これまで公立の中高一貫校(連携型を除く)がなかった愛知県で2025年度から、県立高校4校に付属中学が設けられることになった。4校はいずれも伝統校で、児童や保護者の関心は高い。公立校で中高一貫教育をする意義や選考方法の特徴について、県教育委員会教職員課管理主事や旭丘などの県立高校長を歴任し、愛知の教育事情に詳しい杉山賢純(まさずみ)さん(佐鳴予備校最高顧問)に聞いた。 内申点争いにもまれないで…と思っている保護者に朗報 ――愛知県で新しく中高一貫教育が始まろうとしています。この動きをどう見ますか。 やはり日本が長年停滞するなかで、未来を切り開いていく人材を公教育を通して責任を持って育てていこうということではないかと思います。 愛知では、旭丘が尾張地方の、岡崎が三河地方の雄として堂々と構えており、明和、津島、半田、刈谷もレベルの高い学校です。いまアクションを起こして、トップ校に追いつき、追い越せという意気込みがあるのでしょう。 ――公教育で中高一貫教育を導入する意義は何でしょう。 選択肢が増える、ということだと思います。 これまではその学区の公立中… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
欠員増加に募る危機感…「出る杭を伸ばす」愛知で始まる公立中高一貫
愛知県で初めての併設型公立中高一貫校が2025年度から始まろうとしている。導入の背景や狙い、課題を探った。 10月29日。県立明和高校(名古屋市東区)に新設される付属中学の説明会が、ポートメッセなごや(同市港区)で開かれた。午前9時の開場直後から保護者や児童が続々と集まった。 県教育委員会によると、想定を超える申し込みがあり、当初2回の予定を3回に増やしたという。 県内初の併設型の公立中高一貫校とあって、保護者や児童の関心は高い。導入の背景に何があったのか。 時は2021年。県立高校長や公立中学校長らが集まり「県立高校再編将来構想」が話し合われた。 当時、県教委の教育長として議論の中心にいた長谷川洋さん(県労働協会理事長)は、背景に危機感があったことを明かす。 「県立高校が選んでもらえないという深刻な状況のなか、県立高校の在り方を根本的に見直す必要があった」 県立高校の欠員は16年度から徐々に増え、21年度には2600人を超えた。 「生徒に合わせて、学校も変わる必要がある」 どうしたら県立高校の魅力を高めることができるのか。 議論で浮かび上がったのは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
私たちがシイラを有名にする 湘南のシェフを動かした小学生のはがき
シイラの竜田揚げ、シイラのポアレ、シイラのカレー……。 神奈川県平塚市の飲食店で、「シイラ」を使ったメニューが、同時多発的に登場している。仕掛けたのは小学6年生の子どもたちだ。聞き慣れない魚をマグロやサーモンのようにメジャーな存在に。そんな願いを込めたプロジェクトだ。 「私たちはシイラを食べたときのおいしいという感動と笑顔を広めたいです」「そちらで扱っていただきたく、お手紙を送らせていただきました」 フランス料理店「H×M(アッシュエム)」のシェフ幸野真也さん(36)は昨冬、こんなはがきを受け取った。 差出人は、近くにある市立港小学校の子どもたち。はがきに印刷されたQRコードを読み取るとメールアドレスが表示された。 「協力できるかもしれない」と返信すると、先生と子どもたちが店にやってきた。 シイラはスズキ目シイラ科に分類される大型魚だ。ハワイでは「マヒマヒ」の名で親しまれている。 店を訪れた子どもたちが訴えたことは 子どもたちは、地元・相模湾… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
10グラムの模型飛行機に夢乗せて 子どもたちに伝えたい、この魅力
わずか10グラムの機体に夢を乗せて、大空へ飛ばす。模型飛行機の世界に魅せられた人たちが、兵庫県伊丹市で活動している。 その名は「スカイフライヤーズ」。尼崎市や西宮市、川西市などの愛好家約10人でつくる。規則や会費はない。「今いてるか」「寄るわ」。そんな感じでゆるやかにつながる。 集まるのは中心メンバー、村木彦志さん(76)の伊丹市内の自宅。3階の一室に自作の100機ほどが並び、仲間を迎える。 いずれも両翼の幅約33センチ(13インチ)の規格で作ったゴム動力の模型飛行機だ。ピーナッツスケール機と呼ばれ、軽量で工作用に適した木材のバルサ材とスチレンペーパーという発泡スチロールに似た素材を使う。 重量は10グラムまでと自分… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
生成AI、大学の授業で活用法探る 試験対策やキャリアデザインにも
対話型AI(人工知能)を、リポート作成などとは違う形で活用しようという授業が大学で行われ始めている。試験対策や就職への活用も視野に、様々な模索が進む。 公務員試験の時事問題対策、教育で活用も 武蔵野大の「AI活用エキスパートコース」の1期生約70人の成果発表会が9月、同大有明キャンパス(東京都江東区)で開かれた。AI時代に求められる人材の育成をめざし、2021年度に開設されたコース。どの学部の学生も受講でき、対話型AIの活用法を研究した学生も多くいた。 法学部のある学生は、公務員試験対策として、過去の出題形式を対話型AI「チャットGPT」に示した上で、時事問題を作成させる方法を検証した。別の学生は、英語能力試験「TOEIC」の模擬問題などの作成を模索。教育学部の学生は、児童生徒に作問させ、チャットGPTに解答させることで、児童生徒の学びを深める方法を考えた。学生の一人は「おもしろかった。新しいツールなので、もっといろんな使い方を考えたい」。指導した林浩一教授は「学生らしい発想があって興味深い。積極的に使いながら学んでもらいたい」と話す。 キャリアカウンセラーになれる? 法政大キャリアデザイン学部では、授業で対話型AIをキャリアデザインに生かす方法を探る試みが行われた。 チャットGPTに「キャリア… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「核兵器をなくすか、人類滅亡か」 障害者団体が憲法考えるシンポ
核兵器禁止条約の第2回締約国会議が27日から米ニューヨークで始まるのを前に、「『核兵器のない世界』をめざして! いま、私たちにできること」と題したシンポジウムが2日、東京都内の会場とオンラインで開かれた。約300人が参加し、核兵器や戦争が一人ひとりの人生を犠牲にする悲惨さを語り合った。 主催は、障害者やその家族らでつくる全国組織「日本障害者協議会」(東京都新宿区)。2015年から毎年、日本国憲法の公布日前後に、憲法と障害者について考えるシンポジウムを開いてきた。核兵器廃絶をテーマにしたのは今回が初めて。 「核兵器をなくして人類の歴史を続けていくか。核戦争が起こって人類が滅亡するか」 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局長の木戸季市(すえいち)さん(83)が、記念講演で問いかけた。 木戸さんは5歳のとき長崎で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ルヴァン杯、アビスパの「ふく」願う 苦境支えた福岡名物の会社長
苦しい時も支えてきた。大一番で勝つ姿を――。サッカーJ1アビスパ福岡が4日、東京・国立競技場であるルヴァン杯決勝で浦和レッズと戦う。初タイトルをかけた一戦を、特別な思いで見守る人がいる。 「『バイバイ福岡』とか『J2福岡』とかヤジが飛んだんです。当時はどのチームもサポーターが容赦なくて。福岡の街のブランド価値が落ちた瞬間でした」 川原武浩さん(51)は振り返る。2001年、J1残留をかけたアウェー戦でガンバ大阪に敗れる姿を現地で見た。降格が決まり、九州からJ1チームが消滅。元サッカー少年の川原さんは、危機感から応援にのめり込むようになった。 「雪の降る山形で震えながら応援したこともありました」 だが、アビスパは経営も成績もふるわず、数年後にはユニホームの胸や背中のスポンサーロゴがなく、「パジャマ」と揶揄(やゆ)される状態にもなった。 11年のシーズン途中、ユニ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えゆくデパートの屋上遊園地 「集客装置」今では全国で5カ所に
百貨店の「屋上遊園地」が各地で姿を消しつつある。今年9月に営業を終えた遊園地もあり、朝日新聞の調べでは、常設するのは全国で5店舗になった。(小島弘之) 松坂屋高槻店(大阪府高槻市)の「スカイランド」は、1979年の百貨店開業時から営業している。今では関西唯一の屋上遊園地となった。 約1200平方メートルの敷地に、ゴーカートやキャラクターの乗り物など約30台の遊具と約10台のクレーンゲームが稼働する。 朝日新聞は10月、日本百貨店協会に加盟する全170店舗を対象に、常設の屋上遊園地があるかを電話で尋ねた。 今も営業をしていると答えたのは、松坂屋高槻店のほか、松坂屋名古屋店(名古屋市)▽大和香林坊店(金沢市)▽いよてつ高島屋(松山市)▽浜屋百貨店(長崎市)の4店舗だった。 このほかにも小規模な遊具コーナーを設けている百貨店があったが、屋上遊園地という認識ではなかった。 近現代史が専門で、百貨店関連の著書があるノンフィクションライター夫馬信一さん(64)によると、屋上遊園地の起源は100年以上前までさかのぼり、1903年に東京・日本橋の白木屋に木馬やシーソーが置かれたことが始まりとされるという。20年代後半以降は新たな百貨店の開業とともに、電動遊具や動物園がある屋上遊園地が新設されていった。 設置が加速したのは戦後の高度経済成長期。百貨店が次々とでき、屋上遊園地も「必須アイテム」のように造られた。 飛行機型のゴンドラが回転する乗り物など、大型の電動遊具も増加。休日には様々なショーが開かれるなどして大盛況だったといい、家族連れの集客装置として大きな役割を果たしていた。 だが、郊外型ショッピングセンターの盛況、バブル崩壊や2000年代の不景気など、百貨店を取り巻く環境は厳しさを増していく。 テーマパークの開園などレジャーも多様化。集客装置としての屋上遊園地の役割は維持費と見合わなくなり、00年前後から徐々に閉園していったとみられる。今では屋上を、ビアガーデンや休憩スペースとして活用する百貨店も増えている。 建て替えや耐震工事などを機に閉園を選択した百貨店もある。大阪・梅田の阪神百貨店(大阪市)の屋上遊園地は、1980年代後半に1日1千組以上の来客数を誇ったが、店舗の建て替えを機に2014年に閉園した。まるひろ川越店(埼玉県川越市)も「耐震工事」に伴って19年に閉園。今年9月には横浜高島屋(横浜市)が営業を終えた。 一方、遊園地をいまだに維持する百貨店の思いはどこにあるのか。 松坂屋名古屋店の屋上遊園地… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「刀剣乱舞」で古民家が映える コスプレ歓迎したら映画ロケが来た
古民家群が点在する公園に、ビビッドな髪色と服装のコスプレイヤーたちを迎え入れた。 それは、コロナ禍から生まれたウィンウィンの関係だ。 大和民俗公園(奈良県大和郡山市)には、江戸時代の民家や町屋、蔵など計15棟がある。うち3棟は国の重要文化財、10棟は県指定文化財だ。 一般の来園者は原則、居室には立ち入れない。 でも、週末のある日。 県指定文化財の一つ「旧前坊家住宅」の渡り廊下を見上げると、青いウィッグを着け、「誠」の文字が入った水色の羽織姿のコスプレイヤーがいた。 日本刀を擬人化したゲーム「刀剣乱舞」のキャラ「大和守安定(やまとのかみやすさだ)」だ。 「あ、いいですね」「これエモい」。離れ座敷に移動し、どっしりと座る裕月さん。ファインダーをのぞく真理奈さんが声をかけていた。 コスプレ撮影は、条件付きで解禁されている。その条件とは、事前打ち合わせや誓約書の提出、破損時の個人賠償責任保険への加入などだ。 この公園で10回以上撮影してきた真理奈さんは、その場の風景を生かした撮影がこだわり。「文化財の中は雰囲気がいい」。保険料以外の料金がかからないのもうれしい。 「職員さんに理解があり、奇抜な格好でも普通に接してもらえる」とも。 コスプレ撮影に温かいのは、なぜか。 古民家群の管理・運営を担当… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
道路の真ん中に黄金の大イチョウ 伐採の危機、住民らが守って半世紀
盛岡市の中心部を流れる中津川のほとりに、一本のイチョウの大木がある。 太い幹の上に、こんもりと生い茂る枝葉。圧倒的な存在感を放って、道路のど真ん中に立っている。 【撮影ワンポイント】上の橋際のイチョウ 道路の真ん中に立つイチョウを目立たせるため、背景は星空にした。天気予報を吟味して快晴の日を選んだが、月明かりが強かった。明るい星しか見えないが、その分北斗七星とカシオペアがわかりやすくなった。イチョウの周りにもアクセントをつけるため、星のように広がる街灯の光芒の大きさを絞り値で調節した。 (小林正明) 推定樹齢118年。盛岡藩の殿様が城下で最初に架けた橋の近くにあるため、「上(かみ)の橋際のイチョウ」と名づけられている。 「盛岡の人が故郷を思い出すとき、心に浮かぶ原風景のような場所です」 近くでカメラ店を営む松本静毅(せいき)さん(70)はそう話す。店には妻の尚子さん(71)が撮影したイチョウの写真が飾られ、絵はがきも売られている。 清流・中津川。そこに架かる上の橋。そしてイチョウの木。この三つが重なる風景は盛岡の宝だという。 だがこのイチョウ、かつて伐採の危機にさらされたことがあった。 今から50年前の1973年… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル