東京都の大学4年の女性(26)は、高1のころ不登校になった。高校を中退し、通信制高校に編入。18歳で卒業した。 その後、大学に入るまで4年間を要した。 人間関係づくりに恐怖心を抱き、周囲と距離をとり続ける。関わる機会が少ないままだから、集団で過ごすことに慣れることもない。そんな状態が続いた。 不登校になったきっかけは、通っていた中高一貫校で、高校に内部進学する直前の春休みの出来事だった。 自宅でツイッター(現X)を見ていると、自分の顔写真が目に飛び込んだ。小学校の卒業アルバムを写したもので、名前までさらされていた。 投稿したのは、所属していた運動部の先輩部員のアカウント。女性の容姿をあざ笑う文言が書かれていた。 教員に伝えると、投稿した先輩は学校に呼び出され、投稿を削除させられたうえ、大学入試で学校推薦を受けられないペナルティーが科された。謝罪もあった。 トラブルは解決済みとされ、周囲は元通り。その陰で、女性は苦しみ続けた。投稿されたのは、素の笑顔が出たお気に入りの写真。それを否定されたことで「裏ではみんな馬鹿にしている」としか思えなくなった。 高1の10月、心が限界を迎え、学校に行けなくなった。 女性は、不登校がもたらす影響によって長く苦しみます。不登校の進学・就労への影響を考える連載の前編。社会生活に欠かせない「人との関わり」を巡る経験者の悩みの実態とは。 高校中退直後 たまらなくつらかったことは 自宅は高校から近く、担任教… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
キトラ古墳の壁画、発見から40年 技術の進歩と共に歩んだ調査
奈良県明日香村のキトラ古墳(特別史跡)で壁画(国宝)が見つかって7日で40年を迎えた。最初に確認された四神の「玄武」がこの日も一般公開され、奈良市では専門家の講演もあった。壁画や古墳の価値にあらためて光があたる日となった。 キトラ古墳は7世紀末から8世紀初めに造られたとされる。壁画は円墳の墳丘内部に、凝灰岩の切り石を組んで造られた石室内で確認された。 石室の東壁に青龍、西壁に白虎、南壁に朱雀(すざく)、北壁に玄武が描かれていた。古代中国で東西南北を守るとされた四神だ。四神の下には、獣頭人身の十二支像も描かれていたとされるが、図像が確認できないものもある。天井には、現存する世界最古の本格的な星図とされる天文図もある。 その中でちょうど40年前(1983年11月7日)に確認されたのが、ヘビがカメに絡みつく姿をした玄武だ。ファイバースコープによる石室内の調査で図像があることが判明。高松塚古墳(明日香村)の極彩色壁画発見(72年)に次ぐ大ニュースとなった。 現在、壁画は保存のため、古墳外の施設で管理している。村内の「キトラ古墳壁画体験館 四神の館」では12日まで(8日閉室)、玄武を一般公開中。節目に訪れた高松市の島名マキミさん(62)は、「壁画が見つかったことも保存されていることも、すごいことですね」と話した。 定員に達していない日時もあり、2次募集をしている。定員は各日約340人で見学無料。問い合わせは事務局(06・6281・3060)へ。(清水謙司) ◇ 奈良市の平城宮いざない館では7日、キトラ古墳の調査を手がけてきた明日香村教委文化財課の西光(さいこう)慎治課長補佐が、「キトラ古墳の歴史的意義~壁画の発見から現代、そして未来へ~」と題して講演した。 壁画が発見された時、中学生だった西光さんは、テレビでそのニュースを見ていたという。「新聞に『高松塚古墳級』『法隆寺クラス』などの見出しが躍り、大変な話題になりました。発掘調査をせずに『非破壊』の方法で壁画を発見したことも画期的でした」 西光さんは1997年春、明日香村の文化財技師となった。翌年の小型カメラによる石室内の撮影調査では、カメラを入れる穴を直径約3センチの手動ドリルで開ける作業を担当した。 「石室の壁にあいた盗掘穴の場所がわからず、悪戦苦闘しているうちに、待ちくたびれた報道陣は離れてしまった。ようやく貫通して『開きました』と叫んだら、カメラがわっと戻ってきて『もう一度やって下さい』といわれました」 その調査では、西壁の白虎と東壁の青龍、天井の天文図を確認。そして3年後のデジタルカメラによる調査では、南壁の朱雀、獣頭人身の十二支像が見つかった。壁画の画像も、どんどん鮮明になっていった。 「壁画がいつ落ちてもおかしくない状況であることもわかり、取り外して保存する方向に進んでいった。キトラ古墳の調査は、科学技術の進歩と共に歩んできたといえます」と西光さんは振り返った。 平城宮いざない館企画展示室では、キトラ古墳壁画発見40周年を記念して、明日香村などが主催する「飛鳥のモティーフ~葬(はぶ)りのカタチ~」展を開催中。キトラ古墳壁画の陶板レプリカや、西光さんが98年のキトラ古墳調査で使った手動ドリルなども展示している。観覧無料。(今井邦彦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「うちの知事がすみません」じゃこ天販売倍増、秋田からの注文目立つ
有料記事 北崎礼子 阿部浩明2023年11月8日 10時30分 「貧乏くさい」。秋田県の佐竹敬久知事が酷評した愛媛県の特産品「じゃこ天」の売れ行きが伸びている。「うちの知事がすみません」。秋田からの注文が目立ち、謝罪のメッセージも一緒に寄せられているという。 「今話題の(?)“じゃこ天”」。東京・新橋にあるアンテナショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」ではそんな売り文句と共に、15種類のじゃこ天が並ぶ。佐竹知事は10月23日、秋田市であった地元の政財界人が集まる会合で、秋田の魅力をアピールしつつ、全国知事会で四国を訪れたことに触れ、「じゃこ天。貧乏くさい」などと発言。批判を受けて謝罪した。同時にじゃこ天が話題となり、店では1日50個前後だった販売数は倍増。急きょ、愛媛県の製造販売元へ注文を増やした。 「私、秋田出身なんです」。そう店員に伝える客も多いといい、「じゃこ天を応援したいと思ってくれているようです」と斎藤誠店長。「最初はどうなるかと思ったが、佐竹知事の発言でじゃこ天が注目された。災い転じて福となす、です」 愛媛県の製造販売元にも秋田県からの注文が増えている。愛媛県宇和島市の田中蒲鉾(かまぼこ)本店では発言後、1日5件程度だったネット注文が倍に。ほとんどがめったにない秋田県からの客で、「我が知事が失礼なことを申して申し訳ございません」「この度私たちの知事のことですみません」など、謝罪の言葉が添えられているという。 山下美樹代表(59)は、「佐竹知事の発言を聞いて、え?と思ったけれど、じゃこ天をご存じなかった人に知ってもらえた。秋田の人から温かい言葉をいただき、前向きにとらえています」。 おとしめられたじゃこ天だが、原材料となる瀬戸内近海のホタルジャコなどは近年、漁獲高が減って値上がりしているという。山下代表は「魚の取り合いの状態。決して貧乏くさい品ではありません」。 佐竹知事、伊達家との因縁? 安岡蒲鉾店(同市)の安岡弘… この記事は有料記事です。残り662文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【紙面ビューアー機能も使える】プレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン実施中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ひき逃げされた一人娘、両親が迎えた時効成立 「真実知りたかった」
千葉市花見川区犢橋町の市道交差点で2013年11月、原付きバイクに乗っていた同区千種町の会社員舘下敬子さん(当時47)が車にはねられ、死亡した事件は6日午前0時に公訴時効が成立した。一人娘だった長女敬子さんの10回目の命日を迎えた6日午前、母の政子さん(84)と父の明彦さん(88)が現場を訪れ、遺影に手を合わせた。「真実を知りたかった」――。 事件は11月5日夜に発生し、敬子さんは翌6日に亡くなった。夫婦は命日のたびに現場を訪れていたが、足が悪くなって通えなくなっていた。2年ぶりのこの日、花を供えた路上に持参した遺影を置き、線香に火をつけた。敬子さんが息を引き取った午前10時41分が近づくと、目を閉じた。 「つらかったね」。頭の中で語りかけ、敬子さんが大ファンだった阪神タイガースが日本一になったことを報告した。 県警は時効成立が約1カ月後に迫った9月28日、関係者から有力な情報提供があったとして、印西市の男性(37)を自動車運転過失致死の疑いで逮捕した。男性は10月18日に処分保留で釈放され、在宅で捜査が続いた。千葉地検は11月2日、「有罪を立証できる証拠がなかった」として、時効を迎える前に不起訴処分(嫌疑不十分)とした。 明彦さんは捜査機関の決定に従うとした上で、「法廷で明らかにしてほしかった。残念という言葉に尽きる。心の中ではまだ事件は終わっていない」。政子さんは「毎日苦しかった。本当のことを聞きたかった」と話した。証拠品の一部は返却してもらうという。(マハール有仁州) ◇… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新聞協会「著作権法改正を」 報道へのただ乗りを懸念、内閣府に要望
内閣府は7日、生成AI(人工知能)の発達がもたらす知的財産権上の問題について議論する検討会を開き、日本新聞協会にヒアリングをした。新聞協会は、現在の著作権法では、AIの学習段階での報道コンテンツの利用を原則拒否することができず、「ただ乗り」が生じているとして、同法改正を求めた。 会合では、検索エンジンと生成AIを組み合わせたサービスにより、報道コンテンツの無断利用が疑われるケースが複数紹介された。新聞社の記事を参照したように見える一方、事実に誤りがある回答が生成された例もあった。 誤情報を学習したAIがさらに誤情報を拡散する恐れも指摘。自動収集プログラムによる収集を拒絶する技術もあるが、引用先の外部サイトからの収集は避けられないなど限界があり、「しっかりと法律で位置づけるべきだ」と主張した。 新聞協会は2日にも、「技術の進展に合わせて知的財産を適切に保護する法整備が必要」とする意見書(https://www.pressnet.or.jp/news/headline/231106_15202.html)を内閣府に提出した。報道コンテンツには様々なコストがかかっており、良質なコンテンツを提供することが困難になれば、「国民の『知る権利』が阻害される」としている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「検察官に憎悪は?」 初公判2日後、袴田さんの姉が若者に答えた
強盗殺人事件で死刑が確定後、静岡地裁で再審公判が始まった袴田巌さん(87)の姉の秀子さん(90)が、初公判から2日後の10月29日、東京都内で開かれた、ある勉強会に参加した。高校生や大学生らが、刑事裁判の仕組みを学んだあと、秀子さんの話を聴いた。 勉強会は、学習塾などを運営する民間教育機関が、東京都内の大学で開いた。秀子さんの話を聴いたのは、高校生約50人と、塾の講師を務める大学生ら計約60人。秀子さんは、初公判の法廷で、出廷が免除された袴田さんに代わって無罪を主張した「罪状認否」をそのまま読み上げた。 「57年闘ってきて、今年の3月に再審開始が決まった。少し落ち着いたら『長いなあ』と思った。弟は、さぞかし苦労しただろう」と振り返り、「それに比べれば私の苦労は、どうってことない」と、いつものように明るく話した。 また、初公判について、「検… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ともに芸術を愛でた妻を変えた「老い」 元大学教授が手にしたロープ
読書と芸術を愛し、寄り添って生きてきた元大学教授と妻。高校の同級生だった2人の穏やかな日常は、老いによって徐々に崩れていった。そしてある夜、夫はひもを手に取り、妻の首にかけ、引っ張った。一度中断した後、もう一度。 「とんでもないことをした」 ぐったりと横たわる妻を前に、夫は一瞬ためらったあと、電話を手にし、警察に通報した――。 およそ1年半後の今年10月、東京地裁立川支部の法廷に被告(75)の姿はあった。小柄で上下ジャージー姿。淡々とした様子で弁護人の横まで進み、着席した。 被告は2022年5月20日夜、東京都八王子市内の自宅マンションで、妻(当時74)の首をひもで絞め、殺害した罪に問われた。 初公判では、「その通りです」と起訴内容を認めた。 なぜ妻を殺害したのか。法廷でのやり取りから経緯をたどる。 妻は同級生、築いた幸せな結婚生活 被告は1971年に都内の有名私大を卒業後、大学院の博士課程まで進んだ。専門は美術史。その後都内にある私立の美大で教壇に立ち、教授まで務めた。 妻は高校のクラスメートだった。 被告が抱いていた印象は「おとなしい子」。在学中に大きな接点はなかったが、卒業後10年ほど経ってから同窓会で再会した。お互い読書好きという共通点から意気投合し、交際を経て82年、34歳のときに結婚した。 弁護人「(妻は)どんな性格… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【会見要旨】「被害者も被害額も不明確」 旧統一教会会長の主な発言
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長が7日、解散命令請求後初めてとなる記者会見を開き、献金問題について元信者ら被害者におわびの意を表明した。田中会長の会見での主なやり取りは次の通り。 ――おわびがこのタイミングなのはなぜか (安倍晋三元首相襲撃)事件直後は、事件に巻き込まれたという心境で記者会見した。おわびする立場ではなかった。だが、事件後、毎年10~20件だった相談・通知書案件が一挙に膨れあがった。法人の犯罪ではなくても、我々の不足故に心痛められる方がおられたことを細かく具体的に知った。今回この機会を頂いたので、改めておわびとした。 ――会長のおわびは、被害者への謝罪なのか 客観的事実があり、明確に教… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
これが福島第一1号機と同じ冷却装置 事故解明のカギ?規制委が視察
東京電力福島第一原発事故で最初にメルトダウン(炉心溶融)を起こした1号機。その分析に向け、原子力規制委員会が7日、同じ冷却設備を持つ日本原子力発電敦賀原発1号機(福井県敦賀市、廃炉作業中)を現地視察した。その様子の一部が、報道陣にも公開された。 敦賀1号機は大阪万博が開かれた1970年、福島第一1号機はその翌年に運転を始めた。ともに沸騰水型炉(BWR)で、国内のほかの原発にはない「非常用復水器(IC=アイソレーションコンデンサー)」という冷却装置を備えていた。 ICは、電源なしで原子炉を冷やせるのが特徴。水を満たしたタンクの配管に、原子炉からの蒸気を通すことで水に戻し、再び炉の冷却に使う仕組みで、2系統ある。 しかし、福島第一原発事故では十分に機能しなかったとみられている。 電源喪失で表示灯も消え、弁の開閉状況や、作動状況の把握が難しくなった。発電所内でも認識の食い違いが生じ、動いているはずという「誤認」が続いた。 政府の事故調査・検証委員会の報告書は「ICの作動状況の誤認が、1号機への対処の遅延の連鎖を招いたともいえよう」と指摘。注水などの措置の遅れにつながったとした。 事故当時の福島第一原発所長… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
阪神・オリックス優勝パレードの23日、御堂筋は午前から通行止めに
23日に大阪市と神戸市で開催されるプロ野球セ・リーグの阪神タイガースとパ・リーグのオリックス・バファローズのリーグ優勝を祝うパレードについて、実行委員会は7日、当日の交通規制の内容を発表した。大阪市中心部の御堂筋などで車両通行止めとなる。 大阪・御堂筋では、パレード会場となる北浜3交差点~新橋北交差点付近で、23日午前9時ごろ~午後4時ごろ、車両が全面通行止めとなる。緩速車線は午前8時から通行止め。御堂筋と交差する中央大通の高架道路は通行できる。神戸市でも交通規制を実施する。 パレードは御堂筋と、神戸市のフラワーロードなどで実施される。大阪では午前11時からオリックス、午後2時から阪神がパレードする。交通規制の概要は公式ホームページ(https://hyogo-osaka-victoryparade2023.com/)に掲載している。(吉川喬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル