大山稜2023年9月22日 19時00分 8月に近畿地方を縦断し各地に暴風雨の被害をもたらした台風7号について、政府は22日、激甚災害に指定する方針を固めた。松村祥史・防災担当相が閣議後の記者会見で明らかにした。近く閣議決定する。 農地や農業用施設の復旧事業については地域を限定せず、被災した全自治体を対象に国の補助率を引き上げる。さらに鳥取県三朝(みささ)町には「局地激甚災害(局激)」を適用し、公共土木施設の復旧事業を同様に支援する。 台風7号は8月15日に近畿地方に上陸。岡山、鳥取両県で線状降水帯が発生したほか、鳥取県に大雨特別警報が出た。東海、近畿、中国の各地方を中心に、住宅への土砂流入や河川の増水による道路崩落などの被害が相次いだ。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
研究者収集の沖縄遺骨、返還請求棄却の一審判決を支持 大阪高裁
森下裕介2023年9月22日 14時38分 1400年代の有力者らの墓とされる沖縄県今帰仁村(なきじんそん)の「百按司墓(むむじゃなばか)」から、京都帝国大(現京都大)の研究者が昭和初期に収集した遺骨を巡り、県出身者らが返還を求めた訴訟の控訴審判決が22日、大阪高裁であった。大島真一裁判長は、原告側の請求を棄却した一審判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。 遺骨は京都帝大医学部の研究者によって1930年ごろに収集され、現在も一部を京大が保管している。原告は、15世紀に琉球を治めた王家「第一尚氏」の子孫などにあたるといい、「琉球民族の慣習にのっとると、祖先の墓は一族の末裔(まつえい)全てで守るものだ」として所有権を主張した。 昨年4月の一審・京都地裁判決は、遺骨の所有権は明確に定めるべきだとし、「不特定多数が返還請求権を行使できない」と判断した。原告らの心情に酌むべき点があるとする一方、遺骨には「貴重な資料としての性質もある」と指摘。「関係機関を交え、返還の是非や時期を協議し、解決に向けた環境整備が図られるべきだ」と述べた。(森下裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
いまも決着しない水俣病 救済法の漏れ問う裁判、判決で道筋見えるか
記者解説 水俣支局長・今村建二、大阪社会部・北沢拓也 「水俣病は決着した」 1956年に熊本県水俣市で公式確認された公害病は、過去何度もこんな言葉で幕引きが図られた。原因企業のチッソや国は補償や支援策を示したが、不十分さを指摘し、被害者救済の間口を広げてきたのが司法だった。患者の認定基準のハードルを下げる判断を示し、支援につながった。それでも、なお救済の網から漏れた人たちは多く、裁判が続いている。 最初の裁判が起こされたのは公式確認の13年後だった。メチル水銀の海への排出は、56年以降も「原因は特定されていない」として続いていた。チッソは59年に低額の見舞金契約を患者と結んだ。内容には「将来、原因が工場排水と決定しても新たな補償要求は一切しない」と盛り込まれ、これで問題は決着したと主張された。 「会社」といえばチッソを指す企業城下町で責任を問うのは、被害者にとって相当な覚悟が必要だった。68年にようやく政府が水俣病を公害だと認定。患者が補償や救済を求め声をあげた(1次訴訟)。73年3月の熊本地裁判決はチッソの責任を断罪し、補償を命じた。判決確定後、チッソと患者との間で補償協定が結ばれた。 水俣病の患者かどうかは国の基準に基づいて熊本、鹿児島両県が認定する(新潟水俣病は新潟県と新潟市)。認められれば、年金や医療費が支払われる。 ポイント 水俣病は勝訴を重ねて2度も「政治決着」したはずだったが、今も解決していない。救済の網から漏れた被害者が起こした裁判で、これから半年の間に判決が相次ぐ。見えにくい被害の実相をつかむため国は調査を実施し、救済に道筋をつけるべきだ。 感覚障害など同様の症状があ… この記事は有料記事です。残り3488文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
そもそも何のため 胸突き八丁の大阪万博 打開のヒントはあの万博?
アナザーノート 池尻和生・ネットワーク報道本部次長 雨でぬかるんだ未舗装の道を、上下に揺れながら行き交うトラック。建設用のクレーンが点々と並ぶ広大な敷地のほとんどは、地平線まで見通せるほどの更地でした。 JR大阪駅付近からバスで約40分、訪れたのは2025年4月開幕の大阪・関西万博の会場となる大阪市の人工島・夢洲(ゆめしま)。8月下旬、日本国際博覧会協会(万博協会)の現地見学会の同行取材で初めてこの地に立ちました。 ニュースレター「アナザーノート」 アナザーノートは、紙面やデジタルでは公開していないオリジナル記事をメールで先行配信する新たなスタイルのニュースレターです。今回は9月17日配信号をWEB版でお届けします。レター未登録の方は文末のリンクから無料登録できます。 「あれが『リング』です」。協会の関係者が指さしたのは、万博のシンボルとして来場者の「空中歩廊」となる大屋根(リング)の骨格の一部でした。 円周約2キロの大屋根が囲むのは、海外パビリオンや、映画監督ら著名人が手がける八つのテーマ館。いまはほとんど何も建っていませんが、開幕した時には、このエリアに大勢の人のにぎわいができる。万博協会はそんな青写真を描いています。 万博の準備、「まさに胸突き八丁」 ところが――。万博はいま、開幕へ「黄信号」が灯(とも)っています。肝心の海外パビリオンの建設が大幅に遅れ、開幕に間に合わないのではないか、と指摘されているのです。 万博には153カ国・地域が参加を表明。参加国・地域が自前で建てる56のパビリオンが予定されていました。1970年の大阪万博でもアメリカ館などが注目を集めたように、各国が威信をかけて創意工夫を凝らす目玉施設です。 建設には大阪市に「仮設建築物許可」の申請が必要ですが、9月前半までゼロ。パビリオンの構造によっては完成までに1年半程度かかるとされます。 岸田文雄首相は8月、危機感をこうあらわにしました。「万博の準備はまさに胸突き八丁の状況にある」 背景には、建設業界の深刻な人手不足や資材費の高騰などもあり、現在約1850億円を見込む建設費の増額も検討されています。しかし、「黄信号」の要因は、そうした「外的」なものだけなのでしょうか。 日本建設業連合会の宮本洋一会長は7月の会見で、万博協会側に昨年9月の時点で「間に合わなくなりますよ」と懸念を伝えたと明らかにしています。万博の運営は、政府、大阪府市、経済界などが複雑に絡み合い、責任の所在がわかりにくくなると指摘されています。 また、大阪で自民党と対立する一方、安倍政権とは蜜月だった日本維新の会が万博誘致を主導した政治的な経緯も影を落とします。関係者からは「岸田首相が万博に関心がないからこうなった」とか、「大阪の吉村(洋文)知事がちゃんと動いていないんじゃないか」など、責任を押しつけ合うような声も聞こえます。こうした「内的」な問題も一因になったのではないか。そう思うのです。 中でも気がかりなのは、そもそも「なぜ万博を開くのか」がはっきり伝わってこない点です。だから万博の機運もなかなか高まらないのではないでしょうか。 実は「危機」だった、あの万博 実は国内での大規模万博で今… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
迷惑動画で炎上狙う? 「ソマリ」容疑者を逮捕、建設現場侵入の疑い
西晃奈2023年9月22日 12時37分 大阪市中央区のホテルの建設現場に覆面姿で侵入したとして、大阪府警は21日、米国籍で住所不定の無職、イスマエル・ラムジー・カリド容疑者(23)を建造物侵入の疑いで逮捕した。カリド容疑者はジョニー・ソマリの名前で「迷惑動画」をインターネット配信しており、署は動画を炎上させることで金銭を得る目的があったとみている。 南署によると、カリド容疑者は8月30日正午ごろ、大阪市中央区日本橋のホテル建設予定地に侵入した疑いがある。本人が配信した動画によると、現場から出るよう促す作業員に対して、「福島」などと連呼。動画や防犯カメラの映像から逮捕に至ったという。 署は22日、その様子を動画撮影していた米国籍で住所不定の無職、ブランチ・ジェレマイア・ドウェイン容疑者(24)も建造物侵入容疑で逮捕。2人は「弁護士が来るまで話せない」などと供述しているという。 カリド容疑者はネットサイトで、被爆地の広島と長崎を連呼した上で、英語で「また原爆を落としてやるぞ」などと発言する様子などを配信。飲食店で大声で叫んだりする動画も流している。(西晃奈) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「大阪府警が嫌い」と本部に2342回電話 業務妨害容疑で男を逮捕
甲斐江里子2023年9月22日 12時40分 大阪府警に繰り返し電話をかけて業務を妨害したとして、府警は22日、京都市左京区の自称派遣社員の男(48)を偽計業務妨害の疑いで逮捕し、発表した。「大阪府警が嫌いで電話した」と話す一方、「業務を妨害したつもりはない」と容疑を否認しているという。 発表では、男は8月2~28日の約1カ月間に府警の代表電話に2342回にわたって電話。「バーカ、いつでも殺したんぞ、ボケカス」などの暴言をはいたり、音楽を流したりして、職員の業務を妨害した疑いがある。 捜査1課によると、男のスマートフォンのホーム画面は、押すと府警本部に電話をすぐかけられる設定になっていたといい、男は多いときには1日で523回の電話をかけていた。男と府警のトラブルはこれまで確認されていないという。(甲斐江里子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
しんどいけれど「全部生きている実感」 家族が、子どもたちが、いた
「疲れたー」 3月の夕暮れ。児童自立支援施設・滋賀県立淡海学園(甲賀市土山町)の甲賀寮。小中学生の男子6人が、野球部のクラブ活動を終えて帰宅してきた。寮長で野球部監督の佐伯洸平さん(32)も一緒だ。 「おかえりなさい」 寮母の香菜さん(41)が出迎えた。甲賀寮は、学園で唯一の夫婦寮。佐伯さん夫妻が長男の優仁(はると)君(2)を育てながら、子どもたちと寝食を共にしている。 夫妻には栗東市に自宅があるが、年に数えるほどしか帰っていない。2人は「一緒にいるのが当たり前すぎて、子どもたちを残して山を下りられない」と口をそろえる。 優仁君は近くの保育園に預けている。頼れる親族は近くにいない。寮の子どもたちがもめている時に優仁君の手が離せず、関わることができない時がある。優仁君が泣いているのに構ってあげられないことも。 香菜さんは「自分の子どもにも、寮の子にも、他の職員にも、みんなにごめんね、と思いながら働いています」。 夫婦げんかの9割は仕事のことだ。「さっき、あの子にした対応おかしいけん、考えてよ」。夫婦だからズバズバと言ってしまうこともある。公私の境目がなく、しんどい時もあるが、香菜さんは「働くことも生活することも、全部生きている実感につながっている」という。 「そっとしていい」教わることも 2人が夫婦寮を任されて5年… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ある決断で進む道が明確に 「バイトな恋」みお役のRirikaさん
居酒屋を舞台にしたYouTubeとTikTokのショート動画「バイトな日常」「バイトな恋」のヒロイン・みお役で人気を集めている。夢は女優だ。 Ririkaさん(23)はご当地アイドルを卒業し、第1志望の関西の大学に入ったが「モデルや芸能の道に進みたいという気持ちはずっとあった」と語る。東京へライブを見に行った際、ダンスボーカルグループの立ち上げにスカウトされた。「チャンスがあるならチャレンジしよう」と参加を決めた。 大学の講義終わりで東京に行… この記事は有料記事です。残り568文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
赤ちゃんの顔、上下逆さでも「かわいい」分かる 知覚の仕組み判明
赤ちゃんの顔の「かわいさ」は、顔が上下逆さになってもわかる――。そんな研究成果を、大阪大と四天王寺大の研究チームが、コンピューターで合成した赤ちゃんの顔画像を使った実験でまとめた。かわいいと感じる仕組みの一端が明らかになった。 顔の印象は、顔を上下逆さにすると判断しにくくなることが過去の研究から明らかになっている。目や口、鼻などのパーツの絶妙なバランスが、逆さになると判断しにくくなるためとされている。 赤ちゃんのかわいさについても同様の結果になるのか。阪大の入戸野(にっとの)宏教授(実験心理学)らは、20~71歳の男女299人を対象に実験で検証した。 まず、コンピューターで合成した、丸みを帯びた輪郭、大きな目といったかわいいとされる6カ月児の顔画像と、そうではない画像を各6枚用意し、かわいさを7段階で評価してもらった。予想通り、かわいいとされる画像の評価は高く、そうではない画像は低くなった。 ただ、上下逆さの同じ画像を見せても、その評価値はいずれも下がらなかった。さらに2枚の画像からよりかわいい方を選択する実験では、上下逆さまでも、8割近くがかわいい方を選ぶことができた。 入戸野さんは「かわいさは、上下逆さになっても知覚できるようだ」と指摘。人間が「かわいさ」を感じるのは、顔全体のバランスによるものではなく個々のパーツの特徴に基づいているとみている。 ■「かわいさ」は見た目だけで… この記事は有料記事です。残り267文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
5人死傷鉄骨落下事故、現場検証始まる 東京駅八重洲中央口で警視庁
長妻昭明 増山祐史2023年9月22日 9時43分 JR東京駅八重洲中央口近くのビル建設現場で19日、鉄骨が落下し、作業員5人が死傷した事故で、警視庁は22日午前、業務上過失致死容疑で現場検証を始めた。事故では、鉄骨同士が十分に固定されていなかった可能性があり、落下の原因を調べる。 捜査1課などの捜査員30人は、事故が起きた東京都中央区八重洲1丁目の再開発地区の7階建てビル建設現場で、22日午前9時ごろから検証を始めた。落下した5本の鉄骨の設置状況や、作業員が着けていた命綱の状況などについて、数日かけて調べる方針だ。 事故は19日午前9時20分ごろ発生。同課によると、7階付近で鉄骨をクレーンでつり上げ、設置されていた別の4本の鉄骨の一部に、つり上げられた鉄骨を接合する作業中だった。作業員5人はつりあげられた鉄骨の上で作業していたとみられ、7階付近から3階部分に落下し、2人が死亡、3人がけがをした。(長妻昭明、増山祐史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル