石川県内のほぼすべての公立高校で1日、卒業式が開かれた。能登半島地震の被害が大きかった地域では、3年間学んだ校舎ではなく、別の会場で式を行う学校もある。震災を乗り越えて集まった卒業生は家族や教職員、地域住民に見守られながら、学びやを巣立った。 輪島市の門前高校では、12人が卒業式に臨んだ。全校生徒85人で、3年生はひときわ人数が少ない代だった。地震で自宅が損壊し、遠方に避難してきた生徒もおり、地震後に初めて12人全員がそろった。 式では、一人一人の思いを伝えようと、12人全員が答辞を読み上げた。大岩紅葉さんは「地震により甚大な被害を受けましたが、私の門前を愛する気持ちは変わらず、これからも帰ってくる場所でありたいと思っています。今後も一緒につながって、復興を成し遂げましょう」と力強く話した。 中澤賢校長は式辞で、「過去の卒業生が体験したことのない『艱難(かんなん)辛苦』を乗り越え、本日『卒業』という栄誉を得た」とたたえた。 穴水町の穴水高では3年生34人が巣立った。元日の地震のため、思い出が詰まった校舎は柱が大きく曲がって使えず、代わりに近くの穴水中の体育館で式典が行われた。 卒業生代表の松村光流(みつる)さんは答辞で地震に触れ、「能登の復興のために強く立ち上がろうと心に刻んだ。能登は決して忘れません」。島崎康一校長は「努力が成果につながらなくても、焦らず、腐らず、諦めず。必ず明るい未来が待っています」と激励の言葉を贈った。 ◇ この日は県内39校の約5800人の3年生が、卒業式を迎える。被害が甚大だった珠洲、輪島、穴水、能登の2市2町にある県立5校では284人が卒業。珠洲市の飯田高校は同市内の多目的ホール、輪島市の輪島高校は約100キロ離れた金沢市の音楽ホールでそれぞれ1日午後に式が行われる。(小川聡仁、吉村駿、朝倉義統) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
2024年問題対策で最終便を大幅繰り上げ 西鉄バス「苦渋の決断」
池田良2024年3月1日 13時49分 西日本鉄道は1日、福岡、北九州など4地区で運行する路線バスのダイヤ改定を今月16日に実施すると発表した。平日で約3・4%の減便となる。慢性的な運転手不足に加え、時間外労働の上限規制が4月から適用される「2024年問題」に対応するため、都市部を中心に最終便の発車時刻を大幅に繰り上げるという。 減便は、西鉄バス全181路線のうち福岡42、北九州8、久留米7の57路線で実施。近年減便を重ねてきたが、今回は22年以降の改定で最大の減便率となる。 また、福岡地区90路線のうち11路線が、最終便の発車時刻を30分以上繰り上げる。特に午後10時以降に博多・天神を起点とする路線では、最大61分の繰り上げになるという。北九州、久留米地区の一部路線でも最終便繰り上げを実施する。 西鉄の中嶋健太郎計画担当課長は「苦渋の決断であり、お客様にはご不便をお掛けしますが、ご理解をいただきたい」と説明した。(池田良) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
同級生から「近づくな放射線」 原発避難者の悲しみや怒りを映像で
東京電力福島第一原発事故の影響で、今も大半が帰還困難区域となっている福島県浪江町の津島地区。阿武隈の山あいにある集落の住民を追った記録映画「津島―福島は語る・第二章―」が、3月2日の東京を手始めに、各地で公開される。開拓時代や長年続く伝統芸能、帰還を望みながらかなわなかった家族との思い出など、住民18人の声を伝える。 監督を務めたのは、パレスチナを30年以上取材してきたフリージャーナリストの土井敏邦さん(71)。パレスチナの人々の苦悩と、原発事故で故郷を追われた福島の人々の姿が重なり、震災翌月から福島県内各地を取材してきた。これまでに、浪江町に隣接する飯舘村の人々を描いたドキュメンタリー映画「飯舘村 第一章・故郷を追われる村人たち」(2012年)「飯舘村―放射能と帰村―」を制作。放射能から子どもを守るために避難した女性や県内の農家など100人を、14年から4年かけて訪ね、記録映画「福島は語る」(19年)も完成させた。今回は「福島は語る」の第二章と位置づけた。 津島は「銭はなかったけど、夢があった」 テーマに「津島」を選んだのは、津島地区の住民約700人が訴えた原発集団訴訟の意見陳述集を目にしたことだ。家の隣で捕った魚や、裏山で採った山菜を食べて生活していたこと、伝統芸能「田植え踊り」を毎年踊ることで地域コミュニティーが保たれていたことなど、地域の自然風土に根ざした営みがかつてあったことがつづられていた。 読み進めるうちに、土井さん… この記事は有料記事です。残り856文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
バス運転手さんは19歳 奈良交通で最年少、乗務3日目に記者も同乗
奈良交通(奈良市)に最年少となる19歳の路線バス運転手が誕生した。バスの運転に必要な大型二種免許の取得条件が緩和されたためで、今月17日から単独で乗務を開始。真新しい制服に身を包んでハンドルを握っている。 北川正太郎さん(19)は昨年12月に奈良交通に入社した。それまで造園の仕事をしていたが、子どもの頃から大きな車を操る仕事にあこがれていたといい、運転手の募集を目にして挑戦した。 大型二種免許はこれまで21歳以上、普通免許取得3年以上が受験の条件だったが、道路交通法の一部改正で、2022年5月から所定の教習を受ければ「19歳以上、普通免許取得1年以上」でも受けられるようになった。 北川さんは入社前に奈良交通の負担で教習所に合宿して大型二種免許を取得。入社後は先輩社員について約2カ月間、路上での教習や接客などを学んだ。同社グループのエヌシーバスに出向する形で、17日から小型バス(定員35人)の運転を始めた。 乗務開始3日目にあたる19日、記者は県立図書情報館―県庁前を往復する北川さん運転のバスに同乗した。雨のぱらつく中、定刻通りに出発。途中の病院前で高齢の乗客を乗せ、バスは狭い道を進んだ。 道路には車だけでなく、歩行… この記事は有料記事です。残り845文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
母の「ごちそう」を仲間にも 飯ごうで振る舞った炊き込みチキンライス
記事の後半でレシピをご覧いただけます 料理研究家の堀江ひろ子さん(76)は、和食から洋食まで様々な料理が食卓に並ぶ家で育ちました。 母の故・泰子さんは、NHK「きょうの料理」に放送初期から出演し、日本の料理研究家の草分け的存在。アメリカで料理を研究した河野貞子さんに師事していました。そんな母の料理はどれも新しく、食べるのが楽しみでした。小学生のころの誕生日にはバーベキューをしてくれたことも。「いま思えばハイカラでしたね。母がお料理上手ということも自慢でした」 小学校高学年だったある日、校庭で飯盒炊爨(はんごうすいさん)をする行事がありました。班に分かれて、好きなメニューを決めます。 他の班の子たちは、白いご飯… この記事は有料記事です。残り1099文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
能登半島地震、被災市町で「転出」急増 1月、輪島は前年同期比6倍
石川県内で、能登半島地震の影響とみられる人口流出が進んでいる。1日に発表された県のまとめによると、被害が甚大だった6市町で、1月の転出者が前月と比べて大幅に増加しており、輪島市では前年同期と比べて6倍超だった。 「転出が前年同期と比べ3倍以上だ」 2月22日にあった県の災害対策本部員会議にオンライン出席した穴水町の吉村光輝町長は、こう切り出した。 県のまとめなどによると、1月の転出は穴水町で37人。前月の16人の2倍以上で、前年同期の10人に比べても3倍以上だ。町の担当者も転出の多さを肌で感じており、「地震の影響ですね。家が全壊するなどして金沢市や県外に出られる方が多い」と話した。 人口流出が最も多かったのは輪島市の180人。こちらも前月の53人の3倍以上で、前年同期の29人に比べると6・2倍だ。市の担当者は「地震の影響がほとんどだと思います。転出も死亡も多い印象」と話した。 このほか、七尾市178人(前月99人)、珠洲市112人(同22人)、志賀町72人(同24人)、能登町68人(同29人)で、6市町では、いずれも転出が転入を大幅に上回った。。 死亡は輪島市92人、珠洲市29人、七尾市106人、穴水町29人、能登町50人、志賀町43人だった。 県内全体でみると、総人口は110万6278人で、前月に比べ1570人の減少となった。 県統計情報室によると、1971年4月の調査開始以来、県内全体で死亡者数と、出生から死亡を差し引いた自然減少が過去最大で、転入から転出を差し引いた社会減少も1月では過去最大という。担当者は「転出が多く出ているのは地震の影響かと思われるが、はっきりした要因は分析していないため分からない」と話した。(波絵理子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
冬の夜空に450発 富山で避難者応援の花火「地震忘れて楽しめた」
能登半島地震の発生から1日で2カ月。長引く避難生活の中に楽しみをと29日夜、富山市のスキー場で花火450発が打ち上げられた。 企画したのは、全国にホテル経営を展開するホテルテトラグループ(北海道函館市)。同グループが運営し、スキー場に近接するホテルテトラリゾート立山国際は、地震後の1月20日から、2次避難先として珠洲市民を受け入れている。現在も98人が避難しており、多くは土砂崩れや津波などの被害を受けた大谷地区や宝立地区の住民だという。 同グループの三浦裕太社長(36)が「家を離れ、慣れない環境の中で過ごす、避難者のみなさんを元気づけられたら」と、全国の取引先に1口1万円の協賛金を呼びかけ、200社以上が参加して実現した。 大谷地区から避難している大兼政康秀さん(60)は「花火の時間は地震を忘れ、純粋に花火のきれいさを楽しめました」と話した。(遠藤真梨) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません 能登半島地震 1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る] Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
消えゆく流氷 30年で厚み3割減、面積も縮小傾向 漁業への影響も
地球温暖化の影響で、北の海の風物詩である「流氷」に異変が起きている。海を覆う面積の縮小にとどまらず、氷の厚みもこの30年間で3割減っていたことが、北海道大学の研究で明らかになった。このままでは将来、北海道に流氷が接岸しない年もあると予測され、漁業への影響も懸念されている。 北海道のオホーツク海側では今年も各地に流氷が押し寄せ、根室市では2月10日に接岸の初日を迎えた。海面は見渡す限りびっしりと、大きな白い氷に覆われた。 見る人を圧倒する壮大な眺めだが、氷そのものの厚みは、以前より減っているという。 北海道大低温科学研究所の大島慶一郎教授(海洋物理学)らは、北緯48度以南のオホーツク海南部を対象に、気候変動が流氷に与える変化を解析。今月、米国で開かれた国際学会で最新データを発表した。 それによると、オホーツク海南部の流氷は、10年あたり7・4センチのペースで薄くなっている。1990年には平均で約73センチあった流氷の厚みは、2020年には約51センチへと、30年間で3割も減ったと推計された。 人工衛星を使ったこれまでの観測で、オホーツク海の海氷の面積が減少傾向にあることは、指摘されていた=グラフ参照。今回の研究では、面積だけでなく、氷の厚みも減少を続けていることが示された。外見上は同じように氷が広がっている海域でも、昔に比べて氷の体積が減っていることになる。大島教授は「私たちがこれまで考えていた以上に、流氷の減少スピードは速いことが分かった」と話す。 研究チームは流氷の量の変化について、1930年代以降のデータを分析したが、温暖化の影響で流氷が急速に減り始めたのは、1990年代に入ってからという。 「流氷が大量に形成されるオ… この記事は有料記事です。残り1074文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
暖冬が400年続く祭り直撃 ふんどし姿で冷たい雨に打たれ作柄占う
過去に例がない暖冬は、400年以上も前から続く神事をも揺るがした。 岩手県二戸市にある似鳥八幡神社の春の例大祭「サイトギ」。五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を祈り、地域で受け継がれてきた祭りだ。 燃えさかる井桁に組んだやぐらを指す「サイトギ」の火の粉の流れと、炊いた穀物を剣状に盛った「オコモリ」の崩れ具合で、その年の農作物の出来を占う。 2月15日。昨年は降り積もった雪が凍り、境内は真っ白だった。それが今年は冷たい雨で、田んぼのように地面がぬかるんでいた。 長老たちは口をそろえた。「生まれてこのかた、雨なんて初めてだ」 開始前、約1週間前から神前に供えられていたオコモリを特別に見せてもらった。例年は作るとすぐに凍り、真っ白に固まった状態だという。しかし、目の前にあるのは全体的に黄ばんで、ひび割れもひどい。今にも崩れそうだ。 今年の作柄は一体どうなってしまうのか――。 記者(54)=盛岡総局所属=は昨年に続き、似鳥地区の豊作と無事を祈り、裸参りなどからなる祭りに参加した。 この冬、北東北は極端に雪が少なく、気温が高い日が続いている。夏の猛暑に続き、地球温暖化による異常気象なのか。過去に例がないという状況の中、農作物の出来を占う重要な使命を成し遂げられるか。正面から自然と向き合う貴重な体験になった。 「雨でぬれると寒さがこたえ… この記事は有料記事です。残り988文字有料会員になると続きをお読みいただけます。 ※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません Source : 社会 – 朝日新聞デジタル