東日本大震災から数年後、兵庫県にある廃棄物処理機械販売会社内の一室。そこで、同社役員(当時)が複数の下請け会社幹部らに対し、大手ゼネコン現場幹部に現金を届けるまでの段取りを指示していた。
その場で、裏金はブラックマネーを指す「B」と呼ばれた。元手となるのは、震災復興工事の架空外注費数千万円だ。役員は、その流れを矢印で示すチャートをホワイトボードに書いたり、紙で渡したりしたという。この打ち合わせの内容は、機械販売会社を税務調査している国税当局も把握した。
拡大する除染で出た放射性廃棄物の輸送トラックの列
機械販売会社の関係者によると、裏金作りの指示役だったという役員は「汗だくになって仕事をする」との評判だった。震災前、遠方に出張する際は宿泊代節約のためか、自家用車で寝泊まりしていたという。しかし、震災後の需要増で会社が潤うと暮らしぶりが一変。「神戸などのクラブで飲み歩き、支払いが一晩300万円になるときもあった。家族のハワイ旅行もファーストクラスになった」
この役員は酔うと、親しい周辺関係者に「現場、現場で元請けにお礼がある。そうして種をまくから仕事がとれるんだ」と漏らしていたという。
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- 復興事業の現場で異常な接待が繰り返されている…。建設業界から伝わる声をもとに取材を進めると、不正経理による裏金作りの実態が見えてきました。連載形式で背景や構造を解き明かします。
「復興バブル」に沸いたのは、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル