「秋の全国交通安全運動」の最終日の30日、警視庁小松川署は、自転車で移動することが多い少年野球チームの子どもたちを対象に交通安全教室を開いた。それに先立って野球教室も開かれ、元プロ野球選手の警察官が参加し、子どもたちは野球と自転車を運転する際の注意点を学んだ。 教室は東京都江戸川区立鎌田小学校で開かれ、同区を拠点とする「南篠崎ランチャーズ」と「篠田堀ボーイズ」の小学生約30人が参加。前半は、同区で野球を始めた元プロ選手で同庁第4機動隊の大田阿斗里(あとり)巡査長(34)らと一緒に、バッティング練習などをした。 後半は、署員らが「自転車は車道の左側を走る」、「安全確認をする時は右、左、右、右後ろをよく見よう」などと指導。実際に自転車を使い、曲がり角での安全確認を実践するなどした。参加した子どもたちは「安全確認は毎回やるように気をつけたい」、「野球の練習に行く時に気をつけるようにします」などと話した。(増山祐史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
死亡ひき逃げの疑い、会社員の男を逮捕 「人踏んだと思わなかった」
車で女性をひいたのに救護せずに逃げたとして、警視庁は30日、東京都府中市白糸台4丁目、会社員の男(26)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕し、発表した。男は「人を踏んだとは思わなかったので、救護はしていない」などと話しているという。 府中署によると、男は30日午前1時25分ごろ、自宅近くで乗用車を運転中、女性会社員(36)=同市白糸台1丁目=をひき、救護措置をとらずに逃走した疑いがある。女性は全身を強くうち、搬送先の病院で死亡が確認された。 事故があった時刻ごろ、現場付近で「誰かが寝込んでいる」という110番通報があり、署員が頭部付近から出血している女性を発見。近くで血痕のようなものがついた車を見つけ、男の逮捕に至ったという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
文化財レスキューで未来につなげ 統括リーダー小谷隆介さんの思い
地域に伝わる文化財をどう守り、未来につなぐか。小谷竜介さん(52)は、10月1日で開所から3年を迎える国立文化財機構の文化財防災センター(文防、奈良市)で、統括リーダーを務める。防災や減災、修復の技術開発、文化財救援。日頃から地域の人々が文化財に関わる大切さを訴える。 小さい頃から、面白いものがたくさんある「博物館という装置」が好きだった。そこで働く学芸員になりたいという夢を抱きながら、人の営みにも興味を持ち、文化人類学の道に。集落や自治会をテーマに国内でフィールドワークを重ねた。 大学院を修了した後、民俗学の学芸員として宮城県立の東北歴史博物館(多賀城市)に職を得た。ただ、この時点では「文化財のことはよく知らず、保護行政にもほとんど関心がなかった」と振り返る。 転機となったのは10年後、同県の文化財保護課に異動した時だ。 当時、県が特別名勝・松島の世界遺産登録を目指したが、住民らは「家が増築できないなどの規制が、さらに厳しくなるのでは」と懸念し、摩擦が表面化していた。文化財としての価値付けをしながら、保護の範囲をどう設定するのか。住民との調整に直面しながら、「文化財保護にあたっての行政の役割を学びました」。 市町村から埋蔵物以外の文化財の相談もされるようになり、法と行政の理解に手応えを感じ始めていた頃。2011年3月11日が訪れた。 文化財防災救援基金の寄付募る 同県大崎市の鳴子温泉での仕… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
間近に見る宇宙ロケットの巨体 詰まっているのは「開発者の汗と涙」
子どものころ、爆音をとどろかせ、モクモクと白い気体を噴き出して大空へ飛び出していくロケットの姿に、憧れた。 いや、今も憧れている。 そのロケットが、手で触れられそうな近さにある。白やオレンジのスタイリッシュな外装。よくよく見ると、表面にポツポツとした塗料の質感も感じる。 【撮影のワンポイント】横たわるH2ロケット ロケットが夕焼けに映える姿を撮ろうと、18時前からスタンバイした。しかし、この日は全く空が赤くならず、それならと、日の入り後の空に太陽の光が残る「薄明(はくめい)」の青色を狙った。街灯の光が放射線状になるよう絞り込み、やや長めに露光。ロケットには車のヘッドライトを照らして浮かび上がらせた。(吉田耕一郎) 茨城県つくば市の緑豊かで、整然とした街並みの中にある宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センター。静寂に包まれた敷地内には、歴代の人工衛星や、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の実物大の模型などが置かれた展示館がある。 いずれも見応えがあるが、最も目を引くのが、屋外に横たわっている巨大なH2ロケットの実機だろう。 「心臓部」の開発、苦難の歴史 実機とは、実際に本番の発射… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
市川團十郎が木を植える理由 地球異変、一人ひとりの行動を語ろう
10月10日、朝日地球会議のセッションに登壇する歌舞伎俳優の市川團十郎さん(45)は10年間も植林活動に取り組んでいる。そのことを知っている人は、まだそう多くはないだろう。 なぜ、植林なのか。きっかけは2017年に34歳で亡くなった妻、小林麻央さんの存在だった。 10年に結婚してすぐの頃。歌舞伎の巡業で各地の宿泊施設に泊まると、環境への配慮から「タオルは一枚まで」と目にする機会が増えた。「何の役に立つのか?」と疑問だったが、過剰な洗剤の使用は水質汚染、プラスチックは焼却時に温暖化の原因となる二酸化炭素を出す問題につながっていると後々知った。 朝日地球会議2023への参加申し込みはこちらから 市川團十郎さんとジェームズ・ミニーさん、平田仁子さんが登壇する「朝日地球会議2023」は10月9~12日、リアルとオンラインのハイブリッドで開催します。9~11日は東京・有楽町朝日ホールに読者の皆様を招待し、同時にライブ配信。12日はオンライン配信のみです。参加費は無料。事前登録が必要です。 熱波や森林火災など異常気象、災害が目立つようになり、團十郎さんは14年に自身のブログで「環境問題についてできることはないか」と書き込んだ。これに「森をつくったらどうですか」とコメントが付いた。「森をつくるって悪くない」と思い、麻央さんに相談すると、かつてテレビ番組の企画で共演した故宮脇昭・横浜国立大学名誉教授を紹介され、植樹プロジェクト「ABMORI(エビモリ)」を14年から長野県志賀高原で始めた。 「温暖化で、次の世代で大きな問題が起きる。子どもたちが大人になる頃には、台風の風速がもっと大きくなるかもしれない」。團十郎さんは21年の取材で危機感をあらわにし、植樹の意義について「木々が増えると、(温暖化の原因となる)二酸化炭素を酸素にしてくれる」と強調した。 活動はコロナ禍で中止した20年を除き毎年行い、これまでにミズナラやブナなど7万本超の苗木を植えた。21年に自然保護活動に取り組むNPO法人「Earth&Human」を設立。親交がある元騎手でJRA調教師の福永祐一さん(46)、写真家の篠山紀信さん(82)らが理事となるなど活動の輪が広がる。6月の植樹プロジェクト時には今後の活動について「海に向き合っていきたい」と語り、海岸の美化活動などにも取り組んでいくプランを披露した。 「一人ひとりはどう行動したらいい?」 朝日地球会議への登壇は2回目。6~8月の世界平均気温が過去最高となるなど「地球沸騰化」は悪化の一途。團十郎さんが抱く「では、一人ひとりはどう行動するべきか」という問題意識を掘り下げるべく、今回は長年、フェアトレード(公正な貿易)に取り組む「フェアトレードカンパニー」社長、ジェームズ・ミニーさん(60)と、環境問題の専門家で一般社団法人「クライメート・インテグレート」代表理事の平田仁子さん(53)とともに、「地球に異変 行動したい、でもどうすれば!?」と題して意見を交わす。 「フェアトレードカンパニー」は、国内でのフェアトレードの草分け的存在として知られ、洋服や雑貨などを企画、販売。途上国の立場の弱い人々の労働環境や自然環境にも配慮しながら、生産者が暮らしていける価格で取引する。 ジェームズさんは大手金融機関に勤務する傍ら95年の会社創設に関わり、07年に金融機関を退社後、15年に社長に就いた。 バブル期に来日。ジェームズさんは「ゴミの排出がすごかった。使えるようなテレビやステレオが粗大ゴミに出され、包装は7層あったことも」と振り返る。「日本人は自然を大切にする文化を持つのに、なぜ環境問題に関心が薄いのか。矛盾している」と思った。 90年代、都内や横浜市で行う同社のイベントなどで、人権や環境問題、リサイクル関連の情報を盛り込んだ冊子を1部200円程度で販売。その後、同様の情報は行政が発信するようになり、ジェームズさんは「時代は変わった」とも感じている。 化学繊維でなく自然の素材、中でもオーガニックコットンを使うことで環境への負荷を減らせる。自然素材を用いて、手仕事を生かしたフェアトレードのものづくりをすることで、環境問題と貧困問題の同時解決をめざす。ジェームズさんは、「フェアトレードの産品を手にとって触れてもらい、うれしいと思ってもらいたい。環境問題を考える入り口になればいい」と考える。 平田さんは大卒後に就職した出版社を3年半で辞め、渡米。ワシントンの環境NGOで1年間活動した後に帰国し、NPO法人「気候ネットワーク」の創設スタッフになった。気候変動を市民の力で解決したいと、環境問題一筋だ。 11年の原発事故後に増えた石炭火力発電の計画に反対。企業や政府が情報を出し渋る中、事故後の計画が50基になることを独自に調べ上げた。その後、17基の計画が撤回。一連のキャンペーンが評価され、21年に環境分野のノーベル賞とも言われる「ゴールドマン環境賞」、昨年は英BBCによる「100人の女性」に選ばれた。 政府や産業界などに転換を促すことは容易ではない。欧米に比べ、再生可能エネルギーや電気自動車など気候変動対策で遅れが目立つ。なかなか変わらない現実を目の当たりにすることが多く、「目の前の大きな壁を突き抜け、大きな動きにするヒントがないか、いつも考えている。『行動する2人』と一緒に探れるようなセッションにしたい」と話している。(関根慎一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
基地・工場・スタジアム 大規模工事現場を空から見ると
賛否両論が渦巻く基地や駐屯地、世界で不足する半導体の製造工場、スタジアムを中心にした都市の再開発――。九州各地で進む大規模工事の現場を本社ヘリから撮影した。 鮮やかな青い海に浮かぶ鹿児島県西之表市の馬毛島(まげしま)。大型ロケット打ち上げで知られる種子島の12キロ西に位置し、面積は福岡ペイペイドーム118個分にあたる817ヘクタール。1月、米軍機訓練移転に伴う自衛隊基地建設工事が始まった。森林の大規模な伐採現場や多数の大型重機、仮設桟橋が3カ所確認できた。整備後は、陸海空自衛隊の訓練・活動、米空母艦載機着陸訓練(FCLP)などが想定されている。勤務する自衛隊員は、150~200人程度を見込んでいるという。 佐賀市の佐賀空港西側では6月、約34・1ヘクタールの造成工事が始まった。陸上自衛隊オスプレイ配備のための新駐屯地建設だ。計画では、木更津駐屯地(千葉県)からオスプレイ17機(現在14機暫定配備中)を移駐させ、目達原(めたばる)駐屯地(佐賀県吉野ケ里町)のヘリコプター約50機も移す予定だ。 熊本県菊陽町では、半導体の受託生産で世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」の工場建設が進む。2024年末までの生産開始を目指す。金融機関の九州フィナンシャルグループは、22年からの10年間で「熊本県内への経済波及効果は約6兆8500億円。関連企業約90社が進出し、1万人を超す雇用が見込まれる」と試算を発表している。 長崎市では、サッカーJ2「V・ファーレン長崎」の新本拠地が24年秋の完成を予定している。通販大手ジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)が計画する「長崎スタジアムシティ」は、約7・5ヘクタールの三菱重工業造船所工場跡に総事業費800億~900億円を投じてつくる大型複合施設。サッカースタジアムを中心にアリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの周辺施設からなる。JR長崎駅から徒歩約10分の立地で、市中心部のにぎわいを創出することになりそうだ。(日吉健吾) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
包帯だらけの姿で亡くなった娘 ひき逃げ死亡事件解決、遺族の10年
千葉市花見川区で2013年11月に発生した死亡ひき逃げ事件で、千葉県警は公訴時効が約1カ月後に迫った28日、自動車運転過失致死の疑いで、容疑者の男を逮捕した。 「捕まったよ」――。事件で、一人娘だった長女の舘下敬子さん(当時47)を亡くした父の明彦さん(88)は、逮捕の一報を敬子さんの遺影の前で手を合わせ、報告した。今も、遺骨は納骨していない。 10年前の11月5日。敬子さんはいつも通り、午前7時過ぎに会社へ出勤するため、原付きバイクに乗って家を出た。日ごろは家族に帰宅時間を伝えていたが、支度に追われ、その日に限って明彦さんと妻に何も言わなかった。親子で十分に話ができなかった。 その夜、敬子さんは午後8時を過ぎても帰らなかった。携帯電話にかけても応答はない。夫婦で気をもんでいると、午後10時過ぎに病院から電話があった。 「起きろ、起きろ」 娘の腕を握りしめて呼びかけたが 「娘さんが交通事故に遭って… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北の主峰旭岳、初冠雪はいつ?135年の記録から見えた地球の変化
「北海道の屋根」といわれる大雪山系。例年なら主峰旭岳(2291メートル)が初冠雪を迎える時期だが、まだ紅葉も見ごろになっていない。「異変」は夏の猛暑の影響なのか、それとも……。インターネットでは公開されていない135年に及ぶ観測記録を取り寄せた。 旭川地方気象台が旭岳の初冠雪の観測を始めたのは1888(明治21)年。初冠雪は夏以降、初めて山頂や中腹が雪で白く覆われた日のことで、旭川地方気象台からの目視観測が条件だ。気象条件が悪くて目視での観測ができなかった3回の「欠測」を除き、昨年まで132回観測できた。 135年で初冠雪の時期は変わった? この観測記録をグラフにして… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旅するはなちゃんのランドセル 「奇跡的」と添えた娘待つ母の思い
「行ってきます」と家を出て行った娘の声が忘れられないまま、12年半が過ぎた。手元に残るのは赤いランドセルだけ。今も行方を捜し続ける両親にとって、本人を思い起こす唯一の品だ。それでも「旅」に出すことを決めた。どうしても伝えたい思いを添えて――。 展示室のガラスケースに、赤い布製のランドセルが広げられている。一部すり切れたところがあるものの、色は鮮やかなまま。泥水につかったからだろうか。一緒に収められているノートや教科書の表紙は波打ち、少し茶ばんでいる。 そばにある音読の宿題カードには3月10日の分まで花丸がついている。空欄のままの22日には、日付に赤く太い丸印。「やっと10歳になれる」と待ちわびていた誕生日だった。 「お兄ちゃんと同じがいい」 持ち主は、宮城県石巻市にあった旧大川小学校4年の鈴木巴那(はな)さん。入学前、「お兄ちゃんと同じものがいい」と選んだランドセルだ。 筆入れやノートを入れる順番… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
校庭の芝生化、再び機運は高まるか かつてはサッカーきっかけに拡大
データで読む東京都の教育⑩ フランスで開催中のラグビーW杯では、選手たちが青々とした芝生の上で躍動しています。日本では1970年代以降、校庭の芝生化の動きがたびたび起きましたが、東京では現在も続いています。日本芝草学会の理事で、日本大学生物資源科学部講師の藤崎健一郎さん(造園緑地学)に、校庭芝生化の利点や課題を聞きました。 ◇ 国民が環境問題を意識するようになった1970年代、文部省(当時)が学校の緑化促進事業を始め、東京都も公立小中高校の校庭面積の半分を芝生化する計画を進めました。しかし、都では計画開始から少し経ったころ、「芝生の養生のために校庭を使えない」という高校生の新聞投書の影響もあり中断されました。 その後、しばらく低迷していましたが、93年のJリーグ開幕や2002年のサッカーW杯日韓大会の頃から、芝生が再び注目されるようになりました。文部科学省が「屋外教育環境整備事業」を進め、再び校庭の芝生化が広がり始めました。 東京では07年に「緑の東京10年プロジェクト」が始まり、校庭の芝生化が拡大。芝生化事業は現在も続いています。 課題はあります。地域住民や… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル