その文面に込められていたのは、リーグ戦出場がかなわなかった4年生部員の悲痛な思いだった。 「大麻をやっていない部員がなぜ活動停止処分を受け、リーグ戦参加が許されないのか。怒りと失望しかない」。取材に応じた部員は、記者に宛てたショートメールにそうつづった。 部員から活躍の場を奪った重い処分の決定は本来、大学側の明確な意思決定のもとで判断されるべきものだ。事実を積み上げ、更生に向けた教育的配慮も行き届かせなければならない。 ところが、二転三転したアメフト部の処分からは、配慮が感じられなかった。第三者委は「連帯責任」を科した活動停止処分やその解除の判断について、「学生・部員の心身の健康という視点や倫理観の向上という視点で対応に当たってこなかった」と断じた。 8月5日に大麻取締法違反容疑などで部員1人が逮捕された事件について、日大は当初、「個人の犯罪」と断定し、部全体に科した活動停止処分をわずか5日で解除した。「競技に真剣に取り組んできた多くの学生の努力を無に帰することになる」として、連帯責任を問わない姿勢を示した。だが、前提としていた根拠はすぐに覆る。 同22日に学生寮で2度目の家宅捜索が行われ、複数の部員が任意で取り調べを受けた。日大は「もはや個人の犯罪にとどまるところではない」とし、再び活動停止処分に。10月には2人目の部員が逮捕された。 朝日新聞が入手した8月下旬… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
古代からワンちゃんとふか~い縁「運命かも」 市の若手職員で新事業
職場を超えて若手職員が集い、まちおこしのアイデアを出し合う。そんな取り組みが京都府亀岡市で始まっている。まず手始めに注目したのは、古代から亀岡とふか~いつながりのある、あの動物だ。 まちおこしを考える若手の分科会は2020年、コロナ禍のさなかに立ち上がった。環境政策課の乾芽衣さん(34)は「歴史資源」をテーマにした分科会に所属。ある時は会議室で、またある時はオンラインで、部署が異なるメンバー10人ほどと議論を重ねた。普段は二酸化炭素削減に向けた計画立案を担当している。 亀岡を代表する歴史資源と言えば、明智光秀だ。市中心部には光秀が築城した丹波亀山城跡がある。「でも、大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』も終わって随分経つしなあ」 郷土の偉人には、江戸時代に商人の役割や庶民の倫理を説いた「石門心学」の開祖・石田梅岩もいるが、若年層にはピンと来ないかも。源平合戦で活躍した那須与一が立ち寄ったというお堂もあり、市民の手でミュージカルも上演されているけれど……。 「これ、意外といけるんちゃう?」 そんな時、美術好きの乾さんの頭にふと浮かんだのが、亀岡生まれの江戸時代の絵師、円山応挙。「足がない幽霊」を描いた元祖とも言われるが、もふもふの毛、まるまる太った子犬の絵をたくさん描いている。 「犬と暮らしやすいまち・亀岡」のキャッチコピーを思いついた。「これ、意外といけるんちゃう?」 リサーチが始まった。 ペット市場はいまや1・7兆… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「それ詐欺ですから!」と10分説得 4度被害防いだ店長の声かけ術
「そのパソコンは壊れているので修理にお金が……」「市役所から還付金があるので……」。一本の電話で始まる特殊詐欺事件。被害を未然に防いだとして警察から4度、感謝状を贈られたコンビニエンスストアの店長がいる。こつや、こだわりとは……。 「スマホ切って、かかってきても出ないで」男性を説得 「あと15万円、下ろしたかったんだけど」。店の角にあるATMでそう漏らした70代の男性。手にはスマートフォンで落ち着かない様子。店長の新美由美子さん(49)はピンときた。 愛知県東浦町緒川の幹線道路沿いにあるローソン東浦鰻池(うなぎいけ)店。8月24日午後10時すぎ。高額の買い物をするには遅い時間だ。 新美さんが話を聞くと、男性は40万円を必要としていたが、すでに1日の引き出し限度額を超えていた。他のコンビニで電子マネー(プリペイドカード)を購入していて、さらに買うつもりだったとも。 「それ、詐欺ですから」と新美さんは声を上げた。警察を呼ぶことを伝えると男性は戸惑った表情を見せた。「振り込んでしまったら、お金は戻ってきませんよ」「(通話状態の)スマホは切って。かかってきても出ないで」。署員が駆けつけるまでの約10分間、同様の詐欺事件が相次いでいることも説明し、購入を断念させた。 半田署によると、男性がパソコンを使用中に警告画面が現れた。表示された番号に電話したところ、犯人側から修理代名目として、コンビニで電子マネーを買うよう迫られたという。電子マネーを買ってカード番号を伝えても、「これは使えない」とそのたびに要求を繰り返す。結果、四つのコンビニで購入した電子マネー計75万円分をだまし取られた。 電子マネーには「使い方、大丈夫ですか」 新美さんによると、男性は他の4軒の店でも「詐欺ではないか」と注意されたが聞かなかったという。 この件で新美さんは9月14日、半田署長から被害の拡大を防いだとして感謝状を贈られた。通算4度目。過去3度は、2017年5月に50万円、18年2月に2万円、21年2月に4万9千円の各架空請求詐欺による被害を防いだ功績だった。 16年に夫(55)と現在の店を開業したときから特殊詐欺事件が社会問題になっていた。少しでも被害を減らせるよう考え、お客に「どうしましたか」と声をかけるようにしてきた。 例えば架空請求詐欺でよく使われる電子マネー。「使い方、大丈夫ですか」と聞くようにしている。 高齢者が高額の電子マネーを買おうとしている▽電子マネーを「どこに売っているのか」と聞いてくる▽通話状態の携帯電話を持っている……。これまでの経験で分かった被害者の様子だ。 苦労もあるけれど…「詐欺がなくならない以上、ずっと続けていく」 気苦労も少なくない。 今年8月、40万円分の電子… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル