広島への原爆投下直後に降った「黒い雨」をめぐる訴訟で、原告団と弁護団は12日午後、広島市内で記者会見を開き、広島県と市が同日、国の要請に基づき控訴したことについて、「無念のうちに亡くなった多くの被爆者の思いを踏みにじるもの。本当に残念だ」などと怒りをあらわにした。 加藤勝信厚生労働相は同日、控訴したと発表し、援護救済対象の拡大も視野に科学的検証を行うと明かした。ただ、原告団長の高野正明さん(82)は「科学的根拠がないとして、こちらの申し入れは何度も蹴られてきた。とても信用できない」と述べた。 また、控訴を受け入れた県と市にも、「(国の要請を断る)勇気がなかったのが残念だ」と批判。原告全員が高齢ということにも触れ、「(結論を)先延ばしにすればそれだけ死者も出るが、国はそれを望んでいるかのようだ。非常に憤りを感じる」と語った。 弁護団の竹森雅泰事務局長は、原告全員を被爆者と認めた広島地裁判決が被爆者認定方法について具体的に指摘したことに触れ、「法律上やろうと思えば、(国から被爆者健康手帳の交付審査を受託する)市や県が独自に被爆者と判断できる。(原告らと)手を携えてやってきた点は評価するが、控訴という形になり残念だ」と話した。
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