海上自衛隊の女性自衛官がセクハラを受け、その後に意に反する形で加害男性と面会させられていた問題で、木原稔防衛相は31日の閣議後の記者会見で「言語道断」と当時の対応を非難した。 木原氏は、30日付で関係機関に対し、ハラスメント案件の対応状況を緊急点検し速やかに報告するよう指示したことを明らかにした。「指示を全ての自衛隊に徹底し、ハラスメントを一切許容しない環境を構築する」と語った。 防衛省や女性への取材によると、昨年12月、先輩の男性自衛官から胸や足を触られるなどの被害を訴えていた女性自衛官が、所属部署のナンバー2である1等海佐から職場の面談室に呼ばれ、加害男性と面会するよう求められた。女性は「しゃべりたくない」と泣いて拒んだが面会で謝罪を直接聞かされた。ショックで出勤できなくなり、今年3月末に退職した。 自衛隊では昨年、陸自での性… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自衛隊、閉鎖性ゆえの人権無視 専門家「セクハラ告発は当然の権利」
自衛隊で、セクハラを訴える女性自衛官の意図に反し、組織の上司が被害者と加害者を面会させ、加害者の謝罪を聞かせていた。対応の問題点について、被害者の心理支援に長年取り組んできた清泉女学院大学の岡本かおり教授(臨床心理学)に聞いた。 ◇ ――セクハラ被害を受けた女性が、上司から加害男性との面会を強要され、謝罪を聞くように迫られました。被害者にどのような影響を与えるのでしょうか。 「性暴力は被害者の気持ちや意思が無視され、一人の人間として認められていない状況といえます。被害者の人権は無視されたといっていいでしょう。このことに被害者は大きく傷つけられます」 「そして、謝罪を受け入れざるを得ないような状況は、『させられた』体験といえます。それは暴力を受けた時と酷似しており、性被害の後にもう一度、人権を無視されるという被害の上塗りになってしまいかねません。被害者が再度傷つくことは二次被害と呼ばれ、二次被害は被害からの回復を遅らせることが指摘されています」 「被害回復のためには、被害者の置かれた状況を想像して、被害に遭った方がどうしてほしいと考えているのか、謝罪を受けたいのかを被害者の意思を確認しながら考えるべきだったと思います」 何となく優先される組織の常識や価値観 ――被害女性は、これまで度々セクハラを受け、上司に相談してきたが対応されなかったと話しています。結果、セクハラを受けても声を上げないようになりました。性被害者がちゃんと告発できるようにするためには、どのようにするべきなのでしょうか。 「内閣府の調査(2021年… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鏡に映った自分の顔には… 安全なはずの給食、エピペンまでの18分
小学校の給食時間中、児童が激しいアレルギー症状「アナフィラキシー」を起こし、一時入院した。体調不良を訴えてから、症状を緩和する自己注射薬「エピペン」を担任が打つまで、20分近くかかった。学校側は幾重にも発症させない対策を講じていて、「起きるはずのない事故」だったことが対応を遅らせた。(茂木克信) 食べ始めて10分 「おなかが痛い」とトイレへ 乳・乳製品にアレルギーがあるこの児童は、給食で出る牛乳の代わりに毎日自宅から豆乳を持っていく。主食がパンの日は乳成分を含まないパンも持参する。おかずは乳成分を除去した食材で作られている。色分けされた専用のトレーを使い、教職員が給食室から直接運ぶ。 だから安心して食べられる。……はずだった。 9月5日午後0時15分、新潟県上越市の市立小学校。クラス全員分の準備が整い、一斉に食べ始めた。 児童はすぐ、のどに痛みを感じた。おかずに違和感を覚えたが、安全だと信じていたのでそのまま食べ続けた。 10分後。3分の1ほど食べ進めたところで、「おなかが痛いのでトイレに行ってきます」と担任の教諭に申し出た。トイレに向かう途中、気分が悪くてフラフラした。個室の便座に座った途端、下痢を繰り返した。 児童がトイレに向かって5分ほどして、担任は配布物を取りに職員室へ行き、その行き帰りにトイレの個室に鍵がかかっているのを確認した。声はかけなかった。同35分に給食の時間が終わると、補助職員に様子を見てくるよう指示をした。 児童はまだトイレの個室にいた。扉越しに「大丈夫?」と尋ねられ、「はい」と答えた。給食を片づけていいかも聞かれ、「片づけて下さい」と返した。 たどり着いた教室 「先生、気持ち悪いです」 補助職員が離れた後、息苦しさが増した。何とか教室へ戻ろうと個室を出て、手洗い場の鏡で自分の顔を見た。湿疹で真っ赤になっていた。 「乳かもしれない」 恐怖に襲われた。以前、外食… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「犯罪被害者のためにがんばった」天国の妻と長女に報告するために
昨春発足した、犯罪被害者やその家族による「新全国犯罪被害者の会(新あすの会)」の中心メンバー、渡辺保さん(74)。長女の美保さん(当時22)は、23年前に殺害された。自身の経験をもとに、被害者側への補償制度の整備などを訴える。 2000年10月16日の夜、美保さんは当時勤めていた衣類レンタル会社から、横浜市瀬谷区の自宅に帰る途中に襲われ、遺体で発見された。歩いていたところを背後から車ではねられて失神し、包丁で首を刺されて死亡した。 事件は、家族の日常を奪い去った。 ナイフが…悪夢に苦しんだ末 郵便局で保険の営業をしていた保さんは、家族を養うために仕事を続けたが、以前のようには打ち込めなくなった。 傷つけられた美保さんの遺体を見てから、妻の啓子さんはナイフで切られる悪夢にうなされ、自傷行為をしたり、泣きながら家を飛び出したりするようになった。 当時大学生だった次女と必死に支えたが、「お母さんが一番大変なんだから支えてあげて」と周囲から言われ続けた次女が、「私も大変なんだけどな」とこぼした時は、いたたまれなかった。 発生から約3年が過ぎたころ、美保さんの中学時代の同級生の男が警察署に「現場の花束を見たり遺族の手記を読んだりして、自責の念にかられた」と出頭した。 その後、全面否認に転じたが、検察は殺人罪などで男を起訴した。 それでも、家族の苦しみは続いた。 当時は、被害者やその家族が… この記事は有料記事です。残り1780文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
喫茶店から考える店と客、地域の関係 コミュニティー共有の財産に
記者コラム 「多事奏論」 編集委員・長沢美津子 なるべくなら買いものや飲食は、個人店を選ぶことにしている。その方がおもしろいからだ。知らない土地では日常に一歩踏み込む好奇心、ご近所には顔のわかる安心のテリトリーがほしいのだと思う。面倒な時もあるし、失敗もする。ヒマがあるねと言われればその通りだけれど、自転車を先まで走らせてしまう。 商店街を見回してわかる通り、個人店は減った。けれど消えたわけではない。「喫茶店のディスクール」(誠光社)には、個人の「いい店」が生き残るヒントが詰まっている。小さな商いを成立させる方法論を読みながら、サービスを求める一方の消費者と、店を育てる客の違いを考えることにもなった。 著者は京都、倉敷、和歌山の白浜と三つの街で喫茶店を営む焙煎(ばいせん)家のオオヤミノルさんだ。1967年生まれ。コーヒーの世界では、ネルドリップと深煎りの技術が知られている。 ディスクールとは言説。喫茶… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【写真まとめ】レンズがとらえた2023年10月
ラグビーの第10回ワールドカップ(W杯)フランス大会は8日、1次リーグD組最終戦がナントであり、日本はアルゼンチンに27―39で敗れた。日本は1次リーグ2勝2敗で、イングランド、アルゼンチンに次ぐD組3位となり、2019年日本大会に続く2大会連続の決勝トーナメント進出はならなかった。 将棋の藤井聡太名人・竜王(21)が史上初の「八冠独占」を達成した。11日、第71期王座戦五番勝負第4局で永瀬拓矢王座に勝ち、シリーズ成績を3勝1敗とし、王座のタイトルを奪取。名人・竜王・王位・叡王・棋王・王将・棋聖という保持していた七つのタイトルと合わせ、八冠となった。 この1カ月を写真で振り返ります。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
畳の上にゴロン、見上げると満天の星 愛知・豊橋のプラネタリウム
プラネタリウムを畳に寝転んで楽しめる「お座敷シート」が、愛知県豊橋市大岩町の市視聴覚教育センター(とよはしプラネタリウム)に設置された。11月1日から利用できる。 1989年まで大型の投影機が設置されていた場所に設けた。4畳のスペースに畳が敷かれており、親子連れが一緒に寝転んで頭上に輝く満天の星を楽しむことができる。 大人もプラネタリウムを訪れたくなるようにしよう、と企画した。天文学担当の杉浦裕紀学芸員は「眠ってしまうほどの心地よさを体験してほしい」。 お座敷シートとは別に、リクライニングできる総本革張り高級チェアで楽しめる「プレミアムシート」も設けた。 観覧料大人300円、小中学生100円のほかに、「お座敷シート」「プレミアムシート」は、いずれも1席700円の座席使用料が必要になる。(戸村登) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
陸自性暴力事件、3被告に懲役2年求刑 五ノ井さん「厳しい判決を」
陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)に勤務していた元自衛官の五ノ井里奈さん(24)への強制わいせつ罪に問われた元自衛官3人=懲戒免職=の公判が30日、福島地裁であった。検察側は「宴会を盛り上げたいという自己中心的で身勝手な動機で犯行に及んだ」として3人に懲役2年を求刑した。弁護側は改めて無罪を主張し、結審した。判決は12月12日。 渋谷修太郎(30)、関根亮斗(29)、木目沢佑輔(29)の3被告は2021年8月、北海道別海町の陸自演習場の建物で飲食中、格闘技の技を使って五ノ井さんを押し倒し、何度も腰を押しつけるなどのわいせつ行為をしたとして起訴された。 検察側は論告で「性行為のまねごとをするだけでなく、着衣越しとはいえ、陰部を当てており、性的性質が強い。性的羞恥(しゅうち)心を大きく害する行為で、卑劣で悪質だ」と主張した。 一方、弁護側は、現場にいた元同僚らの証言について「変遷し、信用性がない」と反論。被害を告白した五ノ井さんの証言も「過大に評価すべきではない」として、いずれも無罪を求めた。 五ノ井さん「今もフラッシュバックに襲われる」 五ノ井さんは論告を前に意見陳述し、「今も被害のフラッシュバックに襲われます」と述べた。その上で、「夢や希望を持っている人が同じような被害に遭わないよう、厳しい判決を望みます」と求めた。(滝口信之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日大が検証結果を報告 違法薬物問題の対応をめぐり 31日に会見
日本大学は30日、アメリカンフットボール部の違法薬物問題をめぐる大学側の対応の検証結果をまとめた報告書を文部科学省に提出した。31日午後、検証を行った第三者委員会が会見する。 薬物問題をめぐる日大の対応について、文科省はガバナンス(組織統治)の点を問題視し、対応の検証とその報告をするよう、8月に通知を出した。通知では「公共性の高い学校法人としての信頼性を損なう事態が生じている」と指摘していた。 報告を求めたのは、昨年11月に大麻使用の申し出がアメフト部員からあった際、所轄の警察署に相談しなかった理由や、学生の処分決定過程とその適切性▽今年7月にアメフト部学生寮で見つかった、大麻と思われる植物片の取り扱いの意思決定の過程や、理事長や警視庁への報告が遅れた理由とその適切性▽薬物使用の実態が十分に解明されていない中で、8月10日にアメフト部の無期限活動停止処分解除の判断をした理由や意思決定過程▽広報の内容や時期などの適切性――など。 日大は8月に第三者委員会を設置し、検証を行ってきた。アメフト部学生寮へ2度目の家宅捜索が入ったことなどを受け、検証の対象が拡大したとして、9月15日だった提出期限を延期していた。 薬物問題への対応をめぐっては、ガバナンス不全を理由として、国の補助金である私学助成の今年度の交付が、全額不支給となることが決まっている。(山本知佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
子どもの自殺、詳細調査の実施「20人に1人」 遺族、国に改善要望
自殺した子どもの20人に1人しか詳細な要因調査の対象になっていない――。文部科学省の調査でそんな実態が明らかになり、遺族のグループが30日、改善を求める要望書を文科省に提出した。 同省が今月公表した問題行動・不登校調査によると、2022年度に自殺した児童生徒411人のうち、国のガイドラインが定める詳細調査が行われたのは4・6%(19人)にとどまった。 詳細調査は再発防止策を打ち出すことを目指すもので、ガイドラインは「全事案について心理の専門家などを加えた調査組織で詳細調査を行うことが望まれる」と明記。遺族の要望があった場合は行うべきだとする。 そもそも説明を受けていない遺族も ただ、遺族の40・6%はそもそも詳細調査という仕組みの説明を受けていないことも今回の文科省調査で明らかになった。仕組みを知らなければ要望することができず、詳細調査の実施率が高まらないうえ、再発防止策が不十分な内容にとどまるおそれもある。 ガイドラインの運用上の課題… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル