三重県高校野球夏季大会の決勝会場となった県営松阪球場は、手動式のスコアボードが名物として知られる。選手名を手書きし、試合展開に応じて慌ただしくボードを出し入れする手動式は、裏方たちの奮闘が欠かせない。45年前から球児を見守ってきたボードは、来年、電光掲示に生まれ変わる。「手動式」の最後の夏を追った。
「うますぎるやろ」
「今の球、えぐいなあ」
7月24日、夏季大会の2回戦、津工―名張青峰の試合。ボード裏にある小さな部屋で、5ミリ程度しかないボードの隙間に顔をくっつけて、試合をみているのは、スコアボード係になった地元の高校の野球部員たちだ。
スコアボードは3階建て。階段を上ってすぐの2階が選手名と守備位置、3階がイニングスコアを表示する部屋になっている。
拡大するボードの隙間から試合を観戦する野球部員たち=2020年8月2日、三重県松阪市、岡田真実撮影
担当するのは、6人程度。2階と3階に半分ずつ分かれて作業する。
狭い部屋の中には、小さな扇風機が一つと控え選手の名前が書かれたボードが並んでいた。
窓はあるが、風通しは悪く、一瞬で汗がふきだす。扇風機は一つしかない。
拡大するスコアボード裏の部屋=2020年7月24日、三重県松阪市、岡田真実撮影
七回表。それまで静かだった部屋が一気に騒がしくなった。
「守備位置の変更。センターが…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル