将棋の第91期棋聖戦五番勝負で、渡辺明棋聖(36)=棋王、王将とあわせ三冠=が挑戦者の藤井聡太七段(17)に1勝3敗で敗れた。渡辺棋聖は過去33回、タイトル戦の番勝負を戦っているが、年下の後輩に敗れたのは初めて。終局後は「中終盤の競ったところで勝てなかった。こちらが気付いていないところが多かった。内容的に競ったところで負けているので、すごい人が出てきたなという感じです」と話した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月中旬以降、長距離移動を伴う対局が延期になった。棋聖戦の挑戦者を決める決勝トーナメントも準決勝以降の対局がストップ。それが6月に再開されてから一気に進み、瞬く間に藤井七段が挑戦者になった。
渡辺棋聖は本来、相手によって対策を練り、十分に準備して勝負に臨むタイプ。豊島将之名人(30)=竜王とあわせ二冠=と戦う第78期名人戦七番勝負の第1局で話題になった黒いフェースマスクも、2日間の長丁場に備えて試行錯誤した末に選んだものだった。
挑戦者が決まってから、わずか4日後に開幕した棋聖戦五番勝負では、第1局の戦型は相矢倉、第2局も相矢倉模様で、藤井七段が得意としてきた角換わりではなかった。藤井七段は対局がなかった2カ月間で「自分の将棋に向き合うことができた」と言っていたが、戦型選択の幅を広げていたことは間違いない。渡辺棋聖は予想を超える藤井七段の進化に準備が追いつかなかったのではないだろうか。2局とも落としてしまう。第3局の角換わりでは、事前研究が上回って圧倒したが、第4局では再び矢倉で敗れた。
渡辺棋聖がタイトル戦で年下の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル