嶋田圭一郎2024年3月8日 6時00分 神岡鉱山(岐阜県飛驒市)内に産業廃棄物が放置されていた問題で、朝日新聞は現場の様子を撮影した複数の写真を入手した。写真には、タイヤが外れたり、車体がさびたりした車などが写っていた。長期間放置されていたことがうかがえる。写真の撮影場所について、鉱山を経営する神岡鉱業は取材に「現場と思われる」とした。 同社によると、現場は1990年以降に大規模な採掘をやめた旧坑2カ所。同社の鉱山部が鉄くずなどを一時的に保管し始めたものの、時期は不明だが廃棄物も置くようになったという。昨年9月に経済産業省から不適切だとの指摘を受け、撤去を進めている。 鉱山関係者によると、写真は2022年秋と23年夏に撮影した。現場の一つ、鉱山部事務所から1キロ以上離れた栃洞(とちぼら)坑の「S1(エスイチ)」と呼ばれる場所で撮った。十数年前に足を踏み入れた際、複数の廃車や廃タイヤ、廃重機、鉄くず、廃プラスチックなどが放置されていたという。 この鉱山関係者は「廃棄物を捨てる場所だった」と話す。鉱山部事務所では「処分費がかかるから、S1でいいやろ」との声も聞かれた。使わなくなった長さ100メートルを超えるケーブルや廃材などを車で現場まで運んだという。 もう一つの現場、茂住(もずみ)坑の「東3号」と呼ばれる場所にも「捨てたことがある」とも証言。「イタイイタイ病の被害地域の人たちをだましている気がして、罪悪感があった」と説明。「誰かに言わないといけないと思っていた」とも話した。 一方、同社鉱山部長は昨年11月の取材に約20年前に現場にはすでに車や重機などが放置されていたと説明。今回の経産省の指摘を受けて改めて現場を確認したところ、「放置されたものが増えていた」とした。 この問題は昨年9月の経産省や岐阜県の立ち入り検査で発覚した。関係者によると、検査ではこの鉱山関係者の証言とほぼ同じ状況が現場で確認されたという。(嶋田圭一郎) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
震災が結んだ絆は私をプロにした 元サッカー少年が受け継ぐ東北の魂
2月25日、J2仙台の開幕戦となったアウェーの大分戦。後半28分、背番号「28」のFWがピッチに飛び出した。 菅原龍之助(23)。プロ2年目をむかえるストライカーだ。 存在感を放ち始めたのは昨季の最終節、町田戦。J2王者に苦戦する中で、右CKから始まったクロスに、181センチの上背を生かした得意のヘディングで合わせた。菅原にとってホームでの初得点だった。 「ユアスタ(ユアテックスタジアム仙台)でゴールするのが目標だった。プロとしてのスタートラインは、ここからです」 仙台のジュニアユース出身。しかし、ユースから直接トップに上がれなかった。大学に進み、プロをめざす。頭角を現し、複数のクラブからオファーがあったが、迷わず仙台を選んだ。「自分はユアスタの応援で育ったから、プロとして仙台に帰りたかった」 宮城県石巻市湊地区で生まれた。6歳でサッカーを始め、小学校のときは10分間の休み時間でもボールを持って校庭に行き、20分くらいサッカーをして先生に叱られる。どこにでもいるサッカー小僧だった。 しかし、2011年3月11… この記事は有料記事です。残り1329文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「あふれる人間愛」教え子ら悼む 五百旗頭真さん、会議後に倒れ急死
有料記事 鈴木春香 熊谷姿慧2024年3月8日 6時30分 西宮市出身で神戸大学名誉教授の政治学者、五百旗頭真さんが亡くなった。歴史や外交、行政、災害などの幅広い知見を持ち、県のアドバイザー的な役割も果たしていた。温かい人柄で知られ、関係者らは突然の死を悼んだ。(鈴木春香、熊谷姿慧) 五百旗頭さんが理事長を務めていた「ひょうご震災記念21世紀研究機構」(神戸市)によると、五百旗頭さんは6日、午後に出勤。午後2時から30分ほどオンライン会議に出て理事長室に入った後、ソファに倒れているのが見つかった。すぐに病院へ搬送されたが、搬送時に意識はなかったという。 「日本はひとつの見識を失ったということではないか。県は貴重なアドバイザーを失った」。7日取材に応じた、井戸敏三・前兵庫県知事は語った。 五百旗頭さんの教え子で、神大院教授(日米関係)の簑原俊洋さんは、「人間愛にあふれた人だった。学者として尊敬するだけでなく、心の広さでこの方以上の人はいない」 印象に残る言葉は「歴史は人… この記事は有料記事です。残り748文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
朝日新聞厚生文化事業団から日赤に寄託 能登半島地震救援金約2億円
朝日新聞社と朝日新聞厚生文化事業団は7日、能登半島地震の被災者のため2月6日までに寄せられた救援金7773件、計1億9625万6590円を、第1期分として日本赤十字社へ寄託した。同社を通じて支援に役立ててもらう。同事業団の藤井龍也理事長が東京都港区の日本赤十字社本社を訪れ、清家篤社長に目録を手渡した。 2月7~29日に受け付けた救援金は、4月下旬までに順次寄託する予定。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
浴槽に放置の5歳児死亡、保護責任者遺棄致死罪で母と内縁の夫を起訴
渡部耕平2024年3月7日 19時22分 青森県八戸市で1月、宮本望愛(のの)ちゃん(当時5)に自宅の浴槽内で水をかけて放置し、低体温症で死亡させたとして、いずれも無職で母親の宮本菜々美(22)と内縁の夫の関川亮(31)の両容疑者が傷害致死の疑いで逮捕された事件で、青森地検は7日、2人の罪名を保護責任者遺棄致死罪に切り替えて起訴し、発表した。 起訴状などによると、2人は共謀して1月7日午後5時すぎ、市内の自宅で望愛ちゃんを浴室に連れて行き、服の上から水をかけて4時間以上放置し、低体温症で死亡させたとされる。 捜査関係者によると、関川容疑者はトイレを失敗した望愛ちゃんに「しつけ」と称して水をかけ、浴槽から出られないように閉じ込めていたという。宮本容疑者は、関川容疑者による虐待を黙認していたとみられる。 望愛ちゃんは、水の入った浴槽にうつぶせに倒れているのを宮本容疑者に発見され、病院に搬送後、死亡が確認された。当時、浴室内の温度は10度以下で、司法解剖の結果、望愛ちゃんの体の中心部の体温である深部体温は、重症とされる20~28度まで下がっていたという。(渡部耕平) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
地質スケールでみる能登半島地震 日本海の誕生からつながる変動
強い揺れと津波、4メートルに及ぶ隆起をもたらしたマグニチュード(M)7・6の能登半島地震。発生前、地下で何があったのか。日本列島と日本海の成立から東日本大震災までかかわる大変動が背景にあるという。 地質のタイムスケールでみれば、2011年の東日本大震災は最近の出来事だ。M9の巨大地震の影響が能登半島地震にも及んだ可能性を、京都大防災研究所の深畑幸俊教授は指摘する。 巨大地震の発生前、本州は主に東西方向に押されて縮んでいた。縮むスピードが速い新潟から神戸にかけては「ひずみ集中帯」と呼ばれ、地震が起こりやすいとされた。 能登半島はひずみ集中帯からは外れているが、やはり北西―南東方向に押されて縮んでいた。 ところが、東日本大震災時、宮城県牡鹿(おしか)半島周辺で最大5メートル以上も東向きに地殻がのび、1メートル以上沈降した。地殻変動はその後も続く。 地球表面の硬い層の下には、長い時間をかけて流動する層がある。その層は、硬い層が動いた後に流動的となって表層の動きに逆らわなくなる。こうした影響で、本州が東西に縮む速さは鈍化、能登半島を押す力も小さくなった。 水はどこからきたのか ならば地震は起こりにくくなりそうなものだが、地下の現象は複雑だ。 「ふだんは、ぎゅうぎゅうに押されて、能登半島の地下深いところから上がってこられなかった水が、押される力がゆるんで上がってこられるようになったのではないか」と深畑さんは推定する。水があると岩盤が弱くなり、地震は起こりやすくなる。 水はどこからきたのか。東京… この記事は有料記事です。残り1351文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
伊方原発の運転差し止め認めず 原告弁護団「四電の主張をうのみ」
有料記事 倉富竜太 安田朋起2024年3月7日 19時32分 【動画】四国電力伊方原発の運転差し止め訴訟で、原告の請求が棄却された=飯野祐平、高嶋健撮影 四国電力伊方原発3号機(愛媛県)の運転差し止めを大分県民569人が求めた訴訟で、大分地裁は7日、訴えを棄却する判決を言い渡した。武智舞子裁判長は、主な争点だった地震と火山噴火に対する安全性について、対策は十分とする四電の主張をほぼ全面的に認め、「不合理な点はない」と判断した。原告は控訴する方針。 伊方3号機は、豊後水道を挟んで大分県の対岸にある。原告側は、四電が地震を想定する中央構造線断層帯より原発に近い位置に、別の活断層が存在する可能性を指摘。地下構造を詳しく探れる「三次元探査」で把握するべきだ、などと主張していた。 判決は、四電がボーリング調査や海底下への音波探査などを適切に組み合わせて地下構造を把握しており、三次元探査を行わなくても不合理ではないと判断した。火山についても、四電が想定した噴火規模や火山灰の降下量は合理的と認定。3号機が安全性に欠けるとは認められない、と結論づけた。 3号機をめぐっては、住民が… この記事は有料記事です。残り402文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「党首公選」を訴え除名の元共産党職員 「処分は違法」と提訴
金子和史2024年3月7日 19時35分 共産党の「党首公選」を訴え、除名処分となった元党職員の松竹伸幸氏が7日、党員としての地位確認を求めて東京地裁に提訴した。党の機関紙「しんぶん赤旗」の記事で名誉を傷つけられたなどとして、550万円の賠償も求めている。 訴状によると、松竹氏は2023年1月、党首の選出方法について、党の中央組織が選出する方法ではなく、投票で選ぶ「公選制」にすべきだと主張する書籍を出版した。党は、書籍の出版が「党内に派閥・分派はつくらない」などとする党規約に違反するとして、翌月に除名処分とした。党の最高機関である党大会は松竹氏の再審査請求を却下した。 松竹氏側は、党規約は憲法が定めた出版の自由を侵害する、と主張。処分に際して意見表明の機会などがない手続きも不適正で、処分は違法だと訴えている。 最高裁は1988年、やはり共産党の除名処分が問題になった訴訟で、処分が内部的な問題にとどまる場合、「自立的な解決に委ねられるのが相当」とし、裁判所の審査権が及ばないと判断。松竹氏側は「政党のあり方は国民の重大な関心事」だとして、判例の変更を求めている。 共産党は「提訴は全く不当なものだ。処分は厳正かつ適正に行われ、最終的に決着済みの問題だ」とコメントした。(金子和史) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
学校でタブレット故障多発、情報教育に詳しい校長が後任の教育長へ
能登智彦2024年3月7日 21時36分 県立学校に配備した「1人1台」のタブレット端末の故障が相次ぎ、徳島県教育委員会の榊浩一教育長(60)が責任を取る形で退任の意向を固めたことを受けて、後任に同県東みよし町立昼間小学校の中川斉史(ひとし)校長(58)の起用が固まった。中川氏は情報教育に詳しく、故障対応にもあたっており、県と県教委が適任と判断したとみられる。 県は7日までに一部の県議らに伝えており、開会中の県議会定例会に後任人事案が追加提案される見通し。 県教委などによると、中川氏は県内の学校教諭などを長年務め、学校現場に精通している。昨年4月から現職。 「教育情報化コーディネータ1級」の認定を受け、タブレット故障問題で県と県教委が昨秋に緊急組織した「教育DX加速化委員会」(委員長=伊藤大輔副知事)の副委員長を務めている。子どもらに端末やネットワークなどを整える「GIGAスクール構想」関連の著書もある。 中川氏は7日、朝日新聞の取材に「コメントできない」と述べた。 県立学校のタブレット問題では、2020年度に配備した1万6500台のうち半数以上が故障した。榊教育長が来年3月の任期満了を待たずに退任する意向を固め、後藤田正純知事も交代させる考えを示唆していた。(能登智彦) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
被災地・輪島の住宅でミカン6個盗んだ大学生に有罪判決 金沢地裁
能登半島地震で被災した石川県輪島市の住宅に侵入し、ミカン6個(約3千円相当)を盗んだとして、住居侵入と窃盗の罪に問われた愛知県の男子大学生の被告(21)に対し、金沢地裁は6日、懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。 判決などによると、大学生は1月5日午前8時40分ごろ、輪島市内で玄関扉をしばっていたひもを外して住宅に侵入し、ミカンを盗んだ疑いで石川県警に逮捕された。逮捕時には「ボランティアで来ていた」と話していたという。 起訴内容を認めており、野村充裁判官は判決理由を「地震発生から4日も経過していない混乱した状況下で、被災者の住宅に侵入し貴重な食料を盗んだもので悪質。事実を認めて反省の態度と更生の意欲を示している」と述べた。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル