昨年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で、公職選挙法違反の罪に問われた前法相で衆院議員の河井克行被告(57)と、妻で参院議員の案里被告(46)=いずれも自民党を離党=の初公判が25日、東京地裁(高橋康明裁判長)で始まった。克行議員は現金供与について「選挙運動を依頼する趣旨ではありません」、案里議員も「選挙運動の報酬として現金を渡したことはありません」とそれぞれ起訴内容を否認し、無罪を主張した。
克行議員はその一方で、「私を国政に送り出していただいた多くの皆さまにご心配とご迷惑をおかけしたことについて、深くおわび申し上げます」と謝罪した。案里議員も「選挙を応援していただいた方々にご迷惑をおかけし、おわびを申し上げます」とした。
起訴状によると、克行議員は昨年3月下旬~8月1日、計128回にわたり、広島県議ら地元議員や選挙スタッフ、後援会関係者ら計100人に対し、参院選に立候補を表明していた案里議員への票の取りまとめを依頼する趣旨で計約2901万円を供与。案里議員は克行議員と共謀し、このうち地元議員5人に計170万円を渡したとされる。
夫妻は現金提供の事実はおおむね認めており、裁判の最大の争点は現金の趣旨だ。検察側は、票の取りまとめを依頼する「選挙目的」だったと立証する方針。これに対し、夫妻側は政治資金規正法で認められている党勢拡大のための「政治活動」などと主張する。
また夫妻側は、検察側が地元議員ら100人全員の刑事処分を見送ったことから、「夫妻に不利な証言をしてもらうため違法な裏取引をした疑いがある」として、裁判の打ち切りも求める方針だ。
裁判は、起訴から100日以内の判決をめざす「百日裁判」の対象だが、地裁は12月18日まで計55回の公判期日を指定しており、判決は年明けになる見込み。夫妻が全面的に争う方針のため、120人前後の証人尋問が想定されている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル