有料記事 聞き手・構成=大宮慎次朗2023年1月5日 13時00分 半世紀近く第一線で活動し続けるサザンオールスターズ。夏の海や切ない恋心を題材にした楽曲は昭和、平成、令和と時代を超えて愛され続け、その歩みはわたしたちの人生とも響き合う。芸能界きってのファンで、桑田佳祐さんとも親交が深い爆笑問題の2人にとっても、サザンは人生を変えた存在だ。 《サザンは1978年に「勝手にシンドバッド」でデビューした。中学生だった爆笑問題の2人は「ザ・ベストテン」でのパフォーマンスに衝撃を受けた》 田中裕二 桑田さんはタンクトップに短パン姿で、「ラララー」なんて大騒ぎ。なんじゃこの人たちって思いました。早口で何て歌ってるかわからないけど、「今 何時?」は妙に耳に残る。次の日にはレコードを買いに行きました。 太田光 世間的にはまだコミックバンドのような印象でしたが、3枚目のシングルでバラードの「いとしのエリー」が来た。「これは本物だ」っていうのは、みんなが思ったでしょうね。 《2人は日大芸術学部在学中に出会った》 田中 仲良くなったきっかけはサザン。2人とも極端にモテなかったんですよ。サザン好きは桑田さんの切ない片思いの歌詞に共感して、友情が深まるところがあります。あるとき太田がちょっと傷心で。「じゃあ海に行こうぜ」って2人で江ノ電に乗って、ウォークマンで一つのイヤホンを片耳ずつあてて「海」を聞きました。 サザンの20周年ライブに出演、「一生の思い出」に 《88年に爆笑問題を結成… この記事は有料記事です。残り1403文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「どうする家康」今度はどうする? 家康生誕地が狙う脱「トラウマ」
戦国の乱世を生き抜いた徳川家康の生涯を描くNHKの大河ドラマ「どうする家康」。8日からの放映にあわせ、家康ゆかりの地が観光需要の取り込みに動いている。家康生誕地の愛知県岡崎市は専従の担当部署を設置。家康効果に期待するが、過去に徳川家を描いた大河で「苦戦」を喫した歴史もあり、今回は背水の陣で臨む。 「来年は岡崎の『観光元年』。その幸先のいい第一歩を歩むことになりました」。昨年12月、岡崎市の中根康浩市長は会見で顔をほころばせた。 松本潤さん参加のパブリックビューイングに応募殺到 大河の初回放送時の8日、家康を演じる「嵐」の松本潤さんらが参加し、市が主催するパブリックビューイングを開く。定員900人に対し、応募は17万6593人分。抽選倍率約196倍という人気ぶりで、早くも「大河効果」を実感した格好だ。 徳川の歴代将軍の位牌(いはい)がある大樹寺をはじめ、市内は家康とゆかりが深い名所旧跡が多い。山岡荘八の小説が原作の大河ドラマ「徳川家康」が1983年に放映された際は、岡崎市に団体客が押し寄せ、大渋滞が連日発生したとの「前例」もある。 市は2021年に「『どうする家康』活用推進室」を新設。さらに専従職員6人を置く「推進課」に格上げした。放映時にゆかりの地に開設される大河ドラマ館を開設。岡崎城の内部もリニューアル工事中で、映像と拡張現実(AR)で城下町の様子を追体験できるコーナーを設ける。 岡崎市が抱く「23年前のトラウマ」 16年の「真田丸」では、長野県上田市の大河ドラマ館の入館者が100万人を突破。22年の「鎌倉殿の13人」では、鎌倉市観光協会などは神奈川県内への経済波及効果を約307億円と算出するなど、大河への期待は大きい。「どうする家康」でも、名古屋観光コンベンションビューローなどが愛知県内への経済波及効果を約393億円と算出している。 ただ、「大河効果」は作品内… この記事は有料記事です。残り952文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マイノリティー女性が受ける「複合差別」 20年の調査で見えたこと
在日コリアンの女性が直面する「生きづらさ」を明らかにする取り組みを、大阪の市民グループが20年にわたって続けている。調査から、複数の差別を受ける「複合差別」が見えるという。 グループは「アプロ女性ネット」。アプロは朝鮮半島の言葉で「前へ」を意味し、2002年に設立した。関西在住の研究者や人権活動家ら在日コリアンの女性たちでつくり、同じ在日コリアンの女性が受ける差別の実態を調査してきた。 「アプロ」の設立は、2000年に国連の人種差別撤廃委員会が勧告で「人種差別が女性にのみ、男性とは異なる形で影響を及ぼす状況がある」と言及したことがきっかけの一つだ。 国連女性差別撤廃委員会も複数の差別が結びついて起きる「複合差別」に注目していた。03年以降、日本政府に対し、アイヌや在日コリアンといった民族差別を受けがちなマイノリティーに属する女性の実態調査をするよう、繰り返し求めている。 しかし、これまでに公的な調査が実施されたことはない。「国が調べないなら、自分たちでしよう」 「アプロ」は04、16、2… この記事は有料記事です。残り672文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
欲望うずまく歌舞伎町でわんこそば大盛況 おもてなしの心、今も昔も
「3、2、1、スタート!」 目の前のレーンを次々と流れるわんこそば。1杯ずつおわんに移し、かき込む。「これ、うまいんだけど」「100杯なんて楽勝じゃん」。和風モダンをイメージした店内は熱気とつゆの香りに包まれていた。 新宿・歌舞伎町。 飲食店や風俗店がひしめくネオン街のど真ん中に昨年6月末、立ち食いの回転わんこそば「くるくるわんこ」がオープンした。 ベルトコンベヤーでそばが流れる日本初のシステム。定番コースは、40分で3300円。食感が楽しめる乱切りそばを使い、なめたけなど追加トッピングで「味変」もできる。800杯超を食べたフードファイターや人気アイドルらが来店し、ユーチューブなどSNSで話題沸騰中だ。 なぜ、歌舞伎町で「わんこそば」なのか!? 盛岡冷麺、盛岡じゃじゃ麺と並ぶ「盛岡三大麺」のひとつ。その魅力は、おいしさや満腹だけではなかった。 【動画】東京・新宿歌舞伎町にある回転わんこそば「くるくるわんこ」。2022年夏にオープンしたベルトコンベアでわんこそばを提供する店。「限界に挑戦したい」というお客さんが次々と訪れ、にぎわっている。 ユーチューブで知ったという… この記事は有料記事です。残り1231文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
和食イメージの京都人、実はパン好き 理由は激戦区にあった
永田豊隆2023年1月5日 6時00分 京料理の伝統を持つだけに、何となくイメージに合わない。しかし、京都人がパンをよく食べているのは本当だ。 総務省の家計調査で都道府県庁所在地・指定市ごとのパン購入額(2人以上世帯)をみると、2019~21年の年平均で京都市は2位(3万7821円)で、1位の神戸(3万8411円)に次ぐ。過去10年間でも1位3回、2位5回で常に上位にいる。 なぜパンが好まれるようになったのか。京都パン協同組合理事長の山本隆英さん(76)は「学生の街」「職人の街」「新しもの好き」の三つをあげる。 学生・職人とパンの関係は、いまも今出川通り沿いがパン屋の激戦区といわれることと関係する。同志社大をはじめ大学が近くに集まり、西陣織の織屋も軒を連ねた。懐がさびしい学生にとっては比較的安価におなかを満たすことができる。織物づくりの手を休ませることができない西陣織の職人にとっても、片手で食べられるので便利だったという。 新しもの好きは京都人の特性で、日本にパンが入ったときも抵抗が少なかったとみる。「京料理だって少しずつ海外の料理を取り入れながら、工夫を重ねてきました。良いものは受け入れる合理主義です」と山本さん。京セラや堀場製作所など京都発で世界規模に成長する企業が多いことにもつながるという。(永田豊隆) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊藤詩織さんが語る覚悟と7年間 そして「セルフ検閲」していた私
有料記事 聞き手・田中聡子2023年1月5日 6時00分 25歳から7年もの時間を、伊藤詩織さんは闘いに費やしてきました。「性被害者」というまなざしを向けられながら。どんな覚悟で踏みだし、何が起き、「自分」をどう生き直そうとしているのか。昨夏の勝訴判決の確定で一つの区切りを迎えた今、聞きました。 いとう・しおり 2017年、元TBS記者から受けた性暴力を告発。昨年7月、最高裁で性暴力を認める判決が確定。20年に米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。著書に「裸で泳ぐ」「Black Box」。 ――これまで覚悟の連続だったのではないですか。 「他者から見ると、私のしたことは『覚悟』に見えたかもしれません。警察に行く、被害を告白する、記者会見する――。節目節目での決断はありました。ですが、それぞれの行動に踏み出したのは、その時々で自然な流れでもありました。あれもだめ、これもだめ、じゃあ次はこれをやってみよう、と」 「そして行動に移した後は、ものすごく消耗するし、思いもよらない目にも遭いました。それも覚悟していたかと問われれば、想像以上のことが起こったというのが事実です」 ――覚悟していた以上のことが待っていたのですね。 「私自身は会見で性被害を告… この記事は有料記事です。残り2739文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
数カ月先まで予約で埋まる山あいの旅館 編集長が手がける地方の革命
ホタルの舞う棚田が黄金色に染まり、やがて雪に閉ざされていく。 長く厳しい冬を迎えた新潟県南魚沼市の山あい、大沢山温泉に旅館「里山十帖(じゅうじょう)」はひっそりと立つ。 数カ月先まで予約で埋まる。宿泊料金は2食付きでおよそ5万円。 華美な設備を備えているわけでも、高級な牛肉が提供されるわけでもない。 築150年の古民家をリノベーション(改修)したレセプション棟で客を迎え、食事は雪国の知恵が詰まった発酵食品や、知る人ぞ知る地元食材を使った野菜料理が中心。露天風呂からは一面の銀世界が広がる。 岩佐十良さん(55)が伝えたいのは地域の文化、食、そして自然だ。 コメ農家との出会いが転機に 生まれも育ちも東京。食や旅… この記事は有料記事です。残り1306文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
江戸時代の藩の名残?それともTX? 茨城が人口分散率1位の背景
「集中率1位は北海道。分散率1位は茨城県」。10月下旬、こんな短文とともにツイッターで公開された日本地図が注目を集めた。 社会における所得分配の平等・不平等を測るジニ係数を応用し、都道府県ごとに人口の集中度合いを示した「人口分布ジニ係数」を落とし込んだ。0から1までの値で、0に近いほど分散しており、1に近いほど集中していることを表す。 〈人口分布ジニ係数〉人口の分散や集中の度合いを測る指標の一つ。人口と可住地面積を計算式に当てはめて0から1までの値をとる。国土交通省などが全国における人口分布の推移について、この指標を使って調べている。 地図は値に応じて色分けされ、北海道や高知では人口が特定の都市に集中している一方、茨城や福井では多くの市町村に散らばっていることが一目で分かる。 分散の度合いは、茨城が0・22で1位、栃木は0・273で7位、群馬は0・339で28位だった。集中の度合いは北海道、高知、鹿児島の順に高かった。 京都大大学院修士課程の重永瞬さん(26)が地図を作って投稿した。京都市出身で、人文地理学を専攻している。2022年1月には「統計から読み解く色分け日本地図」(彩図社)を出版した。 重永さんは「茨城は人口が各都市に散らばっているイメージがあると、以前から地理好きの間で話題になっていました。ただ、散らばりを示す具体的な数値は見たことがありませんでした」と話す。 重永さんのアカウント、永太郎(@Naga_Kyoto)でツイートした地図は、国内の全市町村の人口や可住地面積のデータを集め、人口分布ジニ係数を計算して作った。 「今までのデータでは見えなかった日本の姿が見える」「新しい観点の地図で面白い」。こんなコメントとともにツイートは拡散された。 茨城県民からの反応は特に大きかった。「茨城県は東京以上にまんべんなく人が住んでいるということ」「茨城県は昔から日立、水戸、土浦の主要3都市が適度に離れて発展し、今はつくば、守谷、神栖とこれまた適度に離れた都市が発展している」。こんなコメントが寄せられた。 茨城県の人口は、22年12月時点で、約284万人。全国で11番目に多いが、政令指定都市はない。最大都市は県庁所在地の水戸市で約27万人。つくば市が約25万人、日立市が約17万人と続く。他にも10万人を上回るひたちなか市、土浦市、古河市、取手市が県内各地に散らばっている。 記事後半では、なぜ茨城の人口がこれほど分散しているのかを探ります。47都道府県の人口分散度合いランキングも掲載します。 なぜ茨城の人口はこれほど分… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
なぜ日本はカルトに弱いか 姜尚中さん「宗教的にも政治的にも無色」
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題で宗教と政治の関係が問われている。ひとはそもそもなぜ信仰を持ち、宗教が果たす役割とは何だろう。政治学者の姜尚中さん(72)は若いころの出会いをきっかけに、洗礼を受けてクリスチャンとなった。信仰によって生き方や価値観はどのように変わったのかを聞いた。 かん・さんじゅん 1950年、熊本市生まれ。専攻は政治学・政治思想史。東大大学院教授、聖学院大学長などを経て、2021年から鎮西学院大学長。東大名誉教授。著書に「マックス・ウェーバーと近代」「在日」「悩む力」「愛国の作法」など。 1980年代、キリスト教の洗礼を受けました。埼玉県上尾市に住み、大学の非常勤講師をしていたときです。父と、第2の父と呼べる人を立て続けに亡くしました。 時代もバブルにさしかかり、等身大の暮らしと、荒川を挟んだ東京は別世界で、ねたみもあったんですね。閉塞(へいそく)感の中で悶々(もんもん)としていました。 そのころ、外国人登録法で義務づけられていた指紋押捺(おうなつ)を拒否しました。指紋を押さないと収監されます。市民団体が支援してくれ、その中に土門一雄という牧師がいました。 「すべてのわざには時がある」と言ってくれ、救われました。旧約聖書、伝道の書にある言葉です。今、時は姜さんにほほ笑んでいないが、その時が必ずくる、と。 僕の言葉で表現すると、洗礼はトゥワイス・ボーン、「二度生まれ」です。自分の力ではどうしようもない宿命的な苦難のなか、これまでの自分はいったん死んで、生まれ変わるのです。 よく例に挙げるのが映画「ショーシャンクの空に」です。かつて殺人を犯し、長年服役している男性(モーガン・フリーマン)に恩赦が出ない。彼は恩赦なんてどうでもいいと思う。殺人を犯したときの若い自分に「なんてバカなことをしたんだ」と言いたい。 長い刑務所暮らしで色んなものを見て、主人公と出会い、変わった。違う人格として、もう一つの人格を見ている。二度と以前の人格には戻らない。これが「二度生まれ」です。 2009年に長男が亡くなったことは、人生が課した最も大きな試練です。自分がいなくなること以上に、愛する者がいなくなることが、こんなにもシリアスなんだと。洗礼を受けていなかったら、自分を支えきれなかったと思います。 「幸福財」から見放されても 同時に思ったことは、私たちがこの世の中で望んでいるものは何か。日本では三つの「幸福財」に集約されます。無病息災、家内安全、商売繁盛。つまり健康、家族、金です。 洗礼を受けてよかったことは… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
フグの本場・下関で初競り コロナ禍で値はいまひとつ
フグの本場、山口県下関市の南風泊(はえどまり)市場で4日未明、新年の初競りがあった。入荷された最高級の天然トラフグは2・6トンで、昨年の2・1トンを上回った。だがコロナ禍で需要が伸び悩む中、最高値は1キロ当たり1万5千円と、昨年より2千円安いスタートとなった。 午前3時20分、競りの開始… この記事は有料記事です。残り192文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル