梅雨どきのシンボル・カタツムリ(陸産貝類)は、日本全国に800種以上も生息しています。その中には地元の地名から命名され、そこでしか観察できない「ご当地カタツムリ」も多数存在しているそうです。ウェザーニュースが「周辺で見かけるカタツムリの大きさ」について調査を実施したところ、地方による差異がいくつか生じていました。 調査結果と「ご当地カタツムリ」について、カタツムリを含む貝類全般が専門の豊橋市自然史博物館学芸員・西浩孝さんに解説をお願いしました。
沖縄の巨大カタツムリは外来種
調査結果によると、全体ではカタツムリの大きさは「1円玉ほど」が最も多く52%、「ゴルフボールほど」が30%、「野球ボールほど」が1%弱、「見たことがない」が18%という結果になりました。 地域別に詳しく見ると、北陸・東海で「ゴルフボールほど」の割合が最も多くなっています。驚きは沖縄で、「野球ボールほど」が11%と、突出して多くなりました。
「北陸のツルガマイマイ、東海から近畿のイセノナミマイマイなど、各地方を代表するカタツムリの成体の殻径(かくけい=貝殻の幅)は、いずれも3~4cm(ゴルフボール大)です。みなさんがご覧になった『1円玉大』がどのカタツムリなのかわからないのですが、おそらくそれらのカタツムリの『子ども』か、全国的に生息する広域種のウスカワマイマイ(殻径23ミリほど)あたりなのではと思います。 沖縄で見られる巨大なカタツムリはアフリカマイマイといって、東アフリカ原産の外来種です。殻径55mm・殻高115mmほどもあり、食用として持ち込まれたものが逃げ出して増えました。奄美群島や小笠原諸島にも生息しています」(西さん)
遠くまで移動できず種分化が進む
それでは、けっして広くない日本列島の各所に「ご当地カタツムリ」を含む800種ものカタツムリが分布しているのは、なぜなのでしょうか。 「カタツムリはご存知のように『歩みがのろい』うえに、飛べません。海を渡れないため島から島への移動はもちろん、同じ島内でも川や山に隔てられた他の地域への移動も難しい。そのため、同じ本州内でも東北なら東北、中国なら中国といったエリアで種の分化が進み、地域ごとに多くの種、さらに亜種が生まれていったのです。 北陸、東海以外では、北海道がサッポロマイマイ、東北がアオモリマイマイ、関東・甲信がミスジマイマイ、関西がクチベニマイマイ、中国がイズモマイマイ、四国がアワマイマイ、九州がツクシマイマイ、沖縄がオキナワウスカワマイマイといったあたりが、地方を代表するカタツムリといえるでしょう。 そのほかに『広域種』として、その名もニッポンマイマイ、オナジマイマイ、コベソマイマイなどが生息しています」(西さん)
Source : 国内 – Yahoo!ニュース