谷辺晃子2024年2月16日 19時30分 市バスの運賃の一部を着服したとして、兵庫県伊丹市交通局は16日、乗務員の男性(54)を懲戒免職処分にしたと発表した。約3年4カ月にわたり運賃箱を不正に操作して現金を抜き取り続け、被害総額は約300万円にのぼるという。 市交通局によると、乗務員は2020年10月ごろから今年1月28日までの間、路線バスの運賃箱にある操作パネルの「ベルト停止」部分をタッチ。投入された現金がベルトを通って金庫へ落ちるのをストップさせて、運行中や終点到着時に取り出して制服のポケットに入れていたという。 1月27日、乗客から「乗務員が不審な動きをしていた」と市交通局へ通報があって発覚。市交通局がドライブレコーダーを確認し、指摘通りの動きが映っていた。 翌28日の聞き取りで、乗務員は着服を認めた。「クレジットカードの返済が多く、それに充てたかった」と説明しているという。 乗務員は着服した日付や人数の一部を記したメモを残しており、市交通局の調べに「罪悪感のようなものがあり、自分の罪を記録しておかないといけないと思った」と話したという。 乗務員は勤続10年6カ月で、遅刻や無断欠勤もなく、無事故だった。 運賃は大人210円、子ども110円で、乗車時に支払う。交通系電子マネーの普及で、現金での支払いは全体の10~15%程度という。 着服は1日平均13人分程度で、2800円ほどだったが、1万円近いときもあった。市交通局は、着服金をすべて弁済していることなどから刑事告訴は見送る方針。(谷辺晃子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災者の心のケア、厳しい過疎地 専門家「移住と病院集約が選択肢」
能登半島地震の発生以来、被災地では厳しい環境での生活が続く。家族の死、自宅の倒壊、長引く避難生活……。ストレスや不安から、心の不調を訴える人も増えてきた。心の傷を放置すると様々な精神疾患につながりかねず、持続可能な支援態勢が求められる。 被災者の心のケアの必要性は、1995年の阪神・淡路大震災で注目された。地震に伴う恐怖の体験や、大切な人との死別の体験は、長年にわたり被災者の心に影響を及ぼす。また、長引く避難生活によるストレスや孤独は、うつ病やアルコール依存症といった心の病気や、自死につながるリスクもある。 国は東日本大震災後の2013年、発災直後に被災地に赴いて心のケアにあたるDPATを発足させた。能登半島地震でも、道路が寸断されるなど支援が届きにくい中、16日までに計169隊が活動し、現地の医療機関の支援や被災者のケアにあたっている。 ただDPATを始めとする外部の支援も引き揚げつつある。長期にわたる心のケアを最終的に担うのは、地元の行政や医療機関、保健所などになる。一方で医療過疎地である奥能登は、精神科医療に携わる人材も限られており、厳しい状況だ。 ■「コミュニティーを維持して… この記事は有料記事です。残り1293文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
耳に残る「助けて」の声、眠れない被災者も 長引く避難で増える相談
2月上旬。能登半島地震の被災地にある避難所に設けられた救護室で、女性が涙ながらに訴えた。 「地震のことを夢に見る。夜、眠れない」 あの日、女性の両親は倒壊した家の下敷きになった。救助を求めたが、津波が襲って来る。逃げるしかなかった。 「『助けて』って言う声が耳に残っている。自分が置いていったという気持ちがぬぐえない」 女性と向き合うのは、精神科医と看護師らでつくる「災害派遣精神医療チーム(DPAT)」だ。この日は、宮城県から応援で入った東北大災害科学国際研究所の國井泰人准教授が率いるチームが往診した。 「ご飯は食べられている?」「つらかったね」。國井さんは女性の話に相づちを打ちながら状況を聴き、診察を終えると薬を処方した。 全国から応援に入っているDPATは、心のケアが必要だとの情報が共有された被災者を往診しながら、各避難所を回っている。 「想像を絶する体験に加え、長引く避難生活でメンタル面の不調が顕在化しやすい。東日本大震災では、10年経ってからPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した被災者もいた。長期的なサポートが必要だ」と國井さんは話す。 少しずつ信頼築き、ケアにつなげる 震度6強の地震や津波で住宅の4割が全壊し、103人の死亡が確認された石川県珠洲市では、いまも約1300人が避難所生活を続ける。 自らも建物の下敷きになった… この記事は有料記事です。残り914文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
知床沖の観光船事故、不明男児の認定死亡を申請 父親が訴訟参加へ
中沢滋人2024年2月16日 20時30分 北海道・知床半島沖で一昨年4月、観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没し、20人が死亡、6人が行方不明になっている事故で、当時7歳だった息子と元妻(当時42)が行方不明になっている十勝地方の男性(51)が、息子について認定死亡の申請をしたことがわかった。男性は、遺族らが今春にも、運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長に対して、損害賠償を求める集団訴訟に原告の一人として参加する。 男性によると、昨年11月、知床観光船事件被害者弁護団から訴訟への参加意思を確認され、原告になるには、遺族でなければならないとして決断したという。今月13日、書類を行政機関に提出した。男性は「自分の中でいまだ受け入れられず、息子の帰りを待ちたいという気持ちは、事故当時から全く変わりない。が、裁判に参加するため決断した。裁判で(桂田社長に)どういうふうに思っているのか聞きたいし、重い責任を取ってもらいたいと思っている」と話した。 事故直後から始めた、夢に息子らが出てきた際、忘れないようにノートに内容を記録することは、2年近く経った今も続けているという。(中沢滋人) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京大「吉田寮」訴訟、在寮生14人への明け渡し請求認めず 京都地裁
光墨祥吾2024年2月16日 20時35分 築110年を超え、現役の学生寮として国内最古とされる京都大学「吉田寮」(京都市左京区)の現棟(旧棟)に住む学生らに大学が明け渡しを求めた訴訟で、京都地裁(松山昇平裁判長)は16日、在寮生14人について大学の請求を棄却し、居住を認める判決を言い渡した。 吉田寮には1913年建築の現棟と2015年建築の新棟がある。大学は17年12月、現棟の耐震性に問題があるとして、寮生の安全確保を目的に18年9月末までに退去するよう通告した。一部の寮生は退去せず、大学は19年に提訴した。 吉田寮では、入寮の募集や選考を自治会が担っている。この点について大学は、在寮契約を結ぶ権限を自治会に与えたことはないと主張。また、退去を通告する際に格安の代替宿舎を用意するとしており、在寮契約が結ばれていたとしても解除されたと訴えた。 判決は、大学と自治会が締結した確約書に基づき、「入寮手続きを自治会が行う合意が成立していた」と指摘。退去通告前に入寮した14人は明け渡す必要がないと判断。通告後に入寮した3人には明け渡しを命じた。 判決はさらに、「寮生らは寮が自治会によって自主運営されていることに大きな意味を見いだして入寮している」と言及。代替の宿舎を提供するだけでは目的が達成されないと指摘した。 また、大学が依頼した耐震診断が補強案を前提としていた点などを指摘し、「耐震性能が不足していても、これを理由に契約継続が著しく困難になったとは認められない」と結論づけた。 一方、既に退寮した元寮生23人に対しては、寮内の共用スペースや個室に書籍や生活用品が残っているなどとして、明け渡しを命じた。(光墨祥吾) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
京大吉田寮の「自治の価値」認定 寮生「話し合いで合意形成望む」
「思いもよらぬ、うれしい判決にびっくりしている」。被告の1人で寮生の松村主承(かずのり)さん(26)は、判決後の記者会見で喜びを語った。 「自治会と大学の間で交わされてきた確約という約束が、一方的に反故(ほご)にされてはいけないと認められたのが大きい」とも話した。 大学は1982年、吉田寮を廃止する方針を示し、自治会が反発。補修も視野に話し合ったが折り合いがつかなかった。 大学は17年、新たな入寮の… この記事は有料記事です。残り754文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小2児童3人横断歩道ではねられ2人重傷 運転の88歳を逮捕、新潟
鈴木剛志2024年2月16日 21時00分 16日午後3時20分ごろ、新潟県新発田市富塚町2丁目の市道で、横断歩道を歩いていた小学2年生の児童3人が軽ワゴン車にはねられた。男児(8)と女児(8)がそれぞれ頭と腰を打って搬送され、重傷。命に別条はないという。残る男児(8)も左手にすり傷を負った。 県警は車を運転していた同市東新町4丁目の無職女(88)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕。当時の状況を詳しく調べている。 新発田署によると、現場は信号機のないT字路交差点。女は直進して通過する際、右から歩いてきた3人をはねたという。調べに「3人に横断歩道でぶつかったことは間違いない」と供述し、容疑を認めているという。(鈴木剛志) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小池百合子都知事「把握してなかった」 二階氏の「小池本」大量購入
太田原奈都乃2024年2月16日 21時27分 自民党の二階俊博元幹事長が代表を務める政治団体が「小池百合子の大義と共感」というタイトルの本を大量購入していたことについて、東京都の小池百合子知事は16日、「今回、それは把握しておりませんでした」と述べた。同日の定例記者会見で質問に答えた。 二階氏の事務所によると、3年間で3472万円をかけて購入したとする書籍は17種類(計2万7700冊)。その中に、同書(大下英治氏著=3千冊、計396万円)が含まれていた。 小池知事は会見で、「著者は大下さん。(私の)直接の本ではない」とも述べた。二階氏の事務所は、同書を含む書籍の大量購入について「選挙区外の行政、議会関係者らに配布し、政策広報に努める」ためだったと説明している。(太田原奈都乃) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「飼い主と猫の命と健康を守るため」 ネコバス、被災地に出動
能登半島地震で被災し、飼い主とはぐれたり、所有権がわからなくなったりしている飼い猫の一時預かり施設が7日、石川県珠洲市野々江町に開設された。岐阜市の一般社団法人「ネコリパブリック」が、珠洲市内の住民から借りた農業用倉庫を使って猫を預かる。 代表の河瀬麻花さん(49)によると、倉庫にはスタッフが交代で常駐し、猫の世話をみている。倉庫で預かるのは原則1週間。その間に飼い主の生活状況が回復しない場合、法人が所有する岐阜県飛驒市のシェルターに専用のバスで送られ、最大1年間無償で預かる。猫の所有権が放棄された場合には、譲渡ができる保護施設に送られ、譲渡会などで引き取り手を探すという。 法人は1月11日から猫の捜索や保護を行ってきた。当時はスタッフが岐阜県飛驒市のシェルターと被災地を往復しながら、猫を預かってきた。だが、猫とスタッフの健康を考慮し、倉庫を借りて猫と生活することにした。 移動用のバスは、法人が譲渡会の時などに利用してきたもの。暖房やケージなどを完備し、「飼い主も安心して送ることができる」という。運搬できる猫が一定数集まったら、バスを使ってシェルターや保護施設に運ぶという。 法人ではこれまでに45匹の猫を保護。うち5匹は飼い主の元に戻り生活している。19匹は所有権が放棄され、譲渡会などで引き取り手を探す。 河瀬さんは、「飼い猫がいるために避難所に行けず、車中泊を繰り返して体調を崩す人も多い。被災地での生活が整うまで、飼い主と猫の両方の命と健康を守るための仕組みづくりに尽力したい」と話している。 法人は他団体と協力し、被災地で発見した所有者不明の動物の保護に関するデータベースも開発し、行政に提出することで、被災動物の把握と追跡ができるという。 法人はHP(https://www.neco-republic.jp/)で一口千円から支援を募っている。(金居達朗) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
核ごみ文献調査の報告書案に北海道知事が苦言「多様な意見を載せて」
長谷川潤2024年2月16日 18時30分 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選定をめぐり、原子力発電環境整備機構(NUMO)が公表した文献調査の報告書案に鈴木直道知事が苦言を呈した。現時点では、次の段階である概要調査への移行に反対の立場をとる自らの意見が反映されていないことなどに触れ、「多様な意見があることを踏まえないと客観、中立、公正な議論ができない」と指摘した。15日の記者会見で質問に答えた。 文献調査は北海道寿都町と神恵内村で進められてきた。次の概要調査に移行する際は、地元首長と知事に意見を求めることになっている。 鈴木知事は、これまで記者会見などで移行には反対の姿勢を示してきた。報告書案には、多様な意見があったとする記述はあるが、知事の反対姿勢や地元で重ねた対話での声などは反映されていない。 「いろいろな意見が北海道であったことがわからないと、この間の苦しみもわからない。それでは、ほかの地域の人は、北海道でやればいいじゃないかということになってしまう」 鈴木知事は、道内の幌延町で地層処分のための深地層研究を受け入れてきたこと、その不安から核のごみを「受け入れがたい」とする道条例ができたこと、自身が同条例を根拠に概要調査への移行に反対していることなどを広く知ってもらい、全国的な議論にすべきだと訴えた。 報告書案は、今後、審議会などで議論され、正式な報告書になる。(長谷川潤) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 核のごみを問う 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をめぐる動きをまとめました[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル