能登半島地震の被災地では、大阪府内から派遣された保健師たちも活動している。山本啓代さん(35)は現地の悲惨な状況に戸惑いつつも、自宅避難者のケアなどに取り組んだ。ともに活動した先輩の背中からは、苦しむ人たちへの寄り添い方や、保健師としてあるべき姿勢を学んだ。 山本さんが石川県輪島市に入ったのは1月18日から5日間。同じく保健師の福村和美さん(56)や薬剤師、調整役の府職員計4人からなる「公衆衛生チーム」として活動した。 チームは市内の避難所3カ所や、自宅避難者の家を1日あたり5、6軒訪問。高齢者の健康確認や、石油ストーブで高まる室内の一酸化炭素濃度への注意喚起といった生活環境の改善に携わった。 初の被災地 頭をよぎる不安 山本さんは、被災地で活動す… この記事は有料記事です。残り905文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鉄骨の重さ、計算ミス 大林組が警視庁に伝達 東京駅前5人死傷事故
独自 有料記事 増山祐史 遠藤美波 長妻昭明2024年2月11日 6時00分 JR東京駅近くのビル建設現場で昨年9月、鉄骨が落下して作業員5人が死傷した事故で、施工した大林組が「鉄骨の重さの計算に誤りがあった」と警視庁に伝えたことが捜査関係者への取材で分かった。鉄骨を下から支える「支保工(しほこう)」という仮設の構造物に、想定以上の荷重がかかって崩落した可能性がある。警視庁は業務上過失致死容疑で調べている。 捜査1課によると、事故は昨年9月19日午前9時15分ごろ、東京都中央区八重洲1丁目の7階建てビル建設現場の7階付近で起きた。事故当時は梁(はり)となる鉄骨をクレーンでつり上げ、別の4本の鉄骨に接合する作業中だった。4本の鉄骨の継ぎ目の一部には支保工が設置され、下から支えていた。支保工は鉄のパイプなどで造られ、やぐらのように3階から7階付近まで組まれていた。 捜査関係者によると、大林組は警視庁に、鉄骨5本などにより支保工にかかる重さについて「計算ミスがあった」と説明したという。支保工の構造は支える鉄骨などの重さによって決まるが、その前提から誤っていた可能性があることになる。支保工は埼玉県内の下請け会社が造ったという。 この計算は大林組の社員が担当し、ミスは社内で改善されなかった。支保工など仮設構造物の強度などの計算について、外部機関のチェックはなかったといい、計算ミスが見過ごされたまま工事が進んだとみられる。 大林組は工事再開 「強度計算、見直す」 工事は、店舗やバスターミナ… この記事は有料記事です。残り431文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
教員の勤務改善「給特法は手段にならない」 専門家が語る新たな対策
残業代を出さない代わりに基本給の4%を一律に上乗せ支給する。そんな公立学校教員特有の給与制度の見直し論議が、文部科学相の諮問機関、中央教育審議会の特別部会で近く始まる。教員の給与制度は「教員給与特措法(給特法)」で定められており、教員の一部には廃止を求める声もある。今後の議論で給特法の枠組みはどうなるのか。特別部会委員を務める青木栄一・東北大教授(教育行政学)に考えを聞いた。 ――いくら働いても残業代が支給されない給特法に対しては、「定額働かせ放題」の制度だとして廃止を求める声が一部にあります。 給特法廃止の主張の背景には、残業代が出るようにすることで、使用者側がその支払いをなるべく減らそうとして残業を減らさざるを得なくなるという期待があると推察します。 文科省の2022年度の勤務実態調査(速報値)では中学校教諭の平日の労働時間は11時間1分、小学校教諭も10時間45分と依然として長過ぎます。労働時間の抑制は急務で、期待する思いはわかります。 問題は、廃止が本当に残業の削減につながるかということです。現行制度のもとで過度の長時間労働が起きているのは、校長や副校長といった管理職が教員の労働時間のマネジメントを十分にできていないことも要因です。給特法の廃止で急にそれができるようになるのか、疑問です。残業した分だけ財源が確保できるのか、という心配もあります。 給与支出する都道府県 「自分の財布」は痛まない ――残業代を支払う行政側が予算内に収めようとして教員の仕事を減らすという期待もあるようです。 小中学校の多くを占める市町村立学校について言えば、教員の業務負担を管理する施策は基本的には市町村教育委員会が担います。一方で仮に残業代を支給するとしても教員給与の予算は都道府県が支出しています。市町村にとって残業代の節約は仕事を減らすためのインセンティブ(動機)になりにくい仕組みであるという前提があります。 さらにいえば教員給与には国のお金が入るので、都道府県にとっても残業代の支払い増で「自分たちの財布」だけが痛むわけではないことにも注意が必要です。 ――給特法改正は、長時間労働を改善することに直接的につながらないということでしょうか。 給与制度と勤務時間管理は密接な関係にあるものの、どちらかがどちらかの手段になるかというと、それは違うと思います。働き方改革と、給与制度を含めた処遇改善の両方をパッケージで進めて、双方の実現性を高める必要があるでしょう。 記事後半では、教員の長時間労働を抑制するための実効的な仕組みや、態勢づくりの具体策などについて語っていただいています。 長時間労働の改善策 「外部チェック」の仕組みとは ここから続き ――給特法の改正によらずに… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
亡き妻が愛用した裁縫針を手に 四国霊場の本尊を点描する夫の巡礼旅
7年前に亡くなった妻の供養のため、輪切りにした小さな木に四国八十八カ所霊場の本尊を描き続けている男性がいる。細かな点や線を表現するため、手にする道具は妻が愛用した裁縫の針だ。 作品は400点以上にもなり、遍路道に近い徳島県阿南市のギャラリーで公開を始めた。 徳島県北島町の佐竹弘さん(76)は妻静子さんを2017年に69歳で亡くした。23歳のときに恋愛結婚した、故郷阿南市の小学校の同級生だった。 悲しみに暮れる中、静子さんが好きだった柿の木の枝を輪切りにした断面に、ペンで花などを描き始めた。絵を描くのは苦手だったが、黄色の断面の美しさに引かれたからだ。 しばらくして、仕事で愛媛県を訪れた際に立ち寄った51番札所・石手寺(松山市)で出会った八十八カ所霊場の本尊の絵に感動し、題材にし始めた。これまでに霊場を4回巡り、うち1回は妻が亡くなる3年前に一緒に巡った。当時の記憶がよみがえった。 作品の原画は、各札所で手渡される本尊を描いた絵「御影(おみえ)」。印刷してカーボン紙と重ね合わせ、直径10~13センチに輪切りした木の断面に載せて少しずつ本尊を写していく。 材料の木は、美しさや強度から、ヤマモモやウバメガシのほか、ミカン、ツバキなどを試す。枝を乾燥させて厚さ1センチ前後に輪切りにし、さらに乾燥させて断面を磨く。 妻の思い出が詰まった針で 微細な表現のためにたどり着… この記事は有料記事です。残り777文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
遥かなる択捉島、また土を踏みたい 少女時代の景色は跡形がなくても
桜が咲くのは6月。8月上旬になるとハマナスの群生が満開になり、村は「バラの香り」に包まれる。秋は、おびただしい数のサケが遡上(そじょう)し、まるで川が煮えたぎったようだった。 択捉(えとろふ)島の最北に位置する蘂取(しべとろ)村出身の鈴木咲子さん(85)=根室市=。10歳になる年までを過ごした島での日常の記憶は、驚くほど鮮明だ。 1945年、ソ連は日ソ中立条約を無視して北方四島に侵攻・占領。ロシアとなった現在でも不法占拠が続いている。元島民は高齢化が進み、約7割が亡くなっている。記憶を後世に伝えるため、当事者たちを訪ねた。 蘂取村の居住者は、1945年の終戦時点で89世帯349人。役場や消防、郵便局に駐在所、国民学校、公会堂、病院、寺、神社……。小さいながらも、漁業などが盛んな豊かな村だった。 「村には雑貨屋さんが一軒あるだけ。でも、東京の高島屋とか三越のカタログが送られてきて、色々なモノが手に入ったんです。だから、服装は割と、はやりものを着ていたんじゃないかなと思います」 振り袖でじいやんに弁当を届けた 島の豊かさを象徴するようなエピソードがある。毎年7月15日の神社のお祭りだ。 戦時中だったにもかかわらず、村の女の子たちはみんな、振り袖を着せてもらっていた。もちろん、鈴木さんもその一人。カタログで取り寄せた反物で、母が仕立ててくれたという。 神社のお祭りで祖父の「じいやん」が当番を務める日。振り袖で、村外れの神社までお弁当を届けに行くのが楽しみだった。 鈴のついた「ぽっくり」をはき、母と手をつないで歩く。はき慣れていないので長い道のりに感じるけれど、心はルンルン。鈴の音も心地よい。 「じいやん、お弁当だよ」 「よく来たなぁ」 到着したら、たわいもない会話をして、また家に帰る。 「それだけのことなのに、前の日からうれしくて、うれしくて……。今でも目を閉じると、あの時の情景が浮かんできます」 ジャガイモは絶品、村芝居で歌舞伎 ひもじい思いをした記憶もない。 漁場は豊かで、魚は年中捕れ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
散歩中に逃げた四国犬、45時間後に近くで発見 被害なし 神奈川
三木一哉2024年2月10日 17時02分 神奈川県南足柄市塚原で、散歩中に首輪が外れて逃げた四国犬は、「迷い犬が徘徊(はいかい)している」との110番通報から約45時間後の10日午後1時半ごろ、捜索中の警察官が近くの畑で見つけ、保護した。この間、犬にかまれるなどの被害の情報はなく、犬も元気な様子という。 松田署によると、犬は9歳のオスで、体長約1メートル。10日午前8時20分ごろ、飼い主が一度、見つけたものの再び逃げていた。その後、最初に逃げた場所に近い畑で、うずくまっているのを見つけ、警察官ら十数人で囲んでケージに追い込んだという。保護した犬は飼い主に確認の上、返却した。 四国犬をめぐっては、群馬県伊勢崎市で7日、公園にいた小学生らが次々とかまれ、12人がけがをした。(三木一哉) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
個別避難計画「現実的でない」側面も アプリ・お札…各地で模索続く
津波から自力で避難するのが難しい人にとって、カギとなるのは近所の人や家族の手助けです。国はあらかじめ助ける人を決めて、計画にまとめておくよう求めていますが、なかなかうまくいかないようです。背景を探りました。 自力での避難が難しい人が災害で犠牲になるケースは少なくない。 東日本大震災でみると、市町村別の犠牲者が最多だった宮城県石巻市では、障害者手帳を持っていた人の死者・行方不明者は計348人(13年11月時点)で、死亡率は4・3%。障害者手帳を持っていない人の2・0%と比べ、倍以上の開きがある。 障害者や高齢者らの逃げ遅れ… この記事は有料記事です。残り2351文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
車の下に挟まれ高2の女子生徒が死亡 約9キロ引きずられたか 茨城
2024年2月10日 16時15分(2024年2月10日 19時57分更新) 茨城県ひたちなか市の駐車場で9日夜、水戸市に住む高校2年の女子生徒(16)が乗用車の下に挟まれた状態で見つかり、その後に死亡が確認された。女子生徒は約9キロにわたり車に引きずられた可能性があるという。県警は車を運転していた会社員男性(72)から事情を聴いている。 県警によると、9日午後6時10分ごろ、この男性から「車で走行中に異音を聞き、確認すると人が挟まっていた」と110番通報があった。女子生徒の体には引きずられたような切り傷と出血があり、ひたちなか市内で女子生徒のかばんが見つかった。 現場付近から南に血痕があった。女子生徒は9日午後5時50分ごろ、水戸市酒門町の道路上に倒れていたところを、ひたちなか市内まで車で引きずられた可能性があるという。車のボンネットなどに衝突の痕はなかったといい、県警は事件と事故の両面から調べている。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
青い空に映える濃いピンク 夜にはライトアップも 早咲きの河津桜
伊藤進之介2024年2月10日 21時30分 静岡県河津町で早咲きの河津桜が見頃を迎えている。町内を流れる河津川沿いの約4キロに850本ほどが植えられ、開花状況は二分咲きから満開まで様々。訪れた人たちは好天のもと、鮮やかなピンク色に染まった並木道を散策していた。 見頃は1カ月間ほど続く。29日までは、午後6時から午後9時にかけ、夜桜のライトアップも行われる。 子どもの頃から毎年、花見に訪れるという川崎市の山中忍さん(50)は「青い空に、濃いピンクがとてもきれい。来る度に知り合いが増え、また友だちに会いたくて毎年来てしまう」と話した。(伊藤進之介) 桜のエピソードを募集しています 桜ものがたり2024 読者の皆様の心に残る桜を紹介する写真企画「桜ものがたり2024」のエピソードを募集します。桜を見ることで勇気づけられた経験、地元ならではの名所など、桜にまつわる思い出をお寄せください。 頂いたお話を元に映像報道部の記者が取材し、紙面と朝日新聞デジタルで紹介します。QRコードから過去に掲載した「桜ものがたり」がご覧いただけます。 応募は2月29日まで。住所、氏名、電話番号を明記の上、桜のエピソードと場所をお送り下さい。 宛先は朝日新聞東京本社映像報道部「桜ものがたり2024」係。ファクス(03・5541・8519)、はがき(住所不要で〒104・8011)、電子メール(sakura@asahi.com)でお寄せ下さい。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
北大恵迪寮の伝統イベント 雪山に飛び降り「今しかできない幸せを」
上保晃平2024年2月10日 20時00分 115年以上の歴史がある北海道大学の自治寮「恵迪(けいてき)寮」(札幌市北区)で10日、伝統イベントのジャンプ大会があった。ふんどしをはいた寮生らが雪山を目がけて2階から飛び降り、一発芸や寸劇で約70人を笑わせた。 恵迪寮は、北大の前身の札幌農学校の開学に伴って寄宿舎として開設され、1907(明治40)年に命名された。家賃は水道光熱費などを含めて月1万5千円ほどで、現在は約400人の学生が生活している。 水産学部2年の高沢共生さん(22)は、安い家賃と「毎日がお祭りみたい」な生活にひかれて4年前に入寮した。だが、コロナ禍で伝統イベントが相次いで中止に。数十年続くとされるジャンプ大会は、昨年にようやく復活した。 3月で卒寮予定の高沢さんはこの日、同部屋の寮生らと寸劇を披露した。「最後の参加なので、今しかできないことに幸せを感じました」と満足した表情で寮歌を熱唱した。(上保晃平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル