黒人男性のジョージ・フロイドさんが警察官によって殺害された事件を機に、世界各地へ広がった「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」運動。イギリス西部のブリストル市では7月15日、デモ参加者によって倒された奴隷商人の像があった場所に一時、拳を突き上げ抗議する黒人女性の像が現れた。像は市の許可などを得ていなかったため、およそ24時間後に撤去された。【BuzzFeed Japan/伊吹 早織】
拳を突き上げる黒人女性の像
BBCなどによると、像はアーティストのマーク・クインさんが作ったもの。奴隷商人の像が倒された日のデモに参加していたジェン・レイドさんがモデルとなった。 像が引き下ろされた直後に、レイドさんが台座に登って拳を掲げた姿がSNSで注目を集め、今回の作品につながったという。
この場所にはもともと、17世紀に奴隷商人として財を成し、ブリストルの街づくりに貢献した功績で讃えられたエドワード・コルストンの像が立っていた。 コルストンは学校や病院、教会に多額の寄付をし、貧困層を支援する活動にも貢献したことで知られ、ブリストルの中心部に像が建てられていただけでなく、コルストンの名を冠したコンサートホールや通りなどもある。 しかし、コルストンの資産は奴隷貿易などによって築かれたもので、およそ8万人の人々を、奴隷としてアフリカからアメリカへ運んだとされている。 そのため、奴隷商人を讃えるような像は街にふさわしくないとして、撤去を求める署名活動などが行われていた。 そして、ジョージ・フロイドさんの事件後、イギリスでも「Black Lives Matter」の抗議活動が熱を帯びる中、6月7日のデモで参加者たちによって引きずり降ろされた。
レイドさんは台座に登った時のことを振り返り、「からだ中にまるで電気のような力がほとばしるのを感じた」とハフポストUKの取材に語った。 「頭に浮かんだのは、コルストンの手によって命を奪われ、奴隷にされた人たちのことでした。彼らに力をあげたいと思いました」 「ジョージ・フロイドさんにも力を与えたかった。不正義や不平等に苦しめられてきた私たち黒人にも力を与えたかった。その全ての人たちに、ほとばしる力を与えたかったのです」
24時間後に撤去
一方、ブリストル市は像の設置を許可していなかったといい、およそ24時間後にレイドさんの像を撤去した。 ブリストルのマービン・リース市長はTwitterで「台座の未来とそこに何を置くかは、ブリストル市民が決めていく必要がある」とする声明を発表した。 2016年に着任したリース市長は、ヨーロッパの主要都市で初のアフリカ系の市長としても知られている。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース