人類史上、最も愚かな事件だと思う――。ジャニーズ事務所の7日の記者会見で、東山紀之新社長は、創業者の故ジャニー喜多川氏の性加害についてそう語った。被害を訴えてきた元ジャニーズJr.らからは評価する声も上がったが、補償の具体策などは示されなかった。新体制は、問題を引き起こしたいびつな企業風土と決別できるのか。 「鬼畜の所業」。ジャニーズ事務所の会見で、新社長に就任した東山紀之氏は、喜多川氏による未成年者への性加害行為について、そうも表現した。 会見では、かつては信頼していたという「ジャニーさん」ではなく、「喜多川氏」と呼び、「いまは愛情は全くなくなった」。喜多川氏の元Jr.たちへの性加害のうわさは耳にしていたものの、喜多川氏を信じていたとした。自身は見たり体験したりしたことはなかったとした上で「何もできず、何の行動もしていなかった。(今後は)反省をこめて行動していきたい」と語った。 ジャニーズ事務所の会見を受け、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の会見がしました。記事後半に、受け止めを載せています。 被害者に対しては「長期にわ… この記事は有料記事です。残り1324文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「馬主組合」賄賂の隠れみのか 検察捜査の舞台裏 風力汚職事件
有料記事 植松敬 藤牧幸一 笹川翔平 岩沢志気2023年9月8日 5時00分 再生可能エネルギー拡大の「切り札」とされる洋上風力発電をめぐり、秋本真利衆院議員(48)が6千万円超という巨額の受託収賄容疑で逮捕された。一部の賄賂の受け皿とされたのは業者と作った「馬主組合」。GX(脱炭素化)を重要課題に掲げる岸田政権に、事件は政治的、政策的にどんな影響を与えるのか。 秋本議員は2017年ごろ、日本風力開発の塚脇正幸前社長(64)=贈賄容疑で捜査=と知り合った。2人は馬好きの趣味が一致し、21年に競走馬を保有する馬主組合「パープルパッチレーシング」を設立。20頭ほどを保有してきた。 東京地検特捜部は今春には秋本議員周辺の資金を調べており、特にこの馬主組合に注目した。 組合の表向きの出資者と割合は、秋本議員が45%、塚脇氏の知人の税理士が45%、秋本議員の知人が10%だった。塚脇氏は「小生の名前が出るのは避けたい」と知人に名義を借りていた。 出資者「秋本議員が全て運営」 組合では、馬の購入、交配、厩舎(きゅうしゃ)やえさの管理から出走調整まで、全て秋本議員が行っていた。 税理士から聴取すると「名前を貸しただけで、秋本議員が全て運営している」と説明。競走馬をめぐる経費の税務申告には、節税効果がある「減価償却」が認められるが、秋本議員は組合保有の馬について、持ち分を超えて1人で全て計上していたことも分かった。 一方、資金は足りなくなれば… この記事は有料記事です。残り2787文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旅行助成金めぐり公益通報「支払い不適切」 県「問題ない」と反論
有料記事 吉田啓 大貫聡子 森北喜久馬2023年9月8日 5時30分 新型コロナ禍での熊本県の旅行支援事業をめぐり、旅行業者への助成金が不適切だった可能性があるにもかかわらず、担当課が「県幹部の指示」を理由に十分な調査をせず、問題を見逃したとして、関係者が7日、弁護士を通じて報道各社に公益通報した。第三者機関による再調査と、旅行業者から県への助成金の返還を求めている。 県は取材に「適切な調査をしており、問題はなかった」と答えた。旅行業者側は助成金について、「返納も含めて社内で協議している」という。 県によると、助成対象となる… この記事は有料記事です。残り966文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JR九州、10路線12区間で1日利用1千人未満 存廃議論の可能性
JR九州は6日、2022年度の各区間の利用状況と収支を発表した。九州内の全21路線59区間のうち10路線12区間で1キロあたりの1日の平均利用者数が1千人未満でいずれも赤字。10月から路線の存廃について鉄道事業者と沿線自治体が話し合う制度が始まり、今後、廃線か維持かの議論に発展する可能性もある。 新制度は、国の地域公共交通活性化再生法の改正によるもので、1日の平均利用者1千人未満の区間が対象となる。自治体が拒んでも国が必要と認めれば協議の場が設けられる。22年度、管内で利用者が最も少ないのは豊肥線の宮地―豊後竹田の171人だった。 法改正に先立ち、JR九州は18年度から、「ローカル線の経営状況への理解を深めてもらうため」として、利用人数が少ない区間(1キロあたりの1日平均利用者2千人未満)の収支を公表。14路線20区間が該当し、いずれも路線別の収支は赤字だった。 区間別の利用者数・収支は… 22年度は「収支が改善傾向… この記事は有料記事です。残り945文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ジャニーズ事務所、性加害を認め謝罪 藤島社長は辞任、後任は東山氏
ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏(2019年死去)による未成年者への性加害問題をめぐり、ジャニーズ事務所は7日、東京都内で記者会見を開き、性加害を事実と認め、藤島ジュリー景子社長の引責辞任を発表した。新社長は所属タレントの東山紀之氏(5日付で就任)。藤島氏は当面代表取締役にとどまり、被害者の補償と救済、心のケアの業務にあたるという。 事務所がこの問題で会見するのは初めて。これまで性加害を「知らなかった」としていた藤島氏は冒頭、事務所が設置した再発防止特別チームの調査結果を受け入れる形で性加害を事実と認め、「被害者には心よりおわび申し上げる」と謝罪した。 会見に臨んだのは、藤島氏、東山氏のほか、所属タレントでジャニーズJr.を養成するジャニーズアイランドの社長、井ノ原快彦氏と弁護士の計4人。 社名変更、検討する余地ある 特別チームは喜多川氏の性加… この記事は有料記事です。残り2081文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山積みの履歴書、秒単位で仕分け 「帝国」築いたジャニー氏の表と裏
きらびやかな照明にせり上がるステージ、水を使った目を引く演出……。7月、京セラドーム(大阪市)のステージで、少年たちが歌い、踊り、走り回った。 東西のジャニーズJr.が一堂に会したコンサート。出演者はみな、デビューを目指しながら、デビュー組のバックで踊る、いわば「訓練生」だ。にもかかわらず、会場は超満員。色とりどりのペンライトが曲に合わせて揺れ、何度も大歓声が上がった。公演は8月にも東京ドームでも開かれ、計4日間で20万人を動員したとされる。 10代の少年たちに熱狂する――。そんなアイドル文化を生み、日本に定着させたのが、ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏だった。 1931年、米国生まれ。事務所が設置した再発防止特別チームの報告書などによると、日本にきて当時2歳のときに母親が死去し、4歳上の姉のメリー氏が母親代わりとなった。戦時中は和歌山に疎開し、戦後にきょうだいで渡米した。 その後に米国で、現地を訪れた美空ひばりらの通訳をし、ショービジネスの基礎を学んだ。日本に戻ると、コーチをしていた少年野球チーム「ジャニーズ」からメンバーをスカウト。62年に同名グループのマネジメントのためジャニーズ事務所を設立した。 アイドルを夢見る少年を集め、芸能界に送り出す。その受け皿が、ジャニーズJr.だった。国民的アイドルグループも最初はここからスタートし、階段を上った。 ジャニー氏を知る民放幹部は言う。「スターの原石を発掘し、育てるディレクション能力が優れていた。彼の天才的な選び抜く目が、ファンの一歩先を行っていた」 エンターテインメント業界で一時代を築き、「ジャニーズ帝国」とも言われた芸能事務所の創業者、故ジャニー喜多川氏の性加害が事実と認定されました。これほど長期間、多数の少年への加害はなぜ放置されたのか。様々な視点から考えます。 自宅の書斎には段ボールが3… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
派遣転々「弱者」「底辺」 青葉被告が初めて語った事件前の状況
2019年7月、京都アニメーション第1スタジオ(京都市)に放火して社員ら36人を殺害したとして、殺人など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の第3回公判が7日京都地裁であり、被告人質問が始まった。事件直後の警察とのやりとりや、京アニに興味を抱くきっかけなど、自身の言葉で初めて語った。 青葉被告は車いすを押されて証言台へ移動。裁判長から促されてマスクを外し、休廷を挟んで計約2時間半、弁護人の質問にはっきりとした声で答えた。 最初の質問は、事件直後に駆けつけた警察官と青葉被告との約3分間の問答について。6日の公判で証拠として音声が流れたもので、弁護人は発言の真意を聞いた。 弁護人「(事件の動機を聞く警察官に対し)『お前らが知ってるんだろ』と3回、同じようなことを言った。『お前ら』とは誰のことか」 被告「警察の公安部になります」 弁護人がなぜそう思ったか尋ねると、青葉被告は「火災では即座に警察が呼ばれず、救急車や消防車が現れ、その後で警察が呼ばれる。早く来たので公安だと思った」と説明した。 過去の公判で検察側は、青葉被告が事件前、インターネット掲示板に「公安に監視されている」と書き込んだと指摘。弁護人が、警察官が書き込みを知っているとの認識だったのかと聞くと、青葉被告は「そうなります」と述べた。 ゲームきっかけ その後、青葉被告の生い立ちの質問が続いた。 小学3年の時、両親が離婚。父はトラック運転手で、母がミシン販売の仕事をするようになってから「(両親の)仲が悪くなった」とした。 父親と同居することになったが、父が仕事を辞めると経済的に苦しくなり、「食べていくのに困った」と説明。正座をさせられ、ほうきの柄でたたかれるなどしたという。「暴言も日常茶飯事で覚えていない。体が大きくなるまで続いた」と話した。 父の暴力に苦しみ、母に会いに行ったこともあったが、会えなかった。母方の祖母には「離婚しているので『うちの子ではない』と追い返された」とした。中学時代、経済的な理由で引っ越し、転校。柔道をしていたが、新しい中学に柔道部はなく、学校も「ずるずる行かなくなって」不登校になったと説明した。 ただ、1994年に進学した定時制高校は皆勤で卒業した。「勉強を真面目にやっていた」とし、その理由を聞かれると「真面目だと先生を独り占めでき、家庭教師みたいに細かく教えてもらった。いい環境になった」と振り返った。 京アニへの興味を持つきっかけも、高校時代の出来事という。青葉被告は「京アニにつながっていくことになる」と前置きし、友人に勧められたゲームの名前を挙げた。このゲームの開発会社が手がけた別のゲームを、京アニがアニメ化したことも言及。「それがなかったら『ハルヒ』も見ていなかった。小説を書いていなかったことになる」と述べた。 検察側は青葉被告と京アニの「接点」として、2009年に「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」に感銘を受けた経験だったと指摘していた。青葉被告が定時制高校に通っていたのは、それより10年以上前だった。 都内の専門学校に進学したのは、「ゲームの音楽を作る人になりたかった」からだと述べた。だが、「よく言えば丁寧、悪くいえば時間をかけて教えすぎている」と感じて半年で退学した。 公園で洗濯も 同じコンビニ店で約7年間働くなどした後は無職になり、電気やガス、水道も止められ、公園の水で洗濯した。生活保護を受けようと市役所へ行ったが、「そのまま働いてください」と断られたという。「弱者切り捨ての時代だったと覚えている」とした。 窃盗などの事件を起こして有罪判決を受けた後は派遣の仕事を転々。すぐに辞めた理由について青葉被告は、短い時間で仕事を覚えるよう上司に言われたことがきっかけだったと説明。「(上司と)話し合いで片付いた記憶がない。底辺というか、派遣に対して、面倒見がいいわけない」と投げやりに語った。(光墨祥吾、関ゆみん、戸田和敬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本PTA全国協議会の会長解職めぐり、新旧会長が同日に会見し応酬
全国のPTA団体でつくる公益社団法人「日本PTA全国協議会」(日P)の会長が7月に解職されたことをめぐり、日Pは7日に記者会見を開き、事務局員へのハラスメント行為などを理由に解職したと説明した。一方、解職された金田淳(あつし)・前会長も同日、記者会見を開き、ハラスメントを否定した。 会見で日Pは、今年6月に東京都内にある日P事務局で、金田氏が女性事務局員に対して長時間にわたり、臨時理事会に関する文書の内容を修正するよう繰り返し求めたと説明した。日Pが設けたハラスメント対策委員会が、こうした行為をハラスメントにあたると認定した。女性は現在も通院している状況という。 一方、金田氏は、修正を指示したのは知らない間に議事次第が変更されていたためだとし、「身に覚えのないハラスメント行為をヒアリングもされないまま認定された」と主張。対策委が開かれたことを知ったのは行為の認定が済んだ後だったと説明した。現執行部を名誉毀損(きそん)で訴えることも視野に入れているという。 日Pの会見では、2022年度の決算で約5千万円の赤字が出たことも明らかになった。事務局が入る東京都内の建物の雨漏りの修繕工事を急きょ行うなどし、約2千万円の予定外の出費が生じたことなどが影響したという。後藤豊郎会長は「(加盟団体に)丁寧な説明を行い、組織としてのガバナンス強化に努める」などと述べた。 日Pは全都道府県と一部の政令指定市にある計63のPTA団体で構成される団体で、傘下に約750万人の会員がいる。ここ数年、収入の4~6割は、各団体からの会費(子ども1人あたり10円)が占めている。(小林未来、高嶋将之) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
水俣病患者団体の元会長 佐々木清登さん死去
今村建二2023年9月7日 23時06分 水俣病の患者団体「水俣病患者連合」の会長や、患者の支援拠点「水俣病センター相思社」の理事長を務めた佐々木清登(ささき・きよと)さんが6日午後0時11分、嚥下(えんげ)障害で熊本県芦北町の病院で死去した。93歳だった。 父親を1979年に劇症型の水俣病で亡くしたことを契機に、被害者の救済を求める未認定患者団体の運動に加わった。自身も体のふらつきや手足のけいれんなどに悩まされ、認定申請を2度したが、いずれも棄却された。 謝罪と補償を求めて原因企業チッソとの自主交渉を続けたが、被害者が高齢化したことなどから、95年の「政治決着」に応じた。97年からは水俣市立水俣病資料館の語り部として、体験を語った。 通夜は8日午後6時から、葬儀は9日午後1時から、同町佐敷443の42の総合仏事会館あしきたで行う。喪主は次女の夫寛(ひろし)さん。(今村建二) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHK「今後は所属事務所の姿勢も考慮し起用」 ジャニーズ会見受け
2023年9月7日 20時00分 ジャニーズ事務所の会見を受け、NHKは7日、性加害問題について認識が浅かったとして「メディアとしての役割を十分に果たしていなかった」などとするコメントを発表した。全文は以下の通り。 ◇ ジャニーズ事務所は、故ジャニー喜多川氏が性加害を行っていたと認めました。未成年者に対する悪質な性加害が、長期間にわたって取引企業で行われていたことを深刻に受け止めています。 ジャニーズ事務所の再発防止特別チームの調査報告書では、「マスメディアからの批判を受けることがないことから、ジャニーズ事務所が自浄能力を発揮することもなく隠蔽(いんぺい)体質を強化し、その結果、被害が拡大した」などと指摘しています。この問題をめぐっては、これまでも週刊誌等でたびたび報じられ、性加害の事実を認定した東京高等裁判所の判決が2004年に確定するなどしましたが、NHKは、当時、この問題について認識が薄く、その後も、取材を深めてニュースや番組で取り上げることはありませんでした。多くの未成年者が被害にあう中で、メディアとしての役割を十分に果たしていなかったと自省しています。より深く真実に迫ろうとする姿勢を改めて徹底し、取材や番組制作に取り組んでまいります。 ジャニーズ事務所に所属するタレントの起用についても見直すべきだとのご指摘を受けています。NHKでは、出演者の起用については、番組の内容や演出に合わせて、ふさわしい人を選定してきましたが、今後は、所属事務所の人権を尊重する姿勢なども考慮して、出演者の起用を検討したいと考えております。ジャニーズ事務所に対しては、今後の被害者救済や再発防止の取り組みについてNHKとして改めて詳しく説明を求め、その後も実施状況を注意深く確認してまいります。 放送業界で人権尊重の考えがより浸透するよう、公共メディア・NHKとして、取り組みをさらに徹底してまいります。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル