棟形祐水2024年2月2日 15時18分 甲府市で2021年、全焼した住宅の焼け跡から夫婦の遺体が見つかった事件で、殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた当時19歳の無職遠藤裕喜被告(21)が、東京高裁への控訴を取り下げた。求刑通り死刑とした一審・甲府地裁判決が2日、確定した。 弁護人が1日、判決を不服として東京高裁に控訴したが、被告が同日付で取り下げた。特定少年として起訴された被告への死刑判決が確定するのは初めて。 22年4月に施行された改正少年法で、18、19歳の特定少年が起訴された場合、実名報道が可能となった。被告は、検察が実名を発表した初のケースだった。 判決によると、被告は21年10月12日、甲府市の会社員(当時55)方で、会社員とその妻(同50)をナイフで突き刺すなどして殺害。次女の頭をなたで殴ってけがを負わせ、住宅に放火して全焼させるなどした。 判決は、捜査段階に精神鑑定をした医師の証言などをふまえ、被告には完全な刑事責任能力があったと認定。2人の命を奪った結果は極めて重大で、好意を寄せていた長女に交際を断られ、絶望感と怒りを覚え、自暴自棄になって犯行に及んだ動機は「極めて自己中心的で理不尽だ」とした。 成育環境が動機に影響を与えていたとしても限定的であり、明確な反省や謝罪の態度はなく、更生可能性も低いと指摘。「19歳だったことを量刑で考慮するにも限度がある」とし、死刑がやむを得ないと結論づけた。(棟形祐水) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
岸田首相「年齢・容姿の揶揄は慎むべきだ」 上川外相への麻生氏発言
自民党の麻生太郎副総裁が上川陽子外相について「そんなに美しい方とは言わない」「おばさん」などと言及したことをめぐり、岸田文雄首相は2日の参院本会議で「性別や立場を問わず、年齢や容姿を揶揄(やゆ)し、相手を不快にさせるような発言は慎むべきだ。このことは当然のことだ」と述べた。立憲民主党の田島麻衣子氏が「年齢や容姿を揶揄(やゆ)する発言は許されるのか」とただしたのに対し、答えた。 首相は「岸田内閣でも全ての方が生きがいを感じられ、尊厳が損なわれることなく、多様性が尊重される包摂的な共生社会を実現していく。この基本方針に基づいて政策を進めていく」とも語った。 一方、上川氏は1月30日の閣議後の記者会見で、「様々なご意見やお声があると承知しているが、どのような声もありがたく受け止めている。国民に理解され、支持される外交を展開していくことに専心している」とし、麻生氏の発言への直接の論評を避けた。 2日の参院本会議で田島氏か… この記事は有料記事です。残り397文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
全国地方鉄道の半数が「運転士不足」、低賃金など背景に 国交省調査
角詠之 高橋豪2024年2月2日 15時30分 地方鉄道140事業者のうち、運転士が不足している事業者が半数の70事業者に上ることが、国土交通省の調査でわかった。背景にあるのは不規則な働き方や低賃金とされる。同省は2日、全国の鉄道事業者らを集め、初めての緊急対策会議を開いた。 国交省は、大手を含む全国172の鉄道事業者を対象に昨年10月に調査した。現行ダイヤの運行に必要な運転士数が足りているかどうかを尋ねたところ、地方鉄道140事業者のうち、70事業者(50%)が「不足あり」と答え、27事業者(19%)が「過不足なし」、43事業者(31%)が「余裕あり」だった。 JRなど大手を含む32事業者では、「不足あり」と答えたのは7事業者(22%)に留まった。 国交省は国家資格である鉄道の運転士の免許を取得できる年齢を現行の20歳から18歳に引き下げ、門戸を広げる方針だ。2024年度にも、国家試験の受験資格を定めている鉄道営業法の関係省令の改正を目指す。 全国の地方鉄道では運転士不足による減便が相次いでおり、鉄道各社は待遇改善やベースアップなどに力を入れている。(角詠之、高橋豪) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
能登半島は「自衛隊の空白地」 元陸自トップが明かした部隊の現実
能登半島地震の発生から1カ月を経て、自衛隊による輸送や給水、入浴などの支援活動が続いています。当初の派遣には「逐次投入」との批判も浴びました。2011年の東日本大震災の際、陸上自衛隊のトップとして指揮に当たった火箱芳文・元陸上幕僚長に、今回の災害対応の評価と課題を聞きました。 ――能登半島地震は元日に起きました。 自衛隊の部隊は、休みの日でも1時間以内に災害対応で飛び出せるような体制を交代でとっているものです。だが、地震の発生が1月1日の夕方で、現地に向かう道路は寸断されてしまいました。被災地に入るのは非常に困難でした。 一気に多数の隊員が詰め掛けると渋滞が起き、何も活動できません。道路を通れるようにしたり、先に入った隊員が情報収集したりする段階がないと、簡単には多くの隊員が入っていけないのです。 石川県内には陸自の駐屯地が金沢市にしかなく、能登半島には航空自衛隊の輪島分屯基地しかありません。逐次、必要な隊員が被災地に入って情報を取り、後続を誘導し、兵站(へいたん)の基盤を作らなければなりません。必要な体制を取るのに若干時間がかかるのは理解できます。 2日には陸海空から成る1万人体制の統合任務部隊を編成し、適切な対応をとったと思います。ただ、防衛省は「1千人を投入しました」「2千人を投入しました」とただ発表するだけではなく、「人命救助のために1千人が入りました」「道路啓開のためにこの部隊を入れました」と目的も説明すれば、自衛隊の活動がもっと国民に分かりやすく伝わったのではないかと思います。 隊員は風のように去るべし ――発生から1カ月が経ちま… この記事は有料記事です。残り1123文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地の子ども支援、今後必要な視点は? 3・11経験の識者に聞く
能登半島地震から1カ月が経ち、学校が再開するなど少しずつ日常を取り戻しつつある被災地の子どもたち。ただ、心身の不調はこれから出てくるとも指摘されています。東日本大震災後に10年間、東北大学で「震災子ども支援室S―チル」を運営し、子どもや保護者を支援してきた加藤道代・東北大名誉教授(臨床心理学)は、子どもの気持ちを受け止める身近な大人の心のゆとりと、その大人を支援する仕組みが重要だと言います。 体験も受け止め方もそれぞれ違う ――震災により、子どもたちの心はどう揺れ動くのでしょうか。 震災体験は大きく分けて3種あります。地震や余震の揺れなど災害そのものによる体験▽転居、家族や友人との離別など災害後の生活変化の体験▽震災についての大人の反応を見聞きする体験です。この3要素が重なり合って、子どもたちの心身は影響を受けます。 子どもの場合、心の揺れ方やストレス反応の出方は年齢である程度傾向があります。ただ、体験内容もその受け止め方もひとくくりにできない個別のもの。時間の流れも人それぞれです。その子その子で違うというのを忘れてはいけません。 中高生は元気に見えても… ――東日本大震災の時はどうだったのでしょうか。 被害の状況が違うため一概に同じとは言えませんが、能登半島地震で被災した子どもたちに見られる様子と似ている部分もあると思います。 東日本大震災では、地震から… この記事は有料記事です。残り1909文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ついに並べられた!貴重な車13台 トヨタ博物館が「お蔵出し」展
「蔵」で眠る貴重な自動車や二輪車を出してお披露目する「お蔵出し展」がトヨタ博物館(愛知県長久手市)で始まった。同館の収蔵庫などにある400台ほどの中から、常設展に並べたかったが並べられなかった13台を選び、五つのテーマに分けて展示している。 展示室の入り口は、実際の「蔵」のように見立て演出している。同館が収集したシボレーのコルベットスティングレイ(1963年)など日米欧のスポーツカーが並ぶ。オランダのDAF社が開発した世界で初めて無段変速機を搭載した乗用車「DAF600」(59年)など、50~60年代の日欧の大衆車も展示され、いずれも希少性が高いという。 64年の東京五輪で選手や観客を運んだバスが復元されたものや、戦後に民生事業への転換を迫られた旧・三菱重工業が、ジュラルミンなど航空機の素材を用いて製造した自転車「十字号」(47年)といった歴史的な車両も展示している。担当した平田雅己さんは「あたかも収蔵庫に入ったような気持ちで、貴重な車を味わってもらえたら」と話す。 博物館の入館料(大人1200円)を払うと、「お蔵出し展」も観覧できる。月曜休館。6月30日まで。(小原智恵) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
山地は「不便な僻地じゃない」 九州から、都市の視点に一石
「九州山地」に注目した企画展とセミナーが熊本県五木村で開かれた。山深く、人の往来にも時間がかかる不便な過疎の地、と見られがちだが、さにあらず――と考えた学者たちが、都市が発達した平野部中心のものの見方に一石を投じたいと企画した。そこからは豊かで多様な文化圏としての山地の姿が見えてくる。 一口で九州山地といっても、大分県から鹿児島県まで南北に長い。 今回は、焼き畑でつながりがある「九州中央部」に対象を絞った。熊本県が五木村、水上村、旧泉村の五家荘地区(八代市)、宮崎県が椎葉村、西米良村、西都市の旧東米良村だ。 2023年10~12月に企画展「九州山地の焼畑(やきはた)文化」を開催、その終盤に研究者らが集まるセミナーを開いた。いずれも、国立民族学博物館(民博)による長年の焼き畑の研究がベースになっている。 開催地の五木村は、民博館長も務めた文化人類学者、故佐々木高明氏が集中的に調査したことなどから、日本の焼き畑研究の中心的な場所となってきた。 20年に民博との共催で「佐々木高明の見た焼畑」展が開かれたのを機に、村民が焼き畑復活に動き出している。 そうした一連の流れから、民博の池谷和信教授が、五木村を軸に九州山地を舞台にした「山の文化」の考察を思い立った。 「都市が発達した平野部の視点では、山間部は『文化の遅れたところ』と見られがちだ。しかし、本当にそうだろうか」 池谷教授は、自身の問題意識をこう語る。 「焼き畑は、かつて遅れた農法と見られていたが、SDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組みが広がる今、循環型の自然利用の先端として見直されつつある。それと同様に『山の文化』も見直されてよいのでは」 縄文時代、人々は山をめざした? 12月2日に開かれたセミナーでは、歴史的な「時間軸」で九州山地を考えた。 最初に報告した五木村教委学芸員の福原博信さんは長年、村内で出土した縄文土器の研究を続けてきた。 一般的に山間部では多くの土器が発掘されることは少ない。大規模な開発があまりないためだが、五木村では大量の土器が発掘されてきた。一度は計画が中止になった川辺川ダムの工事が進んでいたためだ。 福原さんは出土した多くの土器から、縄文時代の人の流れを推理した。 福原さんによると、村内から… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
写真館2代目は吉祥寺を撮り続けた 生涯かけて変わりゆく文化を記録
写真館「らかんスタジオ」は、人気の街となった東京・吉祥寺の変わりゆく姿をカメラで切り取り、時代の変遷を示す貴重な記録を多く残してきた。昨年11月に92歳で亡くなった2代目社長、鈴木育男さんのライフワークだった。 らかんスタジオ、開業の地は米NY 開業の地は米ニューヨークだった。鈴木さんの父・清作さんが海の向こうで店を開いたのは1920年。世界大恐慌を受けて30年に帰国し、現在の杉並区阿佐谷へ。その翌年に誕生した鈴木さんは、ニューヨークの漢字表記「紐育」にちなんで育男と名付けられた。 写真館はその後、現在の武蔵野市吉祥寺に移転。戦時中は三鷹に店ごと疎開した。終戦後も食料不足が続き、写真は「不要不急」の存在だった。店は開店休業状態が続き、一家は雑貨店や総菜店を開いて生計を立てていたという。 鈴木さんは早稲田大を卒業後、写真専門の短大で技術を学ぶ。64年に他界した清作さんの後を継ぎ、33歳で経営者に。戦後復興のなか、カメラが少しずつ普及し始めた時代だった。「1枚10円のL版をプリントしていると、10円札を次々に印刷しているような錯覚を起こし、罪悪感がちらついたこともあった」。手記に当時の思いを記している。 人気の街「開花する姿をこの目で」 経営と並行して力を注いだの… この記事は有料記事です。残り584文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
繰り返された新潟の液状化「地盤改良を」 傾いた我が家あの日のまま
能登半島地震は新潟県内でも最大震度6弱を観測し、液状化現象を広範囲に引き起こした。1万棟を超えてなお増え続ける住宅被害に、罹災(りさい)証明書の交付は追いつかない。1日で発生から1カ月。日常を取り戻せる日はいつになるのか、住民たちは見えない先行きに不安を募らせている。(茂木克信、北沢祐生、井上充昌) 「被災直後から状況は何も変わっていない」。新潟市西区寺尾東1丁目で板金業を営む男性(62)は、そう言って肩を落とした。 液状化で自宅は傾き、隣接する工場も大きくひしゃげた。今も数百万円の借金があるのに、家や工場の再建にさらに多額の費用がかかる。被災した近所の住宅の修繕などで何とか食いつなぎながら、頭には廃業の2文字が浮かぶ。 被災者向けに市が用意した市営住宅の第1次募集に申し込んだ。対象の56戸に対し希望したのは105世帯。抽選で落選した。 23戸が対象の第2次募集にも応募した。ただ、仮に8日の抽選で当選しても、罹災証明書で自宅が半壊以上と認定されていなければ入居できない。 罹災証明書の交付、申請の8% 男性の手元に証明書はまだなく、証明書交付の準備が整ったという市からの案内も届いていない。いつ証明書は交付されるのか、被害程度はどう認定されるのか。気持ちが落ち着かない。 市には1日時点で証明書の申請が1万1495件あり、申請がない住宅も含め1万1272棟について被害程度を認定するための調査を実施した。交付まで終わっているのは932件。申請の8%にとどまる。 同市西区善久のリフォーム業広川隆一さん(66)も証明書の交付を待っている一人。自宅の傾きを元に戻す工事を考えているが、被害程度の認定次第で公的支援の上限額が変わる。「とにかく交付を急いでほしい」とこぼした。 新潟市内で明暗を分けた震度 今回の地震では、液状化が新… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「アグリー」「コンセンサス」 多用されるカタカナ語の効果とリスク
「ローンチ」「コンセンサス」……。ビジネス界などでカタカナ語があふれ、社会にも染み出しています。なかには日本語でいいのではと思う用語も。なぜ、こうもわかりづらいカタカナ語が使われるのか。社会言語学者の井上逸兵・慶応大教授に聞きました。 ビジネスの世界では、たしかにカタカナ語がよく使われていますね。近年は欧米流のビジネスの手法を勉強する人が増え、ビジネス書も英語などの翻訳が多い。それでカタカナ語が増えているのではないかと思います。コンピューター業界のように日々進歩している業界では、日本語ではどういう意味か、なんと言えばいいかと考えている暇がないという側面もあります。 言葉には、情報伝達のほかに、その言葉を使うことで「自分は何者なのか」を示す機能があります。ビジネスの世界で使われるカタカナ語は、後者の機能を果たしているのではないでしょうか。 つまり、顧客や同僚・上司に… この記事は有料記事です。残り1030文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル