伊勢湾の入り口にある答志(とうし)島(三重県鳥羽市)は、万葉集にもうたわれた古くからの漁業の町だ。養殖クロノリの収穫は、冬の浜の風物詩だった。近年、その色落ちが目立っている。土色で風味も欠け、多くが出荷できなくなった。 「捨てるしかないんだよ」。鳥羽磯部漁協組合長の永富洋一(80)は嘆く。1枚10~20円で売れ、かつては漁師1軒で年に数千万円分、県全体では1990年代に年6億枚を生産した。それが近年は1億枚前後。いまや漁師は次々にやめていく。 直接の原因は海の窒素、リンなどの不足らしい。県はこれらの栄養塩が下水処理で減りすぎないようにする実験を始めた。 だが、同県ではアサリも90年代の9千トン前後から200トンにまで漁獲量が減り、イカナゴ漁は不振で7年前から禁漁になった。愛知県側を含め、伊勢湾の代表的な魚種が不漁にあえぐ。 イカ、サケ、サンマと、不漁は全国的な傾向で、高水温や黒潮の蛇行、藻場の減少など共通の課題もある。でもそれだけか――。永富は語気を強める。「長良川河口堰(かこうぜき)や徳山ダムで、大水がどんと流れないんだよ」 「やっと落ち着いた生態系を」 絡む利害と複雑な思い 伊勢湾の奥の愛知や岐阜を台… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島大生の原発・震災に関する知識、年々減少 「風化確実に進行」
力丸祥子2023年11月29日 11時37分 福島大生を対象に、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に関する知識を調査したところ、時間の経過とともに平均点が低下したことが明らかになった。調査チームは「『風化』は確実に進行している。社会全体で知識を伝えていく必要がある」としている。 調査は2019、21、22年度、一般教養を学ぶ同大の授業「ふくしま未来学入門Ⅰ」の出席者が受けた。対象者は計968人で、うち8割以上は入学したばかりの1年生だったという。設問は「福島第一原発でつくられた電気の供給先」や「風向きの影響で多くの放射性物質が降り注いだ方角」など全20問。3回とも同じ内容で、五つの選択肢から選ぶ方式だった。 結果は、20点満点中、平均点は19年度が9・5点、21年度が8・6点、22年度が8・1点と推移。年を追うごとに、知識が減っていることが示された。学生の出身地別の3回の平均点は、福島が9・4点で、ほかの東北地方や、東北以外の国内と比べて高かった。 多くの設問で正答率が下がる一方で、「シーベルトは何を表す単位か」や「放射性物質セシウム134の半減期はどのくらいか」などの問いでは正答率が上昇した。研究チームは明確な理由は不明としつつ、「(原発事故後に県教委などが取り組む)高校までの放射線教育が一定の成果を上げている可能性がある」とみる。 研究チームの前川直哉准教授(教育学)は「忘れること、なかったことにすることが『復興』ではない。震災や原発事故の被害を含めた知識や経験、教訓を学び、福島から国内外に伝えることが人類の未来にとって重要だ」と話した。(力丸祥子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
殺人容疑で男をきょうにも再逮捕 栃木の高1女子生徒死体遺棄事件
栃木県上三川町で10月、レンタカーの車内から高校1年の女子生徒が遺体で発見された事件で、栃木県警は29日にも、死体遺棄などの容疑で逮捕した無職安栖(やすずみ)達也容疑者(28)=埼玉県熊谷市拾六間=を女子生徒に対する殺人容疑で再逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。 捜査関係者によると、安栖容疑者は10月中旬ごろ、レンタカーの車内で女子生徒の首を絞めて殺害した疑いが持たれている。遺体は10月19日午前3時ごろ、安栖容疑者が路上に止めていた車の後部座席で見つかった。司法解剖の結果、死因は頸部(けいぶ)圧迫による窒息死で、体の前側全体に複数のあざや擦り傷もあった。10月17日前後に死亡したと推定されている。 2人はSNSでやりとりし、10月17日に都内で待ち合わせて栃木県に向かったとみられている。車内には女子生徒のものを含む複数の携帯電話や大型トランクがあった。 県警は遺体が見つかった10月19日に安栖容疑者を死体遺棄容疑で現行犯逮捕し、女子生徒に対する不同意性交の疑いで再逮捕していた。現在、取り調べに黙秘しているという。(高橋淳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「明るく友達たくさん」 山梨で遺体で見つかった女性 知人に驚き
山梨県内の山林で会社員の野本結梨香さん(当時18)=東京都江戸川区=の遺体が見つかった事件で、警視庁は28日、千葉県八千代市の会社員堀俊哉容疑者(30)を死体遺棄容疑で逮捕した。野本さんの交際相手の男(31)が使っていた車から、野本さんのものとみられる血痕が見つかったことも判明した。 野本さんを知る人たちは驚きを隠さない。 「同級生で身近すぎて信じられない」。野本さんの中学校の同級生の女性(18)は、知人から事件を聞いて驚いた。 野本さんについて「明るくて友達がたくさんいた」と話す。女性が学校を休んだ時には、自宅に宿題や学校からの手紙を野本さんが持ってきてくれたという。 中学校の別の同級生の男性は今年5月、近所で偶然、野本さんに会った。「『久しぶり、元気?』くらいのやりとりで、変わった様子はなかった」と言う。事件が発生したのはその翌月と知り、「知っている人が事件に巻き込まれて怖い」と話した。 近所に住んでいた80代女性は「明るくて愛想のいい人だった」と話す。2年ほど前に自宅近くで見かけた際、野本さんが髪を金色に染めていた。「夏休みだから」と話していたという。野本さんは昨年、父親と妹とともに引っ越したという。(長妻昭明、谷瞳兒) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
レトロゲームを日本の文化財に 魔界村好きのフランス人が抱く危機感
1980年代のレトロなゲームソフトの保存活動に取り組むフランス人が東京にいる。子どものころ、「魔界村」や「ドンキーコング」に目を輝かせたからこそ、ある危機感があったという。 来日して「ゲーム保存協会」設立 東京都世田谷区の閑静な住宅街に、NPO法人「ゲーム保存協会」の本部はある。エアコンのほか、扇風機や空気清浄機が所狭しと置かれ、事務所内は室温20度、湿度40%に保たれている。収集した1万8千点ほどのゲームソフトをカビから守るためだ。 「今年の夏も猛暑で光熱費がかさみました」。ルドン・ジョゼフさん(47)はそう苦笑する。大手企業に勤める傍ら、協会の理事長を務め、事務所は自宅を兼ねている。 劣化も海外流出も気がかり…一方、文化庁は 協会設立は2011年。後世… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「サケのぼり」消えた川 街中で見られた風物詩の遡上、ゼロの可能性
「サケが遡上(そじょう)する川」として知られる盛岡市の中津川で、サケが見られない。この数年激減し、昨年もほとんど確認されなかったが、この秋はついに遡上が「0」の可能性も指摘されている。 中津川は北上川の支流。サケは例年9月下旬~11月ごろ、宮城県石巻市の北上川河口から約200キロもの距離を遡上し、生まれ故郷の中津川に戻り産卵してきた。海から遠く離れた内陸の盛岡で見られるサケの遡上は人々を魅了し、橋から川を眺める人たちの姿がこの季節の風物詩だった。 だが、この数年は遡上が激減している。 商店街の本町振興会が毎年3月に稚魚を放流しているが、昨年は数匹の遡上が確認されたのみだった。市観光課によると、今年は1匹も確認されていない。テレビニュースではサケの遡上が伝えられたが、盛岡河川漁協によると、サクラマスの可能性が高いという。 中津川でサケの遡上数を調べている機関はないが、中津川の南を流れる簗(やな)川のデータが参考になる。 放流、中止になるかも… 簗川も北上川の支流で、盛岡… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
交際相手の男の車に血痕、18歳女性のDNA型と一致 山梨死体遺棄
東京都江戸川区の会社員野本結梨香さん(当時18)が6月から行方不明になり、山梨県内の山林で今月27日に遺体で見つかった事件で、野本さんの交際相手の男(31)が使っていた車に血痕があり、そのDNA型が野本さんのDNA型とほぼ一致したことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁は男が事件について事情を知っているとみて調べる方針。 警視庁は28日、野本さんの遺体を遺棄したとして会社員の堀俊哉容疑者(30)=千葉県八千代市=を死体遺棄容疑で逮捕した。捜査1課によると、堀容疑者は6月上旬ごろ、山梨県北都留郡の山林に野本さんの遺体を遺棄した疑いがある。 捜査関係者によると、野本さんの交際相手の男は車を借りていたが、返却せずに江戸川区内の路上に乗り捨てていた。警視庁が7月にこの車を調べたところ、後部座席に血痕があったという。男は車を横領した疑いで警視庁に逮捕されている。 11月に野本さんの父親から行方不明届が出された。車はすでに廃車となっていたが、警視庁は当時採取していた血痕のDNA型を鑑定し、野本さんのDNA型と矛盾しないことが判明したという。 野本さんの周囲から話を聞く中で堀容疑者が浮上。供述に沿って捜索したところ、野本さんは山梨県内の山林で11月27日、一部白骨化した状態で見つかった。歯型の鑑定で身元が確認されたという。(増山祐史、遠藤美波、長妻昭明) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「取り締まり表彰で小遣い」背景と検察指摘、交通違反書類偽造事件
交通違反取り締まりで偽った書類を作ったなどとして、虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた福岡県警柳川署の元警部補、於保貴昭被告(58)の初公判が28日、福岡地裁(岡本康博裁判長)で開かれ、於保被告は起訴内容を認めた。 起訴状などによると、於保被告は2021年8月~23年2月、8件の違反処理で検挙書類を偽造したとされる。 事件の背景について検察側は冒頭陳述で、於保被告が15年3月、中央署の内勤から春日署の交番勤務となったのに伴って給料と小遣いが減った中、取り締まりの表彰1回につき、小遣い1千円を妻から得るようになったことを指摘した。 動機について検察側から問わ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
18歳女性、遺体で見つかり30歳男逮捕 女性の交際相手の車に血痕
東京都江戸川区に住む会社員の野本結梨香さん(当時18)の行方が6月から分からなくなり、山梨県内の山林で今月27日、遺体で見つかった。警視庁は28日、野本さんの遺体を遺棄したとして会社員の堀俊哉容疑者(30)=千葉県八千代市=を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。認否を明らかにしていない。 捜査関係者によると、野本さんの交際相手の男(31)が使った車から血痕が見つかった。警視庁は遺棄事件との関連を調べている。 捜査1課によると、堀容疑者は6月上旬ごろ、山梨県北都留郡の山林に野本さんの遺体を遺棄した疑いがある。遺体は11月27日に一部白骨化した状態で見つかり、歯型の鑑定で野本さんと確認された。着衣や所持品は見つかっていないという。 交際相手が使用の車 後部座席に血痕 捜査関係者によると、野本さ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「急がば回れ」環状交差点方式で混雑緩和へ JR新宿駅で実証実験
乗降客数全国トップのJR新宿駅で、道路の環状交差点(ラウンドアバウト)の仕組みを用いて、ラッシュ時の混雑解消をめざす実証実験が進んでいる。床に進行方向のマークをはった2回目の実験は15日から始まり、12月1日まで。メガホンで呼びかけたり、電子看板で示したり、試行錯誤が続いている。 環状交差点は信号機がなく、枝道から入った車は環状道を一定方向に回りながら、行きたい方向の枝道に抜けていく仕組み。出合い頭の事故が起きにくいとされ、全国で導入が進んでいる。 今年7月に新宿駅で始まった… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル