扉を開くだけで行きたい場所に行ける「どこでもドア」。「ドラえもん」に登場する夢いっぱいのひみつ道具に似たピンクの扉が、奈良の空に突如現れたとSNSなどで話題になっている。
ドアがあるのは奈良県斑鳩町のサッシドア製造会社「斑鳩(いかるが)」の屋上。高さ2メートル、横1・1メートルの鉄製で、水色の壁面と青空にピンク色が映える。ドアは小さく開いており、新しい商品が扉から発信していくようにとの願いもこめられている。
拡大する屋上に設置されたピンク色の扉=2020年8月18日午後、奈良県斑鳩町、細川卓撮影
寺西宏之社長によると、設置したのは7月。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、「一つぐらい明るいニュースも必要」と後藤啓太工場長を中心に「遊び半分」で仕事の合間で作り上げた。ツイッターに写真が投稿されると、「天空のどこでもドア」などと注目が集まり、お盆の時期には周辺の道路に多くの見物人が詰めかけたという。
拡大する屋上に設置されたピンク色の扉=2020年8月18日午後、奈良県斑鳩町、細川卓撮影
同社は来年創業60周年を迎える老舗。オーダーメイド専門で、ホテルや駅ビルの扉のほか、飛沫(ひまつ)感染防止用の仕切りやフェースシールドなども製造している。ものづくり企業として技術をPRする目的はあったが、「驚くほどの評判」と寺西社長。「斑鳩の町を有名にしたいという長年の思いを、若い子たちがかなえてくれた」と話している。(細川卓)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル