「記者会見がショー化しているのではないでしょうか」。元毎日新聞記者で、ノンフィクションライターの石戸諭さんは、旧ジャニーズ事務所の記者会見をめぐる議論を見ながら、そう感じてきたといいます。どういうことなのでしょうか。石戸さんに話を聞きました。 ◇ 旧ジャニーズ事務所側が記者会見の際に「NGリスト」を作っていたことをネットメディアや、マスメディアの多くは「けしからん」という論調で報道しました。気持ちはわかりますが、問題はもう少し複雑です。考える前提から整理してみましょう。 企業の場合、記者会見をする義務はなく、どのような形で会見を運営するかは、企業の裁量に委ねられています。「NGリスト」を作ることも自由です。一方、不祥事を起こした企業が、社会に対して説明責任を果たそうとしない場合、記者たちは当然厳しく追及する自由があります。企業の対応の是非を最終的に判断するのは、読者や視聴者の役割です。 騒動の背景に「エンタメ化」する記者会見 今回の騒動の一番の原因は… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
警察の「お堅い」詐欺防止冊子、心理学専攻の大学生アイデアで刷新
西岡矩毅2023年12月1日 12時30分 多発するニセ電話詐欺の被害を減らそうと、九州産業大学(福岡市)で臨床心理やデザインを学ぶ学生と福岡県警がタッグを組み、「電話対応ハンドブック」を作った。警官が示した原案を、学生のアイデアで親しみやすく生まれ変わらせた、その中身とは――。 県警の要請に応じて協力したのは、人間科学部臨床心理学科と芸術学部ビジュアルデザイン学科の3年生4人と、大学院生1人の計5人。詐欺を見抜くためのチェックリストや警察に通報する時に伝える内容などを盛り込むハンドブックの表現を練り上げた。 作業は5月にスタート。県警側が「被害にあわないための4箇条」として当初示したのは、「理解する」「信用しない」「お金の話は詐欺」「すぐに相談」という文言。これに対して、心理学専攻の学生らが「四つは多い」「『信用しない』と否定する言い方は頭に入りづらい。『○○しましょう』と提案する方がいい」などと注文。協議の結果、完成品は「詐欺対策3ケ条」で、「理解しましょう」「疑いましょう」「落ち着きましょう」となった。 芸術学部の学生らはデザイン面で意見を出した。その一人、本告優人さんは「字が多いと分かりづらい」「丸みがあるデザインの方が親しみやすく、手元に置いてもらえる」と提案。完成品では、注意を引きつける黄色を背景に採用し、一目でわかるピクトグラム(絵文字)も使うことになった。 作業を終え、臨床心理学科の亀山ひかるさんは「納得できる仕上がり。祖父母にも渡したい」。県警生活安全総務課の谷川亨課長は「我々が作ると、紋切り型で堅くなってしまう。注意を投げかけられる、良いものができた」と喜んだ。 県警によると、今年1月~10月末までに県内で起きたニセ電話詐欺の認知件数は466件(前年同期比183件増)で、被害額は9億1千万円(同2億2千万円増)。そのうち、半数以上の317件の被害者は65歳以上の高齢者で、被害額は全体の8割以上にあたる7億6千万円にのぼった。 完成したハンドブック(A4判、6ページ)は9万部を用意。今後、各署や年金事務所などで配布し、警官が地域を巡回する時にも配る予定という。(西岡矩毅) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「なぜ学ぶ?」「故郷と重なった」 学生が水俣と向き合った34日間
福岡市で11月14日までの34日間開かれた「水俣・福岡展」は、地元の大学生らが展示の説明員などとして運営を支えた。若者たちは水俣とどう向き合い、何を伝えたのか――。(伊藤未来、福井万穂) 展示会場の入り口に掛けられた、ひときわ大きな少女の写真。水俣病の公式確認のきっかけとなった患者、田中実子さんだ。 「この方は病気のせいで普通の生活ができず、話すこともできなくなりました。最後に発した言葉は『くつがはけない』だったそうです」 西南学院大(福岡市)法学部3年の藤田汐音さん(21)はその写真を前に、自らの言葉で、来場者に説明した。 水俣病を研究テーマの一つとする同大の田村元彦・准教授(地方自治論)のゼミに昨年入り、本や映像で学び始めた。今年、現地を訪れ、患者や家族の話を直接聞くと、見え方ががらりと変わった。 自分の父親はどう見ても水俣… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
宝塚大劇場での公演、2カ月ぶり再開 劇団員死亡問題での中止から
宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の劇団員の女性(25)が9月末に死亡した問題を受け、中止されていた宝塚大劇場での公演が1日、2カ月ぶりに再開し、雪組公演が開幕した。 11月10日に開幕予定だった雪組公演は3週間遅れの初日となった。演目は名探偵シャーロック・ホームズを生み出した作家アーサー・コナン・ドイルの物語「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」と、来年の雪組100周年を祝うレビュー「FROZEN HOLIDAY」。満席で立ち見券も完売した。 劇団員の女性が所属していた宙(そら)組の宝塚大劇場公演は10月1日から千秋楽まで中止、東京宝塚劇場公演は開幕予定だった11月25日から12月14日まで中止となった。(河合真美江) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「衝撃、不安」「中止が当然」 各地でオスプレイ飛行停止求める声
米軍の輸送機オスプレイが墜落した衝撃は、関係する全国の自治体にも広がった。情報収集に追われ、徹底した原因究明や一時的な飛行停止を求める声が相次いだ。 沖縄県は11月29日、事故原因が究明されるまで全ての米軍オスプレイの飛行を停止するよう日本政府を通じて米側に求めた。 だが、市街地の真ん中にある米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)周辺では30日、防衛省の飛行停止要請後もオスプレイの飛行が相次いで確認された。 宜野湾市内の女性(50)は「昨日の今日で飛んでいるなんて」と驚いた様子で話した。 事故のことが気になり、基地を見渡せる高台を訪れたといい、「危険性がずっと指摘されているのに普通に飛んでいる。もし落ちたらどうするのかと思うと不安で、怒りがわく」と語った。 鹿児島県は29日午後2時45分ごろ、県警から「屋久島空港近くの海岸にオスプレイが左エンジンから火を噴いて着陸した」との連絡を受けてから、夜通しで情報収集にあたった。 県は30日、防衛省九州防衛… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
かつては団体客殺到、今は 京都の映画村、開園半世紀で全面刷新へ
東映太秦映画村(京都市右京区)が、2025年の開園50周年にあわせて初めて全面リニューアルをすることになった。2024~28年に街並みの中に来場者が楽しめる店舗や酒場、温浴施設などをつくり、従来の客層の家族連れに加えて外国人観光客らを呼び込みたい考えだ。 東映が11月25日に発表した。3期に分けて工事をして、第1期は25年に開業する予定。江戸時代の町並みの一部や飲食・物販の店が並ぶ中央通りがオープンする。第2期では街並みが完成するほか、忍者ショーなどが見られる芝居小屋を整備。28年までの第3期には江戸風の温浴施設をつくる。 営業を続けながら工事を進め、総事業費は約120億円を見込んでいる。時代劇を「観(み)る」ことにとどまる場所から、時代劇の世界に没入できる場所へ生まれ変わることをめざすという。 開園以来最大規模の改修に踏み切った背景には、東映太秦映画村を取り巻く現状の厳しさがある。1975年に日本初の時代劇テーマパークとして開業し、時代劇の撮影を目の前で見ることができる施設として人気を博した。全国の修学旅行生や団体旅行客が殺到し、82年には約256万人が訪れた。 東映社長が打ち明ける事情 しかし、開場から50年近く… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
NHK取材メモがネットに流出か 幹部ら「本物では」「重大事案だ」
NHKの報道局員が作成した取材の企画案や関連の取材メモなどが記された文書が外部に流出した可能性があることが、複数のNHK関係者への取材でわかった。X(旧ツイッター)では、流出したとみられる文書が拡散されており、複数のNHK関係者が朝日新聞の取材に「本物とみられる」と証言。取材で得た情報を報道目的以外で流出させた可能性があるとして調査をしている。 X上で拡散されている文書は、ネットの誹謗(ひぼう)中傷の問題を取り上げる取材の企画概要が記載されたものと、関係者インタビューを文字起こししたものがあり、いずれも「文書種別」の項目に「連絡メール」と記載されていた。また企画概要には「放送希望」「12月1日 『首都圏ネットワーク』で5分程度」とも書かれていた。 NHK関係者は「(文書の)仕様はNHKのもの」とした上で、こうした文書は、局内のネットワーク上に保管され、不特定多数の局員が閲覧できる状態にあるという。 インタビューは、都内の虐待や性暴力被害を受けた女性を支援する団体に、ネット上でかつて中傷を繰り返した「匿名男性」に対して行ったとされるもので、19ページに渡ってその一問一答などが記されていた。 また、このインタビューで男性が中傷するきっかけになったと言及し、この団体を批判している人物が、11月28日にX上で、「(男性に)インタビューしたこちらの記事が放送されるかもしれない」と投稿し、文書を入手できるリンク先を掲載していた。 NHKは朝日新聞の取材に「取材・制作の過程についてはお答えしておりませんが、ご指摘の内容は把握しており、現在、事実関係を確認中」とコメント。あるNHK幹部は「情報が流出してしまった重大事案だとみて、流出の経路などを調べている」と話す。(宮田裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
木箱に囲まれたベッドで見る夢は? 街づくり拠点の2階は不思議な宿
子どものころ、段ボールで作った自分だけの秘密基地。そんな記憶がよみがえるような場所だ。 1階のカフェを抜け2階に上がると、壁のように天井まで積み上がった木箱が視界を遮る。反対側に回れば、箱に囲まれたベッドがあり、昔の寝台特急のような雰囲気で、大人ひとりがゆったり横になれる。 ここは、青森県弘前市百石町に昨年8月にオープンしたゲストハウス「ORANDOの二階」。ベッドや和室を備えたドミトリーで、定員は24人。弘前城に近く、年間を通して多くの観光客が利用する。1泊3500円前後とリーズナブルなこともあり、海外のバックパッカーが訪れることも多い。 「弘前を体感して」 箱を使った思いは ところで箱の正体は何なのか… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
オスプレイ墜落、沖縄に募る不信 自衛隊関係者「南西シフトに影響」
米軍輸送機オスプレイが鹿児島・屋久島沖で墜落した事故を受け、日本政府が米軍側に飛行見合わせを求めた30日も、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)周辺では米海兵隊のオスプレイが相次いで飛行した。今回の事故をめぐる政府の一連の対応に、沖縄では不信感が高まる。防衛力の「南西シフト」が加速するなか、自衛隊関係者は今後への影響は避けられないとみる。 オスプレイが常駐し、訓練を重ねる沖縄では危機感が広がるが、日本政府が飛行停止を米側に求めた後もオスプレイの離着陸が確認された。 30日午前9時ごろから午後1時ごろにかけて、MV22オスプレイ24機が配備されている米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)では少なくとも6回離陸、3回着陸した。記者が目視で確認した。 「市民は常に墜落の危険性や基地負担の中での生活を強いられている。事故の当日から飛行が確認され、市民の不安をさらに増幅させるものと言わざるを得ない」。普天間飛行場を抱える宜野湾市の松川正則市長は沖縄防衛局などを通じて米側に飛行停止を求める要請書のなかでそう訴えた。 沖縄には、オスプレイはじめ繰り返される米軍機事故への不安と、日本政府や米側の対応への不信が募る。 7年前にも大破事故、6日後に飛行再開 沖縄へのオスプレイ配備は1… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
元法務次官を異例の証人尋問 きょう、検察官の定年延長巡る訴訟で
森下裕介2023年12月1日 7時30分 東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を延長した2020年の閣議決定を巡り、国の関連文書の不開示決定取り消しを大学教授が求めた大阪地裁の訴訟は1日、当時の法務事務次官で前仙台高検検事長の辻裕教氏の証人尋問が行われる。教授側は、被告の国側が「作成していない」などと説明する関連文書について、当時の法務省の事務方トップに質問する予定だ。 辻氏は法務省官房長、刑事局長などを経て、19年1月に事務次官に就任。閣議決定は20年1月、黒川氏の定年を目前に行われ、「検察官に適用しない」とされてきた国家公務員法の勤務延長の規定を使い、黒川氏の定年を半年間延長した。 当時の安倍晋三政権は「法解釈を変更した」とし、森雅子法相は「省内で口頭決裁した」と述べ、文書は残していないと説明した。野党側は「検察人事への政治介入だ」と厳しく追及した。 原告の上脇博之・神戸学院大教授は20~21年、法務省内の協議について記録した文書の開示を請求した。しかし、法務省はほとんどの文書を「作成していない」などの理由で不開示にした。上脇氏側は「請求した文書は公文書管理法などで作成が義務づけられている。存在しないことはありえない」と訴え、辻氏の尋問を地裁に求めた。 地裁は当初、法務省の実務担当者が適当ではないかとして、国側に代わりの証人を提案するよう求めた。だが、国側が拒否し、地裁は今年6月、辻氏の尋問を決めた。辻氏はこの時仙台高検検事長で、現職検事長に対する異例の決定だった。 辻氏は尋問に先立ち、地裁に陳述書を提出している。閣議決定について「検察官の一定期間の勤務延長はありうると考えた」「黒川氏の勤務延長が目的とは認識していない」としている。(森下裕介) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 【締め切り迫る】紙面ビューアー機能も使えるプレミアムコースが2カ月間無料!お得なキャンペーン中!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル