有料記事 上保晃平 石垣明真2023年9月11日 20時30分 当事者の切実な訴えに、裁判所は棄却という判断を下した。パートナーが同性であることを理由に扶養手当などを支給しなかったのは憲法違反だとして、元北海道職員の佐々木カヲルさん(54)が道などを訴えた訴訟。札幌地裁は11日、佐々木さんが求めた損害賠償を退け、違憲かどうかの判断は示さなかった。 「とことんやった。自分がやれることは全部やった」。道などに損害賠償を求める訴えを札幌地裁が退けると、佐々木さんは時折、涙声になりながら語った。原告側は控訴しない方針という。 佐々木さんが道などに扶養手当を申請したのは約5年前。支給認定を2度不可とされ、2021年6月に提訴した。 原告側「空疎で血が通っていない不当判決」 裁判では、道職員の給与条例が定める「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に、同性パートナーが含まれるかどうかが争点となった。 判決は、条例上の「配偶者」や「婚姻関係」の考え方について「民法上の婚姻に関する概念を前提としている」と指摘。事実婚関係に同性カップルを含まないとする道の解釈について、「民法の定める婚姻法秩序と整合する一般的な解釈だ」と結論づけた。道などが同性カップルも含むと解釈する義務を認めず、憲法判断も示さなかった。 原告側の高橋友佑弁護士は、判決後の会見で「憲法判断に一切立ち入らず、安易に適法と決めつけるもの。空疎で血が通っていない不当な判決だ」と指摘。佐々木さんも「裁判を起こしたのは、福利厚生制度を他の職員と同様に同性カップルにも認めてほしい、排除しないでほしいとの願いからだった」と述べた。 判決に無念さをにじませた佐… この記事は有料記事です。残り553文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自分は大丈夫」と過信、8割が安全対策取らず 子供の車内置き去り
岡山県津山市で9日に2歳児の孫が車内に置き去りにされて死亡し、祖母が過失致死容疑で逮捕された事件。孫を保育園に送り届けるはずだったが、県警の調べに祖母は「考え事をしていて、孫を乗せているのを忘れた」と供述。保育園側は登園していないことに気づいていたが、家族に連絡していなかった。全国各地で置き去りが起きるなか、事故防止に取り組む団体は「ヒューマンエラーは誰にでも起こりうる」と指摘。貴重品を子どもの近くに置いておくことや、マイカーへの安全装置の設置を呼びかける。 新潟市では昨年5月、1歳5カ月の男児が車内に放置され、熱中症の疑いで死亡した。父親が出勤の際に保育園に送り忘れ、車に置いたまま出勤していたという。 今年8月には北九州市の大型商業施設の駐車場で0歳男児が車内に放置され死亡。両親は互いに相手が男児を連れていると思い込み、結果的に置き去りにしてしまったという。 なぜ、同様の事故は後を絶たないのか。ドライバーを対象にした意識調査からは、置き去り事故自体は認識しているものの、8割近くが特に対策をとらず「自分は大丈夫」と過信している姿が浮かび上がる。 自動車部品などを扱う三洋貿易(東京)は5~6月、小学生以下の子どもを乗せて車を運転するドライバー3377人を対象に、オンラインで子どもの車内置き去りに関する実態調査を行った。 ドライバーの91・6%が子どもを車内放置したことで熱中症になる事案が発生していることを「知っている」と回答した。一方で「1年以内に子どもを残したまま車を離れたことがある」と回答したのは20・4%にも上った。このうちの1・9%は子どもを残していることさえ認識していなかった。 子どもを残して車を離れたことがある人のうち、5・1%が子どもにめまいや顔のほてり、頭痛や吐き気などの症状が出た、と答えた。 子どもだけが車内に残される理由(複数回答可)について「保護者の意識が低いから」が最も多く60・5%。「他のことに気を取られて子どもが車内に居ることを忘れてしまうから」は22・3%あり、5人に1人以上が選んだ。 今回の事故で、逮捕された祖母は、県警の調べに孫を乗せているのを失念したと説明しているが、意識調査からは決して特異な例ではないことが分かる。 無意識に車内に子どもを残さないような対策(複数回答可)について、78・9%が特に対策をしたことはないと回答した。 亡くなった2歳児が通っていた保育園によると、9日は土曜日のため園児約80人のうち、登園していた園児は平日の3分の1程度だった。園側は2歳児が登園していないことには気づいていたが、家族に電話などで確認していなかった。 園長は「思い込みもあって連絡していなかった。確認していれば、大切な命がなくならなくて済んだと思う」とチェック不足を認めた。保育園は10日夜、緊急の保護者説明会を開き、電話確認していなかったことなどを謝罪したという。 再発防止策として、保育園は連絡がなく園児が登園しなかった場合、必ず電話で確認することや、登園を知らせるアプリの導入などを挙げている。 今回の事件を受け、津山市は10日から市内の保育園や幼稚園などに園児の出欠確認の実施状況を緊急調査。市こども保育課によると、亡くなった2歳児を預かっていた保育園とは別の園で一部の園児しか出欠確認をしていなかったことがわかり、市は出欠確認の徹底を求めた。 子どもの事故予防に取り組むNPO法人「Safe Kids Japan(セーフキッズジャパン)」(東京)は、子どもが後部座席に座る場合、近くに財布やスマホ、バッグなどの貴重品を置いておく対策を提案する。 北村光司理事は「置き去り事故は世界共通の課題。欧州では新車の安全性を評価する項目に置き去り検知機能を追加する動きがあると聞く」と話す。「人の注意力には限界があるので、安全装置をマイカーにも取り付けるなど技術でカバーする組み合わせが必要では」と指摘している。(上山崎雅泰、礒部修作) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
青葉被告が小説を書き始めた理由とは 京アニ事件に至る経緯を説明
有料記事 光墨祥吾 西崎啓太朗2023年9月11日 21時32分 2019年7月、京都アニメーション第1スタジオ(京都市)に放火して社員ら36人を殺害したなどとして、殺人など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第4回公判が京都地裁であり、弁護人からの被告人質問が続いた。被告が30代の頃に小説を書き始め、京アニに作品を応募しようとした経緯を説明した。 青葉被告によると、小説を書き始めたのは2009年。07年に窃盗事件などで有罪判決を受けた後、兄の紹介で働き始めた郵便局内で、自身の犯罪歴が周囲に知られていると感じたのがきっかけだったという。 「犯罪がばらされると生活がその都度不安定になる。実力さえあれば、小説に全力を込めれば暮らしていけるのではないかと思った」 郵便局を3カ月で辞め、生活保護を受けながら「昼夜逆転の生活」が続く日々。「夜に京アニのアニメ『涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)』を見て、小説を書こうと思った」という。 「下りではなく、上りのエスカレーターに」 その後、京アニが創設したば… この記事は有料記事です。残り1081文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
特殊詐欺グループ幹部4人、強盗殺人容疑で再逮捕へ 狛江市の事件
2023年9月12日 0時00分 全国で相次いだ強盗事件のうち、東京都狛江市の住宅で1月に女性が死亡した事件を指示したとして、警視庁は12日にも、フィリピン拠点の特殊詐欺グループトップの渡辺優樹被告(39)=窃盗罪で起訴=らグループ幹部4人を強盗殺人と住居侵入の両容疑で再逮捕する。捜査関係者への取材で分かった。 2022年ごろから全国で起きた「闇バイト」による強盗事件では、唯一の死者が出た狛江事件の発生を機に捜査が本格化。「ルフィ」や「キム」などと名乗る指示役の存在が浮上していた。 他に再逮捕されるのは「ルフィ」と称した今村磨人(きよと、39)=強盗致傷罪などで起訴=、藤田聖也(としや、39)=窃盗罪で起訴=、小島智信(45)=同=の各被告。 捜査関係者によると、4被告は共謀して1月19日午前11時半ごろ、狛江市の戸建て住宅に押し入り、大塩衣与(きぬよ)さん(当時90)に暴行を加えて殺害し、高級腕時計や指輪(計約60万円相当)を奪った疑いがある。この事件では、現場の実行役として男4人が強盗致死罪などで起訴されている。渡辺被告ら4人はフィリピンからスマートフォンなどを通じて指示したと警視庁はみている。 幹部「死ぬとは思わなかった」 同房者が供述 4被告のうち小島被告を除く3被告は、狛江事件翌日に足立区で起きた強盗予備事件を指示したとして今年8月、詐欺電話役の山田李沙被告(27)=窃盗罪で起訴=と共に逮捕されていた。 山田被告は狛江事件発生時、4被告らと一緒にフィリピンの収容所におり、警視庁に「幹部がスマホで狛江事件のニュースを見て、『おばあさんが死ぬとは思わなかった』と話していた」と供述したという。 今村被告は京都市で昨年5月に起きた強盗事件と、千葉県で1月に起きた強盗致傷事件を指示したとして起訴された。両事件の指示役が使った携帯電話番号は、狛江事件でレンタカー手配を指示した人物も使っていた。こうした状況から警視庁は、狛江事件を4被告が指示したと判断した。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宅配業者の訪問楽しみに ベランダで散歩 狛江強盗殺人で犠牲の女性
有料記事 増山祐史 遠藤美波 長妻昭明2023年9月12日 0時00分 東京都狛江市の住宅に1月、男4人が押し入り、住人の大塩衣与(きぬよ)さん(当時90)が殺害され、高級腕時計などが奪われた。事件から半年余りたった8月下旬、大塩さんの親族が取材に応じた。「まだまだ生きると言っていたのに」と言葉を詰まらせた。 大塩さんは20代のころから、東京都内ですし店を夫婦で営んでいた。寡黙な夫が握り、愛想の良い大塩さんが接客。大塩さんと話をしたくて通う常連客もいたという。 店は40年ほど前に閉めて、夫は先立った。大塩さんは5年ほど前から、事件現場となった住宅の2階で生活していた。 「お迎えが来ないのよ」と笑っていたのに 涙の遺族 親族が様子を見に行くと、大… この記事は有料記事です。残り389文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岐阜の強盗で指示役か、2人再逮捕へ 東京・江東の強盗にも関与疑い
2023年9月12日 0時08分 東京都江東区で5月に起きた強盗事件で逮捕された男(20)と少年(19)の2人が、この約3週間前にあった岐阜県大垣市の強盗事件に指示役として関与した疑いがあることがわかった。岐阜県警は12日、2人を強盗などの疑いで再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。 大垣市の事件は5月2日に発生。会社役員宅から現金約2200万円などが奪われ、これまでに8人が逮捕されている。県警は犯行グループの全容解明を目指す。 捜査関係者によると、男はグループが使用していた携帯電話を準備していたほか、少年は被害品の金券を回収する役割だったことが判明。県警は2人が指示役だったとの見方を強めている。 2人は5月25日に江東区内の住宅に押し入り、現金約240万円などを奪ったとして強盗などの疑いで警視庁に逮捕されていた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
えんぴつ画家の執念、市を動かす 宇部大空襲の追悼碑立つ
300人を超える死者・行方不明者を出した山口県の宇部大空襲の追悼碑をこの夏、宇部市が建立した。同市のえんぴつ画家、岡本正和さん(70)と空襲を記録した標柱との縁がきっかけになった。 市役所の目と鼻の先。真締川にかかる新川橋のたもと(新天町1丁目)に、「宇部大空襲追悼碑」が7月に完成した。「計8回にわたる被害状況 死亡者254人 行方不明者68人 負傷者557人」と刻まれている。 碑は高さ1・2メートルのステンレス製。その横に「宇部大空襲~平和を未来に~」と題した説明板も設置された。8回に及ぶ空襲が1945年4月26日に始まったこと。7月2日の3回目が最も被害が大きく、約100機のB29が1時間42分にわたって焼夷(しょうい)弾を投下したことなどを記し、空襲後の市街地の写真も掲示した。 74回目の終戦の日が近づいた2019年8月。岡本さんは当時の市役所近くにあった「宇部大空襲のあとを残す焼夷弾の芯」という高さ約1・5メートルの木製標柱を見に行った。周囲は草だらけで、説明板に「ポイ捨て禁止」の看板が立てかけられていた。 標柱と説明板は市が作ったも… この記事は有料記事です。残り709文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小学生男児の体触った疑い 小学校教員を強制わいせつ容疑で逮捕
安田朋起2023年9月11日 22時07分 小学生男児にわいせつな行為をしたとして、福岡県警門司署は11日、北九州市門司区下馬寄の小学校教員、岡田拓己容疑者(25)を強制わいせつの疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。 調べでは、岡田容疑者は2019年12月ごろから20年9月ごろまでの間、市内の公共施設で、当時小学校高学年だった男児の体を触るなどわいせつな行為をした疑い。岡田容疑者は現在、市立小教員だが、当時は教員ではなかった。行為は複数回にわたり、2人きりの状況で行われたという。今年8月に第三者からの情報提供があり、捜査を進めていた。(安田朋起) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
集合住宅で火災、3人の遺体を発見 住民と連絡とれず 岡山
有料記事 2023年9月11日 18時20分(2023年9月11日 22時09分更新) 11日午後1時50分ごろ、岡山市北区南方5丁目の集合住宅「グリーンコーポ南方」1階の無職栗尾恵さん(79)方から出火し、鉄骨2階建て集合住宅の1室約50平方メートルが焼けた。焼け跡から性別不明の3人の遺体が見つかった。栗尾さんと、同居する長男(58)、次男(58)の計3人と連絡がとれず、岡山県警は遺体がこの3人とみて身元の確認を進めている。 県警によると、同住宅の管理会社の従業員らが栗尾さん方を訪れた際、火が出ているのに気づいて110番通報した。 朝日新聞の取材に対して管理会社は、滞納状態だった家賃について相談するために従業員5人で訪問し、部屋のベルを鳴らして待っていたところ、室内から火の手が上がったとしている。 県警は室内の誰かが火を付けた可能性も含め、慎重に調べている。 集合住宅は栗尾さんの家族のほか、2階に1人が住んでいたが、出火当時は外出中だった。現場はJR岡山駅から北に約1キロの密集した住宅街。 白昼の煙、住民騒然 岡山市北区南方5丁目で11… この記事は有料記事です。残り414文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「子どもファーストの保育を」 三重・桑名の不適切保育で第三者委
三重県桑名市の「長寿認定こども園」(桑名市北寺町)で不適切な保育があった問題で、市が設けた第三者委員会は11日、報告書を公表した。伊藤徳宇市長と、こども園を運営する社会福祉法人・花園福祉会の加藤晶子理事長に再発防止策を提言した。 報告書は確認できた不適切保育の主な事例として、危険回避の行動以外の(保育士が)腕や足を引っ張る行為▽トイレに決まった時間にしか行かせない行為▽本来なら午後1時までの給食時間だが、昼食をおやつの時間まで食べさせていたことが複数回あった▽複数の保育士が子どもに対して人格を尊重しない発言をしたり乱暴な言動で接したりした▽外国籍の児童に対して厳しい口調で怒った、などを挙げた。 そのうえで、保育士が疑問点や意見を出しやすい民主的な組織風土づくりや、保育士のスキルアップのための研修の必要性を指摘。子どもを最優先に考えた保育環境の整備や労働環境の改善などを園に提言した。 市に対しては、園児の保護者… この記事は有料記事です。残り137文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル