愛知県内のマンションの一室にアトリエを構える「ミヨデザインルーム」。 社交ダンス用のドレスを、デザインから制作までオーダーメイドで手がける会社だ。 代表の吉田三世さん(73)が裁縫を始めたのは小学生の時。 きっかけは、近くに住んでいたアメリカ人からワンピースをもらったことだった。 服と言えば姉からのお下がりばかりだったので、その時のことは今でも鮮明に覚えている。 ピンクの花柄で、袖がフワッと広がったデザイン。 背が伸びて着ることができなくなった時、「買えないなら自分で作ればいいんだ」と自宅の足踏みミシンを使い始めた。 服飾を学べる高校に行きたかったが、両親に反対されて商業高校へ。 経理担当として就職した後、紆余(うよ)曲折を経て44歳でミヨデザインルームを立ち上げた。 心の糸が切れて ドレス作りに情熱を注いできたが、60歳を過ぎたころに心の糸が切れてしまう。 突然ドレスを作ることが苦しくなり、逃げ出したくなったのだ。 同じドレスは絶対に作らないし、お客さんの期待を超えるものを作ってみせる。 そんな思いで充実し、楽しかったはずの仕事にプレッシャーを感じるようになった。 気を紛らわせようと民芸品にはまったり、YouTubeチャンネルを開設して端切れやデニムのリメイク動画を上げたり。 自宅マンションを売った資金を元手にダンス練習場の経営も始めたが、思うようにはいかなかった。 追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが流行し、ドレスの注文がゼロに。 「そろそろ会社を畳むべきなのかもしれないな」と考えていたら突然、転機が訪れる。 きっかけは、メルカリで見つ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「被災ネコ」預かる輪島朝市で被災の夫婦 行方不明の飼いネコも捜す
能登半島地震の被災地では、危険と書かれた赤い紙の貼られた建物内でうずくまったり、倒壊した家屋付近を徘徊(はいかい)したりしているネコの姿が見られる。倒壊した建物などから逃げ出し、行き場を失ったとみられる「被災ネコ」を捜し保護している夫婦が、石川県輪島市にいる。 「輪島朝市」で暮らしていた漆芸家の桐本滉平さん(31)と妻の萌寧(もね)さん(27)。自宅兼工房が地震で倒壊、火災で全焼した。2人は初詣に出かけていて無事だったが、飼っていた3匹のネコが行方不明になった。 2人は地震翌日から毎日、朝市周辺に出向き、3匹を捜し続けていた。ネコが動き出す朝と夕方の2回、自宅跡の近辺で3匹の名前を呼ぶ。そんな桐本さんのことが、地元の口コミやSNSで広がり、同じように行方不明の飼いネコを捜している被災者から連絡が入るようになったという。 行方不明のネコが戻ってくるのを待って、避難所から2次避難することを控えるお年寄りがいることを、桐本さんは心配している。そこで、LINEなどを使ってネコを見かけた場所の情報などを共有、自ら探したいという人には、捕獲器の設置方法を教えた。 27日までに、26匹を捕獲。うち14匹は飼い主と無事再会することができたという。 桐本さんは、飼い主が見つからないネコや、被災して飼い主の元に帰れないネコを一時的に保護している。避難している場所の近くに、活動を支援する企業から提供を受けた、ソーラーパネルで蓄電できるコンテナハウスを設置、常時8匹程度を預かっている。 「輪島朝市」でアイドル的存在だった地域ネコの「ちいちゃん」も保護した。避難所を離れて生活できるようになれば引き取りたいと申し出る人もいるという。 桐本さんは、火災で漆や作業の道具などが燃えたため、仕事を再開するめどが立っていない。「えさ代など出費も多い。行政などで一時的にでもペットを保護してもらいたいが、避難者の対応、インフラの復旧や行方不明者の捜索などで大変な状況なので言い出せない」と話す。 19日、夫婦で飼っていた行方不明の3匹のうち、「グラ」の亡きがらが警察の捜索で見つかった。「グラは残念だが、あと2匹は生きているかもしれない。できる限り捜し続ける」という。(小宮路勝) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
土木会社に「内田洋」で40年 海外渡航確認されず 桐島聡名乗る男
独自 比嘉展玖 三井新2024年1月29日 5時00分 1974、75年に起きた連続企業爆破事件で、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されている桐島聡容疑者(70)を名乗った男が、「内田洋(うちだひろし)」の偽名を使い、約40年間にわたり神奈川県藤沢市の土木会社で住み込みで働いていたことが捜査関係者への取材でわかった。事件後に海外に渡航した形跡は確認されておらず、警視庁は身分を偽りながら国内で半世紀、逃亡生活を送っていたとみて調べる。 捜査関係者によると桐島容疑者は広島県出身。高校卒業後に上京し、明治学院大学に入学した。過激派集団「東アジア反日武装戦線」のグループ「さそり」のメンバーになり、連続企業爆破事件に関与した疑いがある。そのうち75年4月に東京・銀座のビルであった韓国産業経済研究所の爆破事件の容疑者として翌5月に指名手配された。 桐島容疑者を名乗る男は「内田」の偽名を使い、80年代から藤沢市の土木会社で働き始めた。住み込みで働いていたが、会社側は桐島容疑者である可能性を把握していなかった。事件後、海外への渡航歴も確認されていないという。旅券などで身分が露見するのを避けたとみられる。 今月、男は体調不良となり、土木会社から神奈川県鎌倉市の病院に搬送された。保険証などの身分証はなく、「内田」と名乗って入院したが、25日になって病院側に「自分は桐島聡だ」と明かした。男は末期がんで重篤な状態といい、「最期は『桐島聡』で死にたい」とも話したという。 捜査関係者によると、男は指名手配写真より髪は短く薄めで、痩せ形。警視庁が桐島容疑者の特徴として公表している身体的特徴によく似ているという。桐島容疑者が関わった疑いの韓国産業経済研究所爆破事件についても話しているという。 警視庁は男が桐島容疑者本人かどうかの確認を進めている。桐島容疑者の指紋の登録はなく、DNA型鑑定などで親族と照合する必要があり、結果が出るまで少なくとも数日かかるとみられる。(比嘉展玖、三井新) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
輪島で被災ペットの巡回診療 震える犬も 「ストレスが心配」
能登半島地震で被災したペットの巡回診療が28日、石川県輪島市で始まった。石川県獣医師会に所属する医師たちが、岩手大動物病院から借りた巡回診療車で市内の避難所を訪れ、犬や猫たちを診察した。 同市内に2件ある動物病院はいずれも被災し、再開の見通しが立っていない。道路状況など、被災地のインフラが整っていない中、市外の動物病院を訪れる被災者の負担を考え、巡回診療を始めたという。今後、珠洲市や能登町など、段階的に被災各地を回っていくという。 輪島市内で避難生活を送る磯野聖美(さとみ)さん(30)は、2匹の犬を連れてきた。地震後、余震やアラームに敏感になり、ずっと震えているという。9歳のライムちゃんは糖尿病を患っていて、この日は血液検査を受けた。「震災後、初めて診察してもらった。かかりつけ医が七尾市にあり、なかなか連れて行けなかった。血糖値を自分たちでは測れないので、安心した」と話した。 石川県獣医師会の山辺泰雅理事は「何より心配なのはストレス。長引く避難生活で体調を崩し、下痢や嘔吐(おうと)などの症状が出ているペットもいる。ささいなことでもいいから、相談に来てほしい」と話した。(関田 航) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
倒壊したビルの下、探す家族の思い出 父「成人式迎えさせたかった」
【動画】ビルの下敷きになった店舗兼住宅に戻り、家族との思い出の品を探す楠健二さん=滝口信之、豊島鉄博撮影 能登半島地震で、石川県輪島市の居酒屋が7階建てビルに押しつぶされた。関東から移住してきた一家の住まいでもある。28日、現場には、失った妻子の思い出を探す店主の姿があった。 「言葉を失うね」。楠健二さん(55)は、ビルの下敷きになったままの建物を見てつぶやいた。 1、2階が居酒屋、3階を住居として、妻由香利さん(当時48)と次男、次女と4人で暮らしていた。 川崎市から6年前に家族で移り住んだ。由香利さんが同県七尾市出身で、家族でよく輪島市を訪れており、「ここで飲食店を開きたい」と考えた。「わじまんま」と名付け、地元の人や観光客らに石川県産のノドグロやフグなどを提供。コロナ禍で客足が減って苦しいときもあったが、1月2、3日は、予約が埋まっていた。 あの元日、長女珠蘭(じゅら)さん(当時19)も川崎市から帰省していた。店は定休日。家族5人で過ごしていた。 午後4時過ぎ、1回目の揺れが襲った。5人は着替えて外に逃げる準備をした。直後に激震が来た。揺れの最中、健二さんは後頭部に衝撃を感じた。次の瞬間、5人は階下に突き落とされた。 健二さんは、飼い犬の鳴き声… この記事は有料記事です。残り831文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄の不発弾処理で「カプセル型」導入、完全処理にはなお100年
太平洋戦争末期の沖縄戦で残された不発弾の処理をめぐり、国は28日、カプセル型容器を使った新たな方式を沖縄県宜野湾市の現場で初めて導入した。作業中に誤って爆発する事態に備えて周辺住民が避難する範囲を大幅に減らせるという。 この日処理された不発弾は昨年12月、宜野湾市内の公園での工事中に見つかった。トラックの荷台の「耐爆容器」という直径約1メートルの特殊な鋼鉄製容器(神戸製鋼所製)に不発弾の入ったケースが格納されると、ドアが閉められ、陸上自衛隊が遠隔で信管を破壊した。騒音や振動は「体感でかなり軽減された」(内閣府沖縄総合事務局)といい、今後検証する。 これまでは、直径最大3メー… この記事は有料記事です。残り589文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
撤去直前の朝鮮人追悼碑、1日をドキュメント 献花や記念撮影で列も
群馬県立公園「群馬の森」(高崎市)にある「記憶 反省 そして友好」と刻んだ朝鮮人犠牲者の追悼碑が29日、県の代執行で撤去される。植民地時代の負の歴史を伝えるとともに、未来にむけて平和と友好を結ぶための碑だった。28日、撤去を惜しむ人々が集い、それぞれの思いを共有した。(高木智子、吉村駿) 9:00 追悼碑の周りはひっそり。「記憶 反省 そして友好」と刻まれた追悼碑の銘板前に、折り鶴や花束がおかれていた。ハート形の紙に「話し合い」などのメッセージも。 イチゴ狩りに行くという20代の女性2人が立ち寄って、手をあわせていた。 10:00 「追悼碑を守る会」のメンバーの男性が碑に到着。「これから裁判と思っていた矢先。甘かったのかも」と話す。明日から碑を見られなくなるので、見納めに訪れたという。太陽が碑に反射して輝く様子をみて、「新たな運動を続けたい」。 10:05 法事に行く途中に立ち寄ったという玉村町の石川真男町長。「植民地支配をしていた加害者が、きちんと記憶していくことが大事。記憶と反省があって、その先に友好があるという、碑の言葉のとおり」「ヘイトの熱風のなかで碑が撤去されるのか。だとしても、歴史を変えることはできない」 10:30 報道で撤去されると知った近隣の男性(69)は碑に手をあわせた。碑の存在を知っていたが、実際に足を運んだのは初めて。「碑を残せるものなら、残した方がいい。友好の証しだし、結構、朝鮮の労働者の方が亡くなっていますよね」 10:50 碑を訪れた女性が「よく県も壊す気になるわね。誰にどれだけの迷惑をかけたのかねえ」と語る。 近くにいた守る会のメンバー神垣ひろしさんは、病気で発声が難しいが、「悔しい。知事は何を考えているのか」と器具をつかって声を振り絞った。 11:00 追悼碑を守る会のメンバーが碑の前で記念撮影をしたり、碑への思いを静かに語りあったりした。 代表委員の川口正昭さん(64)は「まだ実感はないけれど、本当に碑に申し訳ない。また記憶して反省することが増えたなあ」。宮川邦雄代表委員は「群馬の良心のシンボルでもある追悼碑が撤去されるのは断腸の思い。素晴らしい碑だったんだとつくづく思う」。 11:30 碑の前で、前橋市の代田清さん(83)が「アリラン」をハーモニカで演奏。碑を建てる会の時代から関わる1人だった。「悔しい。撤去されたとしても、気持ちまで撤去される訳じゃない」。その後、「ふるさと」を伴奏し、居合わせた人々と合唱した。 11:40 植民地支配を正当化する話を大声でする男性が現れる。守る会のメンバーが「植民地支配したからといって、何をしていいわけじゃない」と抗議。その後、警察官や公園管理の職員が男性に対し「離れましょう」と言う。 13:00 サイクリングに来た男性も碑の前に。近くに住んでいるため、「群馬の森」には何度も来たことがあるが、碑を見るのは初めて。報道で気になって訪れ、スマホで撮影した。「撤去には反対ですね」と言葉少なに語った。 13:10 高崎市内の女性(… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
塩谷氏「安倍派は悪いというすみ分けをしてはいけない」 裏金事件
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の座長・塩谷立衆院議員(比例東海)が28日、地元の浜松市で記者会見を開き、派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題について説明した。2022年までの5年間で、派閥から自身の政治団体に計234万円の還流を受けながら、政治資金収支報告書に記載していなかった。離党や議員辞職は否定し、次期衆院選に立候補する意欲も示した。 記事後半では、塩谷氏の記者会見での主なやりとりを伝えます 塩谷氏は冒頭、「政治資金問題の事件で、国民、自民党関係者、地元の支援者の信頼を著しく損ねたことに対し、心から深くおわびする」と陳謝した。また、地元での説明までに時間がかかったことについて、「捜査により、議員同士でも連携が取れず、情報が入りにくい状況だった」と釈明した。 派閥から事務所への還流は… この記事は有料記事です。残り1165文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「別れたいが応じてくれない」次女が警察に相談 今治の女性死亡事件
中川壮 堀江泰史2024年1月28日 21時36分 愛媛県今治市の住宅でピアノ教師の冨田小雪さん(64)が首を切られて死亡した事件で、冨田さんの次女(35)が昨年11月、暴行容疑で逮捕された自称会社員、榊原正道容疑者(34)=同県西条市樋之口=との交際をめぐるトラブルについて、県警今治署に相談していたことが分かった。県警が28日、明らかにした。 県警によると、次女からの相談内容は「(榊原容疑者に)別れたいと言っているが、応じてくれなくて困っている」というものだった。「過去に軽く髪を引っ張られたことがある」とも話したという。榊原容疑者の処罰などは求めていなかったという。 榊原容疑者の逮捕容疑は、26日午後5時20分ごろ、今治市松本町2丁目の冨田さん宅近くの路上で、冨田さんの次女の体を抱え込み、腕を引っ張るなどの暴行を加えたというもの。榊原容疑者は「(暴行を)したと思います」と、容疑を認めているという。 今治署によると、冨田さんは26日午後6時10分ごろ、自宅で倒れているのを知人が見つけて病院に運ばれたが、死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は刃物で首付近を切られた失血死と判明した。 県警は、冨田さんに対する殺人容疑も視野に、慎重に調べている。(中川壮、堀江泰史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
安倍派の山谷えり子・元拉致問題相、2403万円を不記載
2024年1月28日 20時46分 自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティーをめぐる裏金事件で、山谷えり子・元拉致問題担当相は、2018~22年の5年間で、派閥からの寄付として自身の政治資金収支報告書に計上すべき2403万円が不記載だったと、ホームページで明らかにした。 派閥のパーティー券の販売ノルマ超過分とみられ、山谷氏は「何らかの支出にあてることはなく事務所内にとどめていたと報告を受けている」と説明した。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル