イヤホンの声に指示されるまま、大学生のトモヤ(仮名、21)は高齢女性から紙袋を受け取った。その直後、警察官4、5人に囲まれて現行犯逮捕された。 警察から告げられた逮捕容疑は詐欺未遂だった。 特殊詐欺の被害に遭ったのは、記者(28)の祖母(81)でした。連載の第3回は、「受け子」として逮捕された21歳男性の保釈後の取材をもとに描きます。 警察署の取調室。トモヤはいすに座らされ、50代ほどの男性刑事と向かい合った。 手錠は外されたが、腰縄は付けられたまま。 大学の級友から紹介された「仕事」は「脱税の手伝い」で「指定の場所に紙袋を置くだけ」と聞いていた。 だが、刑事が明かした事件の中身は大きく違った。 トモヤが逮捕前日に高齢女性から「書類」として受け取った紙袋。中身は現金100万円だった。電話相手を「孫」と思い込み、孫を助けたい一心で女性が用意したお金。 自分は、特殊詐欺グループから、そのお金を受け取るために派遣された「受け子」となっていた。 トモヤは、初めて聞いたような言葉があった。 特殊詐欺……。受け子……… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
行政技術論で進む辺野古 地方が納得する政治を 岩手・滋賀両知事
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設計画をめぐり、朝日新聞と沖縄タイムスが共同で行った46都道府県知事へのアンケートでは、政府の姿勢を疑問視する回答も寄せられた。国と地方の関係は、どうあるべきなのか。岩手、滋賀の両県知事に聞いた。(伊藤和行、上地一姫) ――辺野古移設計画は「どちらかといえば不適切」と回答しました。 戦後79年が経ったにもかかわらず、外国軍の基地が造られることは基本的にあってはならない。(現在の移設計画は)2006年の日米合意で決まったが、米側と再協議すべきだ。 米国は、日本と同じ民主主義の原則を共有する国だ。過去3回の沖縄県知事選で「辺野古反対」を訴える候補が当選し、県民投票でも「埋め立て反対」が約7割。建設予定地の地盤も良くないようなので再協議しませんか、ということだ。 ――政府による初の「代執行」など手続きも問題視しています。 地元の理解を得るべきだった。国と地方は対等な関係のはずだが、非常に中央集権的で強権的な運用がなされた。(政府には)本来、県民や国民が納得するような政治的努力が求められるのに、それをせず、行政技術論で進めてしまった。外交や防衛は国民の納得がなければ成功しない。地方の首長は、そういう国の在り方にどんどん意見を言っていいと思う。 ――多くの知事が「安全保障は国の専管事項」と答えを控えました。 もちろん、発言をしない自由… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
沖縄の米軍基地負担、21知事「軽減すべき」 全国知事アンケート
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設について、朝日新聞と沖縄タイムスは共同で、沖縄を除く46都道府県知事にアンケートした。沖縄県の基地負担について、21人が「軽減すべき」と答えた一方、自らの自治体に米軍基地を受け入れる意思があると答えた知事はいなかった。辺野古移設計画については、43人が適否の判断を示さなかった。 政府は昨年末、辺野古の新たな区域を埋め立てるための設計変更申請を沖縄県知事に代わって承認する「代執行」をし、今年1月に工事を始めた。前例のない代執行や、国土面積の0・6%の沖縄県に米軍専用施設の7割が集中する状況は、地方自治や安全保障といった日本全体の課題であるととらえ、すべての知事に質問し、3月上旬までに回答を得た。 基地負担を「軽減すべき」と答えた21人の回答には「沖縄県に占める米軍用施設の面積割合は極めて高い。軽減に向けた見直しを継続すべき」(埼玉・大野元裕氏)、「全国で分担し合う体制を構築することが必要」(秋田・佐竹敬久氏)といった指摘があった。同様に沖縄県の基地負担について尋ねた2010年の朝日新聞社のアンケートでは、15知事が「軽減すべき」と答えていた。 しかし、負担軽減のため基地を受け入れる意思の有無を聞いたところ、「ある」と答えた知事はいなかった。負担軽減の手法として、国外移転や返還促進を挙げた知事もいたが、多くは「どちらともいえない」や無回答だった。「(隣接する山口県の)岩国基地について、周辺の県で生じている騒音問題に一切防音対策を講じていない政府の対応を見ると、受け入れる意思はない」(島根・丸山達也氏)や「国から要請があった場合は、市町村とも協議して対応していく」(大阪・吉村洋文氏)という意見もあった。 辺野古移設計画の適否については「適切」「どちらかといえば適切」が各1人、「どちらかといえば不適切」が1人、「どちらともいえない」や無回答などが計43人。代執行についても「適切」が3人、「どちらかといえば不適切」が1人、「どちらともいえない」や無回答などが計42人だった。「どちらともいえない」と答えた知事の多くは「安全保障は国の専管事項であり回答を控える」と理由を説明した。(伊藤和行、上地一姫) 代執行、1人だけ「どちらかといえば不適切」 46都道府県知事のうち、辺… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
陸上自衛隊の第32普通科連隊、公式Xで「大東亜戦争」と表現
陸上自衛隊大宮駐屯地(さいたま市)の第32普通科連隊が、X(旧ツイッター)で同隊の活動を紹介する際に、「大東亜戦争」という言葉を使って投稿していた。政府は太平洋戦争を指す言葉として、この呼称を公式文書では用いていない。同隊は7日、取材に公式アカウントであることを認めた上で、「本日はコメントすることができない」とした。 同隊は5日、硫黄島(東京都)で日米合同で開催された戦没者の追悼式に参加したことをXの公式アカウントで紹介。「大東亜戦争最大の激戦地硫黄島」「祖国のために尊い命を捧げた日米双方の英霊のご冥福をお祈りします」などと投稿した。 日本は1940年、欧米からアジアを解放し「大東亜共栄圏の確立を図る」との外交方針を掲げ、41年12月の開戦直後に「大東亜戦争」と呼ぶことを閣議決定した。戦後、占領軍の命令で「大東亜戦争」の呼称は禁止された。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
減る人件費、安定ポスト、研究時間…国立大法人化20年、現場の嘆き
国立大学が法人化されて20年。運営費交付金は削減され、研究費の多くを競争的資金で獲得する仕組みに変わった。法人化の目的とされていた、国立大の研究力や教育力は活性化されたのか。朝日新聞は学長とともに、全国大学高専教職員組合の協力を得て教職員にもアンケートを行い、407人から回答を得た。数多く寄せられたのは、厳しい現状を訴える声だった。(山本知佳、増谷文生) 「学生が安心して使えるトイレを増やしたい」 金沢大は昨年、トイレを改修するためにクラウドファンディング(CF)を実施した。2カ月で目標額300万円を上回る355万円を集めたが、SNSでは「どんだけお金ないのよ……」などと驚きの声が広がった。同大の社会科学系学部の教授からは「(施設整備費など)必要な経費が回ってこない」との声が届いた。 国からの運営費交付金は、ト… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
【そもそも解説】国立大は20年前の法人化で何が変わったのか
行財政改革の一環(いっかん)で、2004年4月に国立大が法人化されて20年がたちました。この間に、国立大を中心に研究力の低下も指摘(してき)されています。なぜ法人化が行われ、この間に何が起きてきたのか。いちから解説します。 Q 国立大はなぜ2004年に法人化されたのか? A 国の一機関だった時は、予算や人事の細部まで文部科学省が決めていた。だが、世界の大学などと競い合っていくには、国が全てをコントロールする手法は限界に達していた。社会の変化に対応して、スピード感を持って教育や研究を活性化するには独立すべきだ、という機運が大学関係者の間で高まっていた。 ちょうどその頃(ころ)、小… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
交付金減った国立大 法人化20年、学長7割「悪い方向に進んだ」
2004年に国立大学が法人化され、4月で20年。法人化とその後の大学政策の影響について、朝日新聞が全86国立大の学長に尋ねたところ、回答者の7割弱が、教育・研究機関として「悪い方向に進んだ」と考えていることがわかった。国や産業界がイノベーション創出を期待する国立大だが、国から配られる運営費交付金が減額された影響を指摘する声が多かった。 大学同士の競争を促すことで、教育や研究を活性化させる――。国の一機関だった国立大は、そうした目的で法人化された。関係する12万人近い公務員を削減する狙いもあった。 朝日新聞は1~2月、学長86人に対し、20年を振り返るアンケートを実施した。自由記述欄も含めた35問に、92%に当たる79人が回答した。 「法人化以降の20年間で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
2人乗り自転車がガードレールに衝突、1人死亡 愛知・豊田
7日午後1時半ごろ、愛知県豊田市北篠平町の国道419号で、20代くらいの女性が2人乗りする自転車がガードレールにぶつかって転倒。1人が頭から血を流して病院へ搬送されたが、まもなく死亡が確認された。もう1人の女性も頭にけがをして搬送された。 豊田署によると、現場は片側1車線で直線の坂道。自転車は歩道を走っていたらしい。署は、女性の身元などを調べている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
新選組・土方歳三の遺髪、今も残る 東京・日野の資料館で限定初公開
幕末に新選組副長を務めた土方歳三(1835~69)のものとされる遺髪が、東京都日野市日野本町2丁目の「佐藤彦五郎新選組資料館」で初公開されている。公開は29日までの日曜・祝日のみ。 歳三は旧幕府軍と新政府軍による北海道の「箱館戦争」に臨み、函館市内で銃弾に倒れたと伝えられている。だが、最期を迎えたのが「一本木関門」か「異国橋」の説があり、遺体は見つかっておらず、埋葬地も特定されていない。 ただ、この戦いが自分の最期… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
昨年のいじめの事件、直近10年で最多 学校から警察への通報が増加
昨年に小中高生がいじめで摘発や補導をされた事件は、前年から66%増えて292件となり、いじめ防止対策推進法が施行された以降の10年で最多となった。警察庁のまとめでわかった。補導された小学生は125人で、統計の残る1991年以降で最多だった。 国は昨年、深刻ないじめについて警察への相談や通報を促しており、警察庁はこうした「学校・警察連携」が進んだことが、事件化される例の増加の背景にあるとみている。 同法は2011年に大津市立中2年の男子生徒がいじめを受け自殺した事件を機に成立し、13年9月に施行された。小中高生のいじめの事件は法施行直後の14年は265件で、その後減少傾向にもなったが、23年は14年を上回った。 昨年の292件を罪種別でみると、暴行が102件と最多で、傷害60件、児童買春・児童ポルノ46件と続いた。事件全体の2割強でインターネットが使われ、その半数以上が児童買春・児童ポルノだった。性的な画像を撮影させ、SNSで送らせて広めるなどがある。 児童ポルノ増加 スマホ普及が要因か 児童買春・児童ポルノは10年前から3倍近く増えた。警察庁はスマートフォンの普及が要因とみている。 昨年に事件で摘発や補導をされた小中高生は、前年比81%増の404人だった。小中高生のいずれも前年から増えたが、特に小学生は過去最多。小学生では強要が、中高生では児童ポルノが目立った。 文部科学省は昨年2月、全国の学校に対し、子どもの生命や財産に重大な被害が生じるいじめについて、警察へ相談や通報をするように要請した。特に児童ポルノは拡散しやすくネット上に残るため「一刻を争う事態も生じる」とし、すぐに警察と連携して対応するよう求めた。 ただ、いじめで通報に至る例はまだ限られる。文科省の調査では、22年度に全国の小中高校などで認知されたいじめ約68万件のうち、学校が警察に相談・通報した件数は約2千件だった。(板倉大地) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル