畳の流通量が減る中、畳の専門商社が新商品の開発に打って出た。 世界で約20億人が毎日使う「ある物」が、畳業界の救世主になるかもしれない、との期待を込めて。 畳表の生産量と輸入量の合計は、減少傾向が続く。 農林水産省などの統計によると、2005年ごろまでは年間3千万枚ほどで推移していたが、21年には926万枚に。和室のない家が増えたことが最大の要因だ。 京都市内で畳専門商社「カンベ」の社員、堀雄亮さん(37)は、悩んだ。生活様式が変わったいま、国内市場には限界がある。 海外で使ってもらえないだろうか。いや、海外こそ和室がないではないか……。 ある日、何げなく見ていたテレビ。 多くの人がひれ伏し、一心に… この記事は有料記事です。残り927文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
禎子さんの生涯がミュージカルに ハワイの子どもたちが日本で初上演
黒田陸離2023年9月3日 12時44分 米国ハワイ州の子どもたちによるミュージカル「平和は翼に乗って」が2日、広島市中区のJMSアステールプラザで初日を迎えた。4~17歳の25人が出演し、平和記念公園内に立つ「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木禎子さんの生涯を描いている。 ハワイ州ホノルルのミュージカルグループ「オハナアーツ」が2014年に制作。2歳のときに被爆し、10年後に亡くなった禎子さんの市立幟町小の運動会での活躍や、白血病を患って広島赤十字病院で千羽鶴を折る様子などを、伸びやかな歌声やダンスにのせて演じる。ハワイや米国本土で公演を重ねてきたが、今回、日本で初めて上演した。 出演者やスタッフは公演を前に、幟町小などゆかりの地を回った。2日の初公演で禎子さん役を演じたサンプソン恵美さん(17)は「私たち一人ひとりにも第2次世界大戦との個人的なつながりがある。広島で起こったことをハワイに持って帰って次の世代に伝えたい」と話した。 禎子さんと小学校の同級生だった川野登美子さん(81)も観劇に訪れた。「元気だったころ、病気になったころの禎ちゃんが思い出されて心が熱くなった。かつて敵国だった国の子どもたちが、広島で禎ちゃんを演じてくれたことに感激した」と話した。 公演は3日まで同会場で開かれる。(黒田陸離) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「波動拳」ご当地ナンバー、ストⅡ世代に「刺さる」 最高倍率は6倍
あのころ夢中で操ったアイツと街を駆けたい――。奈良県橿原市のご当地ナンバープレートが、40~50代に「刺さる」デザインだった。抽選倍率は2倍を超え、さっそく市は追加交付を検討し始めた。 赤いハチマキが印象的な後ろ姿、決め技「波動拳(はどうけん)」をライバル「ケン」に繰り出すシーン。 2種類のプレートにデザインされたのは、人気格闘ゲーム「ストリートファイター」の主役的キャラクター「リュウ」だ。ゲームを手がけるカプコン(大阪市)が無料でデザインした。 市は原付きバイク用に計260枚を作成。8月から申し込みを受け付けると、2倍を超える589件の応募があった。 このうち6割近く(344件)を占めたのが、40代と50代。「波動拳!」「昇龍(しょうりゅう)拳!」とリュウの技を口にしながら、ゲームシリーズの中でも有名な「ストリートファイターⅡ」に興じた世代だ。 三つの排気量ごとにプレートの色が変わるが、特に「波動拳」を放つシーンがデザインされたピンク(125cc以下)の20枚には、122件の応募があり抽選倍率は6倍を超えた。 抽選に漏れてもあきらめきれないのか、キャンセルを期待して市に問い合わせる人もちらほら。8月23日から交付が始まると、父親と窓口でプレートを受け取った子どもが「めっちゃ格好いい」と喜ぶ姿も。「橿原市エエなぁ!」「欲し過ぎやろそんなもん」……。X(旧ツイッター)では、うらやましがる投稿も目立つ。 「想像以上の反響」と市の担当者はうれしい悲鳴だ。「大変ご好評を得ましたので、ただいま増刷を検討中」とホームページで告知した。 「キャラ立ち」に挑む歴史都市 そんな橿原市には、日本で初めての本格的な都とされる藤原京(694~710年)があった。世界遺産登録を目指す遺跡もあり、いにしえの雰囲気が残る。 歴史都市が、ファイターたちの力を借りた「キャラ立ち」に力を入れているのはなぜか。 実は、カプコンの辻本憲三会… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
アマスポーツにAIの波 カメラが全国準Vを後押し、意外な効果も
5月下旬、福岡市内の会議室で、大型スクリーンに投影されたサッカーの試合映像を食い入るように30人の中学生が見つめていた。選手に追いかけられるボールに合わせて、画面が左右に動く。ボールがゴールへ吸い込まれると、同じ動画が自動でスロー再生された。 映像は、人工知能(AI)が搭載されたカメラが「無人」で撮影したもの。少年サッカーチーム「クレセール福岡」(福岡市)は3月から本格的にAIカメラを使い始めた。ピッチ外に約7メートルの三脚を設置。カメラのAIがボールを自動追尾し、プレーを記録する。 川野倖徹さん(14)は、相手選手のマークがないのにボールを奪われると思っていた。実際に映像で振り返ると死角の背後から相手が迫っていた。その気付きから、パスを出す味方に駆け寄りマークを振り切るよう心がけている。 主将の西本拓真さん(14)は、「心理面」での効果を挙げる。AIカメラ導入前は試合でミスがあると、味方同士が責任を押しつけ合って言い合いになる場面があった。だが、可視化により原因が明確になったことで、仲間を責める発言が減ったという。 チームは月に一度、全員で映像を見て意見を出し合う場を設けており、江口孝一監督(36)は「自ら考えられる選手を育てたい」と話す。 AIカメラは、レンタルで十数万円の初期費用などがかかり、導入にあたりチームは月謝を月1千円上げたが、保護者の益田美咲さん(45)は「見に行けない試合もアプリで映像を共有してもらえる」と、カメラがもたらす効果を歓迎する。 こうしたAIカメラを活用した指導の裾野が広がっている。 関西学院大(兵庫県)のラク… この記事は有料記事です。残り716文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
朝鮮人あまた殺された町 100年後、朔太郎の足元で子孫たちはいま
前橋市出身の詩人・萩原朔太郎は1923年、関東大震災で被災した親戚を見舞うため、群馬から約100キロ離れた東京へ向かった。 朝鮮人あまた殺され その血百里の間に連なれり われ怒りて視(み)る、何の惨虐(さんぎゃく)ぞ そこで見聞きしたことなどからうまれた詩「近日所感」は、震災翌年の24年に発表された。 そんな朔太郎の足元の群馬でも、惨劇があった。 震災から4日後の9月5日… この記事は有料記事です。残り1522文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
物価高の影響? フードバンク、おかず足りず NPOが寄贈呼びかけ
生活に困っている人やその支援団体に食料品を配る「フードバンク」で、レトルト食品などのおかずが不足している。食料品が値上がりし、一般家庭などからの寄贈が集まりにくくなっているからだ。コロナ禍に続く物価高で食料支援を待つ人たちは増えており、フードバンクは余った食料品の寄贈を呼びかけている。 NPO法人「フードバンクふじのくに」(静岡市)は8月いっぱい、家庭で余っている食品などを寄贈してもらう「フードドライブ」を開催した。県内の約300カ所に食品回収ボックスを置き、「フードバンクが腹ペコだ!」と寄贈を呼びかけた。 ふじのくには2014年度に活動を始めた。企業・団体や一般家庭から寄贈された食料品を、県内の自治体、支援団体、社会福祉協議会などを通じて生活に困っている人たちに提供している。 事務局によると、提供した食料品の出庫重量は、14年度の約14トンからコロナ禍の20年度には約90トンに増え、22年度も約80トンあった。寄贈された重量も増え、20年度は約107トン、22年度は約90トンだった。 しかし、今年は寄贈の動きが鈍いという。フードドライブは毎年夏と冬に開いてきたが、生協の店舗に置いた回収ボックスの状況を途中で確認したところ、例年は40~50箱の寄贈があるのに、今年は20箱ほどしか集まっていなかったという。「寄贈する人も物価高の影響を受けているのではないか」と望月健次事務局長は話す。 とりわけ深刻なのが、レトルト食品のようなおかずになる「副食」だ。1世帯あたり2週間分の食料品として10~20キロほどを提供するうち、主食(コメやパンなど)が半分、副食(レトルト食品や缶詰などのおかず)が3割、しこう品(お菓子や調味料など)が2割ほどになる。ところが、寄贈される食料品は主食やしこう品がそれぞれ4~5割を占め、副食は1~2割ほどしかないという。 背景には、カレーのレトルトや缶詰などは賞味期限が長かったり保存がきいたりするため、食品メーカーやスーパーなどで余りが出にくい事情がある。一般家庭でも保存食として取り置きができる。また、物価高で食料品が値上がりし、一般の人もレトルト食品などを簡単に寄贈しにくい環境になっているという。 ふじのくにではフードドライブ終了後も、静岡市や島田市といった自治体、しずてつストア、富士屋、こくみん共済coopの協力店舗などに回収ボックスを常設している。鈴木和樹事務局次長は「シングルマザーの家庭や貧困に苦しむ人など、物価高で食料品を待つ人が増えている。寄贈する人も余裕がなくなっているなかで、副食の確保が課題になっている」と話す。 副食不足に直面するフードバンクは静岡に限らない。京都市内などで食料品を提供しているセカンドハーベスト京都では7月、夏休みで給食がない子育て家庭約900世帯に15キロの食料品を送った。レトルトカレーやパックごはんを2食分入れたが、ほぼ1食分しか確保できず、寄付金で購入したという。パスタソースも2食分まで確保できず、購入してまかなった。 全国フードバンク推進協議会の米山廣明代表理事は「食料品不足に悩むフードバンクもあり、食料品をどう確保するかが問題。公的資金を投入するといった支援をしないと根本的な解決にならないのではないか」と話している。(大海英史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JR赤字ローカル線「地元が金出せば存続、おかしい」鳥塚亮氏は語る
国鉄がJRに分割民営化されて36年。国鉄時代から採算が取れないと言われてきた地方ローカル線は、JRに移ったほか、第三セクターの運営で存続したり、廃止してバスに転換されたりと、様々な道を歩みました。残ったところもいま再び、存続させるかの議論が高まっています。 千葉県の第三セクター「いすみ鉄道」で立て直しに取り組み、いまは、北陸新幹線の新潟県内の並行在来線を抱える県の第三セクター「えちごトキめき鉄道」(新潟県上越市)で社長を務める鳥塚亮さん(63)に、地方ローカル線の今後について聞きました。 連載 線路は続くか ローカル鉄道が廃線の危機を迎えています。線路は続くよ どこまでも――。希望を込めて歌うことはできないのか。現場からの報告です。 ――JR東日本や西日本などが、輸送密度が1日2千人未満の地方路線の収支を公表しました。 「『赤字だからやめたいので、地元で金を出してくれたら存続するよ』。JRがそのようなことを言うこと自体、鉄道会社として許されるのでしょうか。そもそも民営化して以来、JR東日本などは33年間連続黒字だった会社です。コロナでたかだか2年赤字になっただけでもうできませんっていうのはおかしい。じゃあ内部留保はどこへ行っているんですか、何が株主還元ですか」 「都会でバリアフリーのために値上げしているのだから、同じように新幹線の特急料金から100円をローカル線にあてればいい。新幹線で出た利益をちゃんとシェアする仕組みをつくって、ローカル鉄道やJR北海道とJR四国に振り分ければいいのではないでしょうか」 「沿線にも『無関心』のつけ」 ――とはいえ「年間何億円もの赤字」と言われると、そのような路線を残すのは難しいなと思ってしまいます。 「ただ、JRが言う赤字額の根拠はなんですかと言ってもブラックボックスなんです。鉄道運賃収入しかカウントせず、沿線の広告やグッズ収入も何も入らない。新型車両を投入しておいて、減価償却費で赤字が増えました、なんていうのもおかしい」 「一方で、沿線の側にも問題はあります。国鉄からJRに承継されて存続したところでは、沿線の自治体もJRに任せっきりで、この路線ならいくらぐらいの赤字になるのか、ということすら分かりません」 「だからJRに『何億円赤字… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
父親を刺殺しようとした疑い 28歳息子を殺人未遂容疑で逮捕 神戸
森直由2023年9月3日 7時55分 同居する父親を包丁で刺して殺害しようとしたとして、兵庫県警神戸西署は2日、神戸市西区学園東町4丁目の職業不詳、大井拓弥容疑者(28)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕し、発表した。父親は意識不明の状態で病院に搬送されたが、その後、死亡が確認された。 同署によると、大井容疑者は2日午後10時35分ごろ、同居する父の無職松一さん(64)の上半身を包丁で刺して殺害しようとした疑いがある。2日午後10時40分ごろ、同居する松一さんの長女から「父と弟がけんかをして、父が1階のリビングで血まみれで倒れている」と110番通報があった。大井容疑者は松一さんの長男で、姉、母と4人暮らし。当時は酒に酔っており、「弁護士が来るまでは話さない」と供述しているという。 松一さんは3日午前0時40分ごろ、搬送先の病院で死亡が確認された。同署は容疑を殺人に切り替え、動機などを調べる。(森直由) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京都・嵐山の目抜き通り「松並木の復活を」 観光の課題解決へ地元案
京都・嵐山で最もにぎわう「長辻通」に松並木を復活させようと、地元の嵐山まちづくり協議会が動き始めた。高度経済成長期に失われた歴史的景観をよみがえらせ、そぞろ歩きを楽しめる街をめざす。 松並木の復活をめざすのは、渡月橋北詰からJR山陰線までの約600メートル。片側1車線の車道の両側に土産物店などが軒を連ね、路線バスや観光人力車も走る。世界遺産・天龍寺などの寺社や「竹林の小径(こみち)」を訪れる観光客が往来する。 京都市道路明示課によると、渡月橋北詰からしばらくは両側に歩道があるものの、渡月橋から離れるにつれて歩道は次第に狭くなっていく。行楽シーズンの週末などには観光客が車道へあふれ、危険な状態が慢性化している。車の通行量を減らしたうえでの松並木の復活は、こうした安全面の課題解決と観光客の満足度を上げる「一石二鳥」を狙うプロジェクトだ。 松並木のある嵐山の景観は葛… この記事は有料記事です。残り850文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
慰霊祭と遺族つないだ映画監督 「子孫は語り継がなければならない」
関東大震災でデマにあおられた住民らが、群馬県藤岡町(現藤岡市)で朝鮮人17人を虐殺した藤岡事件から100年。9月9日に犠牲者が埋葬されたという成道寺(じょうどうじ)である慰霊祭には、韓国の遺族も来日して出席する予定だ。慰霊祭と遺族とを結びつけたのは、在日朝鮮人2世のドキュメンタリー映画監督の尽力だった。 茨城県に住む呉充功(オチュンゴン)さん(68)。呉さんは横浜の映画専門学校で学び、関東大震災の朝鮮人虐殺をテーマにした映画を制作している。 在日朝鮮人2世 大震災と虐殺がテーマ 呉さんは1982年、東京の荒川河川敷で虐殺された朝鮮人の遺骨発掘調査が行われたのをきっかけに撮影を始めた。生き延びた朝鮮人の証言なども取材して、「隠された爪痕」(83年)を制作。千葉県で軍が習志野収容所に集めた朝鮮人の一部を自警団などに引き渡し、民間人が殺害したという事件の証言などをまとめた「払い下げられた朝鮮人」(86年)も発表した。 追悼式や慰霊祭などを撮影する中で、違和感があった。「追悼式なのに遺族の姿が見えない。追悼するなら遺族がいるべきなのに……。犠牲者には帰りを待っていた家族もいたはずだ」 呉さんは、2012年から韓… この記事は有料記事です。残り715文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル