全国各地のハンセン病療養所には、それぞれ園歌がある。国の誤った政策で生涯、療養所に隔離された人たちにとって、園歌はどんな意味をもったのか。歌手の沢知恵さんは13カ所の国立療養所すべてを訪ね、入所者に歌ってもらい、楽譜や証言を集めてきた。歌が果たした役割とは、そして音楽の力とは。 ――なぜ、ハンセン病問題に関心を持ったのですか。 「キリスト教の牧師だった父は、学生の頃からハンセン病療養所で奉仕活動をしていました。私が生後6カ月になると、瀬戸内海の離島にある、大島青松園(高松市)に連れて行きました。もちろん記憶はありませんが、写真が残っています」 「私が高校生のとき、父は病気で亡くなりました。父の足跡を追い、1996年に青松園を訪ねました。約20年ぶりでしたが、『ともえちゃん、大きうなったなあ』と入所者の皆さんが大歓迎してくれました。入所者は子どもを持つことが許されず、赤ちゃんは珍しかったのでしょう。人が人を覚えてくれている。大きな愛を感じ、島に通うようになりました」 ――大島青松園では2001年から毎年、コンサートを開いてきましたね。 「コロナ禍で中断しましたが今年8月、島外からの人も交えて4年ぶりに公演しました。療養所がどんなところか、外の人に伝え、足を運んでもらうことが私の使命だと思っています」 ――ハンセン病療養所の園歌に関心を持ったきっかけは。 「青松園の教会で偶然、園歌… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【そもそも解説】性別変更のルールとは? 手術要件が高いハードルに
生まれた時の性別とは異なる性別で生きるトランスジェンダーの人たちが戸籍上の性別を変えるには、卵巣や精巣を切除して生殖能力を失う手術などを受けなければなりません。こうした法律上の手術要件が憲法に違反するかどうかについて、最高裁大法廷が25日に判断を示します。性別変更のルールや、当事者をとりまく実態を詳しく解説します。 Q 性別変更のルールはどうなっているのか。 A 「性同一性障害特例法」が2004年に施行されて、戸籍上の性別変更が可能になった。 2人以上の医師が性同一性障害と診断している人で、①18歳以上②現在結婚していない③未成年の子がいない④生殖腺(卵巣や精巣)がない、またはその機能を永続的に欠いている⑤変更する性別の性器に似た外観を備えている――という5要件をすべて満たしていれば、家庭裁判所が性別変更の申し立てを認める。 このうち、生殖能力の喪失を求める④の「生殖不能要件」と、体の外に現れている外性器の外観を変えることを求める⑤の「外観要件」を満たすためには、原則として性別適合手術が必要だ。④と⑤をあわせて「手術要件」と呼ばれる。 LGBTの中でも少数派、人口の1%未満か Q 法律の名前にある「性同一性障害」とは? A 生まれた時の性別に強い違和感を抱く人たちに対する医学的な診断名だ。1980年に発行された米国精神医学会の診断の手引「DSM―Ⅲ」が、「Gender Identity Disorder」という診断名を採用し、性同一性障害と訳されて広がった。 日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」は、生まれた時の性別に対する「不快感・嫌悪感」や、自認する性別への「強く持続的な同一感」などから、性自認を判定するよう求めている。 専門医は「ホルモン治療を始… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
トランスジェンダー「性別変更に手術」は違憲か 最高裁きょう判断
トランスジェンダーが戸籍上の性別を変えるのに、生殖能力を失わせる手術などを必要とする「性同一性障害特例法」の要件は、憲法に違反するか――。最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は25日に判断を示す。最高裁は2019年、別の事案を4人の裁判官で審理した第二小法廷が要件を「合憲」と判断しているが、今回は裁判官15人全員で審理する大法廷に回付された。4年間の社会の変化を踏まえ、最高裁の判断は変わるのかが注目される。 大法廷が審理しているのは、出生時の性別は男性で、女性として社会生活を送るトランス女性が、手術なしでの性別変更を求めた家事審判だ。 4年前は合憲 特例法は性別変更に五つの要件を定めており、そのうち「生殖腺がないか、その機能を永続的に欠く」(生殖不能要件)と「変更する性別の性器に似た外観を備えている」(外観要件)を満たすには、精巣・卵巣の摘出や陰茎切除などの手術が原則必要とされる。 申立人は手術を受けていないが、長年のホルモン投与で生殖能力が減退するなどし、要件を満たすと主張。手術の強制は幸福追求権を定めた憲法13条などに違反すると訴えている。家裁、高裁は認めなかったため、最高裁に特別抗告した。 最高裁は審理を大法廷に回付した上で、9月、公開の法廷で弁論を開いて代理人の主張を聞いた。また、プライバシーに配慮した状態で申立人本人の意見を聞くため、非公開の「審問」を別に開く異例の措置をとった。 生殖不能要件をめぐっては、最高裁の判断を前に、別の事案で「違憲」とする初めてとみられる司法判断が出た。静岡家裁浜松支部が今月11日、生殖不能要件は「違憲で無効」と判断。手術を受けていない申立人の、女性から男性への性別変更を認めている。 浜松支部の判断は他の裁判所の判断を拘束する効力はないが、最高裁が規定を違憲と判断すれば、全国の裁判所に与える影響は極めて大きい。当事者にとっては、手術なしの性別変更に大きく道が開かれることになる。(遠藤隆史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【締め切り迫る】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子どもと滑り台→大人が大けが、県に190万円賠償命令 名古屋地裁
子どもと一緒に滑り台を滑った大人がけがをした法的な責任は誰にあるのか。この点が争われた訴訟の判決で、名古屋地裁は24日、大人が子どもと一緒に滑ることが常態化し、対象年齢の表示が目立つ場所になければ管理者にも責任があるとの判断を示した。その上で、問題となった滑り台を設置した愛知県に約190万円の賠償を命じた。 この滑り台は県営あいち健康の森公園(大府市)にある全長43メートルの「ロングスライダー2」。判決によると、原告の男性(当時33)は2017年10月、子どもを足の間に挟んで滑り出し、子どもを抱くために手すりをつかめない状態で加速したままカーブに突入。飛び出した足が周囲を覆う格子とネットとの間に挟まれ、足に大けがを負った。男性は構造上、安全性を欠いていたなどとして管理者の県に約1800万円の賠償を求めていた。 判決は、インターネット上で大人も使っているとの書き込みが多数存在し、子どもと一緒に滑る動画も公開されていたと指摘。その上で、県側は大人と子どもが一緒に滑ることを予測できたとし、大人に危険がある造りだったとして県の過失責任を認めた。 一方で、判決は滑り台の周囲には対象年齢は6~12歳で、手すりを必ず持って滑るよう求める注意書きもあったと指摘。男性にも問題があったとし、8割の過失相殺が相当と結論づけた。県は事故後、滑り台の入り口付近にも、対象年齢などを記した注意書きを設置した。(高橋俊成) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学校やホテルで児童盗撮した罪 元絵画教室経営の男が起訴内容認める
携帯電話で児童を盗撮したなどとして、大阪市北区の元絵画教室経営、礒貝享平被告(38)が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(製造)などの罪で大阪地検に起訴された。大阪地裁で24日、初公判があり、礒貝被告は起訴内容を認めた。 起訴状などによると、礒貝被告は2021年5月ごろ、大阪府内の絵画教室で児童の様子を動画撮影し、携帯電話に保存して児童ポルノを製造したとされる。また、22年11月~23年3月ごろ、府内のホテルのトイレや学校などで計7回、スカートの中などを撮影したとして府迷惑防止条例違反(ひわいな行為)の罪にも問われた。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山口組系組員が逃走、マンション侵入容疑で逮捕 追突事故も
警察官に追われて逃走中にマンションのベランダに潜んだとして、福岡県警早良署は24日、住所不詳、6代目山口組傘下組織組員の藤井紋寛容疑者(34)を住居侵入の疑いで現行犯逮捕した、と発表した。弁護人が来るまで話さない旨述べているという。 署によると、藤井容疑者は別の事件の容疑で逮捕状が出ており、24日、福岡市博多区の藤井容疑者の立ち寄り先で署員が声をかけたところ、車に無言で乗り込み逃走。同市東区の都市高速東浜出口付近で信号待ち中のトラックに追突するなど自身の車を含め4台が絡む事故を起こした後、車を乗り捨ててマンションに逃げ込んだという。 マンションでは、雨どいなどをつたって3階まで上り、ベランダに座り込んで潜んでいたという。同日午後1時20分ごろ、住居侵入容疑で現行犯逮捕された。 事故によるけが人はおらず、逃走を制止しようとした警察官4人が左腕や右足を打撲するけがを負った。署は今後、声のかけ方や警察官の配置、逃走阻止の仕方を調査するという。(伊藤未来) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌の中心街にシカ 「どこに出てもおかしくない」 目撃通報相次ぐ
札幌の中心街でエゾシカが出没している。札幌市中心部を管轄する札幌中央署によると、23日から24日未明にかけては、シカを目撃したという110番通報が相次いだ。大通公園を挟んでホテルやビルが立ち並ぶ大通西8丁目などから、計10件寄せられたという。 市によると、24日午前10時ごろ、札幌駅から約1キロ西の距離にある北海道大学植物園で、職員が1頭のシカを目撃したという。園は安全確保のため休園し、市の職員も園内でオスのシカ1頭を確認した。交通量の多い時間帯にシカが歩き回って交通事故を引き起こさないよう、刺激せずに見守ったという。 10月はシカの繁殖期のため、オスはメスを求めて動き回るという。市の担当者は「街中のどこに出てもおかしくない。運転に気をつけてほしい」と話した。(古畑航希、新谷千布美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人工雪一筋60年 製氷機、冬に向かいフル稼働 六甲山スノーパーク
神戸市灘区の人工スキー場「六甲山スノーパーク」で、冬の営業に向けたゲレンデ用の人工雪づくりが始まっている。 スキー場は六甲山頂に近い標高855メートルにあり、1964年に「六甲山人工スキー場」の名前で営業を始めて、今季で60周年を迎える。 作業は23日から始まっていて、連日24時間態勢で製氷機を稼働させ、砕いた氷を積み上げた山を造っていく。12月2日の営業開始までに、計8880トンの氷を使って約50個の山を造り、山をならして幅20メートル、長さ260メートルのゲレンデを仕上げる。 施設の広報担当者は、「猛暑続きの8月は、順調に準備できるか心配していた。9月中旬から気温が下がり始め、例年通りに作業を始められて一安心です」。 ゲレンデの傾斜が緩やかで、スキー初心者が利用しやすいことをアピールし、若者や外国人旅行者の集客にも力を入れる。昨季は統計が取れる団体客だけでも、海外から約8千人が訪れた。 今年4~9月には、台湾や香港から施設の公式ホームページへのアクセス数が、これまでの約1・5倍に増えた。施設は今季、1万人の外国人団体客の集客を目指す。(林敏行) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
函館バス社長に賠償命令、解雇違法 函館地裁「悪意により監督怠る」
北海道南部の函館市など2市15町で路線バスを一手に運行する「函館バス」から不当な懲戒解雇や配置転換をされたとして、労働組合・私鉄総連函館バス支部の大岩伸一書記長と組合員4人が同社と森健二社長を相手取り、地位確認や損害賠償を求めた訴訟の判決が24日、函館地裁であった。五十嵐浩介裁判長は、同社の人事措置は組合活動を侵害する「不当労働行為」にあたると認定。同社と森社長に慰謝料計605万円の支払いを命じた。 弁護団は「社長の賠償責任を認めたのは異例で、画期的な判決」と評価した。同社の労使紛争を巡っては、札幌高裁が8月、同支部の執行委員長に対する雇い止めは無効だとする判決を出している。 今回の判決によると、大岩書記長は組合の活動を行うための「組合休暇」を組合員らに取らせたなどとして解雇された。また、組合員4人は遠隔地への配置転換を拒否したことなどを理由に、解雇されたり退職を余儀なくされたりした。 判決は、組合休暇を取らせたことは労組の正当な行為であり、これを理由にした解雇は不当労働行為だと判断。同社は書記長の解雇によって労組の弱体化を狙った「支配介入」にあたるとも言及した。 また、組合員4人の配置転換は労使協議を経ておらず無効であり、会社に不利な行動をとった者の配置転換を示すことで、他の組合員の脱退を誘引しようとしたと指摘。係争中に解雇されたことを重くみて、「報復的不利益取り扱い」にあたると判断した。 その上で判決は、森社長は「悪意または重過失により」会社が不当労働行為を行わないように監督する義務を怠ったとして、損害賠償責任があると結論づけた。 判決後の記者会見で、大岩書記長は「労組に残ることが本当にリスクがある中でがんばった成果だ」と喜んだ。 函館バスは「担当者がいないため答えられない」としている。(野田一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東近江市長が釈明「軽率な発言」 改めて「義務教育に危惧感」と主張
2023年10月24日 20時22分 フリースクールについて「国家の根幹を崩しかねない」「不登校の大半は親の責任」などと発言した滋賀県東近江市の小椋正清市長は24日、市議会の全員協議会で経緯を説明した。「軽率な発言だった。市民のみなさまに不快な思い、誤解を招いたことに責任を感じる」と釈明した。 一方で「大半の親は苦労してでも自分の子どもを学校に送っている」などと持論を改めて展開。「私の非難の矛先は、文部科学省の現在の不登校対策の考え方。フリースクールの存在が悪い、通っている親や子どもが悪いとは一言も思っていない」と話した。 フリースクールについて「実態は分かっているつもり。教育機会確保法で支援しろと言っているが、市が一般財源を拠出する以上、しっかりと枠組みがあるのか、効果のあるものなのか」と疑問を呈した。また、「中には遊び、時間が経過しているだけ。本当に支援するのではあれば、フリースクールの基準、一般市民に対する理由付けが必要」と話した。 さらに「しんどいところからボーダーラインにいる子どもたちが僕も行きたいという風になったらどうなるのか。国家が予定している義務教育の枠組みが崩れてしまう。そういう危惧感を持った」と述べた。 「フリースクールが義務教育の一環としての役割を果たしているなら喜んで支援する。制度設計がない中で支援するのは問題がある」とした。 ただ「義務教育があるがゆえに、大半の親は苦労してでも自分の子どもを学校に送っている」と改めて話した。 滋賀県内のフリースクールや親の会でつくる県フリースクール等連絡協議会は市長あてに、発言の撤回と、不登校の子や保護者らと協議する場を設けることを求めている。小椋市長は「協議会のみなさんから『対決より対話』という素晴らしい提言を頂いた。どれだけ私の至らぬ発言によって傷つけることになったのか、しっかり謝罪したいという気持ちを持っています」と述べた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【締め切り迫る】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル