神戸市は、市立王子動物園(同市灘区)で飼われていた雌のジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」が死んだと1日明らかにした。日本にいるパンダで最高齢で、人間の80歳に相当する28歳だった。 神戸市が午後3時半から臨時の会見を開いて詳細を説明する。 タンタンは、阪神・淡路大震災で被災した神戸市が、「被災地に明るい話題を」と要望し、2000年に中国・四川省から貸し出された。名前は一般から公募。21世紀の幕開けという意味を込め、地平線上に太陽が現れる夜明けを意味する「旦」を使って名づけられた。 来日の目的のひとつは、日中共同飼育繁殖研究だったが自然繁殖に至らなかった。 07年には死産を経験。08年には国内で4例目となる人工授精による出産に成功したが、四川大地震で中国の専門家の支援が受けられなかったこともあり、赤ちゃんは生後4日目で死んだ。 02年に借り受けた雄パンダの「コウコウ(興興)」と共に飼育されてきたが、コウコウが10年に死に、以降は1頭で過ごしていた。 合意していた飼育期間が満了するとして、20年に中国への帰国が決まったが、コロナ禍で延期に。21年4月には加齢が原因とみられる心臓疾患が見つかって強心剤の投与などが続けられ、返還期限の延長が続いていた。(杉山あかり、小川聡仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
ゆっくり歩いて育てた輪島の七面鳥 苦境救った全国の「ファン」たち
能登半島地震から1日で3カ月を迎えた。被害を受けた石川県輪島市に、「阿岸(あぎし)の七面鳥」としてブランド化に成功し、生産者として有名な男性がいる。地震の被害に遭ったが、現在は出荷を再開し、名古屋市のフランス料理店でも味わうことができる。「七面鳥を食べ、能登の復興を全国に知ってほしい」と願う。 鶏舎内はそっと…品質高める工夫の数々 曹洞宗・総持寺祖院などで知られる輪島市門前町の山あいに大村正博さん(72)の鶏舎はある。七面鳥約180羽を1人で手間と愛情をかけて育てる。その味はおいしいと評判だ。 飼育を始めたのは、35年ほど前のこと。地元の仲間と、七面鳥のすき焼き鍋を囲みながら、地域活性化について話していた。おいしくてどんどん箸が進む。「自分たちで育てて名物にできないか」と盛り上がり、1988年に七面鳥の生産組合を設立した。 シイタケ栽培をしていた大村… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
津波にのまれた幼稚園バス 避難の大切さ、絵本で子どもたちへ伝える
東日本大震災の津波と火災で園児5人が犠牲になった宮城県石巻市の私立日和幼稚園の教訓を踏まえ、避難の大切さを子どもたちに伝える絵本が完成した。仙台白百合女子大(仙台市泉区)の学生ら8人が1年ほどかけて制作。仙台市内の児童館などに贈るほか、残りわずかだが、ネット販売も行っている。 絵本は「2人の天使にあったボク」。主人公の小学生、海(かい)くんが地震におびえる中、あいりちゃん、はるねちゃんの2人の女の子に導かれて高台に避難するお話だ。日和幼稚園の遺族らの依頼を受け、子ども教育学科の学生が筋書きや作画に取り組んだ。 制作中、学生は幼稚園の慰霊碑に足を運び、長女愛梨(あいり)さん(当時6)をなくした佐藤美香さん(49)や、春音(はるね)さん(当時6)を失った西城江津子さん(49)の話に耳を傾けた。 愛梨さんらは乗っていた送迎バスごと津波にのまれた。地震の後、バスが高台にある幼稚園から海側に向かわなければ、死なずに済んだ。避難すること、海のそばへ戻らないことの大切さを、どうすれば子どもたちにわかってもらえるか。遺族と学生で議論を重ねた。 幼稚園教諭や保育士を目指している日出山(ひでやま)希望さん(21)は、アルバイト先の児童館でこんなことがあったという。 昨年3月、子どもたちに「もうすぐ震災の時期だね」と話しかけると、「何それ?生まれていないから知らない」と返ってきた。今の小学生たちはみな震災後生まれだ。「あんなに大きな災害のことを知らないのか」と衝撃を受けた。この経験から、絵本づくりへの参加を決めた。 同大で今年3月、出来上がった絵本の読み聞かせがあった。日出山さんたちは「避難の大切さを子どもたちに伝えられる先生になりたい」と、口をそろえた。 遺族の佐藤さんは「(亡くなった)娘たちも『自分たちと同じようになってほしくない』と、思っているでしょう」という。幼い子に理解してもらうには、絵本はとても有効な手段。加えて、愛梨さんと同世代の若者たちと制作することに意味があると考えた。「愛梨が生きていたら、この大学に通って友達になっていたかもしれない」 学生たちは、いつか生まれてくる自分の子どもにも、きっと教訓を語り継いでくれる。そう信じている。(吉村美耶) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「地方で人材育成を」是枝裕和監督、福岡で国際映画祭アドバイザーに
日本映画界を代表する是枝裕和監督がアドバイザー役を担う「ふくおか国際映画祭」が今冬、福岡市内で初開催される。福岡市博多区のららぽーと福岡で3月31日にあったイベントで、是枝監督らが発表した。 映画祭は11月29日~12月8日に開催予定で、一般社団法人「クリエイティブ共生都市」(代表理事=近藤加代子・九州大教授)が主催する。同法人は文化活動などを通じて持続可能な社会の実現を目指す団体といい、子ども向けの映画制作体験会などを開いてきた。 是枝監督は映画祭の期間中、子ども向けの映画教室などを開く予定。「福多(ふくおお)~か」をコンセプトに、子どもや障害のある人を含め、多様な人たちが参加できるような工夫をするという。「映画祭は人材の育成と交流が本分。日本は一極集中なので、地方にそうした拠点ができることは映画界にとっても大事」と是枝監督。 近藤教授は「監督の力も借りて、映画祭を素晴らしいものにしたい」と意気込む。同法人が昨年3月、福岡市・中洲で別の映画祭を開いた際に是枝監督を招待した縁で、今回、「エグゼクティブアドバイザー」就任を依頼したという。 今回のイベントがあった31日午前には、福岡で活動する若手映像クリエーターの作品を是枝監督が講評する特別授業が、福岡市南区の九州大大橋キャンパスであった。午後からは、ららぽーとで、昨年のカンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した是枝監督の「怪物」の上映会とトークイベントも開催された。(松本江里加) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
20代女性にわいせつ容疑、弁護士と区職員逮捕 部屋に残った女性に
酒に酔った女性にわいせつな行為をしたとして、警視庁は、東京都中央区職員の山崎俊範容疑者(33)=東京都渋谷区広尾5丁目=と、第一東京弁護士会所属の弁護士の笹川大智容疑者(33)=東京都港区六本木3丁目=を不同意性交容疑で逮捕し、1日に発表した。山崎容疑者は「同意の上だった」と容疑を否認し、笹川容疑者は黙秘しているという。 捜査1課によると、両容疑者の逮捕容疑は、昨年11月20日午前1時ごろから正午ごろにかけて、渋谷区内の山崎容疑者が住むマンションの部屋で、酒に酔った20代の女性にわいせつな行為をしたというもの。 両容疑者と被害女性を含む男女8人で前日の夕方から飲酒し、泥酔した女性が山崎容疑者のマンションに残ったという。昨年11月、女性が警視庁に被害を訴え事件が発覚した。(遠藤美波) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
初めて葬式に出た小学1年生の決意 「ただしくんは大丈夫やけど…」
兵庫県姫路市の今井雄琉(たける)さん(7)は、昨年夏に初めて葬式に参列した。 大好きな人だったのに、なんだか怖くてひつぎの中の顔には触れることができなかった。ましてや遺体が焼かれるなんて知らなかった。 この日を機に、ある思いを強くした。 ◇ 父方の祖母の弟、つまり大叔父にあたる正さんは享年53歳。いつも遊んでくれる正さんを「ただしくん」と呼んでなついていた。 正さんの自宅があった京都府内での葬式には、入りきれないほどの人が来ていた。 ホールのはからいで、雄琉さんと弟がひつぎにぬいぐるみを収めることになった。 お葬式で思ったこと、詩につづった お葬式での体験をつづった雄琉さんの詩の全文を記事後半で紹介します。その作品は姫路信用金庫が表彰する「有本芳水賞」の優秀賞に輝きました。 そのとき、傍らにいた父親の… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
輪島の集落、70人去り25人に 仮設住宅はいつ?静まり返った一言
能登半島地震3カ月 被災地の声 住まい、なりわい、地域のつながりはどうなるのか――。能登半島地震の発生から3カ月、石川県の被災者100人に取材したところ、みなさんが将来を見通せない中で暮らしている状況が浮かびました。それでも前へ進もうとしている被災地の声を紹介します。 石川県輪島市町野町の金蔵(かなくら)地区は、95人いた住民が能登半島地震後に25人に減った。区長の井池(いのいけ)光信さん(68)は、困りごとを話し合える朝の会合を開いたり、集落への仮設住宅の建設を求める要望書を出したりして、集落の外で避難中の70人が戻ってきやすい環境づくりに走り回っている。 金沢市から車で北へ3時間半。ガタガタになった急勾配の道を進むと、棚田が広がる金蔵地区にたどり着く。 元日の激震で、集落に負傷者はなく、倒壊した建物は数戸だったが、全戸で停電、断水した。住民らが続々と自主避難所の集会所に集まった。 自衛隊がヘリで物資を運んでくれるまでの4日間、正月の食材を住民で分け合ってしのいだ。夜は、それぞれ集会所で雑魚寝したり、車中泊したり、傾いた自宅に戻ったり。 土砂崩れや道の損壊で集落は孤立しかかった。市中心部に抜ける道は3本あるが、何とか通れたのは1本。チェーンソーで道の倒木を切り、帰省していた人々は輪島を離れた。 電気と水道の復旧が見通せなかったため、多くの住民がそれぞれの判断で、医療関係者が常駐する県南部の避難所などに次々と避難していった。 自宅が半壊した井池さんは、妻の由起子さん(68)と集会所での寝泊まりを続けてきた。 1月下旬。金蔵地区内の住民は井池さん夫妻を含め、30~70代の10人ぐらいまで減った。 静まり返った集落で話題にな… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「殺しに行く」「金目当て」遺族に続く匿名の誹謗中傷 池袋暴走5年
東京・池袋で2019年に起きた車の暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(37)に危害を加える電話を警視庁本部にかけたとして、無職の男(62)=鳥取市=が今年3月、脅迫容疑で警視庁に逮捕された。SNSや電話による松永さんへの匿名の攻撃は繰り返されてきた。事故からまもなく5年。松永さんは妻子を突然失ったうえ、間違った前提による攻撃で二重に苦しめられている。 「殺しに行く」。警視庁本部に昨年10月28日、暴力団組員を名乗る男の声でこんな匿名の電話があった。松永さんによると、男は電話で「歳(とし)のいった受刑者に金を払わせるのはおかしい」と言ったという。 電話の前日、暴走した車を運転していた男性受刑者(92)に対し、東京地裁が約1億4660万円の損害賠償の支払いを命じる判決を出していた。受刑者は保険に入っており、賠償金は保険会社が支払う。脅迫行為の前提は間違っていた。目白署によると、逮捕された男は松永さんと面識はなく、「脅迫したことは間違いない」と容疑を認めているという。 この電話以降、松永さんは約1カ月間、仕事をリモートワークに切り替え、外出を必要最小限に抑えて過ごした。徐々に元の生活に戻していったが、狙われているというストレスは絶えなかったという。「逮捕の知らせを受けてひとまず安心したが、正直疲れた。今回の出来事で受けた心の傷はまだ癒えません」 誹謗中傷を受けるのは今回だけではない。 22年3月、松永さんのツイ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル