海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)で、運用を停止していた米軍の無人偵察機MQ9が4日に飛行を再開すると九州防衛局が明らかにした。基地内で8月、滑走路をオーバーランする事故を起こして以来、飛行再開は約1カ月半ぶり。 鹿屋市の中西茂市長は「今回のような事故が二度とないよう万全を期していただきたい」とのコメントを出した。 事故は8月22日に発生。無人機は着陸時にオーバーランをして滑走路近くの地上設備に接触した。けが人はなかった。 九州防衛局は9月29日、中西市長らに米軍がまとめた再発防止策を示し、飛行を再開すると米軍の方針を伝えていた。ただ、事故原因は明らかにしておらず、地元からは不満の声が出ていた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自殺止めようと名乗ったら除名に 「いのちの電話」処分は不当と提訴
黒田早織2023年10月4日 18時30分 まさに自殺しようとする相談者を止めようと自分の名前と電話番号を告げたら除名されたとして、社会福祉法人「神戸いのちの電話」の元相談員で司法書士の男性(70)が4日、処分の無効を求める訴訟を神戸地裁に起こした。会見を開いた原告側は「根拠のない処分で不当だ」と訴えた。 訴状によると、男性は1月、「借金で追い詰められ、今まさに首をつろうとしている」との電話に対応。相手を止めようと自身の名前と電話番号を教えたところ、倫理事項違反に当たるとして7月に同法人から実質的に除名された。 同法人の実務ハンドブックには、倫理事項に「相談員は匿名で活動する」と記載。「関係が私的になることを避け、必要な援助的距離を保つため」などと記されている。だが違反の際の処分などについては特に定めがなく、除名は根拠がなく違法だと男性は訴える。 男性が名前を伝えたのは「債務整理に携わる司法書士として、借金で死ぬ必要はないと説得的に伝えるためだった」とし、「実際に相談者を自殺から引き離せた。『いのちの電話』の目的に合致する対応だ」と主張する。その後相手と連絡を取ったり、司法書士として報酬をもらったりもしていないという。 男性の代理人弁護士は「自殺防止という社会的な役割を果たす組織にもかかわらず、手続きがずさんだ」と指摘した。 同法人は取材に対し、処分を定めた規定はないことを認めた上で、「今回の処分は同法人の『研修委員会』で判断した」と回答。訴訟については「訴状が届いていないのでコメントできない」と述べた。(黒田早織) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
離婚して別居の親、子どもの学校行事に参加できる? 文科省の説明は
「学校行事、授業参観及び習い事の発表会に参加することを認める」 埼玉県の女性(48)は、2017年末に裁判で離婚が成立した際、こんな和解条項を元夫と交わした。 幼稚園児と小学生だった男の子2人の親権は、元夫が持つことになった。ただし、女性も学校行事などに参加してもよいということを取り決めたものだ。 ところが、離婚して2カ月後から、幼稚園の参観日や音楽発表会、運動会はすべて行けなくなってしまった。 幼稚園に聞くと、「お父さんがダメと言っているからダメ」と言う。元夫は「園がダメと言っている」と濁した。 結局、幼稚園との話し合いもできないまま、次男は卒園した。 元夫は、面会交流の調停で小学校の全ての行事参加にも反対だと主張していた。それでも小学校に一度は受け入れられた。教頭は、「父母に見てもらうことが子どもの成長につながり、父母は、家では見られない子どもの社会性を見る機会になる。お母さんを拒む理由がない」などと説明した。 ところが、その後、元夫は学校に対し、「保護者とは親権者だ」「母親を学校に入れないように」などと抗議。女性は行けなくなってしまったという。 運動会や文化祭など、秋は学校行事のシーズン。離婚などで子どもと離れて暮らしている親にとっても、学校行事は成長した姿を見られる機会になる。しかし、そこで元夫婦の間でもめたり、学校などとの間でトラブルになったりするケースは少なくない。 昨年、裁判で離婚が成立した千葉県の会社員男性(49)の場合。 元妻が長女をつれて別居後も… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海外の番号からの詐欺電話、今夏に急増 実際は国内、アプリで偽装か
特殊詐欺のだましの電話に、「+」で始まる国際電話番号が使われるケースが急増している。警察庁のまとめでは8月は1千件、9月は2千件を超えた。固定電話やインターネット電話の規制強化を受け、詐欺グループが国際電話を装う手口に移っているとみられる。 警察庁は国際電話番号の電話に出ない対策が有効だとして、番号表示機能や海外からの番号を受けないサービスの活用を呼びかけている。国際電話不取扱受付センター(0120・210・364)に申し込めば無料で止められる。 国際電話は「+」のあとに国を表す番号がつく。警察庁によると、特殊詐欺に使われた電話の種類では「+」で始まる電話は昨年1~7月は月に数件だったが、その後に増加。今年5月に106件となり、6月201件、7月969件と急増し、以降も増えている。 9月は2192件で、このうち米国・カナダの番号が6割にあたる1402件で、マレーシアの180件、英国の57件が続いた。その他にドイツやポーランド、インドなど国は多岐にわたる。 警察庁は、詐欺グループが実際に海外から電話をかけているのではなく、国際電話の番号に変えられるスマートフォンのアプリを使い、国内などから電話しているとみている。さまざまな国番号を自由に選べるアプリもあり、同じ端末からその都度異なる番号でかけられるという。 警察は2019年から、特殊詐欺に使われた固定電話の番号の利用停止を、通信事業者に要請する取り組みを始めた。ネットを利用した「050」から始まるIP電話については、今年6月に利用時の本人確認の義務化が決まり、来春から実施される。 こうした対策の結果、固定電話番号が使われた件数は、昨夏の月1千件ほどから今年9月は402件に減少。IP電話も月2千件前後だった今年の夏前に比べ、9月は1277件に減少した。代わって海外の番号からが増えたとみられる。 警察庁幹部は「利用時の本人確認がほとんどないアプリで、国際電話番号を簡単に入手できるのが実情だ」と指摘する。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小川公代さん、難病の母に語る不思議の国のアリス ケアの倫理と文学
10月11日、朝日地球会議のセッション「問いでつながる 対話するためのヒント」に登壇する英文学者の小川公代さん。「ケアの倫理」で注目を集め、『世界文学をケアで読み解く』をこのほど出版した。 村上春樹の『ドライブ・マイ・カー』から、オスカー・ワイルド、バージニア・ウルフ、大江健三郎まで、古今東西の文学作品を「ケア」を切り口にとらえ直し、現代社会を照射してきた。その視点には、小川さん自身が直面する母親のケアの経験が影響しているという。 「朝日地球会議2023」参加申し込みはこちらから 今年で8回目を迎える地球会議で、新言論サイト「Re:Ron(リロン)」との連携セッションが10月11日に開かれます。リロンのアドバイザーの哲学者・永井玲衣さんがコーディネーターを務め、情報学研究者のドミニク・チェンさん、英文学者の小川公代さんとともに語り合います。 「現代はあらゆるものが数値化され、人間が見えなくなっている。拙速に答えを求められ、葛藤や内面世界の豊かな営みが可視化されず、存在しないものにされている。そんな今の社会の不条理を暴きたい」と小川さんは話す。 「ケアの倫理」は、米国の発達心理学者のキャロル・ギリガンが提唱した考え方。個の自立を重視する新自由主義思想に対して、他者と自己を分離せずに関係性を結ぶ「相互依存」を基盤としている。 「ケアの倫理には、他者に向かうケアと自分に向かうケアの両面がある。両方の利益をとろうとすると自分のケアと他者のケアの間に溝ができて引き裂かれ、葛藤を生む。その葛藤を持ち続けていることがケアの倫理なんです」と小川さん。 キーワードとして掲げるのは「ネガティブ・ケイパビリティ」だ。英国の詩人ジョン・キーツによる言葉で、「相手の気持ちに寄り添いながらも、分かった気にならない『宙づり』の状態、不確かさや疑いのなかにいられる能力」を意味し、ケアの倫理と通じる概念だという。 「自立することや自己と他者を分ける人が成熟していると考えられがちだけど、それだけが重要なのか。そこには切り離せないものがあり、できるだけ留保する生き方もある」 アリスにこめられた作者の問い、母に語ると そうした葛藤や複雑さを共有することができるのが「物語」であり、そこから生まれる「対話」の重要性を小川さんは説く。 「『正義の倫理』は正しさで… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ヒグマ対策「捕獲は欠かせない」 道のお願いに2千万回以上の閲覧
北海道が「X(旧ツイッター)」で、「ヒグマ有害捕獲へのご理解のお願い」と題して投稿したメッセージが反響を呼んでいる。閲覧は2千万回をこえ、お願いに理解を示す反応が多く見られた。道は「ときには捕獲が必要と一定の理解を得られたと思う」とするが、投稿した背景にはクマを駆除したハンターへの批判が相次ぐ現状がある。 「人や農業などの被害防止のため、やむを得ず捕獲する場合があります。この捕獲は地域の安全に欠かせないもの。捕獲への非難は、その担い手確保の支障となりかねません」 道が9月26日に投稿したメッセージだ。車が行き交う知床半島の市街地をうろつくヒグマ2頭の写真が添えられている。 投稿するひとつのきっかけとなったのが、道東地域で牛66頭を襲い続けた「OSO(オソ)18」だった。8月下旬にオソの駆除が明らかになると、撃ったハンターへの批判がSNS上などで続出。9月22日の道議会では「ハンターを志す人に大きなブレーキになる」として、道に対策を求める声が上がっていた。 これに対し、鈴木直道知事は「(ハンターは)安心安全な暮らしを守る上で欠くことのできない存在」と強調した上で、ハンターの人数が減り続ける中、「非難は担い手確保に支障を及ぼしかねない」との懸念を示していた。 知事の発言を受けて、道は22日にホームページで、「ヒグマの有害捕獲へのご理解について」と題したお願いをアップ。同様の内容を投稿した「X」のメッセージには、1千件をこえる返信が寄せられている。(古畑航希) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
女子大は選択肢になるか 出身の東大教授、白波瀬佐和子さんの転機
学生の募集停止や共学化にかじを切るなど、女子大の数が減っている。ジェンダーを取り巻く環境が変わりゆくなか、今後の日本に女子大は必要なのだろうか。 日本の女子大で学部と修士課程を過ごした後、英オックスフォード大学で博士号を取得した社会学者で東京大学教授の白波瀬佐和子さんに聞いた。 共学の大学や国際学術会議など、国内外で仕事をしてきましたが、私は女子大の出身です。 京都の田舎で、父に「女の子は短大に」と言われて育ち、そういうものなのだと思っていました。ただ、ずっと親元にいるのもしっくりこず、4年制大学には行きたいと希望したんです。父は結局、実家からあまり遠くない関西圏にある女子大の家政学部ならばという条件で認めてくれました。私は同志社女子大に入学しました。 その女子大で「自分は何をやりたいのか、目指したいのか」について、初めて真剣に考え始めました。「研究者を目指したら」と言ってくださった先生との出会いは、私の中にくすぶっていた知的好奇心を刺激しました。さらに、専門的な知識をつけたいと、東京のお茶の水女子大大学院に進学。しかしそこでも将来が見えず、壁にぶつかります。私がとった選択は、海外で勉強し直すというものでした。米ハーバード大学のサマースクールに飛び込みました。 「結婚資金を使わせて」と頼んだ 日本を出て、大学院で勉強を… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「犬や猫しか通らない」と揶揄された商店街、係長は市長室に呼ばれた
鳥取県境港市にある「水木しげるロード」が今年、誕生から30周年を迎えた。かつては「犬や猫しか通らない」と揶揄(やゆ)された港町のさびれた商店街には今、妖怪の魅力に引き寄せられて年間100万人以上が足を運ぶ。だが、整備前には地元から反対の声も上がっていた。 境港市役所の都市計画課係長だった黒目友則さん(74)は32年前のある日、市長室に呼び出された。 「老朽化したアーケードの改修と、それに合わせてにぎわいのある商店街になるよう考えてくれ」。市長から、疲弊した商店街の活性化を指示された。 JR境港駅から東へ延びる商店街はかつて、列車で通勤通学する人や、近くの魚市場で働く人でにぎわった。だが、マイカーが普及するにつれて列車を使う人は減った。昭和50年代には魚市場が別の場所に移転し、市内にデパートがオープンするなどして、人の流れが変わった。 さびれた商店街は、犬や猫しか通らない「犬猫通り」と陰口をたたかれた。 黒目さんはにぎわいを取り戻す一案として、歩道に彫像を置くことを考えた。そうすれば、多くの人が見に訪れてくれるのではないか。 地元のコンサルタントと話し合うなかで出てきたのは、パイプをくわえた船長や人魚など、海辺の街にちなんだものだった。だが、そんなものを本当に見に来てくれるのか。 そんなとき、1枚の妖怪の絵が目にとまった。 境港で幼少期を過ごした漫画… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「送りつけ商法」詐欺容疑で男3人逮捕 全国で1300件被害か
注文をしていないのに、商品を高齢者に無断で送りつけ、代金をだまし取ったとして、千葉県警がいずれも神奈川県に住む男3人を詐欺の疑いで逮捕したことが4日、捜査関係者への取材でわかった。県警は、このグループが関与したとみられる同様の詐欺被害の総額が4千万円近くに上るとみて、裏付け捜査を進める。 捜査関係者によると、逮捕されたのは川崎市と平塚市に住む50代、30代、20代の男。3人は2021年7月以降、千葉県木更津市と我孫子市の高齢女性2人に健康食品のメーカーを装い、通常価格が2千~4千円のサプリメントを送りつけ、1人当たり約3万円をだまし取った疑いがある。 男らのグループは高齢者宅に商品を送り付け、一軒一軒に電話をかけて代金を請求。被害者と商品購入の契約を交わさず、うその請求書をもとに代金を要求していたとみられるという。商品は高麗人参(にんじん)やブルーベリーなどを原料とするサプリメントが中心だった。 県警は、同様の被害は全国で1300件ほど確認。被害者は38都道府県で400人を超えるという。中には、最大で約300万円をだまし取られた被害者もいたという。(宮坂奈津) コロナ禍の巣ごもり狙い?増えた「送りつけ商法」 正しい対応は 注文した覚えのない商品が配… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大谷翔平の160キロに挑んだ夏 鉄道員の今も、心に生き続ける一球
【動画】11年前の夏、大谷の160キロに挑んだ 心に残る三振の記憶=柴田悠貴、長島一浩撮影、岩手朝日テレビ提供 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が本塁打王争いを独走中の9月上旬、駅員の鈴木匡哉(まさや)さん(28)は福岡市北東部にあるJR香椎駅のホームにいた。配属されて9カ月が過ぎ、指さし確認で列車を見送るしぐさも板についてきた。 11年前の夏、日米のスカウトが注目する花巻東の大谷選手と岩手大会の準決勝で相まみえた。一関学院のエースの鈴木さんは7点を追う六回表2死一、三塁で左打席に立った。バットをくるくる回し、軽く息を吐いて構えた。 初球は157キロ、4球目は159キロ。フルカウントに追い込まれたが、「ワクワクしていた。次も真っすぐでくる」。6球目、内角を突かれた。バットは出ず、見逃し三振。電光掲示板の「160キロ」が目に入った。 「うなるような直球で、気持ちが伝わってきた。大谷選手の160キロを体感できたのは、かけがえのない財産」。この試合、3打数無安打で、チームは1―9の七回コールドで敗退した。 高校卒業後、社会人野球のJR九州硬式野球部に入団した。「大谷選手と同じ舞台でプレーしたい」と将来のプロ入りを志した。直球の最速が高校時代より7キロ速い144キロまで伸びた3年目の秋には、先発陣の一角を担うまでに成長した。 4年目の2016年、アクシデントに見舞われた。痛みを感じた利き腕が「左ひじ内側側副靱帯(じんたい)損傷」と診断された。1年間は治療に専念したが、完治はせず、かばいながらの投球が続いた。 転機は19年秋の日本選手権2回戦。0―0の六回に3番手で登板し、先頭打者に本塁打を打たれた。3球のみで降板。チームは0―4で敗れた。 試合後、当時の野中憲二監督(53)に打ち明けた。「プロに行く力がないのに野球を続ける意味があるのか。やめたい」。沈黙のあとに返ってきた言葉を、今も覚えている。「プロに行くだけが野球ではない。もう一回、一緒に勝負せんか」。恩師の思いが胸に染みた。 フォームを横手投げに変え、先発完投型から中継ぎへ転向を申し出た。変化球を効果的に使い、要所で起用された。 昨秋、所属10年目を一区切りと考え、引退を決断した。「仕事でも人生でも壁にぶち当たるときが来る。そのとき、大谷選手とプレーした時間や野球を通してできたつながりが、自分を支えてくれる」。悔いはない。 この日も、大リーグのニュースを昼休みに確認し、制帽を手に駅員室を出た。改札には背筋を伸ばして、利用者に声をかける鈴木さんの姿があった。(柴田悠貴) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル