発生から2週間あまりが過ぎた能登半島地震について、気象庁の森隆志長官は17日の記者会見で「今後2~3週間は震度5強以上の揺れに注意してほしい」と呼びかけた。地震の頻度は減っているものの、改めて警戒が必要だ。 福井県出身の森長官は10日付で同庁気象防災監から長官に就任予定だったが、地震対応で発令が17日に延期。この日が就任会見となり、発災当初からの対応を振り返った。 気象庁は今回、最大震度7の地震の発生2分後に津波警報を発表し、その10分後には大津波警報へと切り替えた。津波の恐れがある場合は通常、地震発生の2~3分後の警報発表を目指していることから、森長官は初動対応について「おおむね問題無く発表できた」と強調した。 石川県輪島市では発生とほぼ同時刻に第1波が到達したものの、津波の高さが120センチ以上となったのはその約10分後。最大波までに時間差があったことから、森長官は「警報が出たらただちに避難する、という認識を広げる取り組みを続けていく」とした。 「震度7」誤報はバグ原因か 一方、1日深夜に誤って「震度7」の震度速報を出したことについては「プログラムにバグが起きたとみられる」と説明。一時的に記録するメモリーに残っていた約7時間前の配信済み情報が、何らかの原因で配信されたという。現在は、配信済みの震度情報はメモリーに保存しないようにしている。 また今回の地震では、急激な地盤の隆起によって津波が観測できない事態も相次いだ。隆起で検潮施設が破損した輪島港(輪島市)では、気象庁が7日に簡易な機器を置き、現在は精密な観測ができる装置に切り替えた。同県珠洲(すず)市長橋町の検潮所は海底が露出して潮位が測れなくなり、代替地点の選定を急いでいるという。(大山稜) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災した家から模造刀盗んだ疑い、男を逮捕 「持ち主に渡すため」
能登半島地震で被災した家から模造刀などを盗んだとして、石川県警は17日、大阪市東淀川区の自営業=いずれも自称=竹田亮太容疑者(37)を窃盗の疑いで緊急逮捕し、発表した。「持ち主に渡すために持ち出した」と容疑を否認しているという。 捜査1課によると、竹田容疑者は同日午前11時ごろ、同県珠洲市の70代の男性宅から模造刀など3点(時価1万円相当)を盗んだ疑いがある。 周辺をパトロールしていた千葉県警の警察官が、男性宅から出てきた竹田容疑者を発見した。家は地震で壊れて中に入れる状態で、住人は市外に避難し留守だった。竹田容疑者は、現地にいたことについて「人命救助のために来た」と話しているという。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
中3が小学生へ語り継いだ「阪神と能登の共通点」未来の被災に備えを
阪神・淡路大震災で一時は約2500人が避難し、神戸市内で最大規模の避難所となった市立鷹取中学校(須磨区)の生徒たちが17日、「語り部」として小学生たちに教訓を伝えた。将来、震災に遭う可能性がある子どもたち。次に震災が起きた時、一人でも多くの人が助かるようにと、工夫を凝らして語り継いだ。 「能登半島地震では残念ながら、阪神・淡路大震災の教訓を生かし切れていないのではないか」 「南海トラフ地震は40年以内に90%の確率で起きると言われています」 この日午後、中3の生徒約160人は地元の若宮小と西須磨小の各クラスを訪ね、計1千人以上の児童に震災について語った。 「能登半島地震とは多くの共… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
あの日から29年「忘れない」 福岡から阪神を偲び、能登を思う
阪神・淡路大震災から29年を迎えた17日、福岡市中央区の警固公園では、震災を忘れず、防災意識の向上につなげてほしいと、市民団体が追悼の集いを開いた。訪れた市民からは、元日に起きた能登半島地震に心を痛める声もあった。 集いは熊本地震などでボランティア活動をしてきた市民団体「夢サークル」が、阪神大震災翌年の1996年から毎年続けている。代表の同市東区、吉水恵介さん(67)は震災の1カ月後、兵庫県西宮市で約6千食の炊き出しに参加した経験を持つ。 献花台に手を合わせた同市博多区の橋本淳一さん(67)は会社員だった当時、兵庫県尼崎市で被災。同僚らのために奈良県などから水を運んで配ったり、歩いて往復6時間かけて神戸市中心部の三宮に入り、店舗の復旧作業に携わったりした。「忘れないです、地震が起きたときのことは」 宮若市の富松洋さん(70)は約5年前、石川県輪島市を訪れたことがある。「あの街が焼けてしまい、さっきあった命が亡くなるというのを感じた。言葉にならない」と嘆いた。阪神大震災とともに、「いつ自分が災害にあうかわからない。自分の命の問題として考えたい」と語った。 吉水さんは、「みなさん直後は同情するが、防災グッズを用意したり、地域の訓練に参加したりする人はほとんどいない」と警鐘を鳴らす。「あすは我が身。自分の活動で、一人でも助かる命があれば」(大下美倫) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「お前みたいなの死刑しょうがない」取り調べ録音再生 袴田さん再審
1966年に静岡県のみそ製造会社の専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人罪などで死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審の第7回公判が17日、静岡地裁であった。弁護側は逮捕当時の取り調べの録音テープを再生し、「違法な取り調べで自白を強要し、袴田さんを犯人に仕立てた」と訴えた。 袴田さんは逮捕後、勾留期限が切れる3日前に自白したとされた。公判では否認した。弁護側によると、テープには計430時間超の取り調べのうち、起訴後を含む約47時間分が記録されている。 袴田巌さんの取り調べの録音テープが法廷で再生されました。記事の後半では、取り調べのやり取りを詳しく紹介しています。 法廷で再生された音声によると、袴田さんは逮捕前後、「ほんとに無関係」「全然、僕には分かりません」と説明していたが、警察官らは連日、「君以外に犯人はない」などと発言していた。 「小便行きたい」との訴えに・・・ 自白2日前には「どうだ言っ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
志賀原発の非常用発電機1台が試運転で停止 「燃料冷却に問題ない」
北陸電力は17日夜、停止中の志賀原発1号機(石川県志賀町)の非常用発電機3台のうち1台が試運転中に停止したと発表した。原因は調査中。使用済み核燃料の冷却に必要な電源は確保されており、安全に問題はないという。 16日夕方に発生した最大震度5弱の地震後の設備確認の一環で17日夕に試運転をしたところ、自動停止した。1日の地震後の試運転では問題がなかったという。 1号機は現在、外部電源から受電し、プールにある672体の使用済み核燃料を冷却している。今回、自動停止した非常用発電機は、外部電源やほかの発電機が使えなくなった場合に電力を供給するためのものという。 志賀原発では1日の地震で変圧器からの油漏れが相次ぎ、一部の外部電源が使えなくなった。壊れた部品の調達に時間がかかるため、すべての外部電源が復旧するまでに少なくとも半年程度かかるという。(福地慶太郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
袴田さん弁護団「1年以上漬かれば血痕赤み消失」 再審で改めて主張
58年前に静岡県の旧清水市(現静岡市清水区)で一家4人を殺害したとして死刑が確定した袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審。静岡地裁で17日に開かれた第7回公判では、再審開始を導き、この裁判の核心と言える「5点の衣類」についた血痕の「赤み」についても審理された。弁護側は改めて「1年以上みそに漬ければ赤みは消失する」と主張した。 血痕の「赤み」については、第2次再審請求審で、最高裁が2020年、色の変化に絞って東京高裁に審理を差し戻し、高裁が23年3月に「専門的知見から化学反応によって赤みは消える」として再審開始を決定した経緯がある。 弁護側はこの日、弁護団など… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自転車で転倒し骨折した80歳女性 自宅で2週間後に遺体で見つかる
長野県安曇野市穂高有明のスーパーの駐車場で昨年12月28日午後2時過ぎ、近くに住む女性(80)が自転車で転倒し、右足を骨折する事故があった。女性は今月11日、自宅の廊下で倒れているのを訪れた知人が見つけ、119番通報したが既に亡くなっていた。 県警安曇野署によると、女性は買い物を終えた後に単独で転倒。司法解剖したところ、右足の骨が折れていた。重傷を負ったことなどが原因で死亡した可能性があるとみて調べている。 同署によると、女性は一人暮らし。自宅で見つかった際、普段買い物などに使っていた自転車が見当たらなかったことから、防犯カメラなどを確認して調べたところ、事故を起こしていたことがわかった。 このとき、店員が救急車を呼ぼうとしたが、女性が断ったため、自転車は店が預かった。店員が女性を車に乗せ、自宅まで送り届けたという。 同署は他に外傷がないことなどから、女性が帰宅後、さらに骨の損傷が進むなどして、動けなくなった可能性があるとみている。(佐藤仁彦) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
阪神大震災 東京でも追悼 友を失って責めた自分「変わりたい」
阪神・淡路大震災から29年を迎えた17日、東京都千代田区の日比谷公園で「1・17のつどい」が開かれた。今年の元日には能登半島地震が発生、参加者はそれぞれの被災地を思い、祈りを込めて黙禱(もくとう)した。 神戸市の東遊園地で「1・17のつどい」を開いている実行委員会が主催した。都内に住む被災地出身者らと思いを共有したいと、2019年から東京でも催している。 この日は被災地の出身者や救援に関わった人たち150人が参加。神戸会場から分けた「1・17希望の灯(あか)り」が、「1・17ともに」の形に並べたキャンドルに点火された。神戸の追悼会場とインターネットでつなぎ、地震発生時刻の12時間後の午後5時46分に黙禱した。 参加した松本律子さん(59)は震災で友人を失った。当時神戸市灘区で入居予定のマンションに友人が入ったが、マンションは地震で倒壊したという。「ずっと自分を責めていた。自分が生まれ変われればと思って来ました」 神戸市の東京事務所に勤める… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「ノラは身代わりに」 見つからぬ愛猫、潰れた家で女性は呼び続ける
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県珠洲市。発災から2週間以上が過ぎたいまも家族の一員だった愛猫を捜し続けている女性がいる。 「ノラ、ノラ」。1階部分がぺしゃんこになり屋根だけが残る家屋の前で、中島由起さん(63)が飼い猫の名前を呼んでいた。地震発生後から毎日のように自宅のある同市宝立町鵜飼(うかい)に戻り、ノラがどこからか現れないかと声をかけ続けている。 地震発生時、中島さんは家の居間で母親(83)とくつろいでいた。大きな揺れが収まると、家の中は崩れ落ちた家具などでぐちゃぐちゃに。どうにか部屋から、はいつくばるように母親と一緒に外へ逃げたが、ノラのいた部屋は完全に破壊されて屋根部分しか残っていなかった。 ピンク色の首輪をしたメスのノラ。背中が黒色で、おなかは白色。9年ほど前に、野良猫から生まれた子猫をもらい受けたことから、中島さんが「ノラ」と名付けたという。 長年、家族のように暮らしてきた愛猫について、中島さんは「これだけ家が壊れたのに私たちが生きているのは、もしかしてノラが身代わりになってくれたのかもしれない」と話す。 それでも、ノラが何食わぬ顔でひょっこり出てきてくれないか期待して、また、名前を呼ぶ。(竹花徹朗) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル