大阪府は新型コロナウイルスの感染者が再び増えてきたとして、府の独自基準「大阪モデル」に基づいて警戒を呼びかける「黄信号」を12日に点灯させた。府は「夜の街」を通じて若者の間で感染が広がっていると判断。感染症対策をとっていない店の利用自粛を呼びかけ、週内に大阪・ミナミに臨時のPCR検査場を設置する。
「黄信号」は警戒を呼びかけるが、娯楽施設などに対する休業要請を出すのは「赤信号」。吉村洋文知事は12日夜に開いた府の対策本部会議で「東京の感染者は連日200人を超えており、夜の街の影響が大きい。大阪も傾向が似ているので、注意を呼びかけたい」とした。
府は対策本部会議で、唾液(だえき)が飛び交う環境を避けることや、府が導入した「感染防止宣言ステッカー」のないバー、キャバクラ、ホストクラブなどの利用を自粛することを府民に呼びかけることを決めた。新型コロナ対応の特別措置法24条に基づく協力要請で、「黄信号」が消灯するか7月末まで続ける。
もっとも懸念しているのは若者の間での感染の広がりだ。6月14日から7月11日の感染者計209人を分析したところ、3割強の70人が大阪・ミナミのクラスター(感染者集団)など「夜の街」関連のものだったという。全体の78%が18歳以上30代以下だった。
府は週内に大阪・ミナミの駐車場にPCR検査の検体採取場を設置し、無症状でも申告があれば検査する。20代を中心とした府内の大学生らにも注意喚起する。府が感染防止対策をとった店に発行するステッカーの利用は4千件ほどにとどまっており、周知を図っていく。
大阪モデルは「黄信号」をともす条件として、①7日間平均で、感染経路不明の新規感染者が10人以上かつ前週の2倍以上②直近7日間で累積の新規陽性者数が計120人以上かつ、7日間のうち後半3日間で半数以上増加――を設けている。府内の感染者は12日に新たに32人を確認するなどとして、基準を上回った。
府は感染症対策と社会経済活動を両立させるために、大阪モデルの基準も黄信号が点灯しにくいように今月3日に緩和したばかりだった。重症病床の使用率が70%を超えれば、医療崩壊の懸念があるとして「非常事態」を示す「赤信号」をともす。12日現在、重症病床の使用は、2・7%となっている。(増田勇介)
「特に何か変わるわけでは…」
新型コロナの感染者が再び増え、大阪モデルに基づく「黄信号」が点灯した12日夜、大阪府内では太陽の塔(吹田市)と通天閣(大阪市浪速区)が黄色にライトアップされたが、夜の繁華街は大勢の人が行き交っていた。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル