地方議員が自身の選挙に関する犯罪で当選無効になった場合、自治体は議員報酬の返還を請求できるか――。この点が争われた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(林道晴裁判長)は12日、「請求できる」とする初めての判断を示した。 半世紀以上前に自治省(現総務省)が「請求できない」との行政解釈を示し、現在まで影響してきた。今回の判決で、国会議員も含め、返還請求の動きが活発化する可能性がある。 訴訟は、2019年の大阪市議選に当選後、公職選挙法違反罪(買収)で有罪が確定して当選無効となった不破忠幸元市議(58)に対し、市がすでに支払った議員報酬や政務活動費など計約1400万円を返還するよう求めたもの。 第三小法廷はこの日の判決で、元市議が逮捕・勾留で身体を拘束されていた21日分の議員報酬など計約160万円に限って返還を命じた二審判決を破棄し、元市議に全額返還を命じた。市の全面勝訴が確定した。 1966年の行政解釈、返還請求のハードルに 公選法の規定に基づき、当選… この記事は有料記事です。残り492文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
倍率78倍も… 氷河期世代の就職、厳しいまま 神戸市の職員採用で
小川聡仁2023年12月12日 11時30分 神戸市は、就職氷河期世代を対象とした今年度の市職員採用試験の結果を公表した。受験者数265人に対し合格者は6人で、このうち事務職の倍率は78倍に上った。 バブル経済崩壊の影響で希望する就職ができず、不安定な就労を余儀なくされた世代(38~53歳)の採用を目的に実施しており、学歴、職歴は原則不問。総務省からの要請を受けて2020年度から始め、4年間に延べ1828人が受験。27人が合格した。 事務職の昨年度の倍率は約80倍で、今年度も高水準となった。事務職・技術職を合わせた今年度の採用倍率は44・2倍で、昨年度(69・4倍)より下がった。市は「他の自治体の採用などもあり受験者数が減少傾向にあるが、引き続きこの世代の就業ニーズはある」とみている。 今年度の大学卒業者を対象とした神戸市の採用試験で、総合事務などの一括募集枠の倍率は約5倍だった。(小川聡仁) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
日本の研究力復活、大学ファンドより「分権的な改革」と健全な競争で
有料記事 聞き手・石川智也2023年12月12日 11時30分 世界と伍(ご)する大学をつくろうと政府が創設した「大学ファンド」。巨額の官製ファンドの運用益から研究費を捻出し、数大学に配るという新たな「選択と集中」は、低迷著しい日本の研究力復活の起爆剤となり得るのか。「大学改革支援・学位授与機構」の特任教授として国内外の大学改革の実情を見てきた竹中亨さんに聞いた。(聞き手・石川智也) 大学活性化には「効果が乏しい」 日本の財政事情を考えれば、大学の一定の「選択と集中」は不可欠です。 全ての大学が幅広く研究や人材育成を一手に担った1980年代までのあり方は、大学の使命が多様化した現在は通用しない。基礎研究と応用研究、職業実践教育とリベラルアーツ(教養教育)など、身の丈に応じた大学ごとの役割分担は避けられません。 旧帝大でさえ運営費交付金の減額で研究費や人件費を削らざるを得なくなっている中、巨額の支援を得られる大学ファンドに期待する事情もよく分かります。 ただ、今回の枠組みは、大学活性化には効果が乏しいと思います。 大学全体の研究力に関する国… この記事は有料記事です。残り820文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
突然に動悸、ベッドで涙 取り込み詐欺で失った1400万 年末注意
神戸市で食料品や化粧品などの卸売会社を営む男性(40)は、ため息をついてつぶやいた。 「今まで築き上げてきたものが壊された」 前触れなく動悸(どうき)や息苦しさに襲われ、電車に乗れない日があった。ベッドで涙が止まらず、眠れない夜が続いた。 始まりは2019年2月下旬、会社のパソコンに届いた1通の営業メールだった。 ――他社よりも安い卸値となっております 送り主はインターネット通販会社「ライフワークスホールディングス」(東京都新宿区)。大手ドラッグストアと共同仕入れで低価格を実現したとうたっていた。 男性はさっそく商品を注文した。他社より5~10%ほど安かった。「良い取引先を見つけた」と思った。 ところが、次第に商品の発送が滞っていった。 ライフ社の名前をネットで検索した。こんな言葉が目に飛び込んできた。「詐欺に注意」「だまされています」 すでに約4400万円分の商品を注文していた。パソコンを打つ手が震え、冷や汗が止まらなかった。 ネット通販の利用者が増えた一方で、商品が届かないなどのトラブル相談が増えています。年末にかけて被害が増える可能性も。記事後半では、個人ができる対策も紹介しています。 ■やってきた「田中」名乗る男… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
埼玉の共学化勧告 識者は「公教育は男女平等」「別学は学力伸びる」
埼玉県の第三者機関は今夏、「公的機関が性別に基づき異なった取り扱いをなすのは大問題」などとして、県立高校の共学化を勧告した。「ジェンダー平等」の社会をつくるうえで、公立高校における男子校・女子校の存在はどのように考えるべきか。 埼玉県立高校には12の男女別学校があります。共学化を求めた今回の勧告をめぐり、県内では賛否両論が出ていますが、識者はどうみているのでしょうか。木村涼子・大阪大教授(教育社会学)と中室牧子・慶応義塾大教授(教育経済学)に聞きました。 男女別学は「時代に即さなくなった」 教育現場でのジェンダーに関… この記事は有料記事です。残り988文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「今年の漢字」いつも清水寺で発表、なぜ? 生みの親が明かす人の縁
「いい字 いち字」の語呂合わせで12月12日は「漢字の日」。日本漢字能力検定協会がこの日に京都・清水寺で発表するのが、今年で29回目を迎える「今年の漢字」だ。阪神大震災のあった1995年の「震」、食品偽装が相次いだ2007年の「偽」、ロシアのウクライナ侵攻があった昨年の「戦」など、漢字一字で世相を鋭く切り取ってきた。師走の風物詩はいかにして生まれたのか。 考案した人は「墨爺」に 「今年の漢字」は、清水寺の森清範(せいはん)貫主(かんす)が縦1・5メートル、横1・3メートルの巨大和紙に墨筆を振るって発表する。揮毫(きごう)の瞬間のテレビ中継もおなじみだ。 その発表の20~30分前から、森貫主に手渡す筆に墨を念入りに含ませる男性がいる。人呼んで「墨爺(すみじい)」。この男性が「今年の漢字」の生みの親ともいえる大野博史さん(81)だ。漢検協会が京都・祇園で運営する漢字博物館・図書館(漢字ミュージアム)の参与として、普段は来館者に漢字の由来を教えたり、ミニ漢字検定コーナーの採点係をしたりしている。 大野さんが食器輸入業から漢検協会に転職したのは92年。漢検のことを知ってもらおうと学校回りをしても、怪しげな業者と思われて門前払いされる日々が続いたという。 思いついたのは「きょうの漢字」、でも…… 「何とかして、知名度を上げ… この記事は有料記事です。残り1142文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「食べさせてあげたい」戦地の軍医に抱いた感情 警察「99・9%」
11月上旬、奈良県田原本町の60代男性は、いつものようにスマホでフェイスブックを開いた。投稿した写真に「いいね」がついていた。見慣れない外国人の名前で、女性のようだった。ほどなく、「友達になって欲しい」という申請が届いた。 「1人くらいいいか」。そんな気持ちで承認し、LINEを交換。自己紹介をして、家族の写真などを送り合うようになった。相手は翻訳のアプリを使っているのか、ぎこちない日本語でメッセージを送ってきた。44歳のアメリカ人女性で、中東イエメンで軍医をしているという。夫を亡くし、9歳の一人娘と暮らしていた。 1日20通ほど、「おはよう」というあいさつや日々の暮らしについて親しくやりとりするようになった。恋愛感情のようなものはなかったが、「子どもと、頼れるお父さんのような関係」だったという。 やがて戦地の画像が送られてくるようになった。爆撃を受けた街の様子や、けがをしている人の画像とともに、「こんな危険なところから早く逃げ出したい。安全な日本に行きたい」とのメッセージ。心が痛んだ。 1億3000万円の画像 「えらいことや」 自分が作った料理の写真を送… この記事は有料記事です。残り1028文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安倍派パーティー券、2万円の実物入手 購入者「依頼、複数から」
野間あり葉 谷瞳児2023年12月12日 5時00分 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐって、裏金作りの疑惑が浮上している。パーティーを通じて作られる金のもととなるのがパーティー券だ。それは一体どんなものなのか。 朝日新聞は、「清和政策研究会(安倍派)」が今年5月16日に東京都内で開いたパーティーの未使用の券を入手した。 長方形の紙の券には「入場券」「清和政策研究会との懇親の集い」と記され、会費は「20、000円」(2万円)で、「*本券を当日受付へご提示下さい」との注釈があった。「ご芳名」「ご住所」「貴社(団体)名」「ご紹介者」を記す欄もあった。 この未使用の券を保管していたある業界の政治団体の担当者は「同じパーティー券の購入依頼が毎年、複数の議員から届く」といい、「販売ノルマがあるとの報道を見て納得した」。裏金化の疑いについては「ポケットマネーではなく政治活動に使っているのならいいのでは」と話す。 一方、今年、派閥のパーティー券を10枚購入した機械加工会社の幹部は、実際にパーティーに出席したのは1人だったと取材に明かし「企業は議員に頼まれたら断れない」。 10人が出席するつもりは初めからなく「(出席しない)9人分は実質的には寄付だ」という。「適当に付き合っておくしかないけど、こんなやり方を続けていいのか疑問はある」 別の政治団体の担当者は裏金化の疑惑についてこう口にした。「お金が政治活動以外に使われると思って券を買ってはいない」(野間あり葉、谷瞳児) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
派閥パーティー券購入者が聞いたからくり 買ったのに未使用の券も
有料記事 市田隆 野間あり葉 谷瞳児2023年12月12日 5時00分 自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐって、裏金作りの疑惑が浮上している。パーティー券を購入していたある企業の役員は、議員側から「社名が出る心配はない」と言われ、その「からくり」を聞かされたと取材に証言する。購入だけして出席しない人も多いとして「実質的には寄付」と話す購入者もいる。(市田隆、野間あり葉、谷瞳児) 土木工事関連会社の役員が、自民党のある派閥のパーティー券の取り扱いに違和感を抱いたのは、いまから数年前のことだった。 その年、役員は、その派閥に属する5人の議員の事務所から別々にパーティー券購入を依頼され、会社として20万円分(10枚)ずつ計100万円分(50枚)を買った。 政治資金規正法は、20万円を超えるパーティー券の購入者について、収支報告書に団体名や購入額を記すよう義務づけている。5議員側にばらばらに払ったお金が名寄せされれば、合計は20万円をオーバーする――。 役員は、派閥の収支報告書に社名が載ることを心配した。陳情などを通じて様々な議員と付き合いがあり、「特定の派閥に肩入れしていることを知られたくなかった」からだ。 ある議員の事務所担当者に相… この記事は有料記事です。残り1080文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学校でテレビでひろがる川柳 正解ない自由な表現が魅力
教育現場で、テレビで、川柳がじわりと広がる。話し言葉で、どんなテーマでも詠めるから初心者も親しみやすい。一方、前衛的な表現の「現代川柳」に取り組み、注目の若手も。自由で懐深い世界を追った。(小林祝子) 教員志望者 子の多様な表現受けとめ 「お題はプール。30秒で言って!」。帝塚山大学教育学部(奈良市)の国語科教育法の授業。徳永加代教授の呼びかけに「塩素の匂い」「冷たいシャワー」「次の授業が眠い」。マイクを回す約40人の学生から次々に言葉が飛び出す。笑い声がわき、「何やそれ」と突っ込みも。この連想の「ゲーム」は川柳を詠むための下準備だ。「テーマにどう切り込むか、まずイメージを耕すことが大切」と徳永教授。 学生どうしの講評もある。「机」がテーマの「はがれないいつ貼ったかもわからない」には、「古いシールを爪ではがす様子が浮かんで笑える」「懐かしい気持ち」と声が上がった。 学生の多くが小学校教諭を目… この記事は有料記事です。残り2118文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル