能登半島地震から1日で3カ月。地震による火災で多くの建物が焼け落ちた輪島市の朝市通りでは、涙を流しながら焼け落ちた自宅跡を見つめる槌谷義雄さん(82)の姿があった。「3カ月が経ち、少しでも自分の家のことを忘れないように」と、何か残っているものがないか探しに来たという。 一人暮らしだった槌谷さんは、地震が起きた1月1日は帰省した娘と一緒にいて被災。津波が来ると言われ近所の人と3人で逃げた。その後の火災で、家庭用の金庫や思い出の写真などもすべて焼けてしまった。 結婚し、22歳の時にこの家に来て60年。この場所で家を建て直すのは難しいが、輪島を離れようとは思わない。 「輪島が大好き。必ず復興して欲しい。ここで一生を終えたい」(吉田耕一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
JR北海道、25年4月に運賃平均8%値上げ方針 遠い「経営自立」
JR北海道は1日、2025年4月に平均約8%の運賃値上げを実施する方針を表明した。実現すれば、19年10月の消費税率引き上げに合わせた値上げ以来となる。物価高騰などが理由で、年間約37億円の増収を見こむ。それでも、最終的なもうけを示す純損益は25年度に国の財政支援も入れてかろうじて黒字転換する見通しで、厳しい状況が続く。 値上げには国の認可が必要で、JR北は今年9月までに国に申請する方針。消費増税分の転嫁以外での値上げは1996年、2019年に続き3度目となる。3度目の値上げ実施はJR各社では北海道が初という。 値上げ幅は平均約8%で調整し、距離や運賃の種類ごとの値上げ幅は今後公表する。前回19年10月は平均で11・1%(消費税増税分を除くと9・1%)値上げし、初乗り運賃は170円から200円となった。 JR北の綿貫泰之社長は会見… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
漫画家が約4700万円脱税容疑 福岡国税局が告発
所得税約4700万円を脱税したとして、福岡国税局は1日、福岡市南区の漫画家、池田恵理香氏(36)を所得税法違反の疑いで福岡地検に告発したと発表した。 発表によると、池田氏は漫画を描いて出版社から原稿料や印税収入を得ていたのに、2019~21年分の所得計約2億6千万円の確定申告をせず、所得税約4700万円を脱税した疑いがある。 関係者によると、池田氏はテレビアニメ化された漫画「薬屋のひとりごと」の作画を担当した「ねこクラゲ」氏とみられる。ねこクラゲ氏は1日、「X」(旧ツイッター)で「誠に申し訳ありません。税金に無知であったため確定申告を怠っていました。全額をすぐに納付しており、税理士に依頼して適正な申告、納税を続けています」などとコメントを出した。(上月英興、西岡矩毅) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
森友文書、財務省の非開示決定は「理由ない」 総務省の審査会が答申
学校法人森友学園の国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざん問題で改ざんを強いられ、自死した近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻雅子さん(53)が行政文書の開示を求めたところ、存否も明かさずに不開示とした同省の決定について、総務省の情報公開・個人情報保護審査会が取り消すよう答申したことがわかった。3月29日付で、雅子さん側の代理人が明らかにした。 雅子さんは2021年8月、財務省が大阪地検に任意提出した文書などの開示を求めたが、捜査への支障を理由に不開示とされたため、同省に不服申し立てをしていた。 審査会は答申で「存否を答えても、判明するのは財務省が文書を提出した事実の有無などにとどまり、そのことは一般に想定されている事柄だ」と指摘。捜査に支障はないとして、同省の決定には「相当の理由がない」と結論づけた。 雅子さん側代理人の坂本団弁護士は朝日新聞の取材に、「当然の結論ではあるが、正しい判断をしてくれた。財務省には速やかに不開示決定を取り消し、文書開示をするよう求める」と話した。 不開示決定を巡っては、雅子さんが裁判でも国に取り消しを求めて係争中。昨年9月の一審・大阪地裁は、「同種事件で罪証隠滅が容易になる可能性がある」として決定は妥当と判断したため、雅子さん側が控訴した。(山本逸生) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
死亡した生活保護受給者の遺留金31万円紛失 東京・練馬区
東京都練馬区は1日、死亡した生活保護受給者の「遺留金」31万8046円を紛失したと発表した。盗まれた可能性がある。区は職員らへの聞き取りを進め、石神井署に被害届を出す予定。 区によると、遺留金は大泉総合福祉事務所(東大泉1丁目)の金庫室で、現金のまま手提げ金庫に入れて管理していた。紛失したのは2022年11月に亡くなった1人分。23年7月に群馬県内の施設から預かった。 今年3月28日に担当する職員が引き継ぎのため確認したところ、紛失が判明。事務所内を捜したが、見つからなかった。区の聞き取りに担当者は「最後に確認したのは1カ月前の2月28日だった」と説明したという。 区では13年、学校などの複数の職場で区が管理する「準公金」の金銭事故が連続発生し、対策検討委員会を設置。管理マニュアルを策定し「現金ではなく口座で管理する」などのルールを定めていたが、今回は守られていなかった。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
マッチングアプリの「女性」から投資話 男性が1.1億円詐欺被害
熊本県警玉名署は1日、県内北部に住む60代の男性がSNSで知り合った人物からもうけ話を持ちかけられ、1カ月足らずで約1億1千万円をだまし取られたと発表した。 調べによると、男性はマッチングアプリで女性を名乗る人物と知り合った。SNSでやりとりするうちに「FX投資でお金を増やす方法がある」と提案され、3月初旬~下旬、指定された複数の口座に500万~1千万円を約20回にわたって振り込んだ。この人物とは会ってもおらず、電話で会話もしていなかった。 男性は無職で、お金は預貯金から振り込んだ。親族に相談し、「それは詐欺じゃなかと」と言われたのをきっかけに3月27日、玉名署に相談したという。(森北喜久馬) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
震災の苦しみの先で見た日差しの中の桜並木 いつかきっと、春ららら
記者コラム 「多事奏論」 文化部(大阪)記者 河合真美江 お花見ぼんぼりが桜並木に沿ってずらり並ぶと、金沢の季節が変わる。 そして4月といえば、この街には「春ららら市」がある。兼六園近くに工芸品や食べ物の作り手、個人商店が石川県各地から集う。今年は6、7日で、被災地の能登応援をうちだした。能登の作り手を含め178店も集まるそうだ。 「声をかけると、出ます!とみなさんの気持ちが熱くて。能登のためにと盛り上がっていますね」 2011年のスタートから企画を手がける岩本歩弓さんはにこやか。自転車で走り回り、人と人をつなぎ、企画する街のプロデューサーだ。金沢の桐(きり)工芸店に生まれた。東京の出版社で働き、20年前に帰って気づいた。もの作りをするおもしろい人がふるさとには大勢いる。 コロナ禍のために春ららら市… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
吉村知事「万博会場出禁」と発言 党の会合、玉川徹氏を名指しで
2025年の大阪・関西万博をめぐり、日本維新の会の共同代表を務める吉村洋文・大阪府知事が3月23日に大阪府内であった党の会合で、コメンテーターの玉川徹さんを万博会場に出入り禁止にするとの趣旨の発言をしていたことがわかった。吉村氏は主催する日本国際博覧会協会(万博協会)の副会長を務めている。 吉村氏は1日、記者団からの「発言が言論統制にあたらないかという批判の声もある」との質問に対し、自らの発言内容を認めたうえで、「僕自身が本当に『出禁』にする権限があれば問題だが、権限がないのは当然のこと。そんなことはあり得ない、できないという前提での発言だ」と釈明。そのうえで、吉村氏は「万博に対する批判や課題の指摘は報道機関として当然あるべき姿」としつつ、玉川氏や同氏が出演する番組について「非常に偏り過ぎていると思っている。公共の電波でやる以上、ある程度は公平にやってもらいたい。参加する国々からはなぜ批判ばかり日本のメディアは言うんだと聞く」とも語った。 同じく万博協会の副会長を務める横山英幸・大阪市長は同日の記者会見で、吉村氏の発言について「フラストレーションが溜まってああいう発信をされた」と言及。「批判の報道をしていただくべきだと思うし、どんどんしていただいたらいいが、過度にネガティブにやりすぎるのは、それは僕なりにも思いがある」と理解を示した。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
従業員の労災認定に不服、企業は裁判で争える? 最高裁が初判断へ
仕事が原因で病気やけがをした労働者を国が労災だと認定した際、事業主に不服を申し立てる権利があるかが争われている訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は3月28日付で、当事者双方の意見を聞く弁論を6月10日に開くと決めた。弁論は二審の判断を変えるのに必要な手続きで、「不服申し立ての権利がある」とした二審・東京高裁判決が見直される可能性がある。 この論点で最高裁が判断を示すのは初めて。二審判決には「労働者の立場が不安定になる」との懸念が出ていた。 労災が認定されると、労働者に賃金の一定割合や治療費などが国から支給される。労働者やその家族の申し立てを受けて労働基準監督署が調査し、認定の可否を決める。労働者側と行政の間の手続きで事業主は関与できず、認定への不服を申し立てる権利もないとされてきた。 一方、従業員が労災認定され… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「必ず受け止めてくれる人はいる」 児童養護施設を卒園したあなたへ
春。児童養護施設で暮らしていた子たちにとって、施設を離れることとなる卒園は人生の大きな節目だ。 私も、12年前に東京都内の児童養護施設を卒園した当事者である。卒園によって、物理的に1人になり、孤独を感じ、悲しみに包まれる瞬間もたくさんあるかもしれない。でも、どうか自分の今までの歩んできた道や傍らに居た人たちとの時間を忘れないでほしい。信じてほしい。目の前には見えなくても、確かに心の中にある愛を感じてほしい――。 人生の一つの節目を迎えたみなさんに、そのことを伝えたい。 民法改正で18歳で成人となり、選挙権も18歳に引き下げられた。 児童養護施設で暮らす子どもにとって、18歳になるということは、基本的には施設を卒園することを意味する(編集部注:4月の制度改正で、子ども本人の意見も踏まえ、自立への支援が必要と判断される間は22歳を超えても同じ施設などで暮らせるようになった)。 卒園すると、どことなく今、施設に住んでいる子たちに遠慮し、職員さんたちの多忙さを気遣い、訪ねたい気持ちを抑え、施設に寄り付かなくなってしまう子も多い。孤立と孤独が目の前には広がっている。 私は生後4カ月から19歳まで、東京都内の乳児院、児童養護施設、自立援助ホームで生きてきた。 本当の家族のように 18歳まで過ごした児童養護施設は、国が推進している「家庭的養護」という形を20年以上前の当時、すでに実現していた。子ども6人に対し、基本的には職員3人がローテーションで世話をしてくれていた。10年間は子どもも大人も同じメンバーで、本当の家族のように過ごす時間を大切にしてもらい、とても感謝している。 冬は寒いからと寝る前に乾燥機で布団を温めてくれたり、チョッキを手作りしてくれたり。毎晩、絵本を読んでもらう時間も、寝付くまでの「トントン」も、幸福な時間だった。朝にはストーブで下着類を温めておいてくれたので、心も体もポカポカしたのをよく覚えている。 起床は毎朝6時半。でも、私は周りの子たちを起こさないように6時ぐらいにこっそり起きて、30分間、職員さんを独り占めして過ごす時間が大好きだった。みんなには内緒で特別にフルーツをくれることもあった。 年齢が上がると、みんなが寝た後もこっそり職員さんと深夜までたくさんお話をした。これからの人生のこと、まだ幼いながらも自分の思いを、寝不足になりながらも聞いてくれた。 私にとって施設での生活は、幸せそのものであり、生まれ変わっても今の人生がいいと思っている。変な話かもしれないが、子育て・養育する力がないことを認めて施設に預けてくれた両親には感謝している。この施設で一緒に育ったみんなとの関係は、31歳になった今も続いていて、一生の宝物を手に入れることができた。 だから私にとって卒園は、人生の一つの大きな節目であると同時に、初めて自身の人生と向きあう苦しい時期の始まりになった。 卒園後に暮らすようになった自立援助ホームは、児童養護施設を出るなどした若者を自立に向けて支援する施設で、当時、基本的に毎月3万円のホーム費を払うようになったが、それ以外はほとんど児童養護施設での生活と変わりなかった。 それでも私の大好きだった場所ではないこと、一緒に過ごす人たちが変わってしまったことで、物理的には1人じゃなくても、心は孤独だった。今では、自立援助ホームの職員さんたちにも感謝している。たくさん話を聞いてもらった。いまだに顔を出し、また自立援助ホームも一つの「帰れる家」になっている。 ただ、卒園後間もない私には、自立援助ホームで新たな信頼関係を築くことは、とても難しかった。 「死にたい」 心むしばむ感情 そして、同年代の子たちに当たり前に帰る家があり、家族がいるという、自分が生まれながらに手にできなかったものの大きさを実感した。いつしか、「死にたい」という感情が心をむしばむようになっていた。 卒園すれば、またすぐに、他の子が入所して私の居場所はあっという間になくなってしまう。何よりも職員の忙しさは子ども自身が一番よく知っている。 それでも施設に帰りたくて連… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル