名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が27日、名古屋地裁であった。国側は入管側の対応に問題がなかったとする医師の意見書を提出した。 訴訟では、収容中のウィシュマさんの体調悪化が深刻化するなか、入管側が適切に対応したかどうかが争点となっている。 原告側は「私、死ぬ」「息、難しい」と訴えるウィシュマさんに対し、入管側が適切な医療行為を施さなかったと主張していた。一方、国の意見書で医師は、直前の診察で異常がなかったことなどを根拠にこれらの発言は「看守の注目を集めるため」だったとし、ウィシュマさんが深刻な状況ではなかったとの見方を示した。 これに対し、ウィシュマさんの妹のワヨミさん(31)は意見陳述で「姉は大げさに苦しんでみせたということなのか。こんなことを医者がいうなんて本当にありえるのか。なぜこんなひどい言われ方をしなければならないのか」と述べた。 遺族側弁護団の指宿昭一弁護士は閉廷後の記者会見で、「詐病で人は死なない。どんなに理屈をねじまげてでも入管の責任を否定したいという思いがこの意見書にもにじんでいる」と批判した。(高橋俊成) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田巌さんの再審の初公判、10月27日に決定 姉「絶対に無罪」
1966年に静岡県で一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審に向けた検察側、弁護側、裁判所による第6回の三者協議が27日、静岡地裁であった。前回の協議で地裁が提案していた日程案を検察側、弁護側がともに受け入れ、再審の初公判は10月27日に開かれることになった。 弁護団によると、地裁が前回の協議で示した10月27日から来年3月27日までの計12回の公判期日で審理される予定だという。年内は5回あり、11月までの3回は確定審の証拠、12月の2回は再審請求審の証拠を取り調べる方向で大筋で合意。1、2月に各2回ある期日で証人尋問を終了し、3月の3回の期日を検察側の論告求刑、弁護側の最終弁論にあてる計画になるという。 巌さんの姉の秀子さん(90)は「裁判ももう半年で終わると思うとうれしい。一安心です。来年3月には結審になり、それから何カ月かして判決が出る。絶対無罪だと思っています」と話した。(本間久志) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「スーパークレイジー君」を起訴 不同意性交等致傷の罪「深く反省」
知人女性に性的暴行をしようとしてけがをさせたとして、宮崎地検は27日、宮崎市議の「スーパークレイジー君」こと西本誠容疑者(37)を不同意性交等致傷の罪で起訴し、発表した。地検は認否を明らかにしていない。 起訴状などによると、西本容疑者は3日未明、宮崎市内で、知人の30代女性の腕を引っぱるなどしてホテル内に無理やり連れ込み、ベッドに押し倒して馬乗りになるなどの暴行をし、女性が同意しない意思を示すことが困難な状態で性交しようとしたとされる。女性は一連の暴行と逃げる際に転倒したことで、右腕や左手に約3週間のけがを負った。 西本容疑者の弁護人は記者会見し、「本人は深く反省している」と事実関係をおおむね認めつつ、「無理やり性交するつもりはなかった」と主張。女性の被害者感情に配慮して起訴内容の認否については留保し、公判では、同罪ではなく不同意わいせつ罪に該当すると主張する方針を示した。 今年7月に施行された改正刑法で、不同意性交等罪は「暴行・脅迫」などで被害者が同意しない性交などが対象。同致傷罪は性交が未遂でも、被害者が逃げる際などにけがをすれば罪に問われる。 市議会は西本容疑者の逮捕後の11日、議員辞職勧告決議案を可決している。起訴を受け、宮崎市議会の前本尚登議長は「改めて遺憾に思っております」とのコメントを出した。(平塚学) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
補助金など使途不明金4300万円、北海道今金町の商工会 町が調査
北海道今金町が、国の交付金や町の補助金を受け取って事業をする町内の任意団体から会計業務を受託した町商工会に対し、不適切な会計処理をしていた疑いがあるとして外部の弁護士を入れて調査していることがわかった。森朋彦副町長が27日、取材に明らかにした。商工会関係者によると、内部調査で判明した使途不明金は2020~22年度までの3年間で計約4300万円にのぼるという。 森副町長によると、使途不明金が見つかったのは、障害者の就労支援をしているソーシャルタウン今金町推進協議会と、町観光協会。いずれも町商工会が事務局を務め、会計業務を受託していた。 町が4月、昨年度の収支報告書を調べたところ、交付金と補助金の使用分を含めて、領収書がなかったり、目的外使用の疑いがあったりする支出が見つかった。会計業務は事務局長の男性(3月に退職)が1人で担っていたという。 町商工会は「町が調査しているので答えられない」としている。(野田一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「液体、勢いよく」「熱風が…」現場にいた京アニ社員、事件時を語る
36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人など五つの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第10回公判が27日、京都地裁であり、証人尋問が始まった。事件当時、京アニ第1スタジオにいた社員2人が出廷し、青葉被告が「死ね」と大声を出して火をつけた状況について語った。 出廷した社員の一人は18年に京アニに入社し、作品制作のスケジュール管理などを担当していたという。 この社員によると、事件当日は午前9時前に出勤し、第1スタジオ1階の中央付近でイベント資料を作っていた。周囲には約10人の社員がいたという。 この日はテレビ局の取材予定があった。 午前10時半ごろ、自動ドア… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
湘南の海辺にサザンファンが集結 10年ぶり、茅ケ崎ライブが開幕
デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズの凱旋(がいせん)ライブが27日、桑田佳祐さんの出身地・神奈川県茅ケ崎市で開幕した。 デビュー45周年を迎えたサザンオールスターズの凱旋(がいせん)ライブが27日、桑田佳祐さんの出身地・神奈川県茅ケ崎市で開幕した。サザンの茅ケ崎ライブは2000年に始まり、今回が10年ぶり3回目。会場となった市営の茅ケ崎公園野球場には全国から1・7万人が詰めかけたほか、チケットを取れなかったファンらが雰囲気だけでも味わいたいと海岸に集まった。 ライブは10月1日までの計4日間。会場はサザンの曲にも登場する、えぼし岩や江の島を望む湘南の海岸沿いにある。街中には「お帰りなさい」と書かれた看板が掲げられるなど、地元は最終日にかけお祭りムードに包まれる。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
救済法対象外の原告らを「水俣病」と認定 国やチッソに賠償命じる
メチル水銀を含む水が流された不知火海(しらぬいかい)沿岸で暮らしていたのに、水俣病被害者救済法(特措法)に基づく救済を受けられなかったとして、大阪府などに住む128人が国や熊本県、原因企業チッソに損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。達野ゆき裁判長は、沿岸で暮らした原告ら全員を水俣病と認め、1人あたり275万円の賠償を命じた。 同種訴訟は、熊本や新潟、東京地裁でも起こされ、初の地裁判決。特措法の救済対象から漏れた原告らを幅広く水俣病と認め、救済制度の運用見直しを迫る形となった。 水俣病は1956年に公式確認された。公害健康被害補償法に基づく認定患者は3千人。「政治決着」で約1万人に一時金260万円などが支払われたほか、特措法に基づき、特徴的な症状がある約3万8千人に一時金210万円などが支払われた。対象から漏れたり、申請できなかったりした原告らが提訴した。 水俣病は、汚染された魚介類を食べることなどでメチル水銀に曝露(ばくろ)し、発症するとされる。熊本県などは特措法に基づき、不知火海沿岸のうち、水俣湾周辺の一部地域に、68年までに1年以上住んだことなどを救済の要件としてきた。 判決は、毛髪の水銀値の調査などを踏まえ、低濃度でも長期間、メチル水銀に曝露すれば発症する可能性があるほか、長期間たってから発症することもあるとした。 その上で、魚介類の流通状況などを踏まえ、特措法の対象地域外でも、不知火海でとれた魚介類を継続的に多食していればメチル水銀を摂取したと推認できると判断。水俣湾に仕切り網が設置された74年までに魚介類を多食し、感覚障害もある原告らについて水俣病と認めた。 国や県は、責任が認められるとしても、不法行為から20年たつと賠償請求権がなくなる民法の「除斥期間」の適用を主張していた。判決は、除斥期間の起算点を水俣病と診断された時期とし、除斥期間が経過した原告はいないと判断した。 一方、国と県は、60年1月以降に水質二法などで規制権限を行使しなかったことの責任を負うと指摘。同月以前に曝露したと認めた原告6人についてはチッソのみの賠償責任を認めた。(森下裕介) 水俣病をめぐる裁判の歴史 1956年5月 水俣病を公式確認 59年12月 患者家族がチッソと見舞金契約 69年6月 チッソ相手に1次訴訟を提訴 73年3月 1次訴訟で原告が勝訴(確定) 85年8月 主に未認定患者がチッソを訴えた2次訴訟の控訴審で原告勝訴(確定) 87年3月 3次訴訟第1陣一審判決。国、熊本県の責任認める 90年9月 東京訴訟で東京地裁が和解勧告。他の地裁も勧告するが、国は拒否 95年12月 未認定患者に一時金などを支給する国の解決策が決定(政治決着) 2004年10月 関西訴訟最高裁判決で国、県の責任が確定し、未認定患者の救済も認められる。以降、患者認定申請が急増 10年5月 水俣病被害者救済法(特措法)に基づく新救済策が開始(第2の政治決着) 13年4月 水俣病と判断する条件を緩やかに解釈する最高裁判決 6月 特措法で救済されなかった未認定患者が熊本地裁に提訴。「ノーモア・ミナマタ」2次訴訟とされ、東京、大阪、新潟でも同種の提訴が相次ぐ 23年9月 大阪地裁でノーモア・ミナマタ2次訴訟の初判決 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全焼の乗用車から焼けた2遺体、1人は子どもか 広島・三次市の山中
27日午後1時20分ごろ、広島県三次市有原町の山道脇で、軽貨物乗用車1台が全焼しているのを通行人が見つけ、近くの駐在所に届け出た。県警によると、車内から2人の焼死体が見つかり、1人は小柄だったことから、大人と子どもの可能性があるという。2人の遺体に目立った外傷はなく、県警が事件性の有無や身元を調べている。 三次署によると、大人とみられる遺体は運転席で、子どもとみられる遺体は助手席付近で見つかった。通行人が発見した際、火は消えていたが、車は激しく焼けていたという。同署は、車が施錠されていなかったかなどを捜査している。 現場は、県北部の三次市中心部から南に約10キロ離れた山間部で、住宅が点在する県道から約1キロ入った山中。近くに住む50代の男性は「この山道は、道の先にある民家の住民の生活道路になっている」と話す。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
入札めぐり「価格教え見返りに接待」 容疑で岡山刑務所の刑務官逮捕
岡山刑務所(岡山市北区)発注の刑務作業用機器の入札をめぐり、予定価格に近い価格を教えた見返りに接待を受けたとして、岡山県警は27日、同刑務所主任矯正処遇官の倉田容行容疑者(60)=同区牟佐=を加重収賄と官製談合防止法違反、公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕し、発表した。落札した納入業者の営業所長、若原久稔容疑者(69)=広島市安佐北区=を贈賄と同法違反などの疑いで逮捕。県警は2人の認否を明らかにしていない。 捜査2課によると、倉田容疑者は物品調達の入札事務を担当。岡山刑務所が昨年7月に行った木工製品の加工や製材用の機器の一般競争入札をめぐり、非公表である予定価格に近い価格を若原容疑者に事前に教えて、公正な入札を妨害。若原容疑者から広島市内の飲食店で約2万7千円相当の飲食接待を受けた疑いがある。若原容疑者は、不正な行為をしてもらった謝礼として接待した疑いがある。 若原容疑者が勤務する業者が落札しており、飲食接待はその落札後に行われていたという。県警は倉田容疑者に関する不正情報を入手し、入札手続きなど内偵捜査を進めていた。今後、他の入札で不正がなかったかなど、余罪の有無も含めて捜査する方針。 倉田容疑者の逮捕を受け、岡山刑務所の平井良樹所長は「誠に遺憾だ。捜査に全面的に協力し、事実関係が明らかになった段階で厳正に対処します」とのコメントを出した。(上山崎雅泰) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
長野・上高地でクマに襲われ重傷 外国人観光客、遊歩道を散策中
27日午後0時40分ごろ、長野県松本市安曇の上高地で、観光客1人がクマ1頭に襲われた。30~40代とみられる韓国からの男性観光客が頭部や顔面、うでをひっかかれるなどして重傷を負ったが、命に別条はない。 県警などによると現場は河童(かっぱ)橋から北へ約200メートルの岳沢湿原の遊歩道付近。男性は1人で散策中だった。河童橋から明神池方面に向かい、梓川の右岸にある遊歩道を歩いていたところクマと遭遇したとみられる。近くにいた人が負傷者を見つけて診療所に連れて行き、消防に通報したという。 環境省上高地管理官事務所は安全が確認されるまで周辺遊歩道を閉鎖し、小梨平キャンプ場のテント利用をしばらくの間禁止すると発表した。巡視を強化し、男性を襲ったクマを捕獲するための対応を取るという。(高億翔) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル