多田晃子2024年2月4日 18時30分 秋篠宮さまと長男悠仁さまは4日、東京都台東区の東京国立博物館平成館で開かれた「全国学校・園庭ビオトープコンクール2023」の発表大会に出席した。悠仁さまの同大会への出席は初めて。 このコンクールは、学校や園庭などに色々な生きものがすむ「ビオトープ」をつくって活用する先進事例を発信するもの。秋篠宮さまはあいさつの冒頭、能登半島地震の犠牲者に哀悼の意を、被災者にお見舞いを伝えたうえで「意義深い取り組みが広く紹介されることは、持続可能な社会の実現に向けた人づくり・地域づくりにも大きく貢献するものと考えます」と述べた。お二人は上位5賞の受賞校や受賞園の表彰式の後、各取り組みの発表に耳を傾け、拍手を送った。関係者によると、発表を聞いた秋篠宮さまは、ビオトープの池の底について「どうやって作ったんでしょうかね」と話したり、取り組みについて「すばらしいことですね」などと感心したりしていたという。 これに先立ち、優秀賞受賞のうち3団体の取り組みを聞きながら生徒らと計約15分間懇談。悠仁さまは「ミヤコタナゴを育てていく環境で、何か工夫した面はありますか」「ビオトープの広さはどのくらいですか」と質問した。秋篠宮さまが悠仁さまに「キイトトンボは珍しいの」と尋ねる場面もあったという。 悠仁さまはお住まいがある赤坂御用地(東京都港区)で、小学生の頃から関心があったトンボ類の生息環境の調査を続け、生き物の生息環境が良くなるよう、ビオトープづくりに取り組んできた。昨年11月には、研究者らと執筆した「赤坂御用地のトンボ相―多様な環境と人の手による維持管理―」と題する学術論文を発表した。(多田晃子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
経費5776円で100円稼ぐ路線 それでも「存続以外あり得ない」
有料記事 藤田大道 原田悠自2024年2月5日 5時00分 「また明日ね~」。昨年12月のある夕方、JR水郡線の常陸大子(ひたちだいご)駅(茨城県大子町)のホームから降りてきた10人ほどの高校生が手を振って別れていく。白い吐息をはきながら歩いて帰る人、駅前で待つ親の車に駆け足で乗り込む人。ものの数分で、あたりに誰もいなくなった。バスやタクシーもなく、駅周辺は閑散としていた。 「生活の足」として欠かせない存在だったローカル線が窮地に立たされています。人口が減っていくまちで、公共交通はどうあるべきか。茨城県内の事例を通して考えます。 驚きの赤字公表 今から1年半前の夏、大子町を含めた沿線自治体が息をのむ出来事があった。 常陸大子―磐城塙(福島県塙… この記事は有料記事です。残り1472文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「雪国の象徴」維持へあの手この手 格安の公設スキー場のいま 岐阜
愛好者の減少や雪不足に悩むスキー場。公設スキー場を2カ所ずつ持つ岐阜県高山市と飛驒市はそれぞれ、地元利用者とのつながりを重視するなど、ゲレンデの「すみ分け」を狙った運営に乗り出している。民間との競合のなか、「雪国のシンボル」は守れるのか。 1月20日、高山市一之宮町の「高山市民スキー場」。雪不足のため滑れないコースもあったが、近隣や遠方から家族連れなどが訪れた。 名古屋市の40代会社員は妻子とスノーボードやそり遊びに興じた。「もう少し雪があれば。でも子どもも楽しんでいる」。名古屋からは郡上市高鷲地区のスキー場の方が近いが、「ここは安いし、昔も来ていた」と日帰りで足を延ばした。 昨季までの名称は「モンデウス飛驒位山スノーパーク」。近くには別の市営スキー場「ひだ舟山スノーリゾートアルコピア」もあった。どちらも合併前の旧町村時代にオープンし、小規模ながら50年を超える歴史を誇った。 だが、2000年度に計約17万6千人いた両スキー場の利用者は、22年度には約5万5千人に。深刻な雪不足だった19年度は計2万人に満たず、市は指定管理者に約8千万円を補塡(ほてん)した。新型コロナや原油・物価高の影響を受け、その後も補塡は続いたという。 両スキー場の共倒れが懸念さ… この記事は有料記事です。残り2390文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
さっぽろ雪まつり開幕 ゴールデンカムイ・大谷翔平選手&デコピン…
古畑航希2024年2月4日 20時20分 北海道の冬の風物詩「さっぽろ雪まつり」が4日、札幌市中央区の大通公園などで開幕した。昨年まではコロナ禍のため一部会場が中止されていたが、4年ぶりに全3会場での開催となった。高さ10メートルを超える大雪像を含む計196基の雪氷像が並ぶほか、6年半ぶりの開催となった札幌国際芸術祭の展示もある。11日まで。 3年ぶりのリアル開催となった昨年の来場者は175万人だったが、今年はインバウンドの回復傾向もあり、コロナ前の水準である200万人を目指す。大通、すすきの(中央区)、スポーツ交流施設「つどーむ」(東区)で開かれる。 大通会場では、明治時代の北海道を舞台にした人気漫画「ゴールデンカムイ」のキャラクター、杉元佐一やアシ●(小書きのリ)パなどの大雪像が並ぶ。約80基の市民雪像も立ち並び、専用アプリを使った人気投票も行われる。 札幌国際芸術祭の展示は大通2丁目にあり、「とある未来の雪のまち」をテーマに光や音を用いた作品を体感できる。繁華街のすすきの会場では、60基の氷像を見ることができる。つどーむ会場では「子どもから大人まで遊べる場」をコンセプトに、雪のすべり台や雪だるま作り広場などを楽しむことができる。(古畑航希) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
おかえり、16人のAKB48 研究生が新公演「そこに未来はある」
アイドルグループAKB48で正規メンバーを目指す「研究生」の新公演が4日夜、東京・秋葉原のAKB48劇場で始まった。これに先立ち、通し稽古が報道陣に公開され、出演した16人がフレッシュな笑顔をふりまいた。 ステージに立った研究生は、2022年に加入した17期生と、23年に加入した18期生。新公演のタイトルは「そこに未来はある」で、グループの人気楽曲を中心に構成された。 通し稽古後の取材で、18期の八木愛月(あづき)さん(18)=都内出身=は「初日(公演)を迎えられて、とても幸せ」。17期の山﨑空さん(19)=同=も「いまの研究生の魅力や良さをたくさんの人に知ってもらえたらいいなと思います」と笑顔を見せた。 AKB48はコロナ禍の影響で、ここ4年、劇場公演の出演人数を絞っていた。今回から通常の16人での公演が復活。18期の新井彩永(さえ)さん(18)=都内出身=は「歴史のある場所で、16人公演を研究生から復活できたのは大きな意味がある」と話した。 05年に結成されたAKB48は10年代以降、常に100人以上のメンバーがいた。しかし昨年、「卒業」が相次ぎ、現在は研究生を合わせて50人ほどにメンバー数が減っている。 こうした中、17年にわたってグループに在籍した人気メンバー、柏木由紀さんも今年4月に卒業を予定。一方、新たなメンバー「19期生」のオーディションを開催するなど、世代交代が急速に進んでいる。 選抜メンバーとしても活躍する17期の佐藤綺星(あいり)さん(19)は「先輩方が卒業したり、チーム制がなくなったり変化があったけれど、16人公演の再開など、新しい風を吹かせていきたい」と話した。(小松隆次郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
発売前の少年ジャンプ作品をネット掲載 著作権法違反容疑で男逮捕
吉田啓2024年2月4日 21時15分 人気漫画誌「週刊少年ジャンプ」の連載作品を、雑誌発売の数日前にインターネットのサイトで公開したなどとして、熊本県警サイバー犯罪対策課などは4日、著作権法違反容疑で外国籍の男2人を逮捕し、発表した。 逮捕されたのはいずれも外国籍の東京都新宿区新宿5丁目の会社経営の男(36)と東京都文京区向丘1丁目の会社員の男(34)。容疑者が経営する会社も、法人として同容疑で書類送検する方針。 発表によると、2人は共謀して①2023年3月15日ごろ週刊少年ジャンプに連載中の漫画の最新話を雑誌発売日前にインターネット上のサイトで公開し、②今年1月31日午前11時半ごろ、この作品の掲載最新話を雑誌発売の数日前にスマートフォンで撮影して複製し、作者の著作権を侵害した疑いがある。 調べに対し両容疑者は①について「私じゃない」と否認し、②については「間違いない」と容疑を認めているという。 県警は2人が都内の卸売店から発売日前の雑誌を入手していたとみている。 また、県警はほかにも複数のサイトに「ワンピース」や「呪術廻戦」といった連載中の人気作品が、週刊誌発売前に掲載されていることを確認していて、2人が関与していないか調べている。(吉田啓) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
がんに立ち向かう決意をこめてライトアップ 4日は世界対がんデー
2024年2月4日 21時23分 世界対がんデーの4日夜、がんに立ち向かう決意を発信することを目指し、各地で同時にライトアップの催しがあった。午後6時すぎ、東京都庁、名古屋市の「中部電力 MIRAI TOWER」、奈良市の薬師寺、福岡市赤煉瓦(れんが)文化館など16カ所で、ビルや建物が「国際対がん連合(UICC)」のテーマカラーである青とオレンジの光に包まれた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京都アンサンブルコンテスト 羽村一中3年連続全国大会出場へ
第47回東京都アンサンブルコンテスト(都吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が4日、府中市の府中の森芸術劇場であった。小中高校と大学、職場・一般の5部門の計67団体が出場し、小学校の部を除く各部門の計7団体が都代表に選ばれた。全国大会は3月20日、群馬県高崎市の高崎芸術劇場で開かれる。 中学校の部では、羽村市立羽村一の金管八重奏が3年連続で全国大会出場を決め、小平市立小平三の打楽器七重奏も代表に選ばれた。 高校の部は、いずれも金管八重奏の東海大高輪台と東海大菅生が代表に選ばれた。 東海大高輪台は、この日高校の部の最初の演奏だった。演奏曲は「かぐや」(三澤慶作曲)。ホルンを担当した藤川七美さん(2年)は「舞台裏では緊張でがちがちだったけど、いつも通りそれぞれの楽器の良さを出そうと心がけた。8人全員が個性を出し切れた」と笑顔で話した。 東海大菅生は「幻影」(小長谷宗一作曲)を演奏。トランペットを担当した堀江紗希さん(2年)は、「本番は一瞬でした。いろいろ課題が見つかったので、全国大会では、やってきたことを全部出しきって、後悔しない演奏をしたいと思います」と語った。 各部門の結果は次の通り。◎は都代表、カッコ内は編成。 【小学校】金賞▽豊島区立高南(サックス六)、武蔵野市立三(木打八)、世田谷区立千歳(金七) 銀賞▽小平市立小平六(管七)、中野区立武蔵台(金打八)、江東区立明治(金打六) 【中学校】金賞▽◎小平市立小平三(打七)、◎羽村市立羽村一(金八)、中央区立日本橋(金六)、東海大高輪台(木三)、玉川(クラリネット四)、板橋区立赤塚三(金八)、武蔵野市立一(同)、足立区立西新井(クラリネット七) 銀賞▽東大和市立四(管打八)、足立区立十四(管打八)、八王子市立松が谷(木八)、福生市立福生ニ(管打八)、西東京市立ひばりが丘(管打八)、あきるの市立西(打八)、小平市立小平四(木八)、早大学院(管打七)、青梅市立三(金七)、狛江市立狛江三(打八) 銅賞▽小平市立小平二(管打七)、日大第一(管打七)、世田谷区立千歳(管打七)、豊島区立千登世橋(木八) 【高校】金賞▽◎東海大高輪台(金八)、◎東海大菅生(同)、同(クラリネット八)、八王子(打八)、同(木六)、国本女子(金八)、片倉(木五)、堀越(サックス四) 銀賞▽駒沢大(木八)、関東一(金八)、豊島(木八)、国本女子(クラリネット四)、豊島(金八) 銅賞▽創価(クラリネット四)、堀越(金八)、豊昭学園(打八)、専大付(木七)、富士森(金八) 【大学】金賞▽◎東海(金八)、同(木八)、明星(金八) 銀賞▽立正(金八)、同(打三)、青山学院(クラリネット四)、早稲田(フルート三) 銅賞▽玉川(クラリネット四)、中央(サックス四) 【職場・一般】金賞▽東京隆生吹奏楽団(クラリネット四)、◎同(金八)、◎創価グロリア吹奏楽団(金八) 銀賞▽豊昭OB吹奏楽団(打六)、デアクライス・ブラスオルケスター(金八)、ミュゼ・ダール吹奏楽団(オーボエ三)、創価グロリア吹奏楽団(打六)、Ikelute Wind Camp(クラリネット四) 銅賞▽JR東日本東京吹奏楽団(クラリネット三)、Soul Sonority(金八)、ミュゼ・ダール吹奏楽団(金打八)、東京ウインドハーモニーオーケストラ(クラリネット四) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
高木毅氏ら安倍派4議員が地元で説明 「議員が責任とるべき」との声
小田健司2024年2月4日 19時00分 自民党派閥をめぐる裏金問題で、清和政策研究会(安倍派、解散)に所属していた同党福井県連所属の国会議員4人が4日、福井市内で党員向けにこれまでの経緯を説明した。出席者からは「道義的、政治的責任をとるべきだ」と厳しい声も出たという。 会合は非公開で約1時間20分開かれた。安倍派事務総長を務めた高木毅氏(衆院福井2区)、安倍派最高顧問を務めた県連会長の山崎正昭氏(参院福井選挙区)、稲田朋美氏(衆院福井1区)、山谷えり子氏(参院比例)が出席した。 各国会議員が釈明した後、党員から意見が出された。出席者によると、「秘書がやったとしても議員が責任をとるべきだ」「責任をとらなければ、選挙で応援できない」といった趣旨の指摘があったという。 会合後、2018~22年の5年間で1019万円の還流を受けたという高木氏が報道陣の取材に応じた。党国対委員長を辞任したものの、さらに責任をとるよう求める声も党内にあるが、「厳しいご意見もあったが、腹に据えて頑張っていきたい」と述べた。山崎氏は責任のとり方について、「思案中」と語った。 高木氏以外の3人のうち、山谷氏は2403万円の裏金を公表。稲田氏はこの日の会合で、不記載と「中抜き」を含めて計196万円の還流があったことを報告したという。山崎氏は派閥から4万円の還流があったと報告があったが、詳細は確認中としている。(小田健司) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
災害ボランティア、強まる自粛ムードと統制 多様な「偏った支援」を
能登半島地震から1カ月余。被災地でのボランティアをめぐっては、「自粛ムード」や行政による「統制」の是非が課題となった。だが災害ボランティアの専門家で、いち早く能登に駆けつけた大阪大学大学院の宮本匠准教授は、ボランティアは本来多様なもので、「偏った支援が強み」とも語る。時代とともに変化するボランティアが映し出す現代社会と向き合い方について聞いた。 大阪大学大学院・宮本匠准教授インタビュー ――ボランティアという観点から見た今回の地震の特徴は。 初動の1週間どころか1カ月も、おそらくここまで、一般のボランティアが現地で活動することが制約されているのは、阪神・淡路以来の災害で初めてではないか。そこには「自粛のムード」もあるし、実際に行政からの呼びかけもあった。でも、ここに至るまでの予兆のようなものがなかったかといえば、そうでもなくて……。 ――予兆とは? まず一つは、ボランティア一般に対するネガティブな評価です。損得勘定というか打算的に行動するような考え方が世の中に行き届いてしまって、学生を見ていても損か得かで物事を判断することが多い印象です。他人のためと言いながら、積極的に行動するのは何か自分も得ているものがあるに違いない、にもかかわらずそれを隠しているのだから、何かいかがわしいものではないか、と。就職活動でにわかにボランティアをする人も出てくることも補助線になって、ボランティアに対して「偽善」「怪しい」という印象が強まっているのではないかと感じます。 ボランティアは「自らの意思に基づいて見返りを求めずに誰かを助けること」とされ、阪神・淡路大震災が起こった1995年が「ボランティア元年」とよく説明されます。ただ、人が見返りを求めずに助けることは大昔からあった。だからボランティアの本質は「他人同士」の助け合い、つまり「見ず知らずの人間であっても、困った時には助け合う」ということだと思います。 地縁血縁がどんどん薄れ、他人同士が集まって住む現代社会にとって、ボランティアは非常に大きな課題であり、希望でもありました。 けれど「他者」は、ポジティブに引き出せばボランティアのベクトルになるけれど、ネガティブな部分に着目すると、知らない人間で怖い、危害を加えてくるかもしれない、できれば距離を置きたい、となる。僕はこれを「危機管理のベクトル」と呼んでいますが、日本社会ではこちらのほうが強くなっているように思います。 ――なぜでしょうか。 例えば今回、被災地で自動販売機が壊された、という報道がありましたが、そこでも危機管理ベクトルのほうが動いてしまった。当初は「自販機破壊し金銭盗む」という報道でしたが、その後、「避難者の飲料水を確保するため」だったと報じられました。 僕の周りでも、今回の地震で現場に行く必要性を語ると、「被災地に迷惑がかかる」「犯罪者が入ってきて大変だ」という強い反論がありました。 とっぴに思われるかもしれませんが、米国社会に分断をもたらした「トランプ現象」とのつながりも感じます。社会全体で一体何が起きているのか、マスメディアを含め、問題を共有するプラットフォームが失われた結果ではないでしょうか。能登半島地震について「現地の様子はこうだ」「それに対してこういう問題があるのでは」という全体像を皆が共有した上で議論できるような状況がなかった。 「エコーチェンバー」(同種の意見ばかり見聞きして思考が偏る現象)と言われるように、細分化されたSNSの中で見ている状況がそれぞれ違い、アナログの「現場」から切り離される形で、それぞれ分断されたメディア空間の中で、偏った情報が繰り返し反芻(はんすう)され、強まっていった。 分断されたSNS空間ではイチかゼロかという極端なコミュニケーションになりがちです。でも本当は現場ってイチかゼロではなく、その間がある。ボランティアにしてもすごく活躍する人もいれば、迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。 「被害が少なくあってほしい」→集合的否認 もう一つは、社会全体として資源や余裕が少なくなり、一方で災害は頻発するという中で、そもそも災害による被害を見なかったことにしたいという「集合的否認」があるのではないかと思います。特に今回はお正月でしたから、「被害が少なくあってほしい」という思いが、初動の遅れや被害を小さく見積もることを後押ししてしまったのかもしれません。 ――当初、石川県は渋滞で物資の輸送や救援に支障が出るなどとして、一般のボランティア活動を控えるよう呼びかけました。首相の現地入りは発生から13日後でした。 極端な言い方かもしれません… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル