「憲法24条1項は人と人との自由な結びつきとしての婚姻をも定める趣旨で、同性婚も保障している」 14日午後の札幌高裁判決は、同日午前の東京地裁までの6件の地裁判決が認めなかった24条1項違反に踏み込んだ。 同項は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定める。憲法に「両性」と明記されているため、地裁はいずれも、文字通り「異性間の婚姻」を指し、同性婚を保障しているとは言えない、と解釈してきた。 画期的判決導いた高裁の解釈とは これに対し、札幌高裁は「文… この記事は有料記事です。残り1029文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「トクリュウ」対策強化へ 北海道警、春の人事異動と組織再編
北海道警は春の定期人事異動を発表した。対象は2784人。警察庁から出向する警務部長と刑事部長も交代する。 刑事部は従来の枠組みでは捉えきれない新たな形の犯罪集団「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」対策のため、4月に組織再編する。トクリュウはSNSで「闇バイト」を募り、特殊詐欺や強盗を行っているとみられる。専門の部署「組織犯罪対策1課」を新設し、解明や検挙をめざす。 暴力団を担当していた捜査4課、違法薬物や銃刀法違反の捜査をしていた薬物銃器対策課を統合し、「組織犯罪対策2課」とする。特殊詐欺は「組織対策企画課」で調べ、首都圏へ派遣する捜査員も増やす。 この三つの課で連携しながら捜査にあたるという。 方面本部長、道警本部の部長、署長の異動は次の通り(函本、旭本、釧本、北本はそれぞれ、函館、旭川、釧路、北見の各方面本部の略)。 《21日付》 【警視正】警察庁長官官房付(刑事部長)倉田哲宏▽刑事部長(警察庁刑事局付)清水美海 《22日付》 【警視長】警察庁長官官房付(警務部長)米村隆将 【警視正】警務部長(警視庁サイバーセキュリティ対策本部副本部長)増沢五郎 《25日付》 【警視長】総務部長(札幌中央署長)菊地健司 【警視正】旭本部長(警備部長)野手敏光▽北本部長(警察学校長)藤原陸実▽生活安全部長(苫小牧署長)久田悟▽地域部長(旭川中央署長)川村茂幸▽交通部長(札幌北署長)和島正▽警備部長(警務課長)久馬昌司▽札幌市警察部長(釧路署長)岡田昭広▽札幌中央署長(札幌市警察部長)板東茂利▽苫小牧署長(監察官室長)葛西浩司▽函館中央署長(函本警務課長)岡崎健一▽釧路署長(釧本警務課長)本間博幸▽札幌北署長(総務課長)鈴木直人▽旭川中央署長(組織犯罪対策局長)渡辺友之 【警視】… この記事は有料記事です。残り921文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「承認欲求」は恥ずかしくない 評価にさらされる社会を生きるには
有料記事 聞き手・田中聡子2024年3月15日 5時00分 自分がどう評価されているかが気になったり、他人に認められたいと思ったりすることには、そこはかとない後ろめたさが伴うのではないでしょうか。「他者から承認される」とは、人にとってどんな意味があるのか、哲学研究者の藤野寛さんに聞きました。 生きる上で必要な経験 日本語の承認という言葉は、「承認欲求」などと否定的な意味合いで使われる傾向があります。しかし、他人からの評価を気にしたり、承認されたいと思ったりするのは当たり前のことで、「承認される」という経験は大切なものです。 ドイツの哲学者アクセル・ホネットの思考に触れると、そのことがよく分かります。彼は承認を、大切な存在だと他者から認められる「愛」、差別されない「人権尊重」、「業績評価」の三つに分類しています。「承認」をこうして広い意味で捉えた時、「認める」「認められる」ことは生きる上で必要な経験だとよく分かります。 「自分は自分」と、他人から… この記事は有料記事です。残り771文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
陸自ヘリ墜落、片側エンジンに「ロールバック」現象 防衛省調査
沖縄県・宮古島沖で昨年4月、陸上自衛隊のヘリが墜落して10人が死亡した事故で、防衛省は14日、事故調査の結果を発表した。機体の左右にあるエンジン2基のうち、右側の1基で出力が徐々に低下する「ロールバック」という現象が発生。その後、左側も出力が下がって高度を保てなくなったとしたが、左側の出力低下の要因は特定できなかったと結論づけた。 事故は昨年4月6日に発生。当時の陸自第8師団長ら10人が乗る多用途ヘリ「UH60JA」が、宮古島近くの海に墜落した。海中から機体の主要部分のほか、事故時の状況を記録したフライトデータレコーダー(FDR)を回収した。 FDRを解析したところ、右側エンジンの出力低下の要因は、空気を送り込む配管の漏れや詰まりで燃料供給が滞り、出力が緩やかに落ちる現象「ロールバック」と推定した。「マニュアルにも記載のない非常にまれな事象」としている。 一方、左側エンジンの出力低下については、出力や制御に影響を与える機体やエンジンの部位に異常が起きた可能性を検討したが、それをうかがわせる証拠は見つからなかった。 エンジンが二つある機体では、一方にトラブルが起きても正常なエンジンだけで飛行することが可能だ。その場合、異常が生じた方の出力を落として飛行するのが通常の手順となっている。 回収されたFDRには異常が起きた右側ではなく、左側の出力を調整するよう乗員が発声する記録が残されていた。防衛省は誤操作の可能性があるとみて調べたが、実際に正常な方の出力を落としたことを裏付けるデータは残っておらず、機体やエンジンの部位の異常とともに可能性の一つとして記載するにとどめた。(成沢解語) トラブル発生90秒で墜落か 防衛省が公表した調査結果からは、最初のエンジントラブルから約90秒後に海面に墜落したことをうかがわせる状況が浮かび上がった。 調査結果をまとめたのは、事故が起きた昨年4月6日に防衛省が設けた事故調査委員会。陸上幕僚副長をトップとする内部組織で、関係幹部らが議論し、ヘリを製造した三菱重工やIHI、専門家の意見も聞き取った。再発防止のため、点検回数を増やすなどの対策も講じるとした。 調査結果によると、右側エンジンの出力低下が始まったのは午後3時54分44秒で、その時点の高度は約330メートル。約20秒後には、出力はほとんどゼロになっていた。 右側の出力低下から約40秒後、今度は左側のエンジンの出力が落ち始める。このときの高度は約310メートルだったが、左側の出力低下から約50秒後には高度は約95メートルまで低下。そこを最後に左右のエンジンの出力と、ヘリの高度のデータが途絶えていた。直後に墜落したとみられるという。 エンジンが2基ある機体では、2基同時にトラブルが起きる可能性はほぼないとされる。こうしたなか、防衛省は乗員の操縦ミスの可能性も視野に原因を調べた。 回収されたFDRには緊急時に手動でエンジンの出力を調整する「ロックアウト」という操作を推認させる音声記録が残っていた。乗員が正常な左側エンジンをロックアウトするよう発声した直後、右側をロックアウトするよう言い直していたという。防衛省関係者によると、調査委員会でメーカー側は、正常なエンジンを絞ったことが原因と主張したという。 だが、約1年間に及ぶ調査でも、詳細な原因の究明には至らなかった。機体やエンジンの部位の異常とともに、乗員の出力抑制の操作を三つの可能性の一つに挙げた。ある事故調メンバーは「残っているデータが限られており、分かることも限られた」と振り返る。 航空評論家の青木謙知さんは、出力低下の要因が特定されなかったことについて「事故調査は基本的に推測の集まり。あらゆる記録から推測を積み上げ、最も可能性が高いものを残す。絶対これという要因が出てくるとは限らない」と話した。(成沢解語、上地一姫) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
面会1時間後に…オスプレイの説明一転 「極めて遺憾」繰り返す知事
有料記事 加治隼人 仙崎信一2024年3月14日 21時17分 鹿児島県の屋久島沖での墜落事故から約3カ月間、飛行停止を続けていた米軍輸送機オスプレイが14日朝、飛行を再開した。塩田康一知事は報道陣の取材に応じ、防衛省の一連の対応について不快感をにじませた。 「13日の県への説明では触れていなかった情報がその直後に公表され、いかにも唐突だった」 九州防衛局幹部らは13日午後5時、飛行再開の説明のために県幹部らと県庁で面会。事故原因は「特定の部品の不具合」とし、米軍は安全対策を徹底し飛行再開を段階的に進めると伝えた。 県側が日程を尋ねると「引き続き調整する。再開前に改めて必要な説明をする」との回答にとどめ、具体的な時期は示さず、面会は30分あまりで終了した。 ところが、それから約1時間後。 防衛省は午後7時に「14日… この記事は有料記事です。残り940文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島県で震度5弱を観測する地震が発生 宮城県や茨城県などで震度4
2024年3月15日 0時26分 15日午前0時14分ごろ、福島県沖を震源とする地震があり、福島県で震度5弱を観測した。気象庁によると、震源の深さは約50キロ、地震の規模を示すマグニチュードは5・8(推定)。この地震による津波の心配はないという。 震度5弱を観測したのは、福島県の川俣、楢葉の両町。このほか、福島市や仙台市青葉区、茨城県北茨城市、栃木県大田原市などで震度4を観測した。 福島県警や震度5弱を観測した楢葉町などを管轄する双葉地方広域市町村圏組合消防本部によると、午前0時半時点で被害の情報は入っていないという。 原子力規制庁によると、東京電力福島第一原発(福島県)、福島第二原発(同)で地震による異常は確認されていないという。 東電によると、福島第一原発の処理水の海洋放出放出を15日0時33分に停止した。 設備に異常は確認されていないが、立地・近隣4町(双葉、大熊、富岡、楢葉)のいずれかで震度5弱以上が観測された場合に停止する運用になっているため、手動で止めたという。 パトロールを始めており、問題がなければ再開する。 昨年8月の処理水放出開始以降、放出期間中に停止するのは初めて。 今回の放出は4回目で、2月28日にはじまった。今月17日ごろに完了する予定だったが、遅れる可能性がある。 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福島県浪江町の原告「苦渋の選択」で東電と和解 ADR打ち切り訴訟
東京電力福島第一原発事故をめぐり、国の原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)の和解案を東電が拒否し、手続きが打ち切られた福島県浪江町民ら696人が国と東電に損害賠償を求めた集団訴訟で、原告全員と東電の双方が14日、福島地裁(小川理佳裁判長)で和解した。原告の弁護団が明らかにした。国への訴えは取り下げる。 弁護団によると、東電が原発事故について原告らに謝罪し、慰謝料を支払う内容で合意した。金額は非公表だが、2022年12月に国の原子力損害賠償紛争審査会(原賠審)が賠償額を追加した指針の帰還困難区域で130万円、居住制限区域と避難指示解除準備区域で280万円をそれぞれ上回るという。 記事の後半では、和解に至った経緯や原告の思いを紹介しています。また、東京電力が和解案を拒み続けた理由を編集委員が解説します。 原発事故で一時、全町避難を強いられた浪江町は13年5月、町民約1万6千人の代理人となり、東電の精神的慰謝料(月10万円)が不十分だとして原発ADRに和解の仲介を申し立てた。原発ADRは月5万円の増額を認める和解案を提示したが、東電が拒否。町民の一部が18年11月、国と東電に原告1人あたり1210万円の損害賠償を求めて提訴した。 この日は当初、判決期日が予定されていた。(滝口信之) 原告「闘う気力落ちた」 申し立て11年で900人死去 原子力損害賠償紛争解決セン… この記事は有料記事です。残り1492文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません こどもと被災地 東日本大震災が起きてからの13年という月日は、子どもが大人へと成長するほどの長さです。それぞれの土地で暮らす子どもたちの物語。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
札幌高裁判決は「異性婚前提の考えと決別した」 早稲田大の棚村教授
憲法24条1項は「人と人との間の婚姻の自由」を定めており、同性婚をも保障する――。踏み込んだ判断を示した札幌高裁判決は、社会や政治にどんな影響を与えるか。早稲田大学の棚村政行教授(家族法)に聞きました。 札幌高裁判決は、憲法24条1項の婚姻の自由に同性婚も含まれると宣言した。しかも、国会に委ねるという消極的姿勢を示さず、全面的な違憲判断とした。同性婚を認められない当事者の甚大な不利益や人権侵害を深刻に受け止めている。 極めて画期的で、各地裁での一連の「違憲」「違憲状態」判決とは質が異なると言える。初の高裁レベルの判決でこうした積極的な判断が出た意義は大きい。 「異性婚前提」の思想との決別 同性婚を巡る憲法議論では、幸福追求権を定めた13条違反、法の下の平等を定めた14条違反といったアプローチがある。本判決は、正面から24条1項違反を判断したものだ。 婚姻に同性婚が含まれると論… この記事は有料記事です。残り659文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同性婚を認めない規定は「違憲」 札幌高裁判決 初めての高裁判断
同性婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反するとして、北海道内の同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審判決が14日、札幌高裁(斎藤清文裁判長)であった。判決は、規定は「婚姻の自由」を定めた憲法24条1項などに反して「違憲」と判断し、同項は「同性婚をも保障すると解される」とした。 全国5地裁で6件起こされた同種訴訟で初の高裁判決。違憲判断は、札幌、名古屋地裁の判決に続き3件目で、24条1項違反と認めたのは初めて。 婚姻について、24条1項は「両性の合意のみに基づいて成立する」などと定める。24条2項では、婚姻や家族に関する法律を「個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」としている。 判決は、1項は「両性」という文言だけでなく、目的も踏まえて解釈すべきだと指摘。「人と人との自由な結びつきとしての婚姻をも定めている」と述べ、同性間の婚姻も異性間と同じ程度に保障されているとした。 同性婚を認めない現行規定は、同性カップルに社会的な著しい不利益を及ぼすだけでなく、アイデンティティーの喪失感を抱くなど、「個人の尊厳を成す人格が損なわれる事態になっている」と指摘。一方、同性婚を可能としたときの不利益はうかがえないとした。 その上で、世論が同性婚を容認する割合が高まり、自治体のパートナーシップ制度が婚姻の代わりになっていないことを踏まえ、現状は「国会の立法裁量の範囲を超え、憲法24条に違反する」と結論づけた。 「法の下の平等」を定めた憲法14条についても、異性カップルの婚姻は認めているのに、同性カップルには許さないのは「性的指向を理由とした合理性を欠く差別的取り扱い」であり、規定は14条に違反するとした。 ただ、国会が正当な理由なく長期間立法を怠ったとは言えないとして、賠償請求は棄却した。 幸福追求権を定める憲法13条については「人格権として、同性婚の自由を直ちに保障しているとはいえない」として、合憲だとした。 斎藤裁判長は「(同性婚の導入は)国民に意見の統一を求めることを意味しない。異性婚と同じ婚姻制度の適用を含め、早急な対応が望まれる」と異例の付言をした。 同日午前には、地裁で6件目となる東京地裁判決もあり、現行制度は憲法24条2項に反する「違憲状態」と判断した。(石垣明真) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
詐欺重ねた男から「償いとは何ですか」 大学教授に届いた9通の手紙
岐阜地裁で13日、知人から約2500万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた被告の男性(64)=岐阜市=が、懲役3年6カ月(求刑懲役4年)の判決を受けた。男性は昨年、事件での勾留中、読んだ新聞記事をきっかけに「償いとは何か」と大学教授に手紙を出した。「善と悪の心が戦っている」「生涯償っていく」――。心情や更生への思いをつづっていた。 判決によると、男性は2022年11月~23年10月、知人男性に「競馬の八百長レースがある」などとうそを言い、賭け金や手数料などの名目で11回にわたり、現金をだまし取った。 浜口紗織裁判官は「過去にも2回ほぼ同様の手口で詐欺を行い有罪となった」と指摘。「退職金のほとんどを詐取された被害者の怒りは大きいが、弁償の見込みはない」としたうえで、だまし取った金の半分以上を競輪に費やしたとして「酌量の余地はない」と述べた。 検察側の冒頭陳述や論告によると、男性は人材派遣会社を営んでいたが、7、8年前から無職だった。公判では「自分のような被害者が出ないように、少しでも長く刑務所に入れてもらいたい」との厳罰を望む被害者の声も紹介した。(高木文子) 人をだますとき、まず自分自身にウソをつく 「償いとは何ですか」 朝日大学法学部の大野正博教授(刑事法)のもとへ勾留中の男性から手紙が届いたのは、昨年12月初めのことだ。 大野氏は犯罪や非行をした人… この記事は有料記事です。残り1253文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル