京都五花街で最大の祇園甲部(京都市東山区)による「都をどり」が、1日に開幕する。春を彩る舞踊公演は今年、150回の節目となる。3月31日に最終リハーサルの大ざらえがあり、芸舞妓(げいまいこ)が京舞井上流の優美な所作を確認した。 1872(明治5)年に、遷都で活気を失った京都の再興を願って始まった。祇園のシンボルとなっている築約110年の祇園甲部歌舞練場は、昨年に耐震改修工事が終わった。 「ヨーイヤサー」の掛け声で幕を開ける舞台は全8景で構成され、今年は「都をどり百五十回源氏物語舞扇(まいおうぎ)」と題して、源氏物語をとり上げた。大ざらえのフィナーレで、勢ぞろいした芸舞妓が満開の桜と歌舞練場を表現した舞台背景の前で一斉に舞うと、招待客から大きな拍手が送られた。 公演は4月30日まで(1日3公演)。問い合わせは祇園甲部歌舞会(075・541・3391)へ。(西田健作) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
仏壇や家具など運び出し 続くボランティア活動 能登半島地震3カ月
能登半島地震から1日で3カ月。被害が大きかった石川県輪島市門前町では、3月31日、全国から集まったボランティアの人たちが、地震で壊れた家から仏壇や冷蔵庫などを運び出す作業をしていた。 この日のボランティア作業には、石川県内をはじめ東京、奈良、神奈川などから23人が参加した。2班に分かれ、ボランティア活動の依頼があった家を回り、がれきの撤去、瓦、ブロックの搬出、家具の運び出し作業などをした。 地震で半壊と判定された小間信和さん(72)の家では、12人が仏壇や冷蔵庫、洗濯機、ソファなどを次々と運び出していた。 小間さんは建設関係の仕事をしており、この家も父と2人で建てた家だという。「次に地震がくれば倒壊してもおかしくない。ボランティアの人に助けていただき、思い入れのある仏壇や家具が運び出せてよかった」と話した。 奈良県桜井市から参加した看護師の三阪(みさか)陽璃(ひかり)さん(27)は、30日夜中に家を車で出て、夜通し走って集合場所に指定された金沢市に来た。「自分が住んでいる所も山あいの過疎地で、人ごとではなかった。能登にきたのは初めてだが、ぜひ力になりたかった」という。 能登半島地震のボランティアに参加するには、石川県災害ボランティア情報特設サイトからの事前登録が必要だ。地震の影響で道路などのインフラがいまだ復旧しておらず、宿もないことから、金沢市に集合してバスで現地に向かう。(吉田耕一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
人類未到ルートでの南極点到達、挑戦半ば 冒険家の阿部雅龍さん死去
人類未踏のルートで単独南極点到達に挑戦していた秋田市出身の冒険家、阿部雅龍(まさたつ)さんが27日、脳腫瘍(しゅよう)のため死去した。41歳だった。葬儀は近親者のみで行った。所属する人力チャレンジ応援部(神奈川県大和市)が後日、お別れの会を開く予定という。 阿部さんは秋田大在学中から冒険活動を開始。2019年1月、単独で918キロを歩き、南極点到達を果たした。 21年11月には、同じ秋田県出身で、日本人で初めて南極に上陸した白瀬矗(のぶ)陸軍中尉らが果たせなかったルートに、単独・無補給徒歩で挑戦した。食料など100キロの荷物を積んだそりを引き、山脈やクレバス(割れ目)が多い約1300キロの行程で南極点到達を目指したが、22年1月に悪天候などのため、約780キロ地点で断念。再挑戦を公言していた。 同年、世界的冒険家の功績をたたえて創設された「植村直己冒険賞」を受賞した。 再挑戦の南極遠征直前だった昨年9月、阿部さんは自身のSNSで脳腫瘍が見つかったことを報告。緊急入院して手術を受け、闘病していた。 阿部さんは手術を受ける前、当時のSNSなどで「過去最高難易度の冒険に出ることになりました」と心境を吐露。「南極と違い、自分が望んだ冒険ではないけれど、病気という冒険に自ら勇気を持って立ち向かいます。今までどんな逆境にも負けずに笑顔で立ち上がってきました。自分の夢の実現のために挑みます」とつづっていた。(滝沢隆史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「防衛拠点」に沸く戦艦大和生んだ街 空襲の記憶を語り継ぐ市民らは
防衛省が3月、広島県呉市に「多機能な複合防衛拠点」をつくる計画を提案した。戦艦大和を生んだかつての軍港都市には、第2次世界大戦で激しい空襲に遭った歴史もある。地元の人々はどう受け止めているのか。 「今後、呉地区の重要性は増大していく」。防衛省地方協力局の村井勝総務課長は11日、市議会を訪れてこう述べた。市には海上自衛隊呉地方総監部があり、米軍佐世保・岩国基地に近く、太平洋・日本海へのアクセスが容易だと説明した。 新たな「複合防衛拠点」とは、装備品の製造や訓練などをする場所だ。港湾機能も備え、火薬庫の設置も検討するという。装備品の製造については民間企業も誘致するといい、「地場企業が事業を取れるよう取り組む」とも話した。 地元政財界は歓迎ムードだ。中田光政市議長は「市の将来にとって大変良いこと。経済の活性化につながる」。市議会では「積極的に防衛力アップに関わりたい」(保守系会派の北川一清市議)との声が上がった。 呉商工会議所の若本祐昭会頭も「昔から呉が得意としてきた金属の加工産業が再び盛り返すのではないか」と期待する。 呉市には軍事産業と共に発展… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JR北海道根室線、「お別れセレモニー」に倉本聰さんサプライズ登場
【動画】布部駅のお別れセレモニーにサプライズで登場した倉本聰さん=嶋田達也撮影 117年の歴史を持つJR北海道・根室線の富良野―新得間(81・7キロ)が31日、ラストランを迎えた。映画やドラマの「聖地」とされた駅では、「お別れセレモニー」が行われ、大勢のファンや地元の人たちが列車や駅に別れを告げた。 JR北は、富良野駅や東鹿越駅、2016年8月の台風被害以降は代行バスでの運行が続いている新得駅でセレモニーを開き、出発合図のほか、列車や代行バスの見送り、地元中学・高校の吹奏楽部の演奏などが行われた。 その他、テレビドラマ「北の国から」に登場した布部(ぬのべ)駅や、映画「鉄道員(ぽっぽや)」に「幌舞(ほろまい)駅」として登場した幾寅(いくとら)駅などでは、沿線自治体による根室線グッズの販売などのイベントが行われた。 地元住民が布部駅で開いたお別れセレモニーに、脚本家の倉本聰さんもサプライズで登場。駅の待合室で「北の国から」の構想を練ったエピソードを披露し、「寂しいですね」と別れを惜しんだ。 同区間は1907(明治40)年9月に開通。北海道の東西をつなぐ主要路線だった。利用が極端に少ないとしてJR北が廃止・バス転換を示し、2024年3月末での廃止に地元が同意した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「法と正義の資料館」「大学史資料館」を新設 中央大多摩キャンパス
中央大学は多摩キャンパス(東京都八王子市)の学生研究棟「炎の塔」2階に、「法と正義の資料館」と「大学史資料館」の二つの資料館を新設した。4月1日から一般公開を始める。 「法と正義の資料館」では、法曹界を中心に歴史上重要な役割を果たした偉人の業績を顕彰する。古代ギリシャに歴史がさかのぼる「正義の女神」の解説の展示から始まり、欧米で繰り広げられた人権の獲得運動が、国家や社会を変える力になった過程などを紹介する。 来年3月末まで「医学者証言を覆せ」と題した初回の企画展も同時開催。イタイイタイ病の被害者救済で訴訟弁護団の一員となった松波淳一さんの奮闘が取り上げられている。 一方、「大学史資料館」では、1885年に英吉利法律学校の創設から始まる同大の歴史や変遷、部活やサークルなどの課外活動にかかわる資料の展示、各種資料を所蔵するアーカイブズなどが紹介されている。 両資料館長の大貫裕之常任理事・法務研究科教授は「中央大学の歴史を展示する施設は今までなかった。一大学の歴史ということにとどまらず、近現代の日本社会の歩みをたどることができる」と話している。 開館は午前10時~午後5時、原則として日曜祝日休館。入場無料。問い合わせは同大(042・674・2132)へ。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ふるさと納税が大幅↑秘密は飛び地の村にあり 県外の自治体も委託
ふるさと納税でここ数年、和歌山県内のいくつかの自治体が相次いで大幅に収益を増やしている。共通するのは、県南部にある「飛び地の村」で生まれた会社を頼りにしたことだった。 県内第2の都市、田辺市は、寄付額から商品代や経費などを引いた「収益」より、住民が他の自治体に寄付したことによる住民税の減収分が大きいため、「ふるさと納税赤字」が続いていた。 2022年度は約9200万円の寄付があったが、結局6千万円近い赤字となった。同年度では和歌山市が黒字転換しており、県内の30自治体で赤字だったのは田辺と岩出の両市だけだった。 ところが、23年度の田辺市の寄付額は2月末までで1億9千万円で、最終的には1億9500万円程度になる見通しという。減収分を除いても黒字になる見込みだ。 また、この数年で田辺市のように寄付額を伸ばした自治体が多い。新宮市は21年度の約6700万円から22年度は約1億9900万円に、すさみ町は21年度の約8400万円から22年度は2億4千万円とそれぞれ3倍近く集めた。23年度は新宮市が約2億3千万円、すさみ町は約3億2千万円を見込んでいる。 その理由について調べてみると、これらの自治体に共通するのは、県内のほかの自治体と接していない飛び地の村、北山村が全額出資する株式会社「じゃばらいず北山」にふるさと納税事業を委託している点だった。同社は県内自治体だけでなく三重県紀宝町、山梨県丹波山村からも委託されていた。 では、同社に委託したことでどう変わったのか。 先の自治体の多くが以前は全… この記事は有料記事です。残り1059文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「今日、うちにジョン・レノンが来る」 あの日の記憶を抱いて少女は
「今日、うちにジョン・レノンが来るんです」 内緒だったけど、小学5年生のノリコちゃんは先生に打ち明けた。 「あるわけないだろ」と軽くあしらわれた。 でも、本当に彼は東京の自宅にやってきた。 夕方に玄関で出迎え、覚えたばかりの英語で「ナイス・トゥー・ミーチュー」とあいさつした。 ジョンはきちんと足をそろえ、おだやかな顔で「サンキュー」と言って握手を求めてきた。 トレードマークの丸いメガネをかけ、長い髪をうしろで束ねていた。見上げるほど背が高く、白っぽい服を着ていたせいか、ふわっと光が差しているように見えた。 この時期、音楽活動を休止していたジョン。「日本の伝統文化の柔道を見たい」と、妻のオノ・ヨーコさんに伝えたという。 ノリコちゃんの自宅には柔道場があり、父親が師範として教えていた。父親とヨーコさんの弟が親しかった縁で、見学が急きょ決まった。来日もプライベートだったが、訪問も極秘にされた。 ジョンは和室に通されると、「柔道着を着てみたい」と言った。英語は、ヨーコさんが訳して伝えた。 応対していたノリコちゃんの母親は、驚いた。「柔道では下着をつけませんよ」と教えると、何のためらいもなく、さっと裸になって着替えた。 細身の体には、中学生用の柔道着が合った。初心者だったが、黒帯を締めて道場に向かった。 道場には、ノリコちゃんの父親と中高生ら30人ほどが待っていた。柔道では稽古を始める前、全員が正座をして礼をする。ジョンも青畳の上に両ひざを折って座り、姿勢をただした。 有名人に落ち着かない生徒、ジョンが求めたことは ただ、ノリコちゃんは、道場… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
紅麴原料製造の和歌山工場、国と県が立ち入り 今年1月引き継ぐ
小林製薬(大阪市)の紅麴(こうじ)原料を使ったサプリメントが原因と疑われる健康被害が相次いでいる問題で、厚生労働省と和歌山県は31日午前、食品衛生法に基づき、原料を製造している同社子会社の和歌山工場(紀の川市)に立ち入り検査に入った。製造の工程などを調べるとみられる。 厚労省と大阪市が前日30日に立ち入り検査した小林製薬の大阪工場(大阪市淀川区)で、サプリメントの原料となる紅麴が製造されていたが、老朽化のため昨年12月に閉鎖された。今年1月から和歌山工場で製造が引き継がれたという。 厚労省や小林製薬は、健康被害が生じた製品のロットから青カビが生成する「プベルル酸」が検出されたことを明らかにしている。小林製薬は29日の会見で、「青カビによって生成されるものだけに、カビが生えるところがないか、和歌山工場でラインを総点検している」と明らかにしていた。 検査が始まった後、小林製薬の富山有子広報・IR部長は、工場前で報道陣の取材に応じた。「大変なご迷惑をおかけしている。病気の方たちに非常に申し訳ない思いでいっぱい。誠実に対応していきたい」などと述べた。検査内容については「検査を受けている立場なので控えさせていただく」とした。(榊原織和) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ルーツは千利休の菓子? 「安土のふなやき」が「100年フード」に
松浦和夫2024年3月31日 10時49分 千利休が茶会の菓子として愛した「ふの焼」がもとになったとされる滋賀県近江八幡市の「安土のふなやき」が、文化庁の「100年フード」に認定された。安土町商工会女性部が約5年かけてレシピをつくった。地元の小学校で出前教室を開いて広めたり、イベントで販売したりして、地域伝統の味を発信していくという。 100年フードは、多様な食文化の継承・振興の機運を高め、世代を超えて地域で受け継いでもらおうと、文化庁が2021年度から認定している。 安土城を築いた織田信長に重用された千利休は、「利休百会記」によると、88回の茶会のうち68回で茶菓子「ふの焼」を使ったという。 「ふの焼」の発祥地とされる近江八幡市の安土地区では、子どものおやつ、お母さんの味として、小麦粉や砂糖を使った「ふなやき」が親しまれてきた。 安土町商工会女性部は19年から、郷土食として復活させようと、薄力粉や強力粉、ベーキングパウダー、黒砂糖などを使って試作し、レシピを作成。昨秋に地元の小学校で出前授業をした。地元の祭りでは600枚が完売する人気ぶりだったという。 女性部長の長谷川茂子さん(68)は「地元に伝わる母親の味。全国のみなさんに知っていただけたら」と話した。 これまで100年フードに認定されたのは全国で250件。県内では「安土のふなやき」も含め、寄り合い時のもてなし料理「よびしの食」(多賀町、21年度)や「近江日野の伝統料理~鯛(たい)そうめん、肉めし、日野菜漬け~」(日野町、22年度)、「大津のうなぎの食文化」(大津市、23年度)、「石部のいもつぶし」(湖南市、23年度)の計5件が認定されている。(松浦和夫) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル