1985年、ある大阪市立小学校の5年2組にトシくんという知的障害のある男の子がいた。下校時は同級生が交代で自宅まで送り届けていたが、やがて数人の女の子しか送らなくなった――。その問題を話し合った学級会について記事にした記者が今春、48歳になったトシくんに会いに行った。 担任は当時23歳だった久保敬さん(61)。その後に別の小学校で担任をしたお笑いコンビ「かまいたち」の濱家(はまいえ)隆一さん(39)との物語を「僕の好きな先生」という連載で紹介した元教員だ。 さて新人時代の久保さんは、トシくんを支えるという学級目標がなし崩しになっていると感じ、学級会を開くことにしたという。 子どもたちは互いを非難し合い、最後は「当番制でトシ君を送ろう」と決まりかけた。そのとき、ふだんはほとんど発言しない女の子がまっすぐ手を挙げて言った。 「トシくんはモノと違うねん」 クラス全体がシーンと静まりかえった。 毎日トシくんを自宅に送る彼女は「私が一緒に帰るのは、嫌々じゃなくて……」と続けた。 きれい好きとして知られていたトシくん。下校中によその家の玄関を見て靴の乱れに気づき、中に入って整えたこともあるという。「そういうのが楽しい」と彼女は言った。 私は2021年3月、大阪市立木川南小学校の校長だった久保さんからこの話を聞いた。久保さんは学級会での女の子の発言と、自身の恥ずかしさが忘れられない。 「素直な優しい心ですよね。それに比べて僕がみんなに求めた『優しさ』は上から目線で嫌らしい魂胆がみえみえでした」 この話はすぐ記事にし、今春には5年2組の物語を「僕の好きな先生1985」という連載にした。これにはわずかに間に合わなかったものの、同級生の目撃情報を元にトシくんの現在の住所を知ることができた。 ◇ 大阪市内の一戸建ての表札に、トシくんの名字があった。チャイムを鳴らすと、玄関から出てきた女性は5歳上の姉だった。やがて、大柄な男性がドアから出てきた。 「久保先生のクラス楽しかったんやな?」 「久保先生って、あの久保先… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「お母さんはおばさん」 3歳の娘に言われて謝る母、その翌日に夫は
写真家のHASEOさん(51)が8歳下の妻と出会ったのは15年ほど前。 きっかけは、愛知県内のある美容室から広告の撮影を依頼されたことだった。 参考までに過去のヘアモデルの写真を見ていたら、ミディアムロングの髪形の女性に目がとまった。 フワッと髪が揺れていて、振り向きざまに撮ったと思われる1枚。 聞いてみると、カメラマンではなく素人の副店長が撮影したという。 「プロじゃないし、加工もしてないのに、なんて美しい人なんだ!」 体に電流が走ったように感じて、すぐに「このモデルさんに会わせてほしい」と頼み込んだ。 「1年間タダで撮影してくれるなら紹介してあげる」と言われ、毎月のようにお店へ。 何度目かで、ようやく彼女を撮影させてもらえた。 会う度に精いっぱい誠実さをアピールした結果、交際できることに。 写真家としてはまだまだ駆け出しで、キャバクラの宣伝用写真などの撮影を仕事にしていた。 それでも彼女は「あなたの撮る写真が好き」と言ってくれた。 休みの日は、車にカメラとドレスだけを積み込んで2人でドライブ。 撮影場所を見つけては着替え、たくさん写真を撮った。 娘から「お母さんはおばさん」と言われて 結婚して10年以上が経ち、今では息子(8)と娘(3)もいる。 今年8月中旬、ちょっとやんちゃで口の悪い娘が、妻に向かってこんなことを言った。 「リカちゃんのお母さんは若くてきれい。お母さんはおばさん」 横で聞いていたHASEOさんは「お母さんもきれいだよ」と言い返した。 妻は「ごめんね。お母さんも頑張ってきれいにするね」と謝っている。 39歳の時に産んだ子だから、他のお母さんと比べて年上なのかもしれない。 でも、こんなにきれいな妻をそんな風に言うなんて、娘とはいえ納得がいかない。 それならば、母親が美しいと… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
秋風に揺れる50万株、青い空と海を背景にコスモスが見頃 福岡
福岡市西区の能古島にある「のこのしまアイランドパーク」で、コスモスが見頃を迎えた。訪れた人たちは、青い空と海を背景に広がるコスモス畑で、散策をしたり、写真を撮影したりしていた。 園内では早咲きのコスモス約50万株が咲きそろい、ピンクや薄紫、白色の花が穏やかな秋の風に揺られていた。別の花畑には遅咲きのコスモス約30万株も植えられ、10月下旬から11月中旬まで楽しめるという。 入園料は、高校生以上の大人1200円、小中学生600円、3歳以上の幼児400円。問い合わせは同パーク(092・881・2494)。(日吉健吾) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
記憶つなぎ、防災リーダーに 土砂災害10年、行動する高校生たち
39人の死者行方不明者を出した伊豆大島の土砂災害から10年を迎えた=中山由美撮影 伊豆諸島の大島(東京都大島町)で39人の死者・行方不明者が出た土砂災害から、16日で10年。節目の年となる今年の春、当時最大の避難所になった都立大島高校に「防災活動支援隊」が発足した。まだ幼かった10年前の惨状を断片的に覚えている高校生たちが、「経験を引き継ぎ、島の防災リーダーになろう」と立ちあがった。 「家は全壊、孫2歳……」 今月5日、支援隊と生徒会のメンバーが教室に集まった。1人がカードを手に、「被害状況」や「家族構成」を読み上げる。避難所運営を想定した図上訓練だ。 机に広げた紙には、体育館をいくつかの区画に分け、番号をふった図が描かれている。「この家族はどこに配置する?」。隊長の吉岡武佑(たける)さん(3年)が問いかける。生徒たちは受付係や物資係などの役割を分担し、意見を出し合った。 支援隊は3学年で15人。大… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊豆大島・土砂災害から10年 死者・不明39人「復興終わらない」
39人の死者行方不明者を出した伊豆大島の土砂災害から10年を迎えた=中山由美撮影 36人が亡くなり、3人が行方不明となった伊豆諸島・大島(東京都大島町)の土砂災害から、16日で10年になる。崩れ落ちた山肌には緑が戻り、10年にわたる復興計画は一区切りとなる。 2013年10月、台風26号は大島に記録的大雨をもたらし、16日未明に各所で土石流が発生した。 人々と家屋を巻き込んで大量の土砂が流れ落ちた三原山の斜面は、復旧工事が施され、被害が最も大きかった元町神達地区には2年前、災害の記憶を伝えるメモリアル公園が完成した。 だが、行方不明者の捜索は今もほぼ毎月行われ、遺児への就学資金支援も続いている。 今月は地震が続き、津波注意報も相次いだ。島は、火山噴火、台風、豪雨など、自然災害と常に隣り合わせだ。坂上長一町長は「復興は終わらない。地域の助け合いや、国や都との連携を強めて、安心して暮らせる島になるよう努めたい」と話す。(中山由美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かつての拠点いま倉庫に 解散命令出た明覚寺とオウム真理教のその後
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、政府が解散命令を請求した。宗教法人が解散させられるとどうなるのか。かつて法令違反を理由に解散命令が出た明覚寺とオウム真理教のその後をたずねた。 和歌山県の高野山。森林を切り開いた場所に、ある寺院施設があった。外壁ははがれ落ち、室内は段ボールが山積みになっている。1995~96年に「霊視商法」詐欺事件で幹部らが逮捕された明覚寺が拠点にしていた施設だ。 解散命令は2002年。被害対策弁護団の事務局長を務めた瀬戸和宏弁護士によると、1998年に高野山真言宗の総本山金剛峯寺が被害救済のため明覚寺の寺院施設を約16億円で買い取った。損害賠償を訴えていた全国325人に対し、明覚寺側が売却資金を元手に約11億円払うことで裁判外で一括和解。幹部の逮捕や施設の売却で宗教法人としての基盤は失われており、瀬戸弁護士は「解散命令の効果は限定的だった」と話す。 逮捕・起訴後に無罪判決を受… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】天皇、皇后両陛下、予定通り石川・国民文化祭に出席
天皇、皇后両陛下は15日、石川県を訪問し、いしかわ総合スポーツセンターで行われた第38回国民文化祭と第23回全国障害者芸術・文化祭の開会式に出席しました。 羽田空港では、両陛下が搭乗した航空機に不具合があり、予備機で小松空港へ向かうことになりました。 出発の遅れに伴い行程の一部が変更されましたが、同センターへは予定通り到着しました。 16日は、県立音楽堂や県立図書館でアート作品、朗読劇などの鑑賞が予定されています。 15日にあった開会式の様子を中心に、写真でお伝えします。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「感情を素直に出せる絵本を」 石川えりこさん原画展、荒川区で開催
東京都荒川区の「ゆいの森あらかわ」で「石川えりこ絵本原画展」が開かれている。区で「豊かな心を育む読書のまちづくり条例」が制定されたのを記念したイベントで、18日まで。 絵本作家の石川えりこさんの「ほんやねこ」(講談社)、「庭にくるとり」(ポプラ社)など5作29点の原画が展示されている。 15日は石川さんの講演会もあった。自身の絵本「こくん」「またおこられてん」「庭にくるとり」などを読み聞かせした上で、「自分の小さいころが映画のように記憶されていて、頭に浮かんだことを描いていく」と作品誕生のエピソードを紹介。「子どもたちが喜んだり怒ったりする感情を素直に出せるような絵本を描いていきたい」と話した。 区は、同条例を今春制定し、読書に親しめる環境の整備や施策を進めていくという。 石川さんは、デザイナーを経て絵本作家になった。昨年、同施設で開催した「世界のバリアフリー児童図書展」で、作品が紹介されたのが縁で、今回の原画展が実現した。 原画展は観覧無料。午前9時~午後8時半。(中山由美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海中に沈んだ車から5人の遺体を発見、父親と小学生4人 三重
15日午前10時55分ごろ、三重県南伊勢町で、海中に車が沈んでいるのを三重県警の警察官が見つけた。車内から5人が見つかり、全員の死亡が確認された。県警によると父親とその子ども4人という。 伊勢署によると、沈んでいた普通乗用車から見つかったのは、自営業の羽根正樹さん(37)=同県伊勢市朝熊町=と、いずれもその子どもで小学6年の聖夏(せな)さん(12)、小学5年の怜皇(れお)さん(10)、小学3年の蘭琉(らる)さん(9)、小学1年の芽杏(めあ)さん(7)。13日午後2時ごろ、羽根さんの妻から「11日早朝に夫と子どもが車で釣りに出かけた可能性があり、まだ帰宅しない」と伊勢署に届け出があったという。 5人にいずれも目立った外傷はなく、県警は事件と事故の両面で調べている。(井上昇) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
みこし壊れれば神も喜ぶ 勇壮な「灘のけんか祭り」 兵庫・姫路で
「灘のけんか祭り」として知られる松原八幡神社(兵庫県姫路市)の秋季例大祭が15日、本宮を迎えた。 神社から約1キロ離れた御旅山の「練り場」では、締め込み姿の男たちが「ヨーイヤサー」のかけ声でみこしを持ち上げ、激しくぶつけ合った。 「みこしが激しく壊れるほど神様の意にかなう」と伝えられている祭りで、みこしがぶつかる音が練り場に響き渡ると、観客らで埋まった会場からは大きな歓声と拍手が上がった。(白井伸洋) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル