新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、自治体が独自に営業時間の短縮や休業を要請する動きが相次いでいる。一方、国は感染拡大防止を呼びかけながらも、Go To キャンペーンなどを通して経済社会活動と両立させる姿勢を堅持している。
直近の感染拡大状況について、厚生労働省やWHOで医療政策に携わった東京大学大学院・特任研究員の坂元晴香医師は「検査の数も対象者も異なるので、3月、4月ごろの状況と単純比較することにはあまり意味がない。ただ、感染が確認された人の中で若い世代が多くを占めていることは確かだ。ただ、このままでは徐々に重症化リスクのある70代、80代といった高齢者世代に広がり、医療施設や介護施設でクラスターが発生する可能性もある」と話す。 【映像】開発ワクチン6000万人分を確保 若者は無症状…接種の順番は?
「重症については新規感染よりも遅れて波が来るので注意が必要だ。軽症者向けのホテルなどの整備は進んできているが、重症者に対する集中治療体制の整備、人工呼吸器を扱える医療従事者を劇的に増やすのは簡単ではない。同じ医師や看護師だったとしても、人工呼吸器を扱ったり、救急・集中治療の領域に対応したりするには相応の専門性が求められる。例えば私が2、3カ月練習すればできるようになるかといえばそうではないし、専門医の資格を取るにも数年がかかる」。 国や自治体がPCR検査体制の拡充を急ぐ中、感染拡大抑止や“陰性証明”のため、より大規模な検査体制を求める声もある。
「検査の性能の問題があり、感染していたとしても、症状が出る前はうまく捕まえられない。また、今日の検査で陰性だったとしても、明日には感染してしまうかもしれない。やはりPCR検査の結果を陰性証明にすることの有効性の問題が出てくる。検査件数も増えてきてはいるが、国民全員に毎日、あるいは隔日で検査をするようなキャパシティはない。医療・介護施設などで働くエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たちを対象にすることの是非の議論はあるものの、一般の人たちの安心のために検査を大規模に拡大したとしても、感染が抑制できるというわけではない。実際、東京でも検査数を非常に増やしているが、だからといって抑制できているわけではない。いくら検査を拡大しても、やはり手洗いや密を避ける、集団を避ける、飲み会を避けるといった感染症対策の基本を伴わない限り、感染のコントロールにはならない」(坂元医師)。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース