国立大学が法人化されて、この春で20年。この間の政策や環境変化は、大学にどのような影響を与えたのか――。朝日新聞社は1~2月、学長と教職員に対し、この年を振り返るアンケートを実施した。自由記述欄も含めた35問に、学長は全86大学の92%に当たる79人が回答。教職員は全国大学高専教職員組合の協力を得て実施し、407人から回答を得た。それぞれの回答を元に、国立大の置かれた現状を考える。 博士でも年収500万円、任期付き 「年収300万~500万、任期3年、学歴は修士以上」 「助教相当、年収500万~、任期5年、学歴は博士」 「助教相当、年収500万~700万円、2028年3月末のプロジェクト終了まで、学歴は博士」 大学教員の求人をインターネットで調べると、こんな条件が並ぶ。 国立大学協会の調査によると、23年度の任期付き教員の割合は32・3%。18年度から5・5ポイント上がった。年齢で見ると、40歳未満の教員では23年度、59・3%が任期付き。不安定な雇用が若手に偏っているのが現状だ。 国立大が法人化して以降、運… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
メタバースで「つながる」 希少がんや性的少数者の子、広がる交流
インターネット上の仮想空間「メタバース」で、希少がんや性的少数者の子どもたちが交流する取り組みが始まっている。これまでも不登校の児童生徒の支援などに活用されてきたが、裾野が広がってきている。(二階堂友紀) 闘病経験を共有「治療に前向きに」 岡山大学准教授の長谷井嬢さんは2021年、メタバースを使った患者同士の交流を思いつき、2年がかりで実用化にこぎ着けた。 長谷井さんは、骨肉腫など骨にできる悪性腫瘍(しゅよう)の治療に携わる。子どもや若者がかかりやすく、精神的なケアが重要になるが、希少ながんで、同じ病気の人と出会う機会がなかなかないという課題があった。 メタバースでの交流会は23… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
コロナ雇調金など詐取した疑い、男4人逮捕 被害額は6億7千万円か
コロナ禍での国の雇用調整助成金(雇調金)などをだまし取ったとして、警視庁は会社役員の徳毛亮容疑者(46)=横浜市鶴見区東寺尾6丁目=ら男4人を詐欺容疑で逮捕し、11日に発表した。 3人は容疑を認め、1人は否認 他に逮捕されたのは会社役員の和泉直虎(なおと)容疑者(53)=横浜市南区井土ケ谷下町=と会社役員の男(40)=川崎市多摩区=、職業不詳の男(42)=東京都江戸川区=の3人。徳毛容疑者ら3人は容疑を認め、残る1人は否認しているという。 組織犯罪対策特別捜査隊によると、4人は共謀して2021年5~同12月、会社役員の男の不動産コンサルティング会社で、雇調金や緊急雇用安定助成金を東京労働局に計14回申請し、22年1月までに計約3522万円をだまし取った疑いがある。申請に名義が使われた従業員20人は架空の人物だった。全ての申請を徳毛容疑者が行っていたという。 同隊は、徳毛容疑者らが関与した雇調金などの不正受給額は計15社164人分で計約6億7千万円に上り、一部は暴力団の資金源になっていた可能性があるとみている。(三井新) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
手荷物検査・金属探知機利用進む 岸田首相襲撃事件1年で警察庁長官
和歌山市の選挙演説会場で岸田文雄首相に向け爆発物が投げ込まれた事件から15日で1年になるのを前に、警察庁の露木康浩長官は11日の定例記者会見で、事件後は演説会場などで主催者による手荷物検査、金属探知機を使った検査などを「おおむね実施していただいている」と話した。 露木長官は「今後実施される各種選挙も見据え、警護の万全を図っていきたい」と述べた。16日には衆院3補選が告示される。 岸田首相の事件について露木長官は、演説会などの主催者と警察との連携と、聴衆の安全確保が新たな課題として浮き彫りになったと説明。警察は事件後、主催者に警護対象者と聴衆との間隔を空けることや、手荷物検査、金属探知機の利用などを求めている。聴衆の安全確保でも、警察と主催者が合同で避難誘導訓練を行うといった取り組みが進んでいるという。 露木長官は「警護中の要人に対する襲撃を許すことは二度とあってはならない」として、「事例から得られる教訓をふまえ不断の見直しをしていく」と述べた。課題として、国民の理解と協力のほか、実践的訓練と先端技術を活用した資機材の整備などによる警護の高度化を挙げた。 2022年7月に安倍晋三元首相が奈良市で銃撃され死亡した事件を教訓に、警察庁は都道府県警が作る警護計画案を警察庁が事前に審査する新たな仕組みを導入。警察庁によると、2022年8月の新制度開始から24年3月までに約5600件を審査し、うち約4300件で修正を指示したという。(編集委員・吉田伸八) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
4歳女児の虐待死、三重県が再発防止策 連携強化や人材育成が柱
津市で母親(43)の虐待を受けた女児(当時4)が昨年5月に死亡した事件を受け、三重県は10日、児童虐待防止対応検討会議を開き、①体制づくり②関係機関との連携③人材育成を柱とする再発防止策を決めた。県の第三者委員会が行政機関の対応を検証し、3月末に提言した内容を踏まえた。 母親は女児を出産直後の2019年2月、県外の病院へ保護を求めた。女児は乳児院に預けられ、21年3月に母親が引き取った。提言は母子が長期間離れていたことなどを踏まえ、「子どもの愛着形成のための方策を確実に講じる必要がある」などとした。 再発防止策は、児童を一時保護するかどうかを判断する現行のリスクアセスメントシートに、出産の経緯や養育力をチェックする項目を追加▽乳児院に入所し、家庭復帰を予定する児童について、原則月1回以上の親子交流を実施▽施設などを退所する1カ月前までに市町に引き継ぎのための会議開催を求め、会議後に入所措置を解除する。 母親は女児が保育園に通っていた21年9月ごろから、手で押したり転ばせたりする暴行を事件までに約50回繰り返していたとされる。提言は「体重など身体状況の変化から予測される虐待の兆候と評価にかかる研修の実施」などを求めた。 再発防止策では、妊娠、出産から子育てまで一体的に相談支援する「こども家庭センター」の設置を市町に促進▽児童相談所(児相)全職員を対象に、提言への対応を徹底するための研修を実施▽保育士を対象に、虐待をテーマとした研修を実施する。 児相で16人の職員増 22年2月、女児にあざを見つけた保育園が児相へ通報した。その後、女児は登園しなくなるなどしたが、児相は対面による安全確認をしなかった。提言は「状況変化に応じたリスク再評価の確実な実施」「児相職員の人材育成」などを求めた。 再発防止策で、県は今年度上半期をめどに、児相職員の人材育成計画を策定するとしている。 県内では12年以降、3件の児童虐待死事件について、それぞれ第三者の検証委員会が関係機関の情報共有不足や危機意識欠如を指摘していた。今回も改めて同様の問題が指摘されたことから、県は今年度上半期の取り組み終了段階にも検証委に報告し、フォローアップ(進み具合の確認)をするという。 また、04年制定の県の「子どもを虐待から守る条例」について、一見勝之知事は改正を検討する考えを明らかにした。児童の対面確認や研修、関係機関の連携、AI活用などをきちんと盛り込みたい考えだ。 県は新年度、児童虐待への対応力を高めるため児相で16人、本庁で4人の職員を増員した。虐待の疑いがある在宅児童らの安全のため、目視確認の徹底や状況変化に応じたリスク再評価もしている。 一見知事は「子どもを虐待から守るため、ひとつずつきちんとスピード感をもってやっていくことが重要」と力を込めた。(高田誠) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
福岡の繁華街に立つ受難の「天神地蔵」 修理終え町内会長「涙でた」
福岡市の繁華街・天神の交差点に立つ「天神地蔵」。40年ほど前、歩行者をバイクから守ろうとして亡くなった警察官供養のため建立されたと伝わる。1月に頭部が欠けているのが見つかったが、修理が終わり11日に元の台座に設置された。 地蔵の頭の後ろの「光背」という部分が、幅約20センチにわたり欠損した。受難を知った市民から、地蔵を管理する近くの町内会長の藤木敏一さん(74)らに約7万7千円の寄付が集まり、県内の石材施工会社に修理を依頼。今月3日に作業が終わり、帰ってきた。 無事修理され「うれしさで涙がでた」という藤木さんは、「みなさまとともに交通安全を見守る地蔵を、どうぞかわいがってください」と話した。月に2~3回地蔵の前を通るという古賀市の林徳子さん(62)は壊れたことに心が痛んだといい、無事戻ってきて「安心する。見守ってくれているようだ」と笑顔を見せた。 地蔵の足元には「お礼申し上げます」と、感謝をつづった手紙があった。結びには「天神地蔵拝」と書かれていた。(池田良、伊藤未来) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛子さま、大学卒業と入社を上皇ご夫妻に報告 仙洞御所で
天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは11日、仙洞御所(東京・元赤坂)を訪問した。祖父母の上皇ご夫妻に、学習院大学卒業と日本赤十字社入社にあたりあいさつをするため。 愛子さまは午後4時前に車で仙洞御所正門を通過し、約30分ほど滞在した。宮内庁によると、愛子さまは当初、卒業式直後に訪問する考えだったが風邪を引いたため、この時期になった。愛子さまが上皇ご夫妻と面会するのは今年1月1日以来。 愛子さまは先月学習院大を卒業し、今月1日に日赤に入社。勤務と成年皇族としての務めを両立しており、14日も皇居内で行われる春季雅楽演奏会を鑑賞する。宮内庁の西村泰彦長官は11日の会見で「いいスタートを切られた」と述べた。(中田絢子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
大阪万博のパビリオン「開幕に間に合う」 博覧会国際事務局長が会見
大阪・関西万博の開幕が約1年後に迫る中、博覧会国際事務局(BIE)のディミトリ・ケルケンツェス事務局長と日本国際博覧会協会(万博協会)の石毛博行事務総長が11日、大阪市内で会見を開いた。建設の遅れが指摘される海外パビリオンについて、ケルケンツェス氏は「準備は開幕までに必ず間に合うと思う」と話した。 各国が独自に設計・建設する「タイプA」のパビリオンをめぐっては、約20カ国がいまだに建設事業者を見つけられていない。だが、ケルケンツェス氏は「パビリオンは仮設であり、いったん建設が始まれば進捗(しんちょく)は早い。内装の工程を含めても、大きな遅れがあるとは見ていない」と説明。運営面のサポートの方がより手間がかかる問題だとして、「今後はソフト面に目を向けていかないといけない」とした。 大阪府と大阪市の昨年のアンケートでは、万博に行きたい人より行きたくない人の方が割合が高くなったが、ケルケンツェス氏は、大きなイベントの前によくある状況だと指摘。「開幕が近づくと人気が高まると思うので、あまり心配していない」と語った。 万博の会場建設費は昨年秋に再び上ぶれし、当初想定の1・9倍の最大2350億円に膨らんでいる。石毛氏は3度目の上ぶれの可能性を問われ、「与えられた予算の中で任務を実行するのが役割。しっかり果たしたい」と述べた。予算の執行を監視するために設けられた経産省の委員会とも連携し、必要な対応を取るという。(箱谷真司、諏訪和仁) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
YOSAKOIソーラン祭り、6月5~9日開催 「地域貢献賞」新設
北海道の初夏の風物詩「YOSAKOIソーラン祭り」の開催概要が11日、発表された。6月5~9日、札幌市の大通公園を中心に市内15会場で開催される。 今年は演舞審査とは別に「地域貢献賞」を新設。にぎわいの創出やボランティア活動など日ごろの活動に焦点を当て表彰する。 祭りは30年以上の歴史があり、昨年は200万人以上を動員した。ただ、運営には市民の理解や企業などからの支援が欠かせない。「これからも続けていくためには、より地域に目を向け、地域とともに歩むことが大切だと考えた」(組織委) 有料の特別観覧席などの販売は21日から。問い合わせは実行委員会(011・231・4351)へ。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
モペットの人身事故、都内で急増 「原付き」と知らない利用者も
ペダル付き原動機付き自転車(通称・モペット)による事故が東京都内で急増している。警視庁によると、2022年に8件だったモペット関連の人身事故は、23年は24件と3倍になった。見た目は自転車に似ているが、法律上は「原動機付き自転車」。免許を持たずに乗る人もおり、警視庁は取り締まりを続けていく方針だ。 警視庁は10日、東京都渋谷区神宮前6丁目の交差点周辺でモペットの取り締まりを行った。警察官がモペットに乗る人を次々に呼び止め、車体や免許証を確認した。 交通執行課によると、約1時間半で5人について計6件の違反を確認した。無免許2件▽ヘルメット不着用2件▽歩道走行1件▽ナンバープレート不装着1件だった。 アプリで買った男性「まさか切符切られるとは」 渋谷区の40代男性はモペットで歩道を走ったとして、「交通反則切符」(青切符)を切られた。「タイヤが太いタイプの電動バイクがはやっている」と知り、半年前にフリーマーケットアプリで10万円ほどで買った。週に数回、近所を移動するときに乗っているという。 歩道を走るのは法律違反と知っていたが、「まさか切符を切られるほどとは」。反則金は6千円で、男性は「もう乗らない。自転車や車にします」と話した。一方で、「ネットで買うと通行ルールを知らないまま乗ってしまう」とも言った。 取り締まりで呼び止められた別のモペットの運転手も、「ネットで購入した」と話した。 警視庁の担当者は「ネットで買う場合は特に、機体が保安基準を満たしているか確認を」と話している。(御船紗子) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル