警察庁の露木康浩長官は28日の定例記者会見で、日本の企業の機密情報を狙ったサイバー攻撃について、中国を背景とするサイバー攻撃集団「BlackTech(ブラックテック)」によるものと特定したと述べた。「ブラックテックなどの国際的なサイバー攻撃には外国当局との捜査協力が不可欠だ」として、警察庁サイバー特別捜査隊を中心に国際連携を進める考えを示した。 警察庁は27日、ブラックテックが日本など東アジアや米国などの政府機関や電気通信などの企業に対するサイバー攻撃に関わったと発表し、安全対策を呼びかけた。発表は、米連邦捜査局(FBI)などと共に行われた。攻撃者やその背後の国家を特定して非難する「パブリックアトリビューション」で、日本政府として今回が6例目。露木長官によると、米当局との合同の注意喚起は初めてという。 露木長官は「2010年ごろからごく最近まで、主に海外子会社のルーターなどの脆弱(ぜいじゃく)性に目をつけ社内のネットワークに侵入し、本社などの機密情報を窃取する手口のサイバー攻撃が多発している」と説明。それらがブラックテックによるものと特定したという。 ブラックテックは、防衛省の防衛関連データのファイルが流出したとされる2020年発覚の三菱電機への攻撃や、21年に起きた富士通の情報共有ツールへの不正アクセスなどに関与した可能性が指摘されている。(編集委員・吉田伸八) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
南極の冬の海氷面積、観測史上最小に 北極の夏も過去6番目の小ささ
南極の冬の海氷面積が今年、観測史上最小を記録したと、米国立雪氷データセンター(NSIDC)が25日、発表した。 南極では冬の9月ごろ、大陸周辺の海氷面積が最も大きくなる。NSIDCによると、今月10日の面積は1696万平方キロメートルで、人工衛星による観測が始まった1976年以降、冬のピーク時では最小だった。これまでの最小記録は86年だったが、それを約100万平方キロメートルも下回ったという。100万平方キロメートルはエジプトの面積とほぼ同じで、日本の面積の約2・6倍にあたる。 海氷面積が最も小さくなる夏も、今年2月に過去最小を記録していた。 また、北極の海氷面積は夏の9月に最小となる。NSIDCによると、今月19日に423万平方キロメートルとなり、過去6番目に小さかった。 国立極地研究所の田村岳史准教授(極域海洋学)は「北極では海氷減少が続き、過去の水準に戻らなくなっている。これからの南極海でも起きることになるのか、地球全体への影響も含めて注意深く見守っていく必要がある」と話す。(中山由美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
運動会中に児童約30人が熱中症か 滋賀県彦根市の小学校、重症なし
28日午前11時15分ごろ、滋賀県彦根市安清町の市立佐和山小学校から「体調不良の児童がいる」と119番通報があった。市消防本部によると、児童ら約30人が熱中症のような症状を訴えた。 市消防本部によると、重症者はいないという。市教育委員会によると、佐和山小学校では28日朝から昼までの予定で運動会が開かれていた。 彦根地方気象台によると、彦根市の28日午前11時の気温は31・1度だった。(鈴木洋和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
セコムから警察庁へ、2度目の出向 幹部で採用、サイバー犯罪に対処
警察庁は28日、大手警備会社「セコム」に勤める40代の男性を10月1日からサイバー警察局の幹部として採用すると発表した。階級は警視正。サイバー捜査課のサイバー捜査分析官として情報の収集や分析にあたるほか、サイバー特別捜査隊の捜査にも従事する。 官民人事交流の一環で、男性は出向の形になる。男性は昨年3月までの4年間、警察庁の情報技術犯罪対策課に技官として勤務しており、今回の任期は2年間。2度目の採用は初めてで、民間に戻って得た最新の知見を、深刻化するサイバー犯罪への対処に生かしてもらう狙いがあるという。 男性は、セコムでサイバー攻撃の痕跡データの分析などにあたっており、警察庁への出向を希望したという。民間からの幹部としての受け入れも警察庁で初で、担当者は「都道府県警の指導も担ってもらう」と話す。 官民人事交流は、国の公募に民間が応募する仕組みで、警察庁は2015年に採用を始めた。今回の男性を含めこれまで18人を採用し、うち10人がサイバー警察局という。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
指導は英語、勝敗よりエンジョイ 国際色豊かなラグビークラブが人気
強豪でも、歴史のあるクラブでもない。それでも、生徒数が増えている人気のラグビークラブがある。 モットーは「ラグビーを通じて世界中に友達を作る」。どんなクラブなのか、訪ねてみた。 「ゴーゴーゴーゴー!」 「ピックアップボール!」 残暑が厳しい9月上旬、東京都世田谷区内のグラウンドに、英語で呼びかける声が響き渡っていた。 コーチの指示を聞くために、子どもたちが集まった。おそろいの赤いユニホームの背には、生徒の名前が英語で書かれている。HARUNOSUKE、KEIDEN、JOEY、ULYSSE…… クラブの名は「渋谷インターナショナルラグビークラブ」。2019年ワールドカップ(W杯)の日本招致にも関わった元日本ラグビー協会の徳増浩司さんが中心となり、17年9月に設立した。 イングランド発祥のラグビーだが、日本人と外国籍の子どもたちが一緒にプレーできるクラブは少なかった。徳増さんは、インターナショナルスクールに子どもを通わせる保護者からこう言われたこともある。「国籍も言葉も、コミュニティーのバリアーを破った交流をする場所を作ってほしい」。言葉は通じなくても、ラグビーを通じた交流はできるはず。W杯が終わっても「レガシー」が残るクラブを作りたい、との思いだった。 16人から始まったクラブは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
近畿最後のリバーシブルレーン、警察が廃止案 たどり着いた最適解
時間帯によって道路の中央線の位置を変え、車線の走行方向を逆転させる「リバーシブルレーン」。渋滞対策として各地に設けられたが、最近は減少傾向にあり、近畿地方で残るのは1カ所だけ。「わかりにくい」「怖い」という声もあり、警察はシミュレーションを重ね、廃止案をまとめた。 午後5時、大津市の県道高島大津線。道路上に設置された標識の矢印の位置が変わっていく。10秒もたたず、隣に移動した。その下が新たな中央線となった。 300メートルほど北にある交差点の矢印も移動。南向きだった中央の車線が、今度は北向きに変わった。日が暮れると、オレンジ色のLEDが中央線で光った。 大津市にあるリバーシブルレーンは、大津港口交差点(南端)から柳が崎交差点(北端)の約2キロ。 通常は北向き2車線、南向き1車線の計3車線。それが午前7~9時と午後3~5時には、北向き1車線、南向き2車線となる。 導入は1979年。市北部の宅地開発に伴い、朝夕のラッシュ時などに交通量が増えたためだった。だが2013年、近隣の西大津バイパスが4車線化するなどして、交通量は1979年の1日3万8千台から、2022年には2万9千台に減った。 リバーシブルレーンの区間で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
父さんのひつぎに寄り添い、泣きじゃくった 下宿先の母が見たリーチ
彼は初めて会った時、15歳の高校生だった。 彼は身長180センチにも満たないヒョロヒョロの少年で、新千歳空港で一人、紅白のボーダーシャツを着ていた姿は「ウォーリーをさがせ!」の主人公・ウォーリーのようだった。 彼は真っ先に「日本語を覚えたい」と言い、寝室の天井に「あいうえお表」を貼って学んだ。 彼は高校から帰ると、目と鼻の穴以外は、全身泥だらけで真っ黒だった。 彼は和食が大好きで、肉そぼろとピーマンと卵の「三色弁当」が一番の好物だった。 彼は故郷から約1万キロ離れた札幌で、一度も弱音を吐かなかった。 彼の名前はリーチ・マイケル… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伝えた先祖はキリシタン武士 山里の男たちが魅せられた鉄づくり
山里に伝わる史実をもとに、日本古来の「たたら製鉄」を復元しようと、夢を追う人たちがいる。 福島県境に近い宮城県丸森町筆甫(ひっぽ)地区。 伊達政宗が仙台藩主の頃、一人のキリシタン武士がここに住みつき、村人に製鉄技術を伝えたのが、物語の始まりだ。 武士の名は東海林備後(しょうじ・びんご)。 キリスト教禁止令の影響で、仙台藩では彼のようなキリシタンを、山里にかくまう必要もあったらしい。十数年の間、年間約7トンの鉄を藩に納め、筆甫はたいそう潤ったとされる。 およそ400年下って2002年のこと。 さびれる筆甫を盛り上げるネタはないかと、地域の仲間が相談していた。 「製鉄をまたやってみよう」と、誰かが言いだす。話は盛り上がり、7人で会が発足した。 庄司一郎さん(71)もその中にいた。 「今は技術の世の中。すぐできる」 甘かった 東海林備後の16代目の子孫… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国税ムラが招いた癒着 身内を調べたマルサ「感覚がまひするのかも」
【動画】マルサAの事件簿 国税局査察部、通称マルサ。その調査は「身内」に及ぶこともある。取り調べの腕前から「割り屋」と呼ばれたOB(55)が、知られざる内幕を語った。このOBを「A」とする。 《情報漏洩(ろうえい)で国税調査官を逮捕 脱税関与の疑い》 衝撃的なニュースが報じられたのは10年前。大阪国税局の現役調査官が内部情報を漏らし、企業の脱税に関与した疑いで大阪地検特捜部に逮捕された。情報を漏らした先は、国税局OBの税理士だった。 逮捕のきっかけとなったのはマルサの調査だ。 その前年、OB税理士が顧問先の企業に脱税指南を繰り返していた疑いがあるとして、大阪国税局査察部が強制調査に踏み切った。 OBは国税局の手の内を知る「元身内」。その不正を裏付けるため、100人に上るマルサが動員された。 総力を挙げた調査は当初、思うように進まなかった。帳簿の数字はきれいに整えられ、カネの流れに矛盾点を見つけることができなかった。 突破口を開いたのはAのチームだ。 膨大な領収書 浮かんだ不審点 調査を任された顧問先企業に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ウィシュマさん収容中発言は「看守の注目集めるため」 国側が意見書
名古屋出入国在留管理局で2021年3月に亡くなったスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)を巡る国賠訴訟の弁論が27日、名古屋地裁であった。国側は入管側の対応に問題がなかったとする医師の意見書を提出した。 訴訟では、収容中のウィシュマさんの体調悪化が深刻化するなか、入管側が適切に対応したかどうかが争点となっている。 原告側は「私、死ぬ」「息、難しい」と訴えるウィシュマさんに対し、入管側が適切な医療行為を施さなかったと主張していた。一方、国の意見書で医師は、直前の診察で異常がなかったことなどを根拠にこれらの発言は「看守の注目を集めるため」だったとし、ウィシュマさんが深刻な状況ではなかったとの見方を示した。 これに対し、ウィシュマさんの妹のワヨミさん(31)は意見陳述で「姉は大げさに苦しんでみせたということなのか。こんなことを医者がいうなんて本当にありえるのか。なぜこんなひどい言われ方をしなければならないのか」と述べた。 遺族側弁護団の指宿昭一弁護士は閉廷後の記者会見で、「詐病で人は死なない。どんなに理屈をねじまげてでも入管の責任を否定したいという思いがこの意見書にもにじんでいる」と批判した。(高橋俊成) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル