有料記事 西田有里 山田暢史2023年12月11日 8時00分 埼玉県立高校の男子校・女子校について、この夏、県の第三者機関が「早期共学化」をするよう県教育委員会に勧告を出した。 こうした勧告は、2002年に続き2度目だ。賛成派が「次こそは実現してほしい」と意気込む一方、現状維持派からは、共学化により生徒の選択の幅が狭まり学校の個性や魅力が薄れる恐れもあるなどとして懸念の声が聞こえてくる。 埼玉県立高校には計12の別学校があります。前回の勧告時は強い反対の声が上がり、県教委が「当面は現状維持」と結論づけました。それから約20年。今回の勧告にも賛否の声が上がっています。共学化に賛成する市民グループと、現状維持を望む県立浦和高と浦和第一女子高の出身者の声を紹介します。 ■同性のなかで育まれたリーダ… この記事は有料記事です。残り1125文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Think Gender 男女格差が先進7カ国で最下位の日本。生きにくさを感じているのは、女性だけではありません。だれもが「ありのままの自分」で生きられる社会をめざして。ジェンダーについて、一緒に考えませんか。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
戦場で犯した罪 繰り返される悪夢 医師が守った兵士のカルテ
日中戦争のさなか、精神神経疾患専門の国府(こうの)台(だい)陸軍病院(千葉県市川市)に入院していた兵士たちの病床日誌(カルテ)が残されている。 山形県出身、28歳、元郵便局員。 兵隊にとられる前は勤勉に働き、結婚して家庭もあった。中国北部で赤痢に感染し、内地に向かう病院船で頭痛や不眠を訴えるようになる。 《山西省で部隊長の命令で部落民を殺せることが最も脳裡(のうり)に残っている……自分にも同じ様な子供があったので、余計厭(いや)な気がした……恐しい夢は其(それ)以来ずっと時々ありて悩まされる》 《良民六名を殺したることあり、之(これ)が夢に出てうなされてならぬ、又(また)廊下なぞで誰かに殴られそうな気がして そっとよけて歩くと云(い)う》 「顔貌(がんぼう)表情に乏しく被害妄想的曲解」と、医師のメモ。病名「精神乖離(かいり)症」。兵役に耐えられないとされた。 神奈川県出身、35歳、元鉄道員。 1937年、日中戦争の上海上陸作戦に参加。渡河中に中国軍の迫撃砲弾が至近距離で爆発し、一時失神した。 《戦斗(せんとう)間熾烈(しれつ)なる弾雨中に於(おい)て大なる危機を生じたる衝撃 又惨烈なる生活並(ならび)に激戦長時に依(よ)る疲労累積等特異なる戦場の諸悪影響に依り発病せしもの》 《絶えず分隊長より殴打され苛(いじ)められしことが残念で病気になりし》 「精神的打撃に耐えざる状態にして眼瞼(がんけん)手指震顫(しんせん)」と、医師のメモ。病名「乖離性反応」。兵役に耐えられないとされた。 ひそかに集められた患者 1938年に軍が整備した国… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マラソン大会中に「ドンッ」選手が骨折 異例の衝突事故、なぜ起きた
福岡国際マラソンは国内外の招待選手のほか、厳しい参加資格を乗り越えた市民ランナーらが参加し、福岡市の市街地を走り抜ける。 スタートから31・6キロの折り返し地点。多くの選手にとって、疲労がピークに達するころだった。 ここで折り返した後は、福岡市の中心部と、その先のゴールをめざすことになる。 仙台市からレースに参加していた杉田康さん(53)は、走る速度を緩めながら道路中央のコーンを回り、Uターンした。 5メートルほど前を走る男性選手は、比較的速いスピードのまま、大回りでコーンを折り返していた。 その直後だ。 「キキー!!」 大きなブレーキ音が聞こえた。 前方を走っていた選手が、後ろからきた大会の運営車両にはねられ、前に転倒する姿が飛び込んできた。「ひかれた!」という声も聞こえた。 沿道でレースを観戦していた医療関係者の男性(36)も、車のブレーキ音と「ドンッ」という鈍い音に驚き、慌てて目を向けた。1人の選手が車の右バンパーの先でうずくまっていた。 1、2回、ふらつきながら起き上がろうとして倒れたあと、腕を引きずるようにして立ち上がって走り出した。 「右手がぶらんと動いていないような感じで、明らかにおかしかった」 選手への心配と、まさかという驚きで、「沿道は騒然とした空気」だったという。 大会事務局は当日のうちに、公式ホームページに「弁解の余地はなく、競技者に対し大変申し訳ない」とのコメントを載せた。 大会の運営車両と選手がレース中に接触する事故は異例だ。事務局も「あってはならない事故」と説明する。 それがなぜ、起きてしまったのか。 レース中の異例の事故が起きてしまった理由や、その後の対応についてまとめました。事故防止の対策について、専門家にも話を聞いています。 3日の福岡国際マラソンはパリ五輪の代表選考会を兼ね、計269人のランナーが参加していた。一般の参加者は、マラソンなら2時間35分以内のタイムを持っていることが必要だ。「参加資格が厳しく、ランナーにとって夢の舞台」と話す選手もいる。 大会の事務局によると、選手… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「水族館にしかいない謎のクラゲ」どこから? 研究で浮かんだルーツ
水族館で発見され、各地で飼育されていながら、野外では見つかっていなかった「謎のクラゲ」がいる。 その出自の一端が、神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館と山形県鶴岡市立加茂水族館が参加した、ハワイ太平洋大学(米ホノルル)などとの国際共同研究で明らかになった。謎のクラゲはどこから来たのか――。 このクラゲはヒドロ虫綱マツバクラゲ属の「コブエイレネクラゲ」。1992年に鳥羽水族館(三重県鳥羽市)の水槽内で発見され、新種とわかった。 鳥羽湾で採集した魚や海水などとともにポリプ(クラゲの前の状態)が入ったとみられ、その後、国内各地の水族館に提供されて飼育されるようになった。 一方で野外では採集されず、「水族館でしか発見されていない謎のクラゲ」とされ、そのルーツは謎に包まれていたという。 生態や遺伝子データなどを精査したところ… 今回の国際共同研究では、コ… この記事は有料記事です。残り575文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ある朝、家が跡形なく消えた… 限界集落で起きた「孤独焼死」の背景
山奥の集落で夕方、一人暮らしの高齢者宅から出火した。 しかし、だれひとり火事に気づかない。判明したのは翌朝で、焼け跡からは遺体が見つかった…… そんなショッキングな「孤独死」ならぬ、「孤独焼死」が21世紀の日本で起きた。 高齢者が点在して暮らす山間部の集落。記事後半では、住民の生活を守るために自治体が着目した家庭の〝ある機器〟を使った実証実験について紹介します。 高知市から車で1時間半。国道から左に折れ、山道をさらに進んだ先に目的地はあった。 「あんなことがあったなんて今でも信じられない」 高知県中部の人口約4700人の仁淀川町。その別枝上区(べっしかみ)の道路沿い斜面にぽっかりとあいた「空間」に立ち、大石邦広さん(67)はつぶやいた。 3年前まで、ここには87歳の男性が一人で暮らしていた。暖かい日中は、縁側から外を眺めるなどして過ごしていたという。 2021年2月10日朝。買い物に行く途中に車で通りかかった女性が異変に気づいた。 家がない――。 そこには、木造平屋の住宅があるはずだった。それが跡形もなく消えていた。 門扉からスロープを上がると民家の焼けた跡が残っていた。 消防による実況見分で、前日の午後5時ごろに発生した火災で全焼したことが分かった。一晩かけて完全に焼け落ち、外壁さえも残っていなかったという。 焼け跡からは住民の男性が遺体で見つかった。 そのとき、すでに出火から20時間近くがたっていた。近隣に人家はなく、誰も気がつかないまま亡くなったとみられている。 限界集落、きっかけは1970年万博だった 「民家火災であれば煙が高く… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
県庁、駅…不審な段ボール箱を次々と 信じて脅された21歳女の誤算
その日、岡山県内は騒然となった。 「県庁、県議会議場、県内の市役所、公共施設、各駅を爆破する」 6月19日午前8時半ごろ、県庁に届いたメールに職員が気づいた。 前日夜から19日未明にかけて、岡山、倉敷の両市役所にも爆破を予告するメールが届いていた。 県庁、市役所、大学、駅――。19日午前から20日午前にかけて、各施設で不審な段ボール箱が相次いで見つかった。 「巻き込まれたくないなら300万を届けるナリ」。そう書かれた文書が貼られていた。 職員や来庁者らは一時退避し、県警の爆発物処理班が出動した。 県警は段ボール箱を回収し、危険物ではないことを確認したとして、まもなく規制を解除した。 3日後の同月22日、県内6カ所に段ボール箱を置いたとして、威力業務妨害容疑で1人の女が逮捕された。その後、同罪で起訴された。 9月19日、岡山地裁で初公判が開かれた。 栗色の髪を肩まで伸ばした21歳の女が、被告として法廷に立ち、起訴内容を認めた。 女はなぜ、事件に関わったのか――。法廷でのやりとりから、経緯が明らかになった。 検察側の冒頭陳述や被告の供述調書などによると、被告は倉敷市で家族と暮らしていた。 高校卒業後に就職した… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
白神山地は「帰りたい」場所 尾上菊之助さんが感じた世界遺産の魅力
東アジア最大級のブナの原生林が広がり、アニメ映画「もののけ姫」の舞台のモデルになったとされる白神山地は、ユネスコの世界自然遺産に登録されてから11日で30年を迎える。青森県と秋田県にまたがり、広さが約13万平方メートルに及ぶとされる白神山地は、貴重な動植物が残る自然の宝庫。何度も足を運んでいる歌舞伎俳優の尾上菊之助さん(46)に、その魅力を聞いた。 おのえ・きくのすけ 1977年、東京生まれ。96年、「弁天娘女男白浪」ほかで五代目尾上菊之助を襲名。来年1月5日から新国立劇場で上演される初春歌舞伎公演に出演予定。古典歌舞伎のみならず、テレビドラマや映画に出演する。休日には青森の奥入瀬や十和田湖にも足を運ぶ。 ――白神山地を訪れたきっかけは? 2021年10月にBS―TBSの番組「神秘と継承の世界遺産 白神山地」で訪れたことです。そのときは1週間ほど滞在しました。自然が素晴らしかったので、その年の11月、小学生の息子(七代目尾上丑之助さん)と2人で訪れました。 独身のころはふらっと海外旅行に行き、大自然の中で過ごすこともありました。子どもが生まれてからはなかなかその機会がなく、子どもを自然に触れさせたいとずっと思っていました。世界遺産巡りが趣味の一つだったので、白神山地には興味がありました。 白神山地でマタギの一族の末裔(まつえい)の吉川隆さん(73)から、話をうかがいました。その前にマタギの本を何冊か読み、白神山地が世界遺産に登録されるまでの歴史や、どのような場所かを勉強しました。 白神山地で暮らしてきた吉川さんは「山菜やキノコなど山の恵みは採りすぎず来年に残す。決してやりすぎない」とおっしゃっていた。そこには自然の中で生きる知恵があり、とても心に残りました。 ――初めて白神山地に入ったときの印象は? 空気が違いました。秋だったので、紅葉が進んでいく山の美しさ、自然の豊かさに魅了されました。 ブナなどの植物に気づかされることがありました。雨によって地滑りが起こると、新しい命が芽吹くんです。破壊と再生を繰り返す自然の中で、木々は世代交代をしながら遺伝子は確実に残っていく。 繰り返す自然、伝統の継承に重なる それは、私が身を置く歌舞伎… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北野天満宮の名刀「鬼切丸」、刀剣ファン後押し CFは目標2倍超え
北野天満宮(京都市上京区)が所蔵する太刀「鬼切丸(別名髭切〈ひげきり〉)」(国重要文化財)の外装「拵(こしら)え」を新たに制作するプロジェクトが始まった。1500万円の費用を募るクラウドファンディング(CF)を11月末に始めたところ、刀剣ファンの後押しもあって、すでに3300万円(12月8日時点)が集まっている。 鬼切丸は平安時代の太刀で、北野天満宮が所蔵する約100振りの中で最も古い。武将・渡辺綱が自分を連れ去ろうとした鬼の腕をこの刀で切ったという伝説から鬼切丸と呼ばれている。 同天満宮によると、源頼朝や新田義貞らの手を経て、最上家の家宝として受け継がれてきたという。明治時代に最上家の手を離れると、当時の滋賀県令の呼びかけで北野天満宮に奉納された。 刀剣ブームのきっかけとなったオンラインゲーム「刀剣乱舞」には鬼切丸をモデルにしたキャラクターがおり、北野天満宮が所蔵する刀への関心も高まっている。刀身を納める鞘(さや)や握る部分の柄(つか)、鍔(つば)などの拵えは鬼切丸では失われており、25年に1度の大祭「半萬燈(はんまんとう)祭」(2027年)に向けて、新たな拵えを制作することにした。 東川楠彦総務部長は「北野天… この記事は有料記事です。残り501文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
22歳ホストを逮捕、客の女と共犯容疑 名古屋・男性遺棄事件
2023年12月10日 21時46分 名古屋市中区新栄2丁目のマンションの一室で男性の遺体が見つかった事件で、愛知県警は10日、ホストクラブ店員の小山直己容疑者(22)=同市中区新栄1丁目=を死体遺棄容疑で逮捕し、発表した。認否を明らかにしていない。 この事件では、無職内田明日香容疑者(29)=同市北区会所町=が同容疑で既に逮捕されている。7月ごろに客として小山容疑者の店を訪れて知り合ったという。 中署捜査本部によると、小山容疑者は9月末ごろ~11月21日、内田容疑者と共謀し、この部屋に住む古物商阿部光一さん(42)の遺体を寝室のクローゼットに毛布に包むなどして遺棄した疑いがある。 捜査本部は今後、2人の役割分担などを調べるとともに、殺人容疑も視野に阿部さんが死亡したいきさつも捜査する。 この事件を巡っては、阿部さんの親族がSNSでのやりとりに不審を抱き、11月20日に行方不明者届を提出。翌21日、中署員が室内で阿部さんの遺体を見つけた。捜査関係者によると、遺体は全裸で、毛布と布団をかけられていた。手首はロープで縛られ、頭部は白いポリ袋で覆われていたという。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「被害者と面識ない。誰でもよかった」殺人容疑で逮捕の21歳自衛官
光墨祥吾 西崎啓太朗 関ゆみん2023年12月10日 23時06分 京都市東山区のマンションの階段踊り場で3日、住人の岡田好次郎(よしじろう)さん(82)が血を流して倒れているのが見つかり、その後死亡が確認された事件で、京都府警は10日、岡田さんを殺害したとして、陸上自衛官の水島千翔(ゆきと)容疑者(21)=住居不定=を殺人の疑いで逮捕し、発表した。「被害者と面識はなかった。誰でもよかった」と容疑を認めているという。 府警によると、水島容疑者は3日午後7時55分ごろ、京都市東山区本町8丁目のマンションの2階と3階の間にある階段踊り場付近で、岡田さんを刃物のようなもので複数回突き刺すなどして殺害した疑いがある。 防犯カメラなどの捜査から水島容疑者が浮上。現場から歩いて逃げ、電車に乗って移動したとみられるという。捜査員が10日午前、東京都港区内で水島容疑者を見つけて逮捕した。持っていたリュックに刃体十数センチの文化包丁があったといい、事件に使われた凶器かどうか鑑定などを進める。 水島容疑者の勤務先の関係者から4日、「3日朝から(水島容疑者の)所在がわからない」と府警に届け出があったという。岡田さんとの接点は確認されておらず、府警は容疑者の事件前の足取りについても調べる方針。 司法解剖の結果、岡田さんの死因は背中を刃物のようなもので刺されたことによる失血死だった。府警は3日午後6~9時ごろに死亡したとみている。(光墨祥吾、西崎啓太朗、関ゆみん) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル