丸となって、この状況を沈静化してほしい」と訴えた。 病院や薬局にも 電話は病院や薬局などへも相… この記事は有料記事です。残り509文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ポーカー協会理事長、賭博を手助け容疑で書類送検 「責任を痛感」
高井里佳子2023年8月28日 19時40分 ポーカー賭博の手助けをしたとして、大阪府警は28日、NPO法人「日本ポーカー協会」(東京)の理事長の男(57)=東京都台東区=を賭博開帳図利幇助(ほうじょ)の疑いで書類送検し、発表した。理事長は容疑を認め、「責任を痛感している」などと話しているという。 発表では、理事長は昨年5月~今年5月、協会元理事の男(55)=賭博開帳図利の疑いで逮捕=らが大阪市中央区と大阪府東大阪市のアミューズメントカジノ店計4店で客にポーカー賭博をさせていることを知りながら、元理事に協会名義の銀行口座を貸し、賭博場を開く手助けをした疑いがある。 保安課によると、店は客がポーカーで獲得したチップに応じ、「ポーカー業界への支援」として協会口座に現金を送金。元理事は5%を差し引き、「競技者への支援」の名目で客に現金を振り込んでいたという。府警は元理事が2019年1月から今年5月までに、4店などから約1100万円を得たとみている。 協会はポーカーの普及や健全化を目的に設立。会員は全国に18店あるという。 アミューズメントカジノ店は、現金を賭けずにポーカーなどで遊べるとうたうゲームセンターのような店舗。業界関係者によると、首都圏を中心に店舗が増えているという。(高井里佳子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学術会議、任命拒否の文書 情報審査会が答申「存否明らかに」
山本知佳2023年8月28日 19時51分 日本学術会議会員の任命拒否を巡り、総務省の情報公開・個人情報保護審査会は28日までに、拒否の理由や経緯を記録した行政文書を不開示とした政府の決定に関する答申を出した。政府が文書の存在さえも明らかにしないまま不開示の決定をした一部の文書について、決定を取り消すべきだとした。任命拒否された学者らが同日、文部科学省で会見した。 答申は7日付。任命拒否された6人と、弁護士らは2021年4月、内閣官房などにそれぞれ情報公開などを請求したところ不開示となった。それを受け、同年8月、行政不服審査法に基づき、取り消しを求める審査を国に請求した。審査は、首相から諮問された情報保護審査会で行われていた。 答申ではほかに、黒塗りで開示された文書の一部について「開示すべきだ」としたり、必要な文書の作成を政府がしていなかったことなどを指摘したりした。 請求人の共同代表である三宅弘弁護士は「首相はこの答申を速やかに裁決すべきだ。(任命拒否の)手続きの透明性を明らかにしない限り、学術会議の改革はありえない」と話した。(山本知佳) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
指名手配のベトナム人の男を逮捕 職質した警察官への殺人未遂容疑
2023年8月28日 19時52分 警察官の頭をドライバーのような物で刺し、殺害しようとしたとして、大阪府警は28日、ベトナム国籍のグエン・スアン・バン容疑者(24)を殺人未遂などの疑いで逮捕し、発表した。「少し内容が違う」と容疑を一部否認しているという。 府警によると、バン容疑者は8月3日夕、大阪市平野区の路上で、職務質問をしてきた府警布施署の男性巡査長(32)の頭をドライバーのような物で突き刺すなどし、軽傷を負わせた疑いがある。府警は8日に指名手配し、北九州市の知人宅にいる容疑者を発見したという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ検査不正、新たに39億円の返還請求 大阪府は被害届提出も
岡純太郎2023年8月28日 20時00分 新型コロナウイルスの無料検査事業で不適正な補助金申請が見つかった問題で、大阪府は28日、新たに府内5事業者で計39・1億円の不適正な申請があったと発表した。これまでの発覚分と合わせ、不適正な申請は、計81・9億円に上る。 府は今年6~8月に355事業者を対象に調査を実施。書面で申請内容の再確認を求めた上で、立ち入り調査のほか、無料検査の受検者へ電話での聞き取りを進めた。 府によると、不適正申請では、事業者が登録した検査所以外の福祉施設などで集めた検体を実績として報告したり、検査を受けていないのに受けたように書類を作成したりして、検査数を水増ししていたという。 府は昨年11月~今年6月、外部からの情報提供を受け、補助金の申請額の大きい15事業者を対象にした1次調査を行った。その結果、7事業者で42・8億円の不適正な申請が判明。その後、調査対象を検査事業に関わった残りすべての355事業者に拡大して、今回の2次調査を実施した。 府は1次調査で不適正な申請と認定した7事業者に、交付済みの補助金の返還請求を行っているが、約11億円は今も未返還となっている。今回の5事業者にも39・1億円全額の返還を求めており、応じなければ警察への被害届提出などの措置をとるとしている。 府は2021年12月~23年3月にかけてPCR検査や抗原検査の無料検査事業を実施。370事業者が携わり、検査1件当たり最大で9500円の補助金が交付された。(岡純太郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
薬物問題に揺れる日大アメフト部 「個人の犯罪」分かれた判断と責任
学生界で屈指の伝統と実績を誇る日本大学アメリカンフットボール部が、薬物問題をめぐる不祥事に揺れている。試合出場のめどは立たず、部の存続さえも危ぶまれる事態だ。 局面が動いたのは8月22日、警視庁が3日に続き、アメフト部の学生寮を家宅捜索した。大麻と覚醒剤を所持していたとしてすでに逮捕された部員のほかに、複数の部員が所持していた疑いがある。今後の捜査で複数人の関与が明らかになれば、部の存続問題にも発展しかねない。日大側が「部員1名による個人犯罪」と断定した、その前提が覆ることになるからだ。 部員の逮捕後、日大は関東学生アメフト連盟にリーグ戦出場の意思を示し、アメフト部に5日に科した無期限の活動停止処分をわずか5日後に解除した。判断の根拠としたのが、個人犯罪だった。「競技に真剣に取り組んできた多くの学生の努力を無に帰することになる」とし、部全体に連帯責任は負わせなかった。 大麻は「ゲートウェー・ドラ… この記事は有料記事です。残り790文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル