通信状況が不安定な能登半島地震の被災地で、人工衛星を介したモバイル通信ネットワーク「スターリンク」が活用されている。東京都が今年度から試験導入している設備を、石川県輪島市に応援派遣された都職員が持ち込んだ。都は9日、同種のモバイル衛星通信機器の本格導入を新年度に都内で進める考えを明らかにした。 スターリンクは、地上の専用アンテナが人工衛星から電波を受信し、ルーターを経由してインターネットに接続する新しい民間サービス。上空が開け、電源が確保できれば接続でき、スマートフォンやパソコンでWiFi(ワイファイ)などの通信が使える。 従来の衛星通信に使われる人工衛星は高度約3万6千キロの軌道にあるが、スターリンクは同約550キロの低軌道に3千機以上あり、大容量の高速データ通信が可能という。 能登半島地震の被災地では、大手キャリアの通信環境が不安定で、メール一つ送るのも時間がかかる状況が続いている。都は今年度、スターリンクの設備を島嶼(とうしょ)部などで計8台試験導入しており、このうち1台を輪島市に持ち込んだ。 市役所などでのネット接続を… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
都立高全日制志望は71.98%、伸びる通信制 中3生進路希望調査
東京都中学校長会は9日、都内の公立中学3年生(7万8108人)の進学希望調査結果を公表した。12月時点で全日制高校の志望者は全体の88・39%(前年比0・89ポイント減)で、8年連続で過去最低となった。 全日制志望者のうち、都立高志望は71・98%(同0・38ポイント増)だった。募集定員に対する倍率の高い順にみると、普通科は、豊島(2・37倍)▽新宿(2・27倍)▽本所(2・14倍)など。専門学科は、工芸のデザイン科(2・37倍)▽農業の都市園芸科(2・11倍)▽工芸のグラフィックアーツ科(2・09倍)などだった。 全日制以外の志望者は、都立の昼間定時制が2・97%(前年比0・02ポイント増)、都立以外の通信制が4・71%(同0・66ポイント増)などだった。 都立高は、今春の入試から男女別定員を撤廃して男女合同選抜に移行する。都教育委員会の担当者は「倍率に大きな変化はなかった。男女合同選抜に移行した影響は出ていないと推測している」と話した。 調査結果の詳細はホームページ(https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/admission/high_school/application/release20240109_03.html)で紹介されている。(本多由佳) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
海保機の出発順繰り上げか 国交省が「ナンバーワン」など伝達停止
東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機同士が衝突、炎上し5人が死亡した事故で、管制官が海保機の出発順を繰り上げ、優先的に離陸させようとしていた可能性があることが9日、関係者への取材でわかった。 国交省が公表した交信記録などによると、海保機が、滑走路を担当する「飛行場管制(タワー管制)」の管制官とやり取りを始める前、現場となったC滑走路の手前にある誘導路上にはすでに外国の旅客機がいた。 関係者によると、タワー管制の管制官は、外国機の後にやり取りを始めた海保機に対して「ナンバーワン」と伝えており、被災地支援に向かう海保機の出発を優先させた可能性があるという。 管制官が海保機に、滑走路への進入や離陸を許可した交信記録は確認されていないが、海保機の機長は事故後、海保の聞き取りに対し「進入許可が出ていると認識していた」などと話したという。 国交省は9日、緊急の対応策として、出発機に対して「ナンバーワン」など離陸順序を示す情報の提供をやめると明らかにした。全空港で実施する。担当者は、離陸順序を伝えたことが事故の原因かは特定できていないとしたうえで「可能性を否定できない以上、順序の伝達をやめるべきだと判断した」と述べた。 また、事故後、羽田空港では滑走路に入る航空機の監視システムを常時確認する人員を配置。監視システムが導入されている6空港(成田、中部、大阪〈伊丹〉、関西、福岡、那覇)でも同様に配置する方針という。 誤進入防止のため、羽田空港には2010年から監視システムが導入されていたが、管制官が、両機が滑走路上で接近することを示す画面上の色の変化に気づかなかった可能性があるという。 このほか、滑走路進入に関する管制用語のパイロットへの周知徹底▽滑走路手前の停止線を夜間でも見えやすいよう塗り直し(主要8空港)▽管制官とパイロットの交信について緊急会議を開く(同)などの対策をとる。 有識者らによる対策検討委員会も立ち上げ、パイロットと管制官に対する注意喚起システムの強化なども検討する方針で、12日に詳細を発表する。斉藤鉄夫・国交相は「国土交通省の総力を挙げ、航空の安全安心対策に取り組む決意だ」と述べた。 警視庁は9日、JAL機と海保機の現場検証を実施した。(角詠之) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
故郷に寄り添った八代亜紀さん 死去に談話「歌唱力で励まされた」
熊本県八代市出身の歌手、八代亜紀さんの死去が報じられると、地元をはじめ各地で驚きと悲しみが広がった。 八代さんは地元でバスガイドをしていたが、上京して歌手としてデビュー。「なみだ恋」「舟唄」など、数多くのヒット曲を歌う人気歌手になってからも、故郷の熊本に思いを寄せていた。 とくに2016年に熊本地震が発生した際には、自身のコンサートで義援金を募ったほか、復興を祈念するイベントに出演。20年7月の豪雨の際は被災者が入居する仮設住宅を訪問し、ミニコンサートを行うなど、度重なる災害で傷つく故郷に寄り添い続けた。 熊本県の蒲島郁夫知事は「悲しみの念にたえません」とコメント。「復旧、復興に向けて歩む被災者を励ますなど、ふるさとを思う多くの活動をしていただいた。八代さんの安らかな眠りを心からお祈りいたします」との談話を出した。 八代市では「八代よかとこ大… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「災害関連死6人」石川県が発表 能登半島地震の死者200人超す
最大震度7を観測した能登半島地震の死者が9日、200人を超えた。石川県が発表した。発災直後に大規模火災が起きた輪島市の「輪島朝市」周辺の焼け跡では、警察や消防による行方不明者の大規模な捜索も行われた。より安全な避難所に高齢者らを移す動きも本格化している。 県によると、9日午後2時時点の死者は前日より34人増え、202人に上った。県は、珠洲市で発生した災害関連死6人も含まれるとしている。 災害関連死は地震や津波で亡くなる「直接死」とは別に、災害による負傷の悪化や、避難生活の負担による疾病で亡くなること。今回の地震での災害関連死の発表は初めてとなるが、同市は死亡の原因について「地震なのか、ご本人の病気の関係なのかはっきりしない。暫定的に発表した」(金田直之・同市副市長)としている。 地震のためと断定できないが連絡が取れない安否不明者は102人となった。 15市町に開設された404カ所の避難所には計2万6千人以上が身を寄せるが、断水や停電が広域で続き、環境悪化が懸念されている。 県は、旅館やホテルを「2次避難所」として活用するまでの「1・5次避難所」として、ライフラインに問題がない金沢市内の大型体育館を用意。この日、一部の被災者が到着した。 自治体が借り上げたホテルや旅館などの「2次避難所」(9日時点で168施設)の受け入れも本格化している。 人や物資の輸送が難しい孤立集落は2市1町の計22地区で3123人にのぼっている。 被災地への物資支援のため、政府は同日の閣議で、今年度予算の予備費から47億4千万円を支出することを決めた。 閣議後の非常災害対策本部会議で、岸田文雄首相は「(被災地の要請を待たない)プッシュ型支援を加速させるため迅速に執行し、被災地の状況改善に充ててほしい」と述べた。 政府は別途、復旧・復興対策に備えるため、新年度当初予算案に盛り込まれた予備費を今の5千億円から1兆円に倍増させる方針。自治体による復旧事業に国庫補助率の引き上げなどの特例措置を適用するため、能登半島地震を「激甚災害」に指定する方針も示している。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
首に絞められたような痕、アパートで77歳男性死亡 三重・鈴鹿
9日午後3時40分ごろ、三重県鈴鹿市末広北2丁目のアパートの一室に住むアルバイト近藤康夫さん(77)が倒れて亡くなっているのを親族が発見して鈴鹿署に通報した。首にひも状のもので絞められたような痕があったといい、同署は事件の可能性もあるとみて捜査を始めた。 同署によると、発見時、近藤さんの首には衣服が巻き付いた状態だったという。10日に司法解剖して死因などを調べる。近藤さんと連絡が取れないのを不審に思った別居中の親族が訪問。居間で倒れている近藤さんを見つけた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地の工場、一部で再開 電子部品など産業集積する北陸地域に被害
国内の製造業が9日までに年始の稼働を本格化させ、能登半島地震で被災した地域でも工場再開が手探りで進んでいる。なんとか一部再開にこぎ着けた企業がある半面、設備の修復などに時間がかかる企業もある。地域経済に与える影響の全容は見通せない。 東芝は9日、石川県能美市のパワー半導体工場で、生産ラインの稼働を一部で再開した。まだ、排気用の配管修理や、製造装置内部の石英ガラスなど壊れた部品交換などがあり、全面再開のめどは立たない。広報担当者は「サプライヤーの状況も確認中だ」と話した。 富山市に工場を置く半導体製造装置メーカーのKOKUSAI ELECTRICも9日、一部で工場の稼働を再開した。4日の稼働予定が崩れた天井や配管の補修で遅れ、全面再開は今月中旬を見込む。 一方、パワー半導体製造のサンケン電気(埼玉県新座市)は、石川県能登地方の3工場がすべて停止中だ。2工場は設備の修復が必要で、志賀町の1工場は停電で被害実態が把握できていない。3工場とも建物に大きな問題はないとみられる。 本社などから復旧支援チームを派遣しており、「早期の生産再開に努める」としている。 液晶大手のジャパンディスプ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
国際線好調、国内線は相次ぐ欠航でマイナス 年末年始の航空利用状況
航空各社は9日、年末年始(昨年12月28日~1月3日)の利用状況を発表した。国際線の利用者は、全日本空輸(ANA)が前年度同期比35・9%増の14万8千人、日本航空(JAL)が15・4%増の12万7千人で、ハワイ便や欧州便が好調だったという。コロナ禍前の2019年度と比べると、両社とも7割近い利用者数にまで回復した。 国内線はANAが前年度同期比2・1%減の88万2千人、JALが3・5%減の71万7千人。羽田空港の航空機衝突事故や能登半島地震により、多くの欠航が出たことが影響したという。(細沢礼輝) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地震からの復旧・復興へ予備費を1兆円に倍増 16日にも閣議決定
政府は、能登半島地震からの復旧・復興に対応するため、新年度予算案に盛り込まれた予備費について、現状の5千億円から1兆円に倍増させる方向で検討に入った。16日にも閣議決定する。複数の政権幹部が明らかにした。 予算案は12月22日に閣議決定し、1月下旬に開会予定の通常国会に提出予定だった。短期間で修正し、再び閣議決定をし直すのは異例の対応。岸田文雄首相が5日、鈴木俊一財務相に積み増しを指示していた。 能登半島地震に対応するための財源について、政府は今年度予算の予備費約4600億円を順次、活用していく方針。9日には、被災地からの要請を待たない「プッシュ型支援」の財源として、この予備費のうち47億4千万円の支出を閣議決定。水や食料、乳幼児用粉ミルク、ストーブや毛布、衣類などの物資を購入し支援に充てる。 避難生活や生活再建支援の長期化も予想されるなか、年度が替わるタイミングでも切れ目なく対応するため、政府は予備費の積み増しを検討してきた。2016年の熊本地震では補正予算で7千億円以上を積み増したことや、今回の地震以外にも予測できない事態に備えておく必要性を考慮した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「声の小さな人」取り残さぬよう 避難所の運営には多様な視点を
能登半島地震ではインフラの復旧が進まない中、避難の長期化が予想されている。大勢の人が集まる避難所で、声を上げにくい人たちの困りごとにどう気づき、対応するか。過去の災害でも、女性や性的マイノリティーなど、多様な視点からの運営が検討されてきた。災害時に性暴力を防ぐための対策も、課題になっている。 石川県内で7日、避難所に家族で避難している女性(41)は「着替えるときに段ボールハウスの前に人に立ってもらっている。相当ストレスを感じる」と話した。また、高校生の娘がいるという別の女性(43)は「知らない人に囲まれているのでいつもより危険と、娘から目が離せない」と、不安を訴えた。 災害とジェンダーに詳しい静岡大の池田恵子教授によると、2011年の東日本大震災での聞き取り調査では、「わがままだ」と思われて避難所にいづらくなるのを恐れ、女性が「更衣室を作ってほしい」と言い出せなかった例があったという。また、就寝中に体を触られたといった証言があったという。 ただ、池田さんは「『1人で出歩かないように』などの自衛策は限界がある」と指摘。「若手を含めて男女がともに運営に参加することで、誰にとっても安全で過ごしやすい環境づくりができる」と助言する。 池田さんがすすめるのは、内閣府が20年に作った災害対応力の強化を目指すガイドラインの活用だ。例えば「女性トイレと男性トイレは離れた場所にある」「男女一緒に行う防犯体制がある」といった具体的な項目をチェックできるシートを、ネット上で公開(https://www.gender.go.jp/policy/saigai/fukkou/guideline.html)している。「災害対応力を強化する女性の視点 ガイドライン」と検索すれば見つかる。 特に体にまつわる相談は、女性同士の方が話しやすいこともある。全国の自治体から被災地に応援に入る職員にも、「ぜひ女性が加わってほしい」と池田さんは話す。 「共同生活をするからこそ、性別や状況によって必要な物資や生活環境が違うことが明確になる。被災して疲れ切っておられ大変だと思うが、避難所でもできるだけ体調を崩さず、長期的に過ごしやすい環境づくりに取り組んでほしい」 自身の被災をきっかけに「声の小さな人」を取り残さないよう、避難所運営マニュアルの見直しを提言し、マニュアルが機能する態勢作りを訴えるのはひろしまNPOセンター(広島市)理事の香川恭子さん(61)だ。 香川さんは77人が犠牲となった14年8月の広島土砂災害で被災。避難所の責任者は町内会長や自主防災組織のリーダーなど、多くが中高年の男性だった。子育て中の女性や高齢者、障害者など、困難があっても言い出せず、見落とされていると感じた。 地域の女性たちと勉強会を重ね、様々な人に配慮した避難ルートや避難所運営などをまとめ、広島市に提出。「妊産婦、夜泣きする赤ちゃんがいる家庭などに個室を確保する」「下着や生理用品などは女性の担当者が手渡す」といった具体策を示した。 ただ、マニュアルがあっても、周知され、機能しなければ意味はないという。 能登半島地震では、帰省や旅行中に被災し、普段住んでいない地域の避難所に来た人もいる。「まずどういう人が避難所に来ているか把握する。そして、リーダーが当事者と対話し、『言えない人』『声の小さい人』が我慢し続けることがないよう、お互いに安心に過ごせるよう工夫する。コミュニケーションが大切です」と話す。(西崎啓太朗、大坪実佳子、花房吾早子) ◆内閣府男女共同参画局の「避難所チェックシート」から抜粋 ・単身女性や女性のみの世帯用エリアがある ・女性向け用品の配置・相談スペースがある ・トイレが安全で行きやすい場所にある ・男女問わず1人で(または付き添いを受けながら)入浴できる場所がある ・管理責任者は男女両方を配置 ・食事作り、片付け、掃除などの負担が特定の性別や立場の人に偏っていない ◆岩手レインボー・ネットワーク制作の「にじいろ防災ガイド」から抜粋 ・避難所で作る名簿の性別欄は、記入を任意とするか自由記述欄を設ける ・避難した人の性自認が見た目や身分証の性別と違っても、生理用品やひげそりなど必要とする物資を受け取れるようにする。周りの目が気になる場合、個別に届ける ・男女別のトイレのほか、どんな人でも使えるトイレも設置 ・呼ばれたい名前や扱われたい性別がある場合、できるだけ希望に添った対応を ・トランスジェンダー女性は女性。女性専用の相談サービスを使いたい人がいたら歓迎を Source : 社会 – 朝日新聞デジタル